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箱根駅伝はホントに日本の陸上を弱くしているのか?後編

 

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大学を卒業して実業団選手としてランニングを続ける選手は一握りで、卒業してランニングは辞める選手も多いでしょうが、市民ランナーとして趣味で走り続ける選手も少なからずいます。この層は練習量が落ちてもハーフ70分前後で走るのです。

ちなみにこれは実業団ハーフのタイム分布です。半分以上の選手が65分くらいで走っていますが参加人数は少ないですよね。


話を少し戻して、1大会で70分カットが541人、65分カットが90人というランナーを創出している理由は、箱根駅伝があるからでしょう。

箱根駅伝がなければ、そもそも学生ハーフに1000人以上がエントリーすることもないでしょう。

学生女子マラソン並みの人数になるかもしれません。

全員がオリンピックや世界陸上を目指すレベルにあるわけないけど、箱根駅伝を走りたいと走ることが好きで得意な子供が中学、高校、大学と陸上を続けるモチベーションになっているのです。

高校野球に甲子園という高校球児共通の夢になるような舞台があり、その後も入団し活躍すれば高収入が得られるプロ野球やメジャーへの夢が広がります。サッカーだって一緒です。

陸上には実業団選手という道はありますが、野球やサッカーに比べると収入面などを含めて夢のある仕事ではないと思います。

それでも、中学や高校で、野球やサッカーを選ばずに陸上を選ぶ才能豊かな選手がいるのは、箱根駅伝を走りたいというモチベーションがあるからでしょう。

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学生ハーフと実業団ハーフの上位30人のタイムは、どちらも64分カットと変わりません。この辺りについては箱根駅伝が悪いというより、実業団選手の最大の目標がニューイヤー駅伝であり、ハーフマラソンより短い区間が多いのも理由のひとつだと思います。

また箱根駅伝で燃え尽きることって悪いことですか?

そもそも大迫選手や設楽選手など箱根のスターは箱根駅伝がゴールでなく、世界で活躍することを目標にしているでしょうが、全ての選手が世界でメダルを狙えることなどあり得ません。

大学を卒業したら生活のために仕事をするのだから、学生時代の思い出として本気で箱根を目指すことは、その後の人生においての宝になると思います。

私はタイトルに『箱根駅伝はホントに日本の陸上を弱くしているのか?』と書いていますが、マラソンや長距離では世界トップと戦えない時代になっていますが、市民レベルでは日本のレベルは層の厚さで考えたら世界最高クラスだと思います。またウルトラマラソンで世界最高レベルなのも、市民トップレベルの分厚いランナー数が影響してます。

10000mやマラソンではスピードが足りないけど、そのペースで長く走れるといった才能を持った選手だっています。

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また、世界陸上でメダルをとり今や世界レベルの競歩にしても、私は箱根駅伝の人気が影響していると思います。

もちろん技術レベルや、競歩に必要な筋力の分析やトレーニングなどが大きいでしょうが、幼少期から将来競歩でオリンピックに出て金メダルをとると夢を語る子供がどれだけいるでしょう?

競歩選手が競歩を始めたキッカケは、もともと10000mなど長距離の選手だったが、監督らに勧められて転向したり、長距離は層が厚くて大会で入賞出来ないから層が薄い競歩を始めたり、故障のリハビリがキッカケだったりと聞いたことがあります。そもそも長距離など陸上をしてなければ、競歩をするキッカケもなかったでしょう。

長くなりましたが、箱根駅伝は、日本の陸上を弱くしているというより、強くしている、厚くしていると私は思います。

マラソンのトップレベルが勝てないのはその他の要素が大半でしょう。

また、大学時代には長い距離を走らずにスピード磨くべきとか、大学時代からマラソンすべきとか様々な意見はあります。もちろんアプローチは様々です。

ただ、そもそも長距離を志す子供が増えなければレベルは上がらないと思います。



箱根駅伝はホントに日本の陸上を弱くしているのか?中編

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キロ4より速く100KM走るランナー 〜6時間40分以内の日本のウルトラランナー一覧〜

100KM8時間以内で走る女性ランナー 〜8時間以内の日本の女性ウルトラランナー一覧〜

24時間走 250KMオーバーの日本のウルトラランナー一覧

少し箱根駅伝から話が逸れるようで、逸れていないのでお付き合いください。

この100kmの記事を作りながらあることを感じました。

それは男子の世界記録は砂田選手の6時間13分台で、近年の世界選手権日本代表に選考される選手(サロマ湖ウルトラ4位)は6時間40分前後です。これは世界記録の107.2%です。

女子の世界記録は安部選手の出した6時間33分台ですからこれに107.2%をかけると、7時間01分台です。まず安部選手の記録がとんでもないのは言うまでもありませんが、男女差が1.1倍あるとしたなら、男子の記録は5時間57分が出てもおかしくないし、実際に出せる選手はいると思います。その話は逸れ過ぎるので今はやめます。

上の記事は先に男子を作ってから女子を作りましたが、当初は男子が6時間40分だから、女子はその1.1倍の7時間20分、もしくはキロ4.5分の7時間30分のどちらかにしようと思ったのですが、7時間30分以内は歴代で4人しかいないのです。(敬称略)

6:33:11 安部 友恵 2000
7:00:28 櫻井 教美 2007
7:11:42 川口 紀子 1996
7:23:56 翔 ひろ子 2007

その結果20人に達した8時間以内にしたのです。

7時間30分を切っている日本人女子選手はもう10年いません。

逆に男子に関しては6時間40分台、6時間50分台まで広げると相当な人数になります。

その理由は簡単です。

エリートランナーの100kmタイムはサロマ湖の場合はだいたいフルマラソンの2.7倍から2.8倍に集まります。なかには2.6倍程度のランナーもいますが、2.7倍で考えると7時間20分で走るには、フルマラソンが2時間43分くらいの力が必要になります。近年上位入賞している選手の大半は2時間50分台ですから、7時間30分を切るのは大変なのです。

逆に男子の参加者にはフルマラソンを2時間30分で走るランナーはたくさんいます。2時間30分のランナーなら2.8倍で走れば7時間です。

ここで思ったのは、私のFacebookの友人には2時間20分台で走る男子市民ランナーはかなりいますが、2時間40分台で走る女子市民ランナーは数えるほどです。さらに2時間50分前半のランナーも少ないです。

そこでマラソンのエリートレースの記録で比較しました。

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直近の福岡国際マラソンと、大阪国際女子マラソンのタイムを分析しました。

出走者の上位25%のランナーは男子は2時間25分から30分までにいます。女子は2時間55分から3時間までにいます。トップがゴールしてから男子は20分ほどで25%のランナーがゴールするけど、女子は35分かかるのです。

また男子は25分ほどで半分のランナーがゴールするけど、女子は45分ほどかるのです。

何を言いたいかというと、優勝や入賞を狙う日本代表クラスのランナーから10分、20分後にゴールする市民ランナーは男子にはたくさんいるけど、女子はその層が薄いのです。言い方を変えると日本代表クラスのランナーが失速してゴールするくらいのタイムで走る市民ランナーは非常に少ないのです。

何故か?

ここでタイトルの話に近づきます。

フルマラソンを2時間25分くらいで走るランナーはだいたいハーフを68-9分で走ると思います。市民レベルでこのタイムはかなり速いです。

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次に、この表を見てください。

日本学生ハーフと、日本学生女子ハーフのタイム分布です。

男子トップは61分台で、女子トップは71分台。どちらも実業団含めてもかなり上位に入る素晴らしいタイムです。

着目して欲しい一つ目は完走者数です。

男子は1000人を超えているのに、女子は73人です。

次にトップから5分以内の区分人数は男子268人に対して、女子は29人です。

また、男子で70分切った選手が541人もいるのです。

何を言いたいか分かると思いますが、上位選手はフルマラソン2時間10分程度で走るレベルだとすると、2時間20分台で走る能力を持った選手が大学生には500人も600人もいるということです。(実際に走れるかどうかは別にしてダニエルズ係数などから考察しました。)

大学を卒業して実業団選手としてランニングを続ける選手は一握りで、卒業してランニングは辞める選手も多いでしょうが、市民ランナーとして趣味で走り続ける選手も少なからずいます。この層は練習量が落ちてもハーフ70分前後で走るのです。



箱根駅伝はホントに日本の陸上を弱くしているのか?前編

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オリンピックや世界陸上で日本代表選手が入賞できないと、箱根駅伝が日本のマラソンを弱くしているという論調が繰り返しされています。

その理由は

箱根駅伝の存在が大き過ぎて燃え尽きてしまうとか、実力以上にスター選手にしてしまうとか、大学時代はもっとスピード強化する必要があるのに、20kmを走れる練習がメインになってしまうとか、様々な視点から書かれています。

そうだろうと思う内容もあれば、それは違うだろうという内容もありますが、今回は私の思うところを数値に基づいて書いてみます。

まず結論を書くと、箱根駅伝は日本の陸上を強くしています。

まず5000mや10000mなどトラック長距離種目や、マラソンでは世界との差がかなり開いています。

これは以前書いた男女のタイム差についての考察 〜男女差は1.1倍〜  で使った数値です。

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この時から男子100mとハーフマラソンの日本記録は更新されましたが、男女差約1.1倍は変わりません。

今回は、男子の世界記録と日本記録を比較してみると
100mは9.58と9.98ですから、104.2%

同様に、10000mは104.6%、ハーフマラソンは103.3%、マラソンは102.8%と長距離に関しては距離が伸びるほどに世界との差は詰まってきます。

ただ最近は諏訪選手の出した日本記録に遠く及ばないタイムなのも現実ですが、2時間8分で世界記録と比較すると104.1%ですから、10000mの差がそのままついていると考えたらシンプルです。

もっと長い100kmマラソンなどウルトラマラソンになると日本人選手が数多くの世界記録を持っています。

100kmはずいぶん前の記録になりますが男女とも世界記録は日本人です。近年でも、100km男子の2016年世界チャンピオンで世界ランキング1位は山内選手で、2017年の現時点の世界ランキング1位は世界歴代2位の記録をサロマ湖ウルトラで出した板垣選手です。

また2017年の24時間走世界選手権で優勝し、2016年、そして2017年(現時点)の世界ランキング1位は石川選手です。さらに女子の24時間走(トラック)の世界記録は工藤選手です。

こちらも合わせてお読みください。

キロ4より速く100KM走るランナー 〜6時間40分以内の日本のウルトラランナー一覧〜

100KM8時間以内で走る女性ランナー 〜8時間以内の日本の女性ウルトラランナー一覧〜

24時間走 250KMオーバーの日本のウルトラランナー一覧

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少し箱根駅伝から話が逸れるようで、逸れていないのでお付き合いください。



日本の競歩はなぜ強いのか?の裏返しに感じたマラソン

日本の競歩はなぜ強いのか?
とキーワード検索したらこの記事が出てきました。
Wメダル&トリプル入賞 日本の男子50km競歩はなぜ強いのか

スポーツライターの酒井政人さんがコーチや選手にインタビューした内容をもとに組み立てられた記事です。

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今回の男女マラソンに関しては、多くの視聴者がガッカリしたと思います。もちろん川内選手の懸命なスパートに目頭が熱くなった人も多いでしょう。私もその一人です。

ただ、その場面以外は非常に退屈なレース展開で、映像に引き込まれるようなことはありませんでした。日本人選手の出ていなかった男子5000mや10000mとは対照的でした。

多くの視聴者がガッカリしたということは、それだけ期待していたからです。期待をしなければガッカリしません。

選手は一生懸命頑張ったけど、結果に結びつかなかったのはもちろん分かりますが、マラソン選手が語ったインタビュー記事と、今回3人全員入賞した50km競歩のインタビュー記事の内容を読み比べると余りにも差があり過ぎて驚きでした。

私が今まで何回もなぜ◯◯ができないのかな。。と書いたことはマラソンでは出来ていませんが、競歩では出来ているのです。

同じエンデューロ系の陸上競技であり、同じ日本人が世界の舞台で活躍している競歩の取り組みを分析し、陸上界で共有をすることで、その先にマラソンの復活はあると思います。

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記事に書かれたことを一部要約すると

明確な目標タイム設定

・目標タイムを定めた中で試合の流れに応じてレースを進めた。
→周りに流されずに自分の力を出すことに注力

組織力、チーム力

・キャリアのある荒井が引っ張るなどジャパンのチーム力で後続を寄せ付けなかった。
→先輩が後輩の力を引き出し、後輩は先輩の背中を追いかける。このようなことで伝統は出来ていくのだと思う。

共通言語化、伝える技術

・長期合宿を経て、今大会に臨んでいるので、簡単な言葉で、本人のなかで動きが修正できた。合宿を通して、言語の共通理解ができていた。
→レース中にコーチはどう伝えれば本人は理解できるか相互理解ができている。

科学サポート

・2020年東京五輪に向けた暑さ対策のなかで、個別の発汗量、体重の減少に応じた給水量に対応するなど、最先端の科学サポートもしっかり取り入れた。
→根性論も大事だが、科学的根拠があってのこと。

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女子マラソンについて考えると、なぜ後半のスピードに絶対の自信をもつアフリカ勢が仕掛けた序盤の遅いレース展開についていく必要があるのか?

を考えた時に、ふと、そもそも今回の3選手の目標は何だったのだろうか?設定タイムはあったのだろうか?などいろいろ聞きたいことが次から次へと浮かんできました。

序盤遅いペースで入りつつ、小刻みな揺さぶりをかけて、中盤以降ペースアップをして振り落とすのはアフリカ勢の得意な展開なのになぜ乗るのか?現役時代の野口選手や高橋選手ならそのような横綱相撲でも勝てたかもしれないけど、格上の相手の土俵では戦えません。

一人で先頭を引っ張るのが難しければ、チームJAPAN3人で交替で引っ張れば良いのになぜ出来なかったのか?

今回は思うような走りが出来なかった重友選手は経験豊富な実力あるランナーです。仮に彼女が、若手二人に自分の背中を見せて引っ張るような走りをしたら、彼女自身ももっと良い走りになったように私は思います。3人とも力があるのですから。。

科学トレーニングはマラソンも当然ながらしているでしょうが、競歩はレース中に本人がどう修正すれば良いか簡単な共通言語で伝わったとありますが、マラソンはどうだったのでしょうか?

そもそも、マラソンは所属チーム任せなのか、チームJAPANとして強化合宿をしていたのか知りませんが、この辺も鍵のように思えます。

競歩はまさにしっかり準備をして、本番は相手に惑わされることなく自分にできることを最後まで愚直に行うことで結果に結びついた。マラソンだって同じでしょう。



箱根駅伝5区ランナーだった五郎谷選手が富士登山競走を目指した理由  〜コモディイイダ会沢監督談〜 その2

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一年目の挫折と決意


順風満帆にスタートをきったように思えますが、チームとしての一番の目標であった11月3日の東日本実業団駅伝では、ニューイヤー駅伝出場に遠く及ばない結果となりました。この結果、実業団チームとしては当たり前ですが会社から厳しい話も受けました。選手たちには仕事と競技を両立しながら、自己実現をしてほしい、それが可能な部でありたいと思って活動してきました。好きなこと(種目)をするには、会社が求めるニューイヤー駅伝出場が必須であることを選手たちと再確認しました。マラソンをやりたい、3000障害をやりたい、1500をやりたいなど様々ありますが、ニューイヤー駅伝にでれば、その後の道が開けると何度も話し、五郎谷選手も2年目を迎えました。

ニューイヤー駅伝出場のための山頂の部挑戦


今回の山頂の部への挑戦は、ただ単に五郎谷選手の夢を達成するためだけのものではありませんでした。今年に入り、チームとしてもニューイヤー駅伝出場に向かい取り組んできましたが、現状の力では届かない。駅伝は流れとよく言われますが、流れにのるという相手任せではなく流れをつくる選手を育成できなけばならないと考えていました。その選手として五郎谷選手の富士登山競走で優勝し、日本代表になるというのは、チームに勢いをつける意味でも必達項目でした。これから先、様々なプレッシャーの中でも力を発揮するためには、あえてプレッシャーをかける。これも一つの指導方法と腹をくくり、ミーティングでも五郎谷選手には自分のためでなく、優勝してチームに勢いを!と繰り返しました。特殊種目だけが強いと思われないため、練習もチーム内で先頭きって積むように指示し、他のメンバーが20000ペース走なら、そのあとに1000のインターバルをいれるなど、粘り強さをつけるトレーニングを繰り返しました。

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大会記録保持者 宮原徹選手との試走


そんな中、富士登山競走大会記録保持者の宮原徹さん(滝ケ原自衛隊)と連絡をとり、私では指導できない山の走りを教えて頂きました。その試走で、高地の適応力があることを確認することができ、五郎谷も自信を付けました。宮原徹選手は五郎谷選手との試走後にこう話していました。

『2時間35分切は充分に狙える。へばっても2時間40分は間違いなく切れるでしょう。何れにせよ、日本人選手で五郎谷君を超える登坂力のあるランナーはいないと思います。』

そしてレース後にはこう話しました。

『五郎谷くんは走る能力は抜群なので7合目〜8合目の岩場区間を克服すれば僕の記録も更新できると思います。』

宮原徹選手(滝ケ原自衛隊)の富士登山競走の凄さについてはこちらをご参照ください。

富士登山競走に向けた最終トレーニングとレース前日の心強い援軍

7月からホクレンディスタンスで5000m  10000mを走り、いよいよ富士登山競走への最終トレーニングに入りました。
といっても、7月中旬からのチーム合宿を利用し、大会6日前までひたすらに追い込み3日で170キロ走りこみました。2日目には、富士山駅から山頂に登り、そして五号目まで下り、バスなど乗り継ぎ宿舎に戻り、着替えてから、山中湖一周ジョグ。翌日は坂ダッシュしてから、東京農業大学の30キロ走に合流させていただくなど、疲労困憊になるまで追い込みました。五郎谷は、この疲労は正直不安ですと口にしましたが、彼なら5日間で充分疲労がとれるという確信がありました。また、本当に体が動かなくなってからが勝負となるのが富士登山競走だと私なりに感じていましたので実施しました。結果、なんとか疲労を抜こうと積極的に休養、治療に専念し、当日をむかえました。一番大切なのは、自身でなんとか疲労を抜こうとする気持ちと行動が自己治癒能力を高めるということです。大会にむけて、五郎谷は前日入りしましたが私は仕事のため、大会当日、早朝に現地入りしました。

五郎谷の表情をみたとき、これは優勝は絶対できると思いました。なぜなら、あった瞬間、『会沢さん、体調完璧です!』と言ってきたからです。彼が調子がいいといって、崩れたことが今までありません。

自分の体がしっかり分かっているのも、強さだと思います。

そして、レース前日に五郎谷選手に最高の援軍が訪れました。

五郎谷選手が、高校時代、そして社会人になってからも石川県に帰ったときには、お世話になっている治療院の平木先生が、五郎谷選手の直前合宿の走りの動画をみて、バランスが気になったということで、石川県から急遽、車で五郎谷選手の前泊する旅館を訪れて治療してくれたのです。

そして今回の目標は2時間40分を切って優勝。あわよくば2時間35分切りたい!と話をしましたが、記録を狙うのは来年で、今年は優勝して日本代表になることだけ考えて走ろうと伝え、スタート地点にならびました。

そして歴代2位の記録で優勝したのです。

五郎谷俊選手(コモディイイダ) 富士登山競走 2時間31分34秒で初優勝 その1〜歴代2位走り〜

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最後に〜会沢監督から五郎谷選手へ〜

箱根から世界へ!これはオリンピックに対しての言葉だと思います。ですが、今の世の中、ライフワークバランスが推奨され、それは仕事の責任を果たすとともに、人生の各段階で多様な生き方が選択実現できることが定義されています。

箱根駅伝には山登りや山下りなどの特殊区間があります。以前は走力があれば山は登れるというのが一般的でしたが、五郎谷選手のように登りの耐久力に富んだ選手もいます。

以前にくらべ、スカイランニングやウルトラマラソンなどが、かなりメジャーになってきた今、箱根から世界へ!は、こうした競技生活のあり方にもつながるのではないかと思います。

五郎谷選手は、スカイランニングで世界で勝ちたいという大きな目標のあとには、100キロマラソンへも挑戦したいと話しています。

さらに、チームとしてニューイヤー駅伝出場も!

欲張りにみえるかもしれませんが、気持ちがあれば、成せると思います。

富士登山競走については、私は無知なところからのスタートでしたが、100キロマラソンは学生時代に出場した経験もあります。

これについては、世界大会への取り組みも実体験から指導できます。

100キロマラソンに出場をきめて練習を開始した大学四年時に、わたしは、トラック種目も全て自己記録を更新しました。

何かをなそうとするとき、物事はうまくまわると私は思っています。目の前の困難はたくさんあるかもしれませんが、少し離れた未来には必ずうまく回ると思います。それは本気で目標をたてた時、かならず知恵がうまれるからです。そして、本気で何かをなそうとした時、気づけば周りが支え、応援してくれているものです。

 

会沢監督が話しているように、今回は宮原徹選手がコース対策のアドバイスをしてくれたり、サロモンシューズなどのアイテムの提供を受けることになったり、高校時代からお世話になっている治療院の先生が訪れてバランスを整えていただいたり、周りが支え、応援してくれました。

また100kmマラソンへの挑戦は、ぜひ実現して欲しいと思います。



2017世界陸上  女子マラソン結果 〜前に出る勇気を〜

メダル、入賞が期待された女子マラソンですが、清田選手の16位が最高という結果に終わりました。

以下、上位選手のタイムと日本人選手のタイムです。( )内は自己ベストタイムです。(自己ベストはしゃぼん玉ニュースを参照)

上位選手の結果を見ると前評判の高い選手が占めていますが、日本人3選手が戦えないような力の差はないと思います。実際、優勝したR.ケリモ選手の自己ベストは2時間24分14秒で、3位のA.クラッグ選手は2時間27分03秒と日本人3選手より下です。

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トップ10

  1. R.ケリモ バーレーン 2:27:11(2:24:14)
  2. E.キプラガト ケニア 2:27:18(2:19:50)
  3. A.クラッグ アメリカ 2:27:18(2:27:03)
  4. F.ダニエル ケニア 2:27:21(2:21:22)
  5. S.デミセ エチオピア 2:27:58(2:20:59)
  6. E.キルワ バーレーン 2:28:17(2:21:17)
  7. H.キプロプ ケニア 2:28:19(2:21:27)
  8. M.ディババ エチオピア 2:28:49(2:19:52)
  9. J.トレンゴブ 豪州 2:28:59(2:27:01)
  10. B.ディババ エチオピア 2:29:01(2:21:19)

日本人選手

16. 清田 真央 日本 2:30:36(2:23:47)
17. 安藤 友香 日本 2:31:31(2:21:36)
27. 重友 梨佐 日本 2:36:03(2:23:23)

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アップダウンや折り返しや急なカーブが多い難コースですが、日本人3選手は本来の力を出すことなく失速してしまったように思えて仕方がありません。

もちろん3選手はすごく頑張ったと思いますし、高橋尚子さんら解説者が話すように、次に繋がる経験を積んだと思います。

しかし、テレビ中継で話すほど3選手は上位選手と比べて力が劣っている訳でも、練習が足りない訳でもないと私は思いました。

なぜ、メダル争いができなかったのか?入賞争いができなかったのか?をしっかり分析していかないと東京オリンピックでも同じような結果になってしまいます。

レース後のインタビューで選手が話しているように終盤ついていけなかったのは間違いない事実です。終盤のペースアップに日本人選手は対応できず、上位選手が35kmから40kmを16分前半なのに対して、清田、安藤は18分中盤、重友に至っては20分中盤まで失速し一気に差を広げられました。前半の揺さぶりや後半のペースアップに対応する力がなかったのも間違いない事実でしょう。

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しかし私が疑問に思うのは、なぜ自分の得意なレース展開に持ち込まなかったかです。スローペースで入り、揺さぶりをかけるのはケニア、エチオピア、バーレーンなど優勝候補選手の得意なレース展開であり、今回もその相手の土俵に乗ってしまったのです。

ペースメーカーのいるレースであれば、一定のペースで走れる集団で体力を温存する作戦は分かりますが、アフリカ勢が上げ下げするのは分かっていることだし、あの狭くカーブの多いコースで周りの選手と接触しないように気を使って走るのは決して得策ではなかったと思います。

今回素晴らしいレースになった男子10000mでは、王者ファラーの得意な展開にならないよう他の選手が速い展開に持ち込みました。それでもファラーは強かったですが、相当追い詰めたのです。

日本人3選手は先頭グループを引っ張る力を持っているのだから、ペースが遅すぎると思えば、先頭に出てレースを作っていくような積極性が欲しかったと思います。一人で出ていくのが怖いのであればチームJAPANで対応して欲しかった。

そして、日本人3選手はみんな強いのです。自信を失うことなく今回の経験を生かして次に生かして欲しい。

そんなことを感じた深夜のテレビ観戦でした。

 



箱根駅伝5区ランナーだった五郎谷選手が富士登山競走を目指した理由  〜コモディイイダ会沢監督談〜 その1


箱根駅伝の山登り区間である五区は、幾多のドラマが生まれた区間であり、順天堂大学の今井選手、東洋大学の柏原選手、青山学院大学の神野選手など山の神と呼ばれるスター選手が生まれた区間でもあります。

今年の富士登山競走 山頂の部で歴代2位の好タイムで優勝した五郎谷選手は、2015年、2016年と東洋大学の選手としてこの五区を走り、2016年は1時間19分53秒と区間3位の走りをしました。

その箱根ランナーが富士登山競走を目指した理由など、コモディイイダ 会沢監督から教えていただきました。

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●入社動機と勧誘●


トレイルの世界で戦いたい!というのが、五郎谷の社会人での目標でした。もともとトレイルをやらせてくれる実業団がなかったこともあり、一般企業にすすみ、自身の時間でトレイルをすると決めていました。ある企業から内々定を頂いていましたが、東洋大学の酒井監督から当社に枠がまだあるかという話を東洋大学出身の西山コーチを通じて頂きました。

当社にとっては知名度的にも願ってもないチャンスであり、すぐに練習に招待し、会社や練習環境について説明しました。

当時は、完全フルタイム勤務の中での競技でしたので、厳しい環境はしっかり説明した上で、当社を選び、駅伝にでてくれるなら、トレイルレース参加も大丈夫とし、年間のレース計画も渡しました。入社から5月まではトラック中心、6月から富士登山競走にむけたトレーニング。富士登山、十和田八幡平駅伝5区、火祭りハーフマラソンをトレイルに見立てたレースとして夏場に組み、9月からは実業団駅伝にむけて仕上げていくというイメージです。そして、入社を決めてくれました。

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入社後知ったトレイルを目指す理由


まず、監督としてしっかり理解したかったことは『なぜ、トレイルを目指したいのか?』ということでした。そんなことから彼と話をしていくと、【山が得意=トレイル】という発想で、実際のトレイルがどんなものかを知らない状態でした。

私自身もトレイルについてはなんとなくのイメージしかありません。そこで、ネットで調べ、トレイルランナーが下りを駆け抜ける動画に私は『え、、、』と感じたのが正直な感想でした。それはまさに、大事故にいつ繋がってもおかしくない。チームで駅伝を目指す監督としては、駅伝前にこれを選手にさせる訳にはいかないと感じました。

そこで、五郎谷と話をし、動画を見させたところ、興味はあるものの、登りの能力を活かしたいということで一安心しました。同時に、彼の中のトレイルを目指す意味について、もしかして?と感じたことがあり、何度か話をし、わかったことがありました。

それは、世界で戦いたい!ということでした。その競技として、自分自身が得意な山登りを選んだということでした。

つまり、トレイルにこだわっていた訳ではなかったのです。(*今は、トレイルレースにも、スカイランニングにも興味を持っています。)

彼は全国高校駅伝1区でも29分39秒で走り、インターハイ5000でも決勝に残る力をもって、強豪 東洋大学に入りました。そこで、先輩にあたる設楽兄弟の走りを目の前にして『トラックでは勝てない』と痛いほど感じ、自分が日本代表として世界で戦えるのは、登りだ!と思い、それを生かした種目を走りたいというのが本音でした。その意味で、富士登山競走の山頂の部で優勝し、日本代表になることは最初の目標にはうってつけでした。

しかし、山頂の部で優勝するには、まずは五合目の部に出場し、山頂の部参加資格タイムをクリアしなければならないということを知り、第一目標を達成するのに入社から一年半かかりました。

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1年目の五合目出場にむけて


私自身、一般的な長距離種目の経験しかなく、練習で高尾山を走ったことがある程度。

しかし、選手が出場したいという以上、できる範囲で対策や情報を集め、チーム練習の合間をぬって、二回の試走にいきました。そこでシューズが大丈夫か、情報収集したペースで大丈夫かなどの確認をし、本番に挑みました。

80分は切れると試走で感じていましたが、まさかの34年ぶりの大会新記録で優勝しました。

それを期に、その一週間後の十和田八幡平全国駅伝の5区で強豪実業団選手をやぶり区間賞を獲得。8月末の火祭りロードレース(ハーフマラソン)では、川内優輝選手がもつ大会記録を更新して優勝しました。さらにそこで手にしたユナイテッドグアムマラソン(ハーフマラソン)でもコースレコード樹立して優勝と、気象条件、高低差のはげしいレースで着実に力をつけていきました。

 



2017世界陸上 男子マラソン 結果 と女子マラソンスタート

1 キルイ ケニア 2:08:27
2 トラ エチオピア 2:09:49
3 シンブ タンザニア 2:09:51
4 ホーキンズ イギリス 2:10:11
5 キプケテル ケニア 2:10:56
6 メウッチ イタリア 2:10:56
7 ゲブレゲルギシュ エリトリア2:12:07
8 ワンジル ケニア 2:12:16
9 川内 優輝 日本 2:12:19
10 中本 健太郎 日本 2:12:41

26  井上 大仁 日本 2:16:54

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川内選手の最後のスパート凄かった!

まさか8位のケニア ワンジル選手を3秒差まで追い詰めるとは思いませんでした。

8位入賞は出来ませんでしたが、良いレースを見せていただきました。

続いて10位でフィニッシュした中本選手も安定した走りでした。

失速した井上選手には26位でしたが、いろいろ経験を積めたと思います。

コースに関してはアップダウンもキツイけど、それ以上にカーブが多く、必然的にカーブ手前での減速と、カーブ後の加速を余儀なくされることから、厳しいコースだと思いました。
また各国ごとに設けられた給水地点の間隔も狭く、接触など選手はかなり気を使うレースだったと思います。

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ずっとテレビで見ていましたが、周回コースのせいなのか、トップ選手より日本人選手中心に映しているからなのか、視聴者としては川内選手の最後のスパート以外はかなり退屈なレースでした。

男子10000mのハラハラするような緊張感あるレースとはかなり違いました。

さて、これからスタートする女子マラソンには、安藤友香、清田真央、重友梨沙選手が出場しますが、安藤選手のタイムは日本歴代4位のタイムです。かなり期待できるレースだと思います。

1 2:19:12 野口みずき ベルリン 2005
2 2:19:41 渋井陽子 ベルリン 2004
3 2:19:46 高橋尚子 ベルリン 2001
4 2:21:36 安藤友香 名古屋ウィメンズ 2017
5 2:21:45 千葉真子 大阪国際女子 2003
6 2:21:51 坂本直子 大阪国際女子 2003
7 2:22:12 山口衛里 東京国際女子 1999
8 2:22:17 福士加代子 大阪国際女子 2016
9 2:22:46 土佐礼子 ロンドン 2002
10 2:22:48 前田彩里 名古屋ウィメンズ 2015
11 2:22:56 弘山晴美 大阪国際女子 2000
12 2:23:19 田中智美 名古屋ウィメンズ 2016
13 2:23:20 小原 怜 名古屋ウィメンズ 2016
14 2:23:23 重友梨佐 大阪国際女子 2012
15 2:23:26 大南博美 ベルリン 2004
16 2:23:30 小崎まり 大阪国際女子 2003
16 2:23:30 尾崎好美 東京国際女子 2008
18 2:23:34 木崎良子 名古屋ウィメンズ 2013
19 2:23:43 大南敬美 ロッテルダム 2002
20 2:23:47 清田真央 名古屋ウィメンズ 2017

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優勝争いは下記のケニア、エチオピア選手、そしてバーレーンのキルワ選手を軸に展開されるでしょう。日本選手の積極的なレースを期待しています。

  • 2:19:31 A・メルギワ エチオピア
  • 2:19:50 E・キプラガト ケニア
  • 2:19:52 M・ディババ エチオピア
  • 2:20:48 Y・キルワ バーレーン
  • 2:20:59 S・デミセ エチオピア
  • 2:21:19 B・ディババ エチオピア
  • 2:21:22 F・ダニエル ケニア
  • 2:21:27 F・キプロプ ケニア

24時間走の距離は選手の魂の一歩〜2017年IAU24時間走世界選手権の記録修正について〜

IAU24時間走世界選手権で石川佳彦選手が優勝 さらに男子団体金メダル獲得 〜世界一の意味〜

で紹介しましたが、今年の24時間走世界選手権で優勝した石川選手からレース翌日に、計測された周回数が自分の計測より少なく非常に悔しい。JUA(日本ウルトラランナーズ協会)経由、異議申し立てをする方向で動いていると連絡を受けていました。

img_2335.jpg

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そしてJUAの公式ページにもこのような投稿がされました。

抜粋すると

〜      なお、レース中に計測システムのトラブルがあり、具体的な記録については無視できない変更を生じる可能性があり、予断を許さない状況にあるが、日本男子の個人・団体のダブル優勝については記録修正の有無の影響を受けないものと推察される。      〜

全文はこちらをお読みください。

2017 IAU 24時間走世界選手権 報告および暫定結果

 

そして、石川選手の異議申し立ては受け入れられて記録は以下のように変わりました。

速報

(1.652km)×161周+1.594km

267.566km

最終result

(1.652km)×163周+1.594km

270.870km

2位と3位の順位変動もありました。

速報

1.石川佳彦 JPN 267.566km

2.JOHAN STEENE SWE 266.515km

3.SEBASTIAN BIALOBRZESKI POL 265.535km

4.高橋 伸幸 JPN 264.506km

最終result

1.石川佳彦 JPN 270.870km

2.SEBASTIAN BIALOBRZESKI POL 267.187km

3.JOHAN STEENE SWE 266.515km

4.高橋 伸幸 JPN 264.506km

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今回の件に対して石川選手はこのように語っています。

img_2337.jpg

『私の24時間走の捉え方として基本にあるのが、24時間で走り続けた距離を競う競技ではなく、24時間で走りたい距離を設定して、その距離を達成するために必要な周回数を重ねるというものです。何時間経過だとか、残り何時間というのは全く考えず、ひたすら安定したラップタイムで、ひたすら周回数を重ねるうちに24時間が終わっているというのが理想です。

自分にとって周回数と周回ごとのラップタイムというのは24時間走に挑むにあたっての生命線です。

今回の世界選手権でいえば1周1.652kmのヴィクトリアパークを160周するレースだとレース前からイメージして、その目標を達成するための練習、準備、対策を全てやってレースに挑みました。

レース中、160周は確実にクリアできると確信し、残り2時間は270km越えるために必要な163周をひたすら追い続けました。

この時点で2位でしたが、1位の背中を追うことより270kmの背中を追う気持ちが強かったかもしれません。

最終的に手元のラップで164周弱(フィニッシュラインの手前でストップ)でき、1周1.6kmある事を考えると270km越えは間違いないと思っていました。

最後の1周、端数の距離計測もきちんと行われているか、すぐに着替えたい、休みたい気持ちでしたが、最後までコース上に残って係員が端数の距離を記録するまで確認しました。(本来のルールでは止まった位置に大会側が用意した目印を置いておけば、その場を離れてOKというルール)。

24時間走って、最終周の端数の距離が計測されず270kmに届かないなんて絶対嫌ですし、何より運営側の正確さに疑問を抱いていたので、万全を期したつもりでした。

しかし、英語のアナウンスを聞いて愕然としました。

「267km」レース中、計測マットが反応しない事が2回あり、すぐに2周分(3.3km)が計測されていないのだろうと感じました。

せっかくの世界一でしたが、100%で喜べない自分がいました。

ただ、2010年以来の日本個人、団体優勝。みんなが喜んでいるのが嬉しくて、記録の事はあまり話題にしないようにしていました。

帰国してからJUAの方に周回数の抗議の話をいただき、1周8分~9分のラップを安定的に刻んでいるのに2周だけ16分で計測されている旨を伝え、正式にIAUに抗議していただきました。

1.6km16分は歩きのペース。もちろんレース中、一度も歩いていません。

そしてレースから約1か月が過ぎてからのIAUの最終結果発表で270.870kmに修正されたのですが、もし抗議していなければ270km越えはなかった話ですし、男子2位、3位に関しては順位が入れ替わっています。

女子の世界記録も変更されています。

こんなのでいいのか世界選手権というのが本音です。

世界中、様々な長距離レースがありますが同じ条件で勝負するというのは不可能に近いと思います。

距離、高低差、出場メンバー、ルールなど。

しかし、24時間走はその条件をできるだけ一定にし、競える競技だと思っています。

本当に長距離が強いのは誰かをシンプルに決められるという魅力があります。マイナー競技と言われますが世界選手権の舞台での熱気、盛り上がりは素晴らしいものでした。

自分が突き詰めてきた競技の最終到達点がこの舞台だと正直に思えました。

それが今回のような事態が起きると悲しい気持ちになります。

日本に帰ってきて、24時間走を知らなかった人達に知ってもらえつつあるという手応えを感じています。

世界選手権日本開催もできないものかと考えたりもしました。

長い距離を走る人達が変人呼ばわりされ、その長い距離を走る人達もよく分からない都市伝説のような事を平気で言う雰囲気がウルトラマラソン界にはあるように思います。

一番練習して、一番競技に対して真摯に向き合い、一番準備した選手が一番強い。

そして長い距離を走る事は素晴らしい事で応援するのが楽しい競技だと言われるウルトラマラソン界に変えていきたいです。

今が変わる時です。

今回の世界選手権世界一をきっかけに色々と良い影響を与えられる存在で在りたいと思っています。今回の記録変更に関して色々と働きかけをしていただいたJUAの方々には本当に感謝致します。』

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フルマラソンでも、100kmマラソンでも、トレイルレースでも、スタートしたらフィニッシュ地点を目指して頑張ります。例えば距離が短くても長くても、タイム計測にミスがあったとしても、勝負という観点では、先にフィニッシュしたランナーが勝ちます。

しかし、24時間走など時間走には、スタート地点はあっても、フィニッシュ地点はありません。タイムアップした場所がフィニッシュ地点です。また誰が先頭を走っているかも周回数により決まります。したがって時間走という競技は、正確な周回カウントが生命線になります。

今回は、その周回カウントをするシステムにエラーがあり計測ミスが発生したのです。

もちろん、異議申し立てが受け入れられたということは、録画などの記録で確認したのでしょう。

フィニッシュ地点があるレースであれば、フィニッシュ地点を目指して走るというモチベーションがありますが、時間走は周回数を重ね、距離を伸ばすこと、ライバルより1周でも多く走ることが大半のランナーのモチベーションになります。

24時間走の経験がない方にも理解しやすいような例えにすると、フルマラソンで3時間を切ろうと必死に走ってフィニッシュして2時間58分台だったのに、記録証を見たら3時間02分と明らかに違うタイムだった。みたいな感じです。どんな気持ちになるでしょう??

img_2330.jpg

優勝したからいいでしょ。ウルトラマラソンなんだから、もっと大雑把に考えようよ。と思う方もいるでしょうが、石川選手が必死で積み上げた一歩一歩なのですから1周どころか1mだって無駄にしたくないのは走ったランナーなら分かると思います。

海外レース経験豊富な方々が口を揃えて、『日本の運営ほどキッチリしてる大会はない。』と話しています。今まで日本で24時間走の世界選手権が開催されたことはありませんが、交通規制をして開催するロードレースと比べたら運営費もかなり少ないと言われてますから、ぜひ日本で開催するような流れになることを願っています。

以前に比べればウルトラマラソンがメディアに取り上げられる機会が増えてきましたから、夢物語ではないと思います。

世界最高峰の競技者が例えば神宮外苑に集まり、真剣勝負することを考えたらワクワクします。

(補足)

今回のレースは1周1652mの周回路で開催されましたが、1周ごとに計測マットを通過し、周回数をカウントしていき、24時間経過時点の周回数に、端数を計測して加算して最終結果になります。



派遣設定記録と参加標準記録について

ベースボール・マガジン社WEB  『潰滝が世界選手権参加標準突破!』という記事に、大迫選手が世界選手権10000m参加標準記録を逃したと掲載されていたので、Facebookページでシェアしたところ、短時間でリーチ数が伸びました。

bm

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今回さすがベースボール・マガジン社だと思ったのは、アクセスを増やそうと思ったら、タイトルは『潰滝が世界選手権参加標準突破!』ではなく『大迫 世界選手権日本代表逃す!!』だったと思います。

主要新聞社やTVニュースでは、陸上に限らず、知名度のある選手が負けた場合、優勝した選手や勝った選手について書かずに、負けた選手のことを主題にした記事を目にすることが多いです。

私自身勉強不足ですが、今回参加標準記録を2秒95上回る8分29秒05で走った潰滝大記(富士通)選手のことはほとんど知りませんでした。

種目別選考基準には、各種目とも派遣設定記録(SおよびA)と参加標準記録があります。派遣設定記録Sは世界ランク6位相当の記録でメダル獲得が期待できる記録水準です。男子100mの場合は9.89です。また派遣設定記録Aは世界ランク12位相当で8位入賞が期待できる記録水準です。

そして参加標準はIAAFが定めた参加標準記録でこれをクリアしないと原則世界選手権に参加することができません。

男子3000mSCの場合は以下の通りです。

派遣設定記録 8.17.46

参加標準記録 8.32.00

潰滝大記選手はこの参加標準記録を更新したのです。

そして、大迫選手が今回クリアできなかった10000mの派遣設定記録と参加標準記録は以下の通りです。

派遣設定記録 27.28.59

参加標準記録 27.45.00

3000SCと10000mの種目は違いますが、どちらも派遣設定記録は世界選手権で入賞が期待できる記録で、参加標準記録は出場資格を得るための記録です。

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第 16 回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン) トラック&フィールド種目 日本代表選手選考要項 には日本代表の選考方法や派遣設定記録などが掲載されているので一度読んでください。

各種目の派遣設定記録A(以下 派遣設定)と参加標準記録(以下 参加標準)を見ると種目間の世界との距離が見えてきます。

また( )内は現時点の突破者です。

男子100m

派遣設定 9.98 参加標準 10.12(6人突破)

→日本記録 10.00  を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子200m

派遣設定 20.12  参加標準 20.44(2人突破)

→日本記録 20秒03  を更新すれば派遣設定をクリアして入賞が狙えるレベル

男子400m

派遣設定 44.71  参加標準 45.50(1人突破)

→日本記録 44秒78  を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子800m

派遣設定 1.43.93 参加標準 1.45.90(なし)

→日本記録 1.45.75 を更新しても参加標準をギリギリクリアするレベル

男子1500m

派遣設定 設定なし 参加標準 3.36.00(なし)

→日本記録 3.37.42 を更新しても参加標準をクリアできない。

男子110mH

派遣設定 13.24 参加標準 49.35(3人突破)

→日本記録 13秒39  を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子400mH

派遣設定 48.70  参加標準 49.35(5人突破)

→日本記録 47秒89  を更新すれば派遣設定をクリアして入賞が狙えるレベル

男子3000mSC

派遣設定 8.17.46 参加標準 8.32.00(1人突破)

→日本記録 8.18.93 を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子5000m

派遣設定 13.05.95 参加標準 13.22.60(なし)

→日本記録 13.08.40 を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子10000m

派遣設定 27.28.59 参加標準 27.45.00(1人突破)

→日本記録 27.29.69 を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

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今回のレースは気温が高く厳しい条件の中開催されましたが、設楽 悠太、服部 勇馬、山本 浩之、市田 孝、鎧坂 哲哉、大石 港与、早川 翼、村山 謙太、上野 裕一郎、横手 健ら強豪選手が28分台、29分台に終わる中で、大迫選手は日本記録更新および派遣設定記録クリアを視野に入れたであろう5000mを13分45秒で通過する積極的なレース展開をするも後半失速し、27分46秒46でフィニッシュしまし、参加標準記録に1秒46届きませんでした。

ただ日本選手権で優勝しても世界選手権を走れないのは少し寂しい。大迫選手が世界の強豪に一歩も引かずにチャレンジする走りをみたかったです。

日本一になったのになぜ日本代表に選出されないか?と疑問を持っている方もいると思うので簡単に触れます。

大迫選手の場合は日本選手権で優勝しているが、上で書いた参加標準記録に届いていなかったため、第 16 回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン) トラック&フィールド種目 日本代表選手選考要項 【9.選考方法ー(3)第 2 次代表選手発表時の追加】に掲載されている

日本選手権終了時点で、選考基準の優先順位上位の項で 3 名を満たさなかった場合、追加条件を満たす 競技者を、編成方針及び選考基準に則り、代表選手として追加することができる。 ただし、2017 年 6 月 26 日以降の参加標準記録の突破は、指定競技会のみを対象とする。指定競技会は、 強化委員会が別途定める。

この指定競技会が今回の大会です。

そこで参加標準記録を出せば、『日本選手権3位以内+参加標準記録突破』となり選考されますが、1秒46足りなかったのです。

しかし、第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)カテゴリー・種目別選考基準に記載の第2次代表選手発表を見ると、10000mは、『①日本選手権3位以内+参加標準記録突破』とともに、②強化委員会推薦競技者と言う記載もあります。①は分かりやすいのですが、②に関しても参加標準記録突破は前提だと思います。

また今回は男子トラックのみ掲載しましたが、女子トラックや、フィールド種目でも参加標準記録突破者はたくさんいます。特に女子長距離の層の厚さには驚きです。

なんと男子は0の5000mの突破者が5人、男子が1人の10000mの突破者が16人もいるのです。