宮原徹選手の富士登山競走大会記録の凄さ

宮原選手

(スカイランニングシリーズで優勝した際に女子優勝の吉住選手と撮影 今回作成の記事で使用している画像は宮原選手よりお借りしました。)

今年の富士登山競走五合目において男子は五郎谷俊選手(コモディイイダ)が大会記録、そして女子は大会記録には及ばなかったが素晴らしいタイムで吉住友里選手が優勝しました。

そのタイムを分析する中で、改めて2011年の山頂の部で宮原徹選手が出した大会記録の凄さに気付いたので、今回紹介いたします。

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富士登山競走5合目コース男子の結果

富士登山競走

今回のレースについて上記記事を作成しましたが、記事作成後にさらに進めて結果を分析してみました。

2016年結果

1位 1:17:05 五郎谷 俊(スタート〜馬返し 42分56秒 馬返し〜五合目 34分09秒)

2位 1:23:49 齋藤 拓也(スタート〜馬返し 46分52秒 馬返し〜五合目 36分57秒)

3位 1:25:08 土井 洋志(スタート〜馬返し 46分54秒 馬返し〜五合目 38分14秒)

4位 1:25:48 村田 稔明(スタート〜馬返し 47分23秒 馬返し〜五合目 38分25秒)

5位 1:26:11 和田 優一(スタート〜馬返し 47分37秒 馬返し〜五合目 38分34秒)

6位 1:26:25 飯塚 淳司(スタート〜馬返し 47分07秒 馬返し〜五合目 39分18秒)

7位 1:27:08 生田 直人(スタート〜馬返し 47分25秒 馬返し〜五合目 39分43秒)

8位 1:27:10 佐藤 傑 (スタート〜馬返し 47分45秒 馬返し〜五合目 39分25秒)


富士登山競走

優勝した五郎谷選手は、馬返しまでのロード区間で後続に4分差をつけ、馬返しからのトレイル区間でも差を広げてゴールしたのが分かります。

2位の齋藤拓也選手(アスリチューンサポートランナー)はフルマラソンを2時間17分18秒で走る市民トップランナーですが、登りでの五郎谷選手の強さが際立ちました。


過去5年間の優勝タイムとの比較

また、過去5年間の優勝タイムとも比較してみました。

2016年 1:17:05 五郎谷 俊 (スタート〜馬返し 42分56秒 馬返し〜五合目 34分09秒)

2015年 1:24:27 加藤 聡 (スタート〜馬返し 45分45秒 馬返し〜五合目 38分42秒)

2014年 1:19:38 松本 翔 (スタート〜馬返し 43分48秒 馬返し〜五合目 35分50秒)

2013年 1:23:29 生田 直人(スタート〜馬返し 46分17秒 馬返し〜五合目 37分12秒)

2012年 1:25:42 小出 徹 (スタート〜馬返し 46分37秒 馬返し〜五合目 39分05秒)

2011年 1:22:00 菊嶋 啓 (スタート〜馬返し 46分02秒 馬返し〜五合目 35分58秒)


過去5年の優勝タイムと比較すると、近年では突出していた2014年の松本翔選手(2015年、2016年山頂コース優勝)のタイムをロード区間およびトレイル区間で上回っているのが分かります。

また今年を含めて五合目コースは40回開催されていますが、1時間20分を切って優勝したのは五郎谷選手を含めて4人しかいないのです。2014年の松本翔選手のタイムは歴代2位で当時の大会記録まで19秒というタイムでした。

その点からも、五郎谷選手の1時間18分台を飛ばして、1時間17分台というタイムは驚愕のタイムです。さすがに箱根駅伝5区で3位に入る選手の登りの強さは圧倒的です。

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宮原徹選手の驚愕のタイム

宮原選手

ふと、2011年に山頂コースで2時間27分41秒という驚愕のタイムを出した、宮原徹選手の五合目通過タイムはどのくらいだったのだろうと調べたところ驚きのタイムだったことを知りました。

山頂の部の五合目は五合目コースのゴールとは多少異なりますので参考程度に読んで欲しいのですが、その時の五合目(佐藤小屋)通過タイムは1時間16分33秒です。

なんと、今回の五郎谷選手より速いタイムで五合目を通過しているのです。そこから山頂にアタックするわけですから一定の余力を残しての通過でしょう。ちなみに五合目から山頂までを1時間11分08秒で登りきったのです。

一般登山の場合は五合目から山頂まで5時間ほどかけて登る。多くの方は一泊二日で登ります。そのコースを0合目の遥か手前である、富士吉田市役所から五合目まで走り疲労が蓄積した中で1時間11分で走りきってしまったのです。

どのようなコースを走るかは、富士登山競走大会ホームページ掲載の富士登山競走コース概要、各地点の案内、注意事項等をご参照ください。


また、今回同様五合目打ち切りとなった2009年大会で宮原徹選手は1時間15分15秒で優勝しました。

その2大会のタイムを今年の五郎谷選手のタイムと比較してみます。

 

2016年 1:17:05 五郎谷 俊 (スタート〜馬返し 42分56秒 馬返し〜五合目 34分09秒)

2011年 1:16:33 宮原 徹 (スタート〜馬返し 43分10秒 馬返し〜五合目 33分23秒)

2009年 1:15:15 宮原 徹 (スタート〜馬返し 42分50秒 馬返し〜五合目 32分25秒)


タイムを比較すると馬返しまでは、ほぼ同じタイムで通過していますが、トレイル区間での宮原選手の強さは驚異的です。2011年においては山頂まで走るわけですから余力を残して5合目に到達しているわけですが、それでも馬返し〜五合目のトレイル区間を33分台で走っているのです。

しかし、五郎谷選手はトレイルの練習はしていない中で34分09秒で走ったわけです。今まで強いトレイルランナーが五合目を走っていますが、馬返しから五合目まで34分そこそこで走ったランナーはおそらく宮原徹選手だけでしょう。


参考までに初めて富士登山競走を走った時と、大会記録樹立時の宮原選手のタイムを掲載します。

2011年 2:27:41(スタート〜五合目 1:16:33 五合目〜山頂 1:11:08)

2006年 2:32:40(スタート〜五合目 1:18:40 五合目〜山頂 1:14:00)

宮原徹選手にインタビュー

宮原徹選手の2011年の大会記録を破る選手は当分現れないのではないかというくらい、2時間27分41秒は途轍もないタイムです。しかし宮原選手に聞いたところ、このように答えてくれました。


「今年、山頂コースが通常通り行われていれば僕の記録は抜かれると思っていました。参加予定だったレミ ボネ選手(スカイランナー世界シリーズ年間チャンピオン)は昨年のレースでは圧倒的な強さでした。誰が見てもスカイランニングでは世界ナンバーワンの実力の持ち主でした。今年は春先の故障を引きずっていて、今回はDNSとなってしまいましたが・・・。僕の記録を抜けるランナーは海外はもちろん、国内にもいると思いますよ。登りの強い実業団のトップランナーであれば5合目以降の試走を行えば難しい記録でもないと思います。今回五合目で大会記録を出した、五郎谷選手の5合目以降の適性は未知数ですが、適性があれば現時点で2時間35分は切れる力はあると思います。」


「自分自身当面は、富士登山競走に出場する事はできせんが、自分の記録を目標としている人がいるのは嬉しい限りです。」