チャレンジ富士五湖100キロペース設定について

ウルトラプロジェクト

本日、"【第5回ウルトラセミナー】〜サロマ湖ウルトラ対策+富士五湖直前対策〜を開催し、本日は"チャレンジ富士五湖直前セミナー 〜絶対に完走したい方集まれ〜を開催します。

チャレンジ富士五湖を走られる方に向けて、セミナー用に作成した資料のうち、チャレンジ富士五湖を走る上でお役に立てるであろうページを一部ご紹介し、少し解説させていただきます。

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ペース配分

100キロを走るペースが全く分からないと、ペースについての質問は多いです。セミナーではこのペース設定の前段で目標タイム設定を行うのですが、今回はペース配分について紹介します。

当然ながら、ランナーによって序盤速めに走った方が結果に繋がる方もいれば、中盤以降頑張れる方もいます。タイプは様々ですから、私が自分の経験だけでお話をしても必ずしも納得感のいく説明にはならないと思います。また、チャレンジ富士五湖にしても、昨年の私は8時間54分と制限時間の5時間前以上にゴールしているのだから、完走ギリギリでゴールしている人のペースなんか分かりっこないと感じている方も多いでしょう。


そこで、私のセミナーでは、過去の経験はもちろんお話ししますが、資料など話の基軸になる部分は、極力事実に基づいたデータを分析することで作っています。

ゴールタイム別 平均通過タイム

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例えば、この画像は、昨年100キロをスタートした1902人の記録をベースに作った表です。

10キロごとの通過タイムを加重平均することで、ゴールタイム別に、どのようなペースで走っているのかを理解できますし、リタイアした方々はどのようなペースで走っていたかも分かります。

この表を少し加工したのがこちらの画像です。

ゴールタイム別 10キロラップ

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例えば、サブ10したランナーだけでも125人いますが、そのランナーの平均タイムの推移を見るだけで、コースのアップダウンなども見えてきます。コースによっては、高低図に現れないアップダウンがあるのかと気付くこともあろうかと思います。

ゴールタイム別 10キロごと比率

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上記表を、ゴールタイムに占める比率で表したのがこちらの表です。

自分が狙っている目標タイムに、この10キロごとの比率を乗じていくと、10キロごとの推奨タイムが算出できます。

この段階でも参加者データをベースに作っているわけですから間違った数値ではありません。

しかし、13-14時間にゴールした439人の中には、序盤サブ10を狙って速めに入ったが、後半潰れて制限時間ギリギリになってしまったランナーも含まれています。

参加者のフルマラソンのタイムが分かれば、それらの数値を合わせて分析すればより良い資料ができますが、今回はそれがないので出来ることを行いました。

推奨 目標タイム別 区間タイム比率

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上記の10キロごと比率の数値は1902人のデータをゴールタイム別に加重平均しましたが、その母数から、途中で潰れた区間のあるランナーを除外して再計算しました。

これらのランナーは上手に走ってゴールしたランナーたちの加重平均値です。

具体的に計算してみてください

目標タイムに、上記比率を乗じて10キロごとのタイムを算出してみてください。それで完成でももちろん良いと思いますが、この比率は上手に走った多くのランナーの平均値です。自分は平均値よりスピード型で後半頑張れないと自覚していれば、序盤のペースを少し速く修正してください。逆に平均値よりペースを維持するのが得意と思えば、序盤は少しペースを落としても良いでしょう。

大事なことは、算出した10キロごとタイムを見て、特に40-50キロまで無理なく走れるペースかどうかです。

このペースでは無理があると感じたら、その目標タイムで走るのは難しいと思います。その場合は目標タイムを落として再計算してみてください。そして中盤まで余裕を持っていけるタイムになったらそのペースで走りましょう。

設定では中盤以降徐々にペースダウンしていきますが、そこから頑張れるならペースダウンしないで当初の目標タイムを狙って頑張っても良いのです。


ペース設定などしても、そのペースで走れっこないという方もいますが、長いレースになればなるほど、目安になるペースがないとグダグダのレースになってしまいます。

今回、掲示し少し解説を加えさせていただいたのはセミナーのほんの一部ですが、セミナー全般に渡って、根拠に基づいて説明をさせていたくようにしています。

下記、2ページは前回少し紹介した記事ですが、そのまま掲示しますので合わせてお読みください。


来週以降、野辺山ウルトラマラソン、サロマ湖ウルトラマラソン、奥武蔵ウルトラマラソンなど、今後続くレースについての攻略法セミナーだけではなく、初めてのコースを走る場合にどのようなシュミレーションをしていけば良いかを学んでもらう基礎講座など、随時開催していきますので、ご興味のある方はご参加ください。

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スタート10キロは大事 〜ゆっくり入りすぎると完走は厳しい〜

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ウルトラマラソンはゆっくり走ったら良いと言われていますが、ゆっくり入りすぎたら完走が厳しくなってきます。

序盤からキロ7分くらいで入ろうと考えている方は多いと思いますが、この表を見てどう感じますか?

この表は、2015年のチャレンジ富士五湖100キロを出走した1902人の10キロごとの区間タイムを分析して作ったデータです。

10キロ通過タイムが、完走率にどれだけ影響するかを分析しました。

例えばキロ7分で走ると、10キロ通過は70分です。エイド休憩やスタートロスを考えると、70分で10キロを通過した方が走っているときのペースはキロ6分半くらいかもしれません。

ですが、70分以上かかって、10キロ通過したランナーは348人いますが、ゴールできたのは108人だけです。なんと完走率3割です。

65分以上かけて10キロ通過したランナーは972人で、完走したのは483人。完走率は5割です。

逆に1時間以内に通過したランナーは521人で、467人完走しています。なんと完走率9割です。

もちろん、1時間以内で走れば9割が完走できると書いてあったからと、そもそもキロ6分を余裕持って走れない方が無理して、キロ6分切って走ったら、10%のDNFに入ってしまいますのでご注意ください。

ここでお伝えしたいのは、例えばフルマラソンを3時間30分で走る方であれば、その時のレースペースはキロ5分です。その方であればキロ6分は楽に走れるペースです。おそらくキロ6'30で走っても疲労感は変わらないと思いますが、この方が6'30ペースで入るのは好ましくないということです。

無理なペースで走るのではなく、楽に走れるペースより遅いペースで入る必要がないということです。

実際にどのくらいのペースで序盤だけではなく、終盤まで走ったら良いかは、走力によっても変わってきますので、それをセミナーでみなさんに計算していただきました。

『こんなペースで入っても良いのですか?』と話す方に、そのペースは楽ですか?と聞くと『楽なペースです。』と答えました。それよりキロ30秒遅いのとどちらが楽ですか?と聞いたら、『どちらでも多分変わらない』と答えました。

そういうことです。

逆に遅すぎるペースは、無理にペースを落とすケースもあります。そうなるとフォームが崩れることもありますし、良いことはありません。

仮に、この方が60キロでキツくなったとしても、その方が序盤に6'00で走っていても、6'30で走っていてもその距離でキツくなるのは変わらないと思います。

でも、違うことはあります。1キロ30秒速ければ、60キロ到着タイムは30分速いのです。その時の疲労感が変わらないならどちらが速くゴールできるでしょう?

関門ギリギリの方なら、30分の違いは大きいと思います。

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関門時間に要注意

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サブ10やサブ11を考えている方は、関門時間はチェックしていないと思いますし、気にする必要もないと思います。

しかし、フルマラソンのタイムが4時間を超えている方は関門が気になると思います。

100キロには6箇所の関門があり、制限時間は14時間です。

ちなみに100キロをイーブンペースで走って14時間でゴールするには、キロ 8'24ペースです。

しかし、このペースで走ったら最初の関門も通過できないことは皆さんご理解していると思います。

なぜなら最初の関門は19.2kmでスタートから2時間30分後に関門閉鎖になりますので、7'48ペースで走る必要があります。

多少のスタートロスと、エイドでの休憩、トイレ休憩を含めてもキロ7で走れば通過できると思いますが、この関門をギリギリ通過した方の多くは38.7km地点の関門に捕まっています。

理由は、第1関門をギリギリで通過すると、第2関門までの19.5kmを2時間15分で走らねばなりません。これは6'55ペースです。しかもキツイ登り坂があります。

2015年大会で266人の方が、38.7キロの関門でレースを終えています。

266人は1902人の14%です。なんと7人の1人の方がレースの1/3を過ぎたところでレースが終わってしまったのです。

完走できなかった方から、序盤の関門が厳しかったという声を聞きましたが、私は違うと思います。

なぜなら、スタートから38.7km地点までを平均7'21ペースで走れば通過できたのです。

このペースはフルマラソン5時間10分のペースです。この関門に捕まった266人の方の中には、フルマラソン5時間以上かかる方がどれほどいたのかは分かりませんが。推測ですが非常に少ないと思います。

では、なぜ関門に捕まったかというと、関門時間をよく調べていなかったからでしょう。第1関門を通過するペースで走れば、その後の関門も通過できると思った方は少なからずいたと思います

参加者の方の感想など

ウルトラマラソンはメンタル8割と思っていたが考え方が変わった。

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『今迄に100kmレースを4回走っていますが、ウルトラはメンタルが8割だと思っていましたし、「最後まで歩かずに走ること」を目標に走っていましたが、このセミナーを受けて考え方が変わりました。実は1年半程前から右膝を故障し、前回のサロマと今年1月の宮古島は、膝の痛みとの闘いでした。サロマまでには完治させて、是非とも自己ベストを更新したいと思います。』

最後まで歩かずにゴールする。を目的にしている方は結構います。もちろん価値観は様々ですが、私の価値観は1歩も歩かずにゴールを目指すより、歩いた方が速くゴールできるなら戦略的に歩きます。

実際、昨年の野辺山ウルトラマラソンでは、スタート直後の林道区間を結構歩いています。たくさんのランナーに抜かれましたが、おそらくほとんどのランナーが『10キロくらいから歩くなんて根性ないね』と思ったでしょう。ですが、私を抜いたランナーのほとんどを抜いてゴールできたと思います。タイムは予定どおりサブ10でした。

なぜ歩いかといえば、速くゴールするために歩いたのです。もちろん、走り続けた方が速くゴールできるなら歩きません。

一歩も歩かずにゴールを目指す方が、仮に歩いてしまうと敗北感に苛まれ完走は難しくなると思いますし、ゴールしても嬉しくないかもしれません。逆にこの登り坂は歩いてもスピードは変わらないし、ガシガシ歩くことでフォームも戻るかもしれない、少し休めるかもしれないと考えて歩けば、気持ちはポジティブになります。

ウルトラマラソンに限りませんがネガティブ感情になると、負の連鎖の陥ります。そうならないための歩き方をセミナーで提案しています。

関連しますが、一歩も歩きたくない方は、おそらくエイドでの休憩時間が長いと思います。私はエイド休憩を短く、仮に固形物を食べる場合でも口に入れたら、エイドを後にして歩きながら咀嚼してから走り始めます。仮に2分間歩いたとしても200mくらい進みます。エイドは複数箇所ありますから大きな差になります。エイドの過ごし方に関してもお話ししました。

ペースが落ちて当然という話で安心した。

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とかく根性論や精神論で片付けられがちなウルトラマラソン対策において、緻密なデータ読込からの客観的な分析は、新鮮で目からウロコでした。

何よりも、ペースが落ちて当然という話で安心しました(笑)が、その落ち込みを最低限に抑えるためのヒントがたくさん詰まった有意義な時間でした。安心して練習に取り組めそうです。ありがとうございます。

また、なかなか合うジェルに巡り合えず、現在はひたすら◯◯の一本槍の状態ですが、今日頂いたアスリチューンが合えば良いなと本気で願っています。

タイムの作り方とか非常に参考になりました。

エイド滞在時間が長すぎたことに気づいた。

とても参考になるお話が多く、今年のサロマは気持ちよくゴールまでたどり着けそうなイメージを描けました。エイドの滞在時間や、水分の取りすぎなんて、気にした事もありませんでしたが、仰る通りですね。今まではダラダラとジョギングしていましたが、メリハリをつけてトレーニングに取り組んでみます!

ウルトラマラソンの大事なポイントがかなり分かった。

速すぎても遅すぎてもダメということが分かった。

自分はサブ10狙いでしたが、気持ちはサブ9狙い位の速すぎても遅すぎてもダメだということも分かりました。もし、新澤さんがゴールして30分以内でゴールさせてできた時は是非とも握手させて下さい。今後も宜しくお願いします。

フルマラソン以上は初めてなので、最後まで諦めず完走目指します。

毎回のことながら資料の緻密さに敬服致します。今回富士五湖は71kですが、目標としているサブ10にデーターを照らし合わせて走ってみようと思います。ありがとうございます。レースではフルマラソン以上は初めてなので、最後まで諦めず完走目指して、えちごくびき野に繋げたいと思います。

ペース設定が非常に参考になった。

昨日はどうもありがとうございました!ペースは一番関心のあったところでしたので、非常に参考になりました。