さいたま国際マラソンで改善をして欲しいこと

昨日開催した第2回さいたま国際マラソンは、第1回大会より大幅に参加定員を増やし、また8キロの部が新設されるなど大会規模を拡大し開催されましたが、大きな事故もなく無事終了したと大会ホームページに掲載されておりました。

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(画像は、さいたま国際マラソン公式ページの画面をキャプチャーしました。詳細はリンク先のページをご参照ください。)

正確な参加者数は掴んでおりませんが、フルマラソンは日本代表チャレンジャーの部を除き、昨年の定員5,000人が、今年は16,000人と3.2倍になり、さらに新設された8kmの部定員が1,000人であるので、日本代表チャレンジャーの部を除いた一般の部参加者数は5,000人から17,000人に拡大されました。(1.5kmなど前日開催は除く)

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都内近郊開催であり、たくさんの応援が集まり、参加したランナーは結果はともかく、一様に走って良かったと口にしていましたが、何点か気になるコメントをFacebookで見かけましたので、さらに良い大会になってほしいという観点から掲載させていただきます。

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1点目は多くの参加者が話していましたが、参加者拡大に対してトイレの数が絶対的に不足したようです。1時間待ってようやく入れたが整列終了寸前だったという方や、しばらく並んだが間に合わないので諦めてスタートラインに並んだ方など、非常に多かったようです。

私が参加した前年はトイレ数に不足は感じませんでしたが、同じ時間にスタートするランナーが3.4倍になったのですから設置が間に合わなかったのでしょう。17,000人程度の大会は全国各地で多数開催されており、どれだけのトイレを準備すれば、参加者がストレスを感じずに運営できるかは、運営者は把握しているはずですし、把握するべきだと思います。その点が不十分だったのかもしれません。

2点目は、着替えや荷物預けを行う、アリーナ内の案内が十分でなく、会場内で迷う選手が続出し、入場ゲート締切時間に間に合わない選手もいたようです。特にチャレンジャーは、一般の部より30分スタートが早いので苦労した選手が多く、アップどころの話ではなかったようです。

チャレンジャーBの部で参加した私の友人のコメントです。

『チャレンジャーBは着替えも荷物預けも一般の部と同じです。もちろん、トイレも。 女性は3階で着替えをとのことでしたが、どこの階段から3階へ行けるのか案内がなくグルグル回りました。荷物預けの案内も少なく探すために歩き回りました。誘導ボランティアに聞こうとしても誘導ボランティアが見つからず、荷物預けができたのはゲート閉鎖時間(8:45)の10分前だったので焦りました。

開場時間はスタートが30分遅い一般の部と同じ7時40分でしたが、ゲート閉鎖まで1時間あれば余裕があると思っていたのですが、迷子の時間があり、トイレ渋滞もあり、私は迷っている小走り時間がアップでした。 ちなみにゲート閉鎖時間8:45を過ぎた友人は 「時間を過ぎたので通せません」と言われたそうです。 最終的には上の方を呼んで、「お願いします!通してください!」と言ったところ、ゼッケンナンバーを控えられた上で通してもらったようです。そんなこともあり、 スタート前から心身ともに疲れました。』

 

また、今回日本代表チャレンジャーの部をAとBに分けたことによる混乱もあったようです。

『ゴール後の給水ですが、ドリンク受け渡しの手前で「チャレンジャーの方はこちらです」 と案内され、喉が乾いているのにドリンクをもらえず、アリーナ出口のインフォメーションセンターで 「何故、チャレンジャーBだけ飲み物が貰えないのでしょうか?」 と聞いたら「え・・・配っているはずですが…」 と言われ、その後ドリンクエリアに通してもらいようやくドリンクをもらうことができました。

おそらく、案内ボランティアは「ゴール後はチャレンジャーはこっちへ誘導」 とだけ伝えられていたのだと思います。またチャレンジャーAだけが控え室が与えられていることを把握していなかったのだと思います。

スタート前からスタート後までこんな調子でした。こうなるのであれば、チャレンジャーABなど分けないで控え室におさまる人数のタイム設定した方が混乱なくて良いと思います。』

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最後は、大事故に発展したかもしれない事例であり、来年は改善を望む内容です。

今年の2月に、東京マラソンスタート直後に転倒事故発生〜準エリートのあり方について〜という記事を書きましたが、多少内容は違いますが、原理原則に乗っ取らないために重大事故発生のリスクを増大した事例です。

それは、今年新設された、さいたま国際マラソン8kmの部のありようです。

今回新設された8kmの部は大会ページには、ファンラン部門のページに掲載されていますが、高校生、39歳以下、40歳代、50歳代、60歳以上の男女各1位から3位までを表彰される競技方式としています。

私自身、さいたま国際マラソンに8kmの部が新設されたことを知った時は、つくばマラソンなどの調整ランにちょうど良いかもと考えました。そのように考えてエントリーしたランナーは少なからずいると思います。また高校生で参加するランナーは相当スピードを出して走るでしょう。

今回、友人のFacebookに、さいたま国際マラソン8kmの部 31分57秒のワーストタイムで2位入賞しました。と投稿がありました。
5000mを15分台で走る友人ですから2位にはなんら驚きませんが、平均ほぼキロ4のタイムに驚いたのです。彼にしたらジョグのスピードですからファンランに徹したのかと思いきや、こんな事情があったのです。

大会ページに8kmは、フルマラソンと同時スタートと記載がありますが、8kmのブロックはなんとEブロックだったのです。

以下、友人から教えていただいた状況です。

さいたま国際マラソンには8kmの部があります。
表彰があり、順位を競わせる構図になっていました。
僕はさいたま国際マラソン8kmの部「入賞」を目標に参加しました。他にも同じような選手が数多くいたと思われます。

しかし、スタートはフルマラソンと同時でEブロック扱いでした。
Eブロックはフルマラソン5時間台を目標とするランナーのブロックであり、5時間台のランナーは1km7分のペースが目安です。
一方8kmの部の先頭集団は1km3分そこそこで走ります。
少し考えれば、1km7分で走るフルマラソンの部ランナーに、1km3分で走る8kmの部ランナーが押し寄せる事は容易に想像できます。

2日前の受付時とスタート前に大会役員に「危ないです」とランナーの安全確保のために相談・申入れをしましたが、全く受け入れられることはありませんでした。

スタート後は案の定、背中を押されたり、押された自分が前の人を押してしまったりと将棋倒しになりそうな散々な状況でした。何人かの友人が今年の東京マラソンのスタートで転倒に巻き込まれましたが同じような状況だったのでしょう。

その中でも道の端を走りながら、「8kmの部です、すみませんがコースを開けて下さい」と叫びながら走らざるを得ない状況でした。お互い気持ちいいものではありません。また捻挫の危険があっても縁石の上を走るような場面も多くありました。

さいたま国際マラソンという代表を選ぶ大会である以上、エリートランナーのための大会であってほしいという気持ちは尊重しますが、とはいえランナーへの安全面の配慮は必要だと感じます。

ファンランの部で楽しく走ってくださいというのなら話はわかりますが、前述の通り8kmの部は表彰があります。
狭くてもいいからスタートは前にしたり、8km用のレーンを確保する、スタート時間を変える等、いくらでも工夫はできたはずです。
荷物預けや整列の時間を考慮するとウォーミングアップの時間も確保できず、ランナーの立場にたっていないと感じたことは多々あります。

マラソンで地域を盛り上げる事は素晴らしいと思います。さいたま国際マラソンがより良い大会になってほしいので、次回への改善点としてあえて素直な気持ちを述べさせていただきました。

ちなみに彼のスタートロス4分50秒で、1km毎に3’50 3’40 3’20..と順調にビルドアップしてゴールしたようです。

彼自身、道路脇を声を上げながら走るのは嫌だったと思います。前を走るフルマラソンのランナーにしても、なぜ自分達が道を開ける必要があるのだ。と不快感を感じたことだと思います。ランナー同士がそんなイライラを感じるような状況を作り出したこと自体も問題です。

日本陸連は2014年12月に「公認競技会規定」にこのようなことが記載されています。

*公認競技会における取り扱いについて

一部抜粋すると以下のように書かれています。

○ 公認の道路競走競技会における取り扱い

・ 主催者は、エントリーの際に競技者の登録の有無を確認する。

・ 省略・・・

・ スタートの並び順は、登録者と未登録者を分けて整列させる必要はなく、安全な競技運営の観点から登録者、未登録者に関わらず参加者の持ちタイム順に並べることが望ましい。したがって、 登録者と未登録者の参加資格(制限タイム)を別のものに設定することは望ましくない。

望ましいですからルールではありませんが、日本陸連も安全な競技運営のためにはタイム順整列が望ましいとしているのです。

今回は、フルマラソンと8kmという別種目が同時スタートですが、安全面に対する考え方は変わるものではありません。

マラソン大会で重大事故が起こりやすい場所はスタートです。速いペースのランナーから遅いペースのランナーの順番で整列すればスタートもスムーズですし、ランナーのストレスも小さくなります。そして接触・衝突・転倒事故のリスクを極小化することができるのです。

その点、8kmの部のランナーを一律Eブロックにした主催者の判断は安全上の原理原則から外れていると言わざるをいません。

前のランナーを押したり、無理に抜いたりしないで、マナー良く気持ち良く走りましょうと言うのであれば、8kmの部は表彰を作ってはいけないと思います。

今回、コメントをいただいた友人は陸上競技に精通し、真面目に練習し、また楽しんでいる市民ランナーです。彼は自分が黙ってしまったら来年以降も同じようなことが発生し、重大事故が起こることを危惧しFacebookに投稿したのです。

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参加ランナーがどのように走るのかを予測し、事故のリスクを極小化しようと考えれば今回のようなことはおきません。次回以降の改善を期待します。



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