世界で一番速く走れるランナーを決める場が、オリンピックや世界陸上の100m走であることに異議を唱える人はいないと思います。では一番長い距離を走れるランナーはどうやって決めるのか?これには前提条件を決めねば答えは出せません。例えば1時間に一番距離を走る選手はハーフマラソンで速いランナーでしょうし、2時間で一番距離を走るランナーならマラソンの選手です。現在のマラソン上位選手は2時間で軽く40kmを走ります。
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では1日ならどうか?
ほとんどの人間の生活リズムを作る単位は1日だと思います。起きて仕事をして寝る。その間に食事をしたり娯楽をしたりします。大人でも子どもでも男性でも女性でも1日の時間は平等です。
1日=24時間走り続ける競技なんて聞いたことがない。
と言う方が世間では大半だと思います。タレントがチャリティーの為に一生懸命走ったり、歩いたりする番組がありますが、この距離は概ね100kmくらいです。これだって実際やってみれば分かると思いますが大変な距離です。長時間動き続けるのは様々な意味で大変です。
この24時間で一番長い距離を走れる日本人ランナーを決める大会は神宮外苑24時間チャレンジです。
その大会について昨年参加した上位有望選手への質問などまとめた記事はこちらです。
優勝したのは男子が石川佳彦選手(2016年世界ランキング1位)の263.127 km で、女子が青谷瑞紀選手の230.609 kmでした。こちらは世界ランキング8位です。
そしてこの大会の男女上位4人が24時間走世界選手権の日本代表として今現在イギリス・北アイルランドの首府のベルファスト(Belfast)で開催されているIAU24時間世界選手権を走っています。
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途中経過について、随時Facebookページにて更新しますが、24時間走については当ウエブサイトをお読みいただいている方の大半はご理解していると思いますが、世界記録やアジア記録など知っている方は少ないでしょう。また、24時間走公式記録にロードとトラックがそれぞれあることもほとんど知られていません。
トラックとはまさしく300mや400mの陸上トラックです。
まず記録について掲載します。
【世界最高記録】
ロード 290.221km イアニス・クーロス(Yiannis Kouros)1998年
トラック 303.306km イアニス・クーロス(Yiannis Kouros)1997年
ロード、トラックとも伝説のウルトラランナー イアニス・クーロス選手が驚きの記録で走っています。
24時間で300キロを超えると言うことは、平均して100kmを8時間以内で3回続けて走ると言うことです。100kmマラソンを走ったことがある方ならお分かりでしょうが、7時間台でゴールすればかなり上位に入れます。もちろん24時間走はフラットな場所で開催されます。
【アジア最高記録】
ロード 井上真悟 273.708km
トラック 原良和 285.366km
アジア最高記録はロード、トラックとも日本人選手が最高記録を出しています。また原選手の285.366kmはイアニス・クーロス選手に続く歴代2位の好記録なのです。
今回のIAU24時間世界選手権(通称 Belfast24)はロードレースのため290.221kmを超えれば世界新記録となります。また273.708kmを越えればアジア新記録となります。
また、24時間走の最年少世界タイトル獲得記録は井上真悟選手が世界選手権で記録した29歳ですが、いま28歳の石川選手が優勝すればその記録も更新します。
よく、ウルトラマラソンは若いうちは成功しないと言われていますが、サロマ湖100kmで世界記録に45秒と迫る6時間14分18秒で2連覇した板垣選手をはじめ20代の選手が続々とウルトラマラソンで結果を出しています。つまり「ウルトラは30代後半でなければ成功しない」と従来言われていた定説は、また新たに覆るということになります。
今回の世界選手権についても、主要新聞やテレビでは報道されていません。先週の板垣選手の好記録に対しても同様です。詳しい理由は分かりませんが、現在の日本ではオリンピック種目でない陸上種目の結果は報道もされません。
ただ、マスコミ報道はされなくても、オリンピックに出られなくれも『自分は世界一になりたい』と願う若いランナーが続々とウルトラマラソンに参入して来ていますし、また今後もその傾向は続くと思います。
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話を戻してBelfast24の参加選手、そして途中経過をおしらせします。
【男子】
石川 佳彦(29歳 日亜化学・徳島)
高橋 伸幸(34歳 千葉陸協)
小谷 修平(28歳 埼玉陸協)
楢木 十士郎(40歳 糟屋郡陸協・福岡)
【女子】
青谷 瑞紀(43歳 24時間走チームJAPAN・東京)
松本 ゆり(39歳 クラブR2東日本・東京)
岡 さゆり(46歳 Team ZERO・東京)
柿崎 美惠子(43歳 輝走倶楽部・大阪)
途中経過 (10時間経過時点)
(男子)
(女子)
(大会Facebookページ発表結果の上位者と日本人選手の記録を抜粋)
画像および現地レポートは、松島美紀さんのご協力をいただいております。また記載情報についてはアジアロード最高記録保持者の 井上真悟さんのご協力をいただきました。