金曜日の練習会前に関西からお越しのNさんと2時間半パーソナルレッスンを行いました。1時間半動き作りをしてから、1時間は練習メニュー作成やサロマ湖の対策などアドバイスさせていただきました。
(アドバイス前のNさん)
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Nさんは、フルマラソン3時間14分台で、100kmは9時間台ですから走力の高いランナーですが、走りを見て伸びしろが大きいと思いました。
まず『肩甲骨を寄せる』という意識が強すぎるのか上体に力が入り過ぎていました。そのことで肩甲骨が動かず結果的に骨盤の動かないフォームになっていました。
こちらは動画のキャプチャーです。
(アドバイス前のNさん)
一見すると、上下動が気になるフォームですが、その根源になっているのは肩甲骨を寄せる意識だと思いました。
こんな風に順にイメージしてください。
- 肩甲骨を寄せる意識
- 上体に力が入る
- 肩甲骨が動かない
- 骨盤が動かない
- ストライドが伸びない
- 脚を投げ出すようにして伸ばす
- 接地が上体より前になる
- ブレーキがかかる
- 身体が沈み込む
- 沈んだから上げねばならない
- 脚を使い過ぎる
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こちらはNさんに腕振りをしてもらい撮影した動画のキャプチャーです。
撮影前に上体に力の入っていることを動画で見てもらい、また伝えているので、少し力を抜いているようですが、力の入れ場所と抜き場所がよく分かっていませんでした。
(アドバイス前のNさん)
上体を回そうというイメージが強くボクシングや空手の型のようだと伝えました。
片方の肩が落ちたり、身体の軸がぶれたり良い腕振りでないことを動画を見て認識してもらいました。
少しアドバイスするとこう変わりました。
(アドバイス後のNさん)
まず、力みが取れたのが分かると思います。肩甲骨もしっかり動き始めました。この時は肩甲骨を寄せるとか、肩甲骨を動かすとか一切考えていません。
今回は肘を意識して振ってもらっただけです。
その他、イメージして欲しい動作を何点かアドバイスしましたが、一つのことを伝え、実際に走ってもらい、楽に速く走れることを感じてもらってから、次のアドバイスをすることで、徐々に積み上げていきました。
(アドバイス後のNさん)
その結果、このように変わりました。最初の画像と比べたら楽に走れているのが分かると思います。
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1周1325mの神宮外苑外周を同じような心肺機能面での負荷で走ってもらいましたが、最初と最後ではかなり変わってきました。
競技場やランニングコースを走るランナーの中にも、肩甲骨を寄せる意識を持つことで上体に力が入ってしまっているランナーはたくさんいます。
ランニング関連書籍やランニング系ウェブサイトにも『肩甲骨を寄せる』と書かれているのをよく目にします。もちろんそれ自体は間違いではありません。
ただ、言葉は一人歩きします。『肩甲骨を寄せる』とアドバイスしているコーチが直接指導する場合、そのような動きが出来ているランナーに向けて『肩甲骨を寄せなさい』とは言わないでしょう。その部位の動きについて言うなら『よく動けています。』と褒めるかもしれません。
ここで重要な情報を書きますが、パーソナルレッスンを受ける方や、ウルトラプロジェクトに入会した方の多くは自分がどのように動いているのか把握していない方が大半です。どのように動いているのか把握していないわけですから、書籍などに書かれた肩甲骨を寄せるフォームになっているのかどうかも把握していないケースが大半です。
その結果、そもそも背筋がスッと伸びた方が、その書籍などのアドバイスを信じてさらに寄せようとしてランニングフォームをおかしくする可能性は多分にあるのです。
そもそも肩甲骨を寄せるようなフォームの方がさらに寄せようとしたらどうなるかは試してみてください。一旦自然に肩甲骨を寄せてから更に寄せるわけですから、肩甲骨あたりに相当力が入ります。そんな力の入ったフォームで楽に走れるわけはありません。
ウルプロメンバーにもそのような走りだった方は何人もいますが、改善することでタイムも伸びています。また楽に走れるようになっています。
繰り返しになりますが、肩甲骨を多少寄せる意識を持つことで、お腹に力が入ることで骨盤が立ちます。(お尻が下がったフォームになりません。)それは出来ていない方にとっては良いことですが、上体に力の入ったフォームになりやすいので注意が必要です。
次にNさんにアドバイスした中で、多くのランナーにとって参考になるであろうことを一つ紹介します。