調子が上がらない時どう戦うか。〜24時間走チャンピオン石川佳彦の言葉にヒントあり〜

IAU24時間走アジア・オセアニア選手権で石川佳彦が2017IAU24時間走世界選手権に続き優勝した。

画像提供:松島美紀さん

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大会前に何度か連絡をとったが「調子がイマイチなのですが、あと一週間しっかり調整してアジアチャンピオン目指します!」「台湾暑いです。記録は狙えないと思いますがしっかり勝負にこだわって頑張ります!」とそれぞれ話していた。

スパルタスロン以降調子を崩してそれが戻っていないようだった。

それでも、アジア・オセアニア選手権を制したのだからホント勝負強い。

今回、調子が上がらない中で本番を迎え不安な気持ちが湧き上がる中で、それをどう乗り越えたのか聞いた。

質問の意図はいろいろあるが、さまざまなレベルのランナーにとっても参考になることがあると思ったからだ。

今回暑いのは想定していましたが、あれだけ暑くなるのは予想外だったので記録は話になりませんが、スパルタスロン以降の状態を考えれば上出来の走りでした。

もっと練習の段階で仕上げられていれば、後半伸ばせたと思いますし、レース後に意識が飛んでしまい、表彰式に出れないといった失態を犯す事もなかったと思います。

【スパルタスロン~アジア-オセアニア選手権までの不調】

スパルタスロンを狙い通り勝つ事ができ、次のターゲットレースはアジア-オセアニア選手権でした。毎回毎回ピークを合わせるのは体の負担になるのは分かっていたので、アジア-オセアニア選手権での記録はそれほど意識せずトレーニングを再開しました。抑え気味でやっていたと思っていましたが、体の状態は自分で思っている以上に悪く、レース2週間前のポイント練習も走り切るのがやっとという不安な状態で本番を迎えました。

レース当日、気温が上がる事は事前に分かっていましたが、スパルタスロンに向けて、暑い夏に誰よりも走った練習から暑さへの耐性には自信がありました。むしろ暑さで記録が全体的に低調に終われば、不調な状態でもチャンスがあると思えました。

【暑さ対策】

日差しが強い中でもアグレッシブデザインの日焼け止めはかなり役立ちました。帽子とネッククーラーを着けていたのは参加選手の中でもかなり少なかった(男子は自分だけ?)ので、この辺りも準備の差かなと思っています。

画像提供:松島美紀さん

逆に普段なら積極的に摂るアスリチューンも日が出ているスタート6時間までは出来るだけ摂らないよう意識しました。内臓トラブルを防ぐためです。給水を積極的に摂り、アスリチューンは6時間で3個程度に抑え、涼しくなる夜間帯に数を増やしました。最終的には40個以上摂取しましたが、最後まで補給物はアスリチューンでした。

 

思った通り、石川の言葉の中にいろいろヒントがあった。

  • 全てのレースを最高の状態に仕上げようとしない。
  • 自分の体調把握をしっかり行い、出せるパフォーマンスを客観的に認識する。
  • 暑いという走る上ではネガティブな状況を自分にとって有利だ。とポジティブな方向に気持ちを変えていく。
  • 日差し対策などその時出来る準備を全部する。
  • レース中もトラブルの未然防止に取り組んだ。

これらは24時間走に限らず、さまざまなレース、さまざまなレベルのランナーにやってほしいことだ。

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また、日本代表として戦うという事についてこう話した。

今回二度目の日本代表戦という事でプレッシャーはありました。ただ、一番最年少の自分は個人のレースのように自由に走らせていただき、チーム全体の事を考える余裕はなかったですし、今後もその余裕が生まれる事はないと思います。

画像提供:松島美紀さん

そんな中で井上監督はレース中の声かけを最小限に抑えてくださり、サポート組も走りやすいように淡々とサポートしていただきました。誰にでも出来る事ではありません。

チームキャプテンの楢木さんは常にチーム全体の事を考えてくださり、良い雰囲気で戦う事ができました。

画像提供:松島美紀さん

神宮から3週間での参戦となった高橋さんは自分の事より団体戦の事を一番に考え、走られていました。同じ事をしろ、と言われても絶対に出来ません。

女子選手3人も誰一人として万全ではない中、チームの事を考え、止まる事なく走り続けていました。

画像提供:松島美紀さん

普段一人でずっと走り続けている環境だからこそ、今回のチームに対する選手の熱い気持ちを強く感じられたのかもしれません。

ですが、あくまで自分の気持ちとして個人での世界タイトル獲得が最大の目標になります。色々な考えがあると思いますし、色々な意見を見聞きしますが、団体戦を見据えた走りがどんなものなのか自分には分かりません。頑なにトップを狙い続けた結果が最終的にチームの力になれば、これ以上嬉しい事はないと思っています。

画像提供:松島美紀さん

今回の厳しい戦いを糧に来年10月フランスでの世界選手権に向け、さらに強い自分を作っていこうと思います。

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24時間走 全記録

2016.12
神宮外苑24時間チャレンジ 優勝
263.127km(2016世界ランキング1位)

2017.7
IAU24時間走世界選手権 優勝
270.870km(2017世界ランキング1位)

2017.12
東呉24時間ウルトラマラソン 優勝
266.938km

2018.12
IAU24時間走アジア・オセアニア選手権 優勝
253.420km

4戦4勝、そしてアベレージ263.599kmという記録が意味することはたくさんあるが、ただ強いというだけではなく、様々な気象条件や体調に応じて、その時のベストな走りができるよう準備しているからこそできることだろう。

 

今回の大会結果についてはこちらにまとめました。

日本が個人・団体とも金メダル〜IAU24時間走アジア・オセアニア選手権〜



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