奥武蔵ウルトラマラソン大会前日に5年前の記事をリライトしてアップしました。
今回は、無理をするつもりはなかったのですが、全く予想もしてない展開になりました。
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天気予報では最高気温が26℃まで上がると報じていましたが、スタート時は多少湿度は高いが、暑くはなく奥武蔵にしては走りやすい気象条件だと感じていた。
今回、目標タイムはなかったが、無理にペースを上げたり保ったりしなくても平均キロ6の7時間後半くらいでは走れそうだと思っていた。
スタートして、鎌北湖から先のメインコースに入る前に21kmほど標高の低い場所にある細かなアップダウンを走る。ここを走ったのは5年ぶりだが結構キツイ。
フラットな箇所はキロ5前後で走り、上りはもっと落としたが、ジョグペースなのになぜか心拍数が上がってしまう。
マラソン時は4’10/km走っても心拍数は160くらいなのに、今回はこのジョグペースで170まで上がってしまった。
手首で測る光学式心拍計ではなく、胸に心拍ベルトを巻いたのでかなり正確で、体感的にもあっている。
上り坂になるといとも簡単に180を超えてしまうので、仕方なく歩いても心拍数は165から落ちない。
湿度の高さが原因と思い、体温を下げようと水をかぶるも状況は変わらない。
キロ5程度で10kmも走らないうちにキツくなるのは身体のどこかがおかしいと怖さを感じた。
スタート〜5km 26’23 平均心拍数163
5km〜10km 23’27 平均心拍数166
スタート直後は、周りにフルマラソンのタイムが同じくらいの仲間がたくさんいたが、ペースを落として状況が変わるのを待つも悪くなるばかり。
鎌北湖からのメインコースに入る前にやめた方が良いのではないか?と言う思考が生まれるほど心配な状況だった。しかし、まだ止める判断は早すぎると先に進んた。
10km〜15km 29’59 平均心拍数171
15km〜20km 25’43 平均心拍数163
とりあえず上り坂は心拍数が異常に上がってしまうので歩き、フラットな箇所と下りを走って様子を見ることにした。
序盤から歩いていると、私を抜いていく知り合いに心配されるし、カッコ悪いけど、見栄を張ってる場合ではなく、完走すら危ない状況だった。
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この状況では、鎌北湖を過ぎてからのキツイ登りは歩くしかないが、周りも歩いてるから目立たなくはなった。。
20km〜25km 40’02 平均心拍数163
すると今度は睡魔に襲われ始めた。早起きしているが、こんな序盤から睡魔に襲われる経験はほとんどないので、これは軽い熱中症だと感じた。さほど暑くはなかったが湿度が原因だろう。ただそれほど心配するほどの状況ではなく、少したてば状況は変わるかもしれないと思った。
実際、5年前は異常な暑さから走れる上りも、心拍数を上げないようにあえて全部歩くと決めたが、8時間半以内でゴールできている。
今回だって歩けばいい。とにかくゴールはしたい。
25kmくらいか、急に気持ち悪くなり道の端の草むらで嘔吐してしまった。水分しか出ないがかなり大量に出た。過去に何度か経験している低ナトリウム血症の症状だが、レースが始まってこんな早い段階でなったことはない。
少しスッキリしたので、走ってみると、また気持ち悪くなってきたので、仕方がなくまた歩く。
また、序盤早々に水をかけたウェアが全く乾かず、身体に貼り付きお腹を冷やした。相当湿度が高いのだろう。そして普段は気にならない心拍ベルトの擦れや圧迫感が気になりはじめ30km地点ぐらいだったか記憶は曖昧だが、胸から外してお腹周りに落とした。
25km〜35km 75’20
暑くはないのに、発汗量が多く、ランニングパンツの裾が貼り付き股ずれを起こしそうなので、後半含めて3回ほど擦れ防止クリームを塗った。もし塗っていなければ過去の二の舞だった。
35km〜40km 42’17
2014年に出た時は、走れる上りも含めて、上りは全部歩くと決めたが、今年は走れそうな時は走った。脚の動きも悪いが折り返しを目指して一歩一歩進む。
この辺りのエイドで、マルチビタミン&ミネラルのCC4粒を飲み、次のエイドで現在テスト中の酵素サプリメントの粉末を飲んだ。
40km〜45km 35’51
正確な場所は覚えていないがフルマラソンを過ぎたくらいで先頭のランナーが向かってきた。この辺りで私とマラソンや100kmのタイムが同じくらいの知り合いに会うが、私同様調子が悪るそうだった。少し並走してこれは9時間以上かかるね。なんて話しをした。
この辺りで少しづつ気持ち悪さはおさまってきた。また、エネルギーが足りないと思い、アスリチューン・ポケットエナジー ブーストを飲んで少しづつでも走れる時間を増やしていった。
45km〜折り返し49.2km 30’52
45kmを過ぎた辺りでは、フルでも100kmでも私と同じような位置を走るランナーと相次ぎすれ違う。
この時点で10km近く離されてるのかと思うと情けない気持ちになるが、こんな時もある。調子よく走っている友人にエールを送る。
私は、今できることをする。
こんな状態になって何のために走っているのか?と思う時もあるが、答えはゴールするため以外にない。
もちろん、私にとってはタイムや順位は大きなモチベーションで、それを高めるために練習をしている。ただ、自分自身が思うより遥かに走れない時もある。当然そんな時はタイムも順位も悪いからモチベーションは下がるし、気持ちはネガティブになる。
それでもゴールを目指し続けるのは、どんな状態でも諦めずにゴールを目指すことで、いろいろ得ることがあるから。
調子が悪いからとレースを途中でやめたら、そのレースが終わるだけではなく、それ以降のレースでもちょっとしたトラブルでレースをやめてしまう。
ウルトラマラソンは距離も長ければ時間も長いから、さまざまなトラブルが襲ってくる。それを一つ一つクリアしていかねばゴールにたどり着けないのに、クリアするのを諦める癖がついたら厳しい。
止めた方が良い状態か否かは自分自身で判断するしかないが、リタイアを繰り返すごとに、止めるべき基準がドンドン下がってしまう。
まだ先に進めるのに諦めたことは自分自身が一番分かっている。
今回ゴールすることは、次のレースにも繋がる。といつも思っている。
もちろん、これは私自身がそう思っていることで、少し調子が悪いと思ったり、これでは目標タイムに届かないと分かった時点でやめて次のレースに備えるのも一つに考え方。価値観は様々だし、何が正しくて何が間違っているなんてことはない。全て自分が決めること。
そして、49.2kmの丸山ASに到着した。
5時間29分34秒
鎌北湖からの登りを全部歩くと決めた2014年とは序盤のタイムはほとんど同じだったが、今回は走れるとこは少しでも走ったので、30分以上速かった。2014年は6時間を少し越えていた。
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残り28.8kmに備えて、nakedランニングバンドに挟んでおいたマッサージオイルを脚全体に塗り軽くマッサージをした。またかき氷を手早く食べ、トイレを済ませて2分38秒後の5時間32分32秒に再スタートした。
気持ち悪い時間帯が長かったからエネルギー補給が足りないと、折り返し前にアスリチューンを飲む頻度を高めたことで気持ちも高まってきた。
CCや酵素サプリメントの効果なのか分からないが、気持ち悪さも薄らいできた。
そもそもDNSにするか迷う程の状態の脚が厳しくなるのは、下り基調のこれからだけど出来る範囲の走りをしようと思った。
49.2km〜50km 03’38
下りは脚に大きな負担がかからないように、ピッチを上げて一歩一歩の衝撃を抑えた。
50km〜55km 28’58
2014年は重心を前に持って行ってスピードを上げて一気に下ったが今回はそんな走りは出来ない。それでも視界に入るランナーに短時間で追いつき追い越した。
55km〜65km 55’59
登りではどう走れば歩くのと変わらないくらいのキツさで走れるか?の模索を繰り返すことで、徐々にそんな感じで走れるようになった。
往路はそんなことを考えることが出来ない気持ち悪さの中で走っていたのだから、だいぶ復活した。
65km〜70km 28’10
この大会はエイドステーションが5kmに2箇所くらいある。2014年大会の下りは2回に1回、3回に1回よる感じだったが、今回は長い下りを走り続けることで、脚を痛めないように全てのエイドに立ち寄った。
ラスト10kmくらいだったか、不意に左膝に違和感を感じた。大会数日前に右膝裏に痛みが出ていたが、左膝は想定もしていなかった箇所だった。慌てず一旦立ち止まってチェックした。そして、歩いて、ゆっくり走ってみた。ゴールまでは持ちそうだが、無理は出来ない。
ここからは少し抑え目にした。
70km〜75km 33’40
ラスト8kmのユガテASで、再びマッサージオイルを脚全体に塗ってマッサージした。
この辺りにきて、ゴールタイムを計算すると8時間半は切れそうだと分かる。
ただ、ここまで相当無理しているので、身体の状態を慎重にチェックしながら進んだ。
75km〜78km 17’59
鎌北湖を通り抜けると、今までの記憶だと一気に暑くなるが、今回はそれほど暑さを感じなかった。前回は抜かれたランナーをすぐに抜き返すなんて走りをしたが、今回は淡々と走った。
フィニッシュタイム 8:20:56
こんな状態でも2014年大会よりは良かったことには驚いた。もちろんコースベストと比べるとかなり遅い。
49.2kmの折り返し点をスタートしてからゴールまでは2時間48分24秒だった。2014年は2時間20分そこそこで走ったのだから、あの時はいわゆるゾーンに入っていたのだろう。
しかし、今回ほど序盤から体調をおかしくした記憶はない。後半におかしくなることは多々あるが、序盤におかしくすると、先々のことを考えると、精神的にもとんでもなくキツくなってくる。
そんな状態から完走出来たのは、一時の感情で無理して走ったりしないで、回復する時を待ったから。そしてゴールすることを諦めなかったから。
折り返しまでは、悔しい気持ち、情けない気持ち、怖い気持ちなどいろいろあったが、諦めなかったからゴールできた。
また普段気づけないことも、思うように走れないことで気づくこともあった。
今回ゴールして少し後悔しているのは、タイムや順位ではなく。エイドステーションなどで感謝の気持ちをもっとしっかり伝えるべきだったということ。これは心身ともに余裕がなかったからだが、先に進むことができている状態だったのだから、あまりにも余裕がなさすぎた。次回は余裕があってもなくてもしっかり感謝の気持ちは伝えよう。
実際、今回のエイドステーションには相当助けられた。ウルトラマラソンを走るボランティアスタッフが多いのか、キツくなった時、気持ち悪くなった時に、自分なら何が飲みたいか?食べたいか?をランナー目線で考えて用意してくれた。
特に気持ち悪い時に、ぬるくなったスポーツドリンクや水など飲むと更に気持ち悪くなることが、どのエイドでもドリンクは冷えていてとても美味しかった。
この大会は日本でも屈指の人気大会になったが、久しぶりに走ってみて、改めて素晴らしい大会だと思った。
来年以降もなんらかの形で関わっていきたい。