(画像は日本代表チームのサポートをした小谷さんからいただいた動画から編集しました。)
<スポンサーリンク>
28日にこのような記事を書きました。
昨年女子選手で初めて260kmオーバーの世界記録を出したアメリカのHERRON Camille選手が、世界選手権で男子含めて総合優勝するのではないかと会場が騒めくような走りで270.116kmの世界記録を更新しました。
男子選手も270kmオーバーが5人とハイレベルなレースになりました。
24時間走を走ったことがある方なら、この記録がとんでもない記録だと理解できますが、フルマラソンまでしか走らないランナーからしたらどのくらい凄いことか意味が分からないと思います。
そこで少しでもイメージ出来るように書きます。
この270.116kmという記録は5’20/kmペースで24時間走り続けないと到達しない距離です。
5’20/kmペースでフルマラソンを走ると、3時間45分です。女子ランナーでフルマラソン3時間45分は中々のタイムです。
その3時間45分でフルマラソンを6回完走して、さらに皇居3周以上の16.8km走ったことになります。
また100km走ったことがある方がイメージしやすいように書くと、このペースで100kmを走ると8時間53分ですからサブ9です。そのペースで100kmを2回走って更に70km走ったわけです。
実際はイーブンペースではなく、後半は苦しんだようです。前半12時間経過時点の146.221kmは男子優勝選手と同じ周回でしたが、ここまでの平均ペースは4’55/kmペースです。
3時間経過は37.378km、4時間経過は50.797kmですからフルマラソン通過は3時間20分前後、そして8時間経過は97.018kmですから100km通過は8時間15分前後です。私の100kmPBペースより速く100km通過しました。
<スポンサーリンク>
先日、エリウド・キプチョゲが人類初の2時間切りをした時の平均ペースが100m17秒02だったと書きました。
そもそもマラソンランナーの方で、100mを全力で走っても17秒02で走れない人は多いと思いますが、走れるとしたら、そのペースでどこまでいけるのか?という観点でも書きました。
同様に今回の5’20/kmペースで24時間という記録についても、5’20/kmでどこまで走れるのか?という観点で考えるとイメージが膨らみます。
5’20は100m32秒ペースですから、フルマラソン完走しているランナーなら100mであれば大半の方が走れるでしょう。
あなたはどこまで行けますか?
100m | 32秒 |
400m | 2分08秒 |
1km | 5分20秒 |
5km | 26分40秒 |
10km | 53分20秒 |
ハーフマラソン | 1時間52分31秒 |
フルマラソン | 3時間45分02秒 |
50km | 4時間26分40秒 |
100km | 8時間53分20秒 |
100マイル | 14時間18分19秒 |
これより先まで行ける人は少ないと思いますが、今回の記録はそのまま平均5’20/kmで24時間走らないと届かない距離です。
ちなみに男子の世界記録は303.506kmです。これはフルマラソンを約3時間20分ペースで、7回以上走ったことになります。
<スポンサーリンク>
HERRON Camille選手は260kmを初めて超えたレースでヴェイパーフライ4%を履いていたと一部のランナーの間で話題になりましたが、今回はヴェイパーフライ ネクスト%を履いていました。
ヴェイパーフライ4%にしても、ヴェイパーフライネクスト%にしても、ある程度のスピードがないとシューズの性能を活かせずマイナスに働くという話が一般的なように感じていますが、平均ペースで5’20/km、速い時でもキロ5を少し切るペースであってもこのシューズのメリットはあるということでしょう。
このシューズのメリットはカーボンプレートが入っているからピョンピョン跳んで速く走れるというより、エネルギーロスが少なく効率的に走れることだと思います。
ただ、このシューズを履いて結果に結びつけるには前傾姿勢を保ち続ける体幹や骨盤を支える臀筋群が強くないとダメです。
先程、ある程度のスピードがないと・・・と書きましたが、それはペースが遅いと反発力など小さくという意味より、一般に速いランナーは体幹や臀筋群が強いから履きこなせるけど、遅いランナーはそれらが弱いから履きこなせないという意味だと思います。
よく、このシューズを履いているから凄いタイムが出ている。と話す方もいますが、誰が履いても結果の出るシューズではなく、履きこなせたランナーだから結果が出ているのです。
HERRON Camille選手だけではなく、日本代表として走り今回自己ベスト更新した楠瀬選手もヴェイパーフライ4%フライニットを履いていますし、昨年の神宮外苑24時間チャレンジでも履いて結果を出した選手はいます。コストの問題はありますがこれから増えてくるでしょう。
このシューズで24時間適度に前傾したフォームを保ち続けることができるなら、結果はついてくるでしょう。
箱根駅伝予選会はヴェイパーフライネクスト%のワンメイクレースかのごとく、多くの選手が履いていましたが、水戸黄門漫遊マラソンでもAブロックにはネクスト%や4%フライニットを履いた市民ランナーがたくさんいました。
現在、ナイキの独断場になっているロードレースのシューズマーケットにおいて、他メーカーも相次ぎカーボンプレート入りのシューズを投入してますが、現時点ではナイキの勢いは減速せず加速しているように感じています。
IAAF(国際陸連)が調査に入ったという記事がありましたが、どのような規制をするのか出来ないのか全く分かりません。私もこのシューズを履いていますが、禁止になればもちろん公認されたレースでは履きません。ただこのシューズを履きこなせるように努力してきたことは決して無駄にならないと思っています。