フルマラソンにバックパックは必要か?〜ウルプロメンバーの経験〜


(動き作り・フォーム作り中の動画のカット画像)

つくばマラソンでPB更新した中垣さん(59歳)は2018年6月に入会しました。その時のフルマラソンのタイムは4時間8分33秒でしたが、2018年さいたま国際マラソンで目標にしていたサブ4(3時間58分24秒)を達成しました。

その後もランニングフォーム改善など進めて今シーズンも自己ベスト更新は間違いないと本人も私も思っていましたが、初戦の水戸黄門漫遊マラソンはよもやの大失速のレースになりました。

その失速の原因は一つではないと思いますが、最大の原因はバックパックを背負っていたことだと思い、レース後に中垣さんにアドバイスしました。

スタート直前に、トレラン大会に出るようにバックパックに満タンにしたソフトフラスクを2本つけた中垣さんに会った時にこれはちょっと危ないと感じましたが、スタートブロックに並ぶタイミングだったので動揺させないように伝えませんでしたが、ゴール後に会場であった時にその理由を伝えました。

(別の大会画像ですが、このような装備であった。)

中垣さんの水戸黄門マラソンのレース展開はこのような状態だったようです。

レース前の状態は喉の違和感を感じる風邪の引き始めの兆候があった。スタートから15kmまではほぼ予定通り4’45~50/kmペースでサブ3.5ペーサーの前を走る。15km過ぎからペースが落ちてはじめ20kmでサブ3.5ペーサーの集団に抜かれ全くついて行くことができない。お腹が緩くなり29km地点のトイレに入り、その後、気持ち悪さなどにより止まってしまう。その後は走ろうとすると足が攣ってしまうので歩くしかない。持参していたオレンジジュース+粉飴を飲んでも気持ち悪く吐いてしまう。36km地点のエイドで水をカップ3杯ほど飲むと、しばらくしてキロ9分程度で走ることができた。とにかく冷えた水が飲みたくなり自販機で冷えたミネラルウオーター購入し歩きながら飲み、最後はキロ7分程度で走ってゴール。ゴール後はスポーツ飲料をもらうがまずく感じて全く受け付けない。

今回は、10%オレンジジュースと粉飴でつくった500ccのドリンクと、OS-1にアミノ酸など入れた500ccのドリンクをバックパックに入れて走った。また、スタート前にOS-1ゼリー摂取し、スタート後5kmまでにアミノバイタルゼリーを摂取。水分補給はエネルギー補給を兼ねて上記ドリンクを飲み、途中のエイドには2~3か所よって、それぞれ水を一口程度飲んだだけです。

 

失速の原因の一つとして、バックパックを背負ったことがあります。理由は水分やフラスク、バックパックを背負えば単純に重くなる。また今回は気温が高くなることが分かっていたがベスト型のバックパックを身に付けたことで、特に背中が熱くなり体温が上がる。さらに肩甲骨の動きが制限されるので、走りにも影響します。特に中垣さんは普段の練習では使っていません。

また、バックパックから水分補給はいつでも出来るので取りすぎるリスクもあります。それとフラスクの中身は大会後に聞いたのですが、果汁ジュースはおそらく要冷蔵ですから、日差しや体温で温めると痛むようにも感じました。

その点に関して中垣さんはこう話しました。

体調を崩していたこともありますが、発汗による脱水は、今回ザックを使用していたため熱がこもっていた可能性が高いと思います。気温、体温に対して鈍感だったことが原因です。
後半気温が上がり発汗量が増えたのを感じたがエイドで水をさほど飲まなかったのも反省点です。

なぜフルマラソンでザックを使っていたのか?

昨年のさいたま国際マラソンでは攣り対策のためスタート前からOS-1ゼリー3個摂取。ウエストポーチとポケットでは限界だったため次の静岡マラソンからザックを使用。OS-1ゼリー4個分をソフトフラスクに入れて携行。どうせザックを持つならハイドレから給水もすべて行う事としました。3kgほどの重量になりタイムに影響することは分かっていたけど、エイドでのペースダウンや接触などのリスクを考えると自分の場合メリットの方が大きいと考えていた。結果、静岡マラソンではレース中の足攣りはなくPB更新。ただゴール後は激しく攣ってしばらく動けなかった。またこの時の気温は7℃だった。その流れで水戸黄門漫遊マラソンでもバックパックを背負った。

新澤さんの過去のブログでフル、さらにはウルトラでもザック使用により熱がこもるデメリットは理解していたので、水戸は背中側がメッシュタイプのバックパックに変更したが、静岡マラソンが7℃だったのに対して、水戸は17℃と気温が高くなることの影響は考えていなかった。

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私は中垣さんに、熱がこもりやすいバックパックではなく、ソフトフラスクを持ちたいならそれを収納できるnakedランニングベルトを薦めた。

バックパックを背負うのに比べると熱がこもりにくいだけではなく、肩甲骨の動きが制限されないからです。

そして中垣さんは練習でnakedランニングバンドにソフトフラスクをいれて走り、違和感や支障がないことを確認してつくばマラソンに挑みました。

つくばマラソンのレース展開

水戸同様、直前に風邪の兆候を感じたが、レース前日にはほぼ通常レベルまで回復した。

スタートから計画通り全エイドでアミノバリュー、水にこだわらず多めにとりました。トイレに1〜2回行きたくなるのは許容しました。ペースは4’45-55/kmで25kmまではほぼ設定通り進み、その後徐々にペースが落ちるが5’30/kmを超えないことに目標を切り替える。30km以降は頭が少しボーっとする感じがあったのでエイドで2回ほど顔に水を被る。40km過ぎは過去のレースに比べると大きく落ち込まずゴールできました。

レース後、筋肉痛、右足腸脛の痛みなどはあったが、レース中、レース後とも足攣りの兆候は全くなかった。これはフルマラソンでは初めてのことです。

水戸黄門とつくばの差異

事前に風邪の兆候がある点は同じで、気象条件もスタート雨でのちに気温が上がり17℃と非常によく似たコンディションだった。またスタートから15kmまではほぼ同じようなペース、心拍数に差異はなかったが、最大の違いは給水量。水戸よりつくばは多く摂取した。それでもレース中はトイレに行かず、またレース後ペットボトル2本飲んでも家に帰るまでトイレに行かなかったのでまだ給水は十分ではなかった可能性もある。

今回の最大の収穫はPBよりもこの対策で足攣りが今後なくなる可能性が出て来たこと。

バックパックをNakedランニングベルトに変更したことにより上半身の力が抜けてリラックスできていた様に感じる。また上半身に水を被りたいとは感じなかったので熱逃げもよかったと思われる。

(ゼッケンやトレッキングポールも装着できる)

水戸は初フルよりはるかにひどい結果でしたが、なぜかあまり落ち込みませんでした。理由は自分の攣りの原因がほぼ脱水だとわかった嬉しさだと思います。またその後の20km走で発汗量、給水量/吸収量、そしてNakedランニングベルトについてしっかりと確認・計画し、あとはつくばで実行するだけでした。

この年なのでなかなか練習で鍛えて「プラス」を積み上げることは難しいと思いますが、今回のような補給、装備の見直し、体のケア、栄養管理などで「マイナス」を最小限にすることもしっかりと行って結果に結び付けていきたいと思います。

中垣さんの入会後の主なタイム推移

入会時 2018年6月 4時間8分33秒

初サブ4 2018年12月 さいたま国際マラソン 3時間58分24秒

2019年10月 水戸黄門漫遊マラソン 4時間37分02秒

2019年11月 つくばマラソン 3時間36分47秒

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最後に

水戸黄門漫遊マラソンの失速は少なからショックはあったと思います。レース後に中垣さんに何が原因だったのかを理解して欲しくてゴール会場そしてメッセージでアドバイスしました。本人は脱水が原因とは理解していましたが、バックパックが影響しているとは思っていなかったようです。脱水の原因はそれだけではないと思いますが、そもそも気温が高くなるレースで、汗をかきやすい中垣さんが厚着をしているようなものです。原因が明確になれば対策も明確になってくるので、つくばマラソンまでの4週間でしっかり対応しました。結果、同じような気象コンディションになったつくばマラソンで水戸のタイムを1時間以上更新し、自己ベストも更新し自信を取り戻しました。

バックパックが必ずしも悪いと行っている訳ではなく、使う事によるメリットとデメリットを考えて欲しいのです。トレランやエイドステーションが少ないジャーニーランなどでは、水や補給食、ライト、レインウエアなどの装備をしまうためにバックパックは必要ですが、2.5kmや5kmごとにエイドステーションのあるロードレースでバックパックが必要かどうかを考えて欲しいのです。

中垣さんはデメリットを考えた上で使いましたが、暑さに対する認識が少し甘かったのだと思います。そもそも経口補水液や経口補水ゼリーを持ちたいのがバックパックを背負った理由であり、なぜそれらを持つかと言えば足攣りが怖いからです。それであればスティック型の経口補水パウダーを持てば重たいドリンクやゼリーを持つ必要もないかもしれません。

上半身と下半身が連動していないランニングフォームの方であればバックパックを背負ってもあまり影響はないかもしれませんが、中垣さんはフォーム改善が進み、連動して走れるフォームになってきたので、肩甲骨の動きを阻害されることは大きなマイナスでした。

大会後、全てのメンバーに個別アドバイスはできませんが、私自身が走ったレースであれば気象条件などよく分かるので、うまく走れなかったメンバーを中心に何が問題だったのかを本人に気づいてもらうようメッセージを送ることもあります。それは思うような走りが出来なかった時に、何が原因だったのかを見誤ることで変えなくても良いことを変えてしまうこともあるからです。私も走ったつくばマラソンでは10人ほどのメンバーが自己ベストを出しましたが、思うような走りが出来なかったメンバー含めて30人弱のメンバーとレース後自宅に帰ってからメッセージのやり取りをしました。その過程で色々気づいたメンバーもいます。

中垣さんは60歳を目前にまだまだ伸びていますが、本人も書いているとおり、いかにマイナスを減らすかが大事です。そのためには失敗を失敗で終わらせない。原因を明確にして次に繋げる必要があります。ウルプロメンバーは30代、40代のメンバーももちろん伸びていますが、同じように50代以上のメンバーも伸びています。それはしっかり考えているからです。

こちらは1月に紹介した記事です。合わせてお読みください。

50代・60代でも目標達成するために大事なこと〜ウルプロメンバーの実践⑥〜

ウルプロメンバーも多数使用しているnakedランニングバンドに関しては、近日また紹介します。



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