CASIO×asicsモーションセンサー(以下 モーションセンサー)を購入したので、このモーションセンサーでどのようなことができるのか、どのようなデータが取れるのか、そしてそのデータをどのように生かすのかを、私が実際に使ってみて感じたことを掲載していきます。
<スポンサーリンク>スペック
- 専用の時計がなくても使用できる
- GPS機能+9軸センサー搭載
- 体幹の後傾、骨盤の左右傾きなど、19種類の詳細な数値を計測できる
- 約20時間連続駆動
価格
14,080円(税込)
購入について
amazon
ルナークス・ランニング・カンパニー(川口駅近く)
ルナークスで購入すると分かりやすい資料や使い方のアドバイスなどしていただけるのでオススメです。
<スポンサーリンク>取得できるデータ項目
各項目ごとの数値の意味については、アプリを項目をクリックすると表示されるようになっている。今回のこの項目をこちらに転記します。
メーカーの公式ページはこちらです。アプリはこちらから入手できます。
また、点数や数値は私が4月24日に計測した数値を参考までに掲載しています。
総合スコア 85
総合スコアが100点満点で表示されます。
*下記6項目の平均値かと思い計算したら平均値は86.83になったので、項目ごとにポイントが違うのか、もしくはピッチやストライドなど他の要素が含まれているのかもしれません。
総合スコアの目安(どのようなランナーか?)
アプリを見ると、総合スコアについての目安が追加されたので、その内容を簡潔な言葉にしました。
- 80点以上・・・アスリートレベル
- 70〜79点・・・フルマラソンを何度も完走し、記録に挑戦しているランナー
- 60〜69点・・・習慣的に走っているランナー、基礎的なフォームを身につけているランナー
- 59点以下・・・基本的なランニングの姿勢が身についていないランナー
また、「ゆっくりとしたJOGの場合は走り方が変わりスコアが下がることがあります。」と表記されていますが、それは総合スコアにおいて、ストライドの長さや、骨盤の回転度合などがペースによって変わる項目が含まれているからです。
6つの大項目
上記のキャプチャー画像で現在、走行ペースなど掲載されているところのプルダウンから、以下の6つの大項目の点数が100点満点で表示されます。
*もちろん、走行ペース、ピッチ、ストライドなどGPSウオッチで計測できるデータも表示されます。
□骨盤を軸とした全身の運動 93
関連指数・・・腰の沈み込み、骨盤回転タイミング、蹴りだし時間
□動きの力強さ 75
関連項目・・・ストライド身長比、骨盤の引き上げ、骨盤の回転
□スムーズな重心移動 95
関連項目・・・左右方向衝撃、減速度
□左右対称性 94
関連項目・・・掲載なし(おそらく左右別の数値の割合や差によって点数化されているのでしょう。)
□安定した姿勢 100
関連項目・・・体幹の後傾、骨盤の左右傾き
□負担の少ない接地 64
関連項目・・・上下動身長比、着地衝撃、蹴り出し加速度
<スポンサーリンク>詳細な項目
□ストライド身長比
(意味)ストライドを身長比で示した数値
左・・・0.92 右・・・0.93
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において大きくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・0.87
4’00ペース・・・0.77
5’00ペース・・・0.69
6’00ペース・・・0.63
□体幹の後傾
(意味)接地中に骨盤や体幹がのけぞるような動き
→数値が大きいほど体幹が不安定
左・・・0.3° 右・・・0.0°
(アプリ掲載の目安)
ペースに関わらず「1.36°」・・・数値が小さくなるほどスコアは高くなる。
□上下動
(意味)走行中の身体の上下方向の動き
→数値が大きいほど、大きく沈み・跳ねる走り
左・・・6.7cm 右・・・7.6cm
□上下動身長比
(意味)上下動を身長比で示した数値 私の左・・・6.7cm÷166cm≒4%
左・・・4.0% 右・・・4.6%
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において小さくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・5.7%
4’00ペース・・・5.4%
5’00ペース・・・5.3%
6’00ペース・・・5.2%
□腰の沈み込み
(意味)接地後に膝が曲がって腰の動きが下がる動き(身長を100とした比率)
→数値が大きいほど深く沈んでいる
左・・・2.2% 右・・・2.2%
私の場合166cmだから3.65cm沈んでいるということか?
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において小さくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・3.3%
4’00ペース・・・3.4%
5’00ペース・・・3.4%
6’00ペース・・・3.5%
□骨盤の左右傾き
(意味)接地している脚と反対側の骨盤が傾いて下がる動き
→数値が大きいほど、接地中の骨盤が不安定な姿勢になっている。
左・・・2.7° 右・・・2.4°
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において小さくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・5.5%
4’00ペース・・・5.4%
5’00ペース・・・5.3%
6’00ペース・・・5.2%
□骨盤の引き上げ
(意味)接地から蹴り出しにかけて、スイング側に下がった骨盤を引き戻す動き
→マイナスはスイング側の骨盤が低い位置のまま蹴りだし、プラスが大きいほど、スイング側脚の骨盤を高く引き上げた状態で蹴り出しができている。
左・・・4.8° 右・・・5.5°
(アプリ掲載の目安)
以下の数値より高いほどスコアは良くなる。
3’00ペース・・・5.8%
4’00ペース・・・5.7%
5’00ペース・・・5.5%
6’00ペース・・・5.3%
□骨盤の回転
(意味)骨盤をローテーションする動き
→数値が大きいほど、骨盤を大きく回した力強い走りになっている
左・・・15.1° 右・・・16.0°
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において大きくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・24.3°
4’00ペース・・・22.4°
5’00ペース・・・20.5°
6’00ペース・・・18.6°
□骨盤回転のタイミング
(意味)接地の瞬間と、骨盤を回転させるタイミングのギャップ
→ゼロはこれが一致。マイナスが大きいほど接地より早く骨盤を回し始めて足を身体の真下に引きつけるような動きが強調された走り、プラスに大きいほど、接地時に骨盤を大きく回してスイング脚側を前に降り出すような走りになっている
左・・・5 右・・・5
(アプリ掲載の目安)
ペースに関わらず「16」・・・数値がスコアに与える影響はアプリ記載の文言からは不明
(2021.6.30追記)
それぞれのペースの目安値において数値が大きくなるほどスコアは高くなる。
□左右方向衝撃
(意味)身体の左右方向にかかる衝撃の大きさ
→一般に数値が大きいほど、左右方向への不安定性が大きな走り
左・・・34.0m/s2 右・・・30.5m/s2
(アプリ掲載の目安)
以下の数値より小さいほどスコアは良くなる。
3’00ペース・・・53.2
4’00ペース・・・44.8
5’00ペース・・・38.8
6’00ペース・・・35.1
□蹴り出し時間
(意味)接地後に身体が沈み込んでから足が離れるまでの時間
→数値が大きいほど、1歩ごとのキックに時間がかかった走り
左・・・88ms 右・・・96ms
*100msは0.1秒
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において小さくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・120
4’00ペース・・・122
5’00ペース・・・126
6’00ペース・・・131
□接地時間
(意味)接地してから蹴り出して足が地面から離れるまでの時間
→一般的に、ペースが速いほど短くなる
左・・・141ms 右・・・145ms
□接地時間率
(意味)接地時間を、1周期(接地から次接地までの時間)における割合で示した数値
左・・・48% 右・・・48%
□着地衝撃
(意味)接地の直後に身体にかかる衝撃の大きさ
→一般的に、数値が大きいほど脚への負担が大きくなる
左・・・42.1m/s2 右・・・61.1m/s2
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において小さくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・35.7
4’00ペース・・・29.6
5’00ペース・・・24.7
6’00ペース・・・21.1
□蹴りだし加速度
(意味)地面を蹴り出す加速度の大きさ
→一般的に、数値が大きいほど、強い力で地面をキックしている
左・・・63.4m/s2 右・・・63.8m/s2
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において小さくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・59.7
4’00ペース・・・52
5’00ペース・・・46.7
6’00ペース・・・43.8
□減速量
(意味)接地後のブレーキの大きさ
→一般的に、数値が大きいほど、一歩ごとのブレーキが大きい走りになっている
左・・・0.37m/s 右・・・0.47m/s
(アプリ掲載の目安)
それぞれのペースの目安値において小さくなるほどスコアは高くなる。
3’00ペース・・・0.61
4’00ペース・・・0.53
5’00ペース・・・0.48
6’00ペース・・・0.46
□スティフネス
(意味)脚全体を「バネ」と見立てた時のバネの硬さ
→一般的に、数値が大きいほど、接地後の沈み込みが小さく、短い接地時間で地面を蹴り出す「硬いバネ」のような走りになっている。
左・・・0.83KN/m・kg 右・・・0.82KN/m・kg
(2021.6.30追記)
(アプリ掲載の目安)
ペースによらず、左右差が小さいほど「左右対称性」のスコアが高くなり、左右で値が大きい方の脚が「主導」側による。
<スポンサーリンク>使用している中の疑問点
・上記詳細項目に数値が大きいほど・・・などの表記があるが、基準値や目安の記載がないので、自分の数値がどうなのか分からない。
→6つの大項目で点数の高い項目の関連項目の数値は良い数値だと想像できる。例えば、6項目のうち90点を超えている4項目の関連数値は良い数値なのだろう。
腰の沈み込み、骨盤回転タイミング、蹴りだし時間、左右方向衝撃、減速度、体幹の後傾、骨盤の左右傾き
それ以外の左右対称性も点数は94点なので、詳細項目における左右の数値のバラツキはこの程度であれば許容範囲なのであろう。
逆に、6項目で点数が64点と最も低い「負担の少ない接地」の関連項目の上下動身長比、着地衝撃、蹴り出し加速度は要改善項目なのであろうか?
ただし、上下動に関しては、左6.7cm、右7.6cmは私の身長では悪い数値とは思えないので、着地衝撃と蹴り出し加速度の数値がポイントになりそうですが説明を見ると、どちらにも『一般的に・・・』という枕詞が付いている。ここに関しては以前踵から接地して前に乗り込んでいくような走りをしたところ、この項目は高い数値になった。フォアフットで走ると着地の衝撃は強くなり、このアプリでは着地の衝撃が強い=点数が低いと判断しているのかもしれない。
また、この着地衝撃や、蹴り出し加速度はペースが速くなれば当然ながら強くなるが、ペースごとに理想とする数値を算出しているのかどうかは分からない。
(2021.5.27追記)
アプリ画面に、項目により目安になる数値が加わったので追記しました。
(2021.6.30追記)
アプリ画面に、数値がどうなれば高くなるかが加わったので追記しました。
・左と右の意味が分かりにくい箇所がある
詳細項目では、すべての項目において、左と右で数値が取れるが、例えば着地衝撃などは、接地した脚の数値であることは考えるまでもないが、分かりにくいのは骨盤系の数値。「骨盤の引き上げ」「骨盤の回転」など骨盤の動きに着目している数値だけど、例えば、骨盤の引き上げの項目の「左」の数値は、左骨盤の引き上げの数値なのか、左脚で接地した時の右骨盤の引き上げの数値なのか、分からない。おそらく、すべて接地した脚を基準に表記されていると思うので、この場合は右骨盤の動きについての数値と思われるが、実際、左骨盤の動きだと思っている方もいた。
この辺り、私の理解力不足や調べ方が悪いのかもしれないので、分かり次第追記していきます。
(2021.6.30追記)
メーカー担当者に確認したところ、このアプリの「左」「右」の意味は、すべて「左脚で接地」「右脚で接地」した時の数値とのことです。例えば「骨盤の引き上げ」に関しては「左」の数値は、左脚で接地した時ですから右側の骨盤の引き上げについて表示しています。
(2021.5.27追記)
・身長より脚の長さを登録した方が良いのではないか?
ストライド身長比などは、アプリに登録した身長との比較により算出されるが、同じ身長でも脚の長さは個人差が大きい。身長170cmで股下が75cmくらいの方もいれば85cmくらいの方もいる。脚の長さが10cm異なればストライドもかなり変わってくる。
・ピッチ目安の表記はおかしくないか?
アプリ内にピッチ目安が掲載されたが、この数値を掲載した意味がよく分からない。目安はこのように表記されている。
3’00ペース・・・189、4’00ペース・・・181、5’00ペース・・・174、6’00ペース・・・167
5’00ペースでフルマラソンを走ると3時間31分弱になるが、その時のピッチが174と言うのはかなり身長の大きいランナーではないか?
参考までに上記ペースとピッチから、それぞれのストライドを計算してみた。
3’00ペース・・・189 → ストライド 1.76m
4’00ペース・・・181 → ストライド 1.38m
5’00ペース・・・174 → ストライド 1.15m
6’00ペース・・・167 → ストライド 1.00m
このように並べてみるとさほど違和感はなくなるが、そもそストライドは身長により大きく異なるのだから、ペースにより目安となるピッチを掲載した理由はわかりません。例えば3’00ペースでフルマラソンを走るランナーが5’00ペースで走るとピッチがどう変わるのかであれば理解できますので、掲載するのであればアプリ登録者により数値を変える必要があると思います。
(2021.6.30追記)
フォームのスコアに関係なく、走りがピッチ寄りかストライド寄りかの判定に使われている。アプリ掲載のピッチが、その中間値ということなのでしょう。私の場合は4分ペースで走ればピッチは190くらいになるので「ピッチ寄り」となります。
<スポンサーリンク>
他社の動作解析アイテムと比較して
ここまでの文章を読むと、このモーションセンサーについて、少し厳しめの感想を書いていますが、私自身が今までに試作品を含めていくつかの動作解析アイテムを使ったことがありますが、価格、使いやすさ、サイズ、装着、そして精度など非常に優れた製品だと感じています。ハードは素晴らしいと感じています。そう感じているからアプリの表記などソフト面をもう少し頑張って欲しいと感じているのです。今回、このモーションセンサーを使ってみてカシオとアシックスの技術力は凄いと思いました。ソフト面はどのようにすればユーザーが使いやすいのかを考え改善していくでしょう。
使用する際の注意点
こちらは説明書にも記載されていますが、正確なデータを取るためには、正しく装備しないと正しく計測できません。腰骨辺りにつけるわけですが、これが左右に少しずれていたら左右差など出てしまうでしょうし、曲がってつけていたらやはり正しいデータは取れません。またセンサーをつけるウエスト部の締め付けが悪いと揺れてしまい、これまた正しく計測できない原因になります。高性能なセンサーなのだから、しっかりつけましょう。
危惧していることと試行錯誤したいこと
かなり高性能なセンサーですが、総合評価や6つの項目の点数などを意識しすぎると、その点数を上げることが目的になってしまうのではないかと思っています。このアプリのアルゴリズムはよく分からない前提で感じていることは、そもそもこのアルゴリズムで100点と考えている動きが、すべてのランナーにとって最適な動きではないでしょう。骨格や筋力など様々なのです。例えば直立した状態で、骨盤が前傾気味のランナーもいれば、真っ直ぐなランナーもいます。その事例だけでも、走りやすいフォームは変わってきます。
そして、そのランナーにとってもしかしたら90点の時より80点の時の動きの方が、速いタイムで走れる、疲れにくく、故障しにくいフォームかもしれません。
また、目指しているフォームも人それぞれでしょう。ダイナミックに走りたい人もいれば、小さいな動きで衝撃を小さくして走りたい人もいます。
せっかくの素晴らしいモーションセンサーを買ったのに、うまく生かせないばかりか、マイナスに働くこともあると感じているので、その辺り使用しながらこちらのページに気づいたことを追記していこうと思っています。
また、アシックスのページにも意識するポイントやアドバイスは書かれていますが、ちょっとその説明では動けるようにならないと感じる伝え方もありましたので、私だったらどう伝えるとか、この数値を改善するには、このような意識と動き作りをすれば良いのではないかといったことも考えていきたいと思っています。
(2021.6.30追記)
メーカー担当者にお伝えたしたことが、徐々にアプリに盛り込まれてきました。私が購入した時に感じていた数値についての説明不足がだいぶ改善されてきました。また、私自身、ウルプロメンバー、パーソナルレッスンで数値をとって分析することにより、このアプリのアルゴリズムや数値の意味するところがだいぶ分かってきました。
Kernel(ランニングネックレス)の効果をモーションセンサーで検証
遅いペースでもフォームをキープするために意識したこと
22km起伏走翌日は300m流し〜新しく飲み始めたプロテイン〜
暑い時にはショートインターバル
1500m PBまであと0.8秒〜疲労感は気のせい?〜