ジャパントロフィー24時間走はスタートから12時間が経過し、既に54選手中、既に3人の選手が途中棄権となった。
通常の24時間走はフラットな陸上競技場のトラックや公園などで開催されるが、今回はコース変更などを経て、片道5キロの一般道(交通規制なし)の往復で開催されることになった。この5キロのコースは行きが275mの登りで、帰りは275mの下りとなる。200km走ると登りの合計は5,500m、250km走ると6,875mとなる。
今回優勝候補の筆頭に挙げられている、石川佳彦選手の24時間走自己記録は279.427kmだが、今回石川選手の走りを見る限り240kmを目処にし、アップダウンのある240kmレースを走るかのように走っているように見える。
今回、事前に発表された参加者一覧を見たところ、小江戸大江戸200k、そして川の道フットレース251kmで驚異的な大会記録(男女問わず)を出した仲田光穂選手が石川選手にどのように挑むのかと考えていたが、故障や怪我により参加もままならない状態だったとレース前に本人が投稿していたので今回は厳しいレースになるかと思った。しかし序盤から独走し、12時間経過時点でも2位に大差をつけているのだから彼女の集中力に驚いている。
仲田選手が2019年のサロマ湖100kmウルトラで5位に入るなど、100km日本代表を目指せるレベルの選手であったが、コロナ禍で100kmレースなどが開催されない中で、200kmを超えるレースにチャレンジすると、男子の強豪選手をも圧倒するレースを重ねている。
2021年3月27-28日に開催された小江戸大江戸200kでは過去24時間走など世界レベルで活躍する男子選手が20時間切りができない中で、一気に19時間33分15秒と驚異の大会新記録を更新した。また小江戸大江戸200kは前半部の小江戸91kと大江戸ナイトラン115kの合わせて206kmレースが同時開催されているが、小江戸と大江戸それぞれの優勝タイムを仲田選手の区間タイムはそれを上回る。
こちらは川の道フットレース251kmスタート前に撮影した画像だが、こちらもそれまでの大会記録が31時間台である中、25時間14分03秒という別格のタイムで優勝した。
女子24時間走の世界記録は2019年のIAU24時間走世界選手権でアメリカのHERRON Camille選手が270.166kmと驚きの世界記録を出した。その後ウルトラマラソンの国際大会や、メジャーな大会が開催されていないが、仲田選手はHERRON Camille選手と対等に戦えるウルトラランナーだと私は思っている。
そのくらい突出した選手だと思って欲しい。
さて、今回のレースに話を戻すと、12時間経過時点の順位は以下の通りだ。
大会速報画面より引用してます(リアルタイム表示なので現在の記録はこちらをご覧ください。)
順位 | 氏名 | 記録 | 通過時間 |
1位 | 仲田光穂 | 130km | 12:05:47 |
2位 | 野本浩礼 | 120km | 11:48:47 |
3位 | 森下輝宝 | 120km | 11:51:19 |
4位 | 石川佳彦 | 120km | 11:51:29 |
5位 | 篠原直秀 | 115km | 11:40:33 |
6位 | 兼松藍子 | 115km | 11:41:27 |
7位 | 高橋和之 | 115km | 11:58:24 |
仲田選手は序盤往復10kmを49分台で走っていたが、12時間前後では65分台になっている。2位の野本選手は序盤は55分台で、12時間前後は60分前後となっている。森下選手は序盤は54、5分だが、12時間前後では65分台となっている。
その中で、石川選手は序盤からほぼ60分前後のイーブンペースで走行している。2時間経過時点の順位は29位であったが、徐々に順位を上げて12時間経過時点では4位まで上げている。
サポートについている、石川美紀さんによると、順調に走れているとのこと。
日中の日差しが強いレースなので、アスリート向けの日焼け止め、アグレッシブデザイン・ファイターをたっぷり塗り、日焼けによる疲労軽減を図っている。
またアスリチューンは12時間経過まではポケットエナジーのカフェイン無しの白と黒を2時間に2個ペースでとっていき、深夜の時間帯でカフェイン入りのポケットエナジーブーストを使い始める計画のようだ。
仲田選手と、石川選手の差は12時間経過時点で約8kmほどだが、12時間時点では仲田選手の10km65分台に対して、石川選手は60分台と、1時間に1kmほど距離を詰めているので、二人がこのペースで走りづづけると20時間頃、石川選手が追いつく計算になる。長時間のレースなので計算通りには行かないのは当然だが、二人が優勝争いの軸になっているのは間違いないだろう。そして12時間時点で2位の野本選手も非常に安定し、先ほどリザルトを見たところ、12時間経過後の10kmは59分台にペースアップしている。また12時間時点で7位の高橋選手も石川選手同様に序盤から60分前後で走ってきたが、12時間を過ぎてラップが落ちているが、これは後半に備えてしっかり補給を取るためのロスかもしれないので次のラップで確認したい。
何にしろ、大半の選手は10km70分を超えてきている中で、60分前後を保っている選手は上記の数人であり、この選手らを後半12時間も大きく落ちなければ優勝記録は240kmを超える。もし220km台の争いになれば、現在10位前後の選手にもチャンスがある。
次に記事を書くのは結果が出てからになると思うが、24時間走の面白さは、選手の記録を追いながら、その選手が現在どのような精神状態にあるのか、身体の状態はどうなのかを想像することにもある。最終結果を見ただけではほとんど魅力は伝わらない。先ほど速報画面のリンクを貼ったので是非見て欲しい。
また、こうしている時間にも、選手は懸命に走っている。そして大会スタッフは選手や、選手をサポートするハンドラーなども一生懸命動いている。なにはともあれ、大会中止により、石川選手など世界屈指のウルトラランナーが活躍する場がない中で、大会を開催した主催者の熱意は素晴らしいと考えています。事故が起こることなく無事終了することを願っています。