子どもの頃から、陸上競技をやってきた方なら、レペテーションなどでスピードを出した直後に地面に座ることはしないと思います。もちろん、レース後に出し切って立っていられないような時はあるでしょうが、練習中にキツくてもべったり尻を付けてしゃがまないようにするのは精神論的な話だけではなく、身体に負担をかけるからです。
心拍数を上げて走れば立っているのが辛い状態になるのは分かりますが、そんな時でも地面に尻はつかずに膝に手をおいて屈むくらいにした方が、後々身体は楽だと思います。できればそれもしない方が良いです。
実業団チームでトレーナー活動をしているケッズトレーナーのスタッフに、「練習中にしゃがむ選手っていないですよね?」って聞いたら、見たことないし、そんなことしたらコーチから怒られます。と話していました。
ただ、市民ランナーには、しゃがんでしまう方は少なくありません。癖になっているランナーもいて、さほど苦しくなるようなペースでない時にもしゃがんでしまうこともあります。
筋肉を総動員するような走りをした直後に立ち止まるのもよくありませんが、尻をついてしゃがんだらその部位に相当な負担がかかります。
少し前に、ウルプロ午後練を中心に参加しているメンバーが、右尻の張りが強く中々抜けないという話をしていたので、状態など聞いてアドバイスしていましたが、身体のバランスが悪いわけでもなく、それほど左右差がある走りでもないので、片側だけ負担が大きいのはなぜか考えていました。Aさんが定期的に通っているケア施設でどのような状態でどのような動作が原因になっている可能性があるか聞いたことを教えてもらってもピンとくる内容はありませんでした。
練習会以外の時間にも、動画でメンバーの走りなどチェックしたり、考えたりする時間は長いのですが、そのような時間を持つことで、ふとしたタイミングで気づくことあります。
今回は、自分のポイント練習で400mを走った時に気付きました。走っている時に気付いたわけではなく、途中でアルファフライからドラゴンフライに履き替えた後に気付きました。
何に気づいたかと言うと、右尻が痛いと話していたAさんは、織田フィールドが使えていた半年以上前に5分間走などすると、リカバリーの間に必ず尻をつけてしゃがみ込んでいたことです。当時何回か注意していましたが、倒れそうだからしゃがむようにしているって答えが返ってきたような記憶です。記憶は漠然としていますが、右側に寄って尻をべったり地面につけている光景が浮かんできたのです。
織田フィールドが使えなくなってからは、動き作り中心の午後練では、ペースを上げて追い込むような走りをしてないから、練習会で注意することもなくなりましたが、自分で練習している時に、このようなことをしていたら尻に張りが出てもなんら不思議ではありません。
Aさんが練習会に参加した時に、そのことを伝えて、ウルプロ練習会以外の時にしていないかを聞くと、やはり毎回しゃがみ込んでいたようです。
そして、その行為が右の尻の張りに繋がっていることをイメージできるように説明した上で、当面はしゃがみ込まなくてはならないようなペースでは走らないようにしてもらいました。
昨日の練習会後にいただいたメッセージです。
久しぶりのビルドアップでしたがリズムに乗れて走れたような気がします。足の張りもとれてきましたし、とても気持ちよく走れました。
難しいことは考えずに、リズムに乗って走るのが私には合ってるだなと改めて感じました。
そして、私が動画を見て感じたことを送りました。
「スローで見ると右の尻の張りがまだあるのか、右の動きが少し悪いように感じましたが、だいぶ改善してきました。とにかく、走った直後にしゃがむのはダメです。片方の肩が痛かったのも、結果的にそれが原因かもしれません。右の尻が痛い→右脚の動きが悪くなる→左脚の動きとバランスとるために右腕を強く後ろにひく、もしくは左肩を前に持っていくような動作などに繋がっていたように感じます。根本原因は右尻の張りであり、その原因にしゃがむことが大きく関与しているのだから、とにかく走ったあとはしゃがまない。可能なら止まらないで歩いてください。」
そして、その返信の抜粋です。
新澤さんに指摘されたように直後に座るのは一番よくないですね。スピードを出せるようになったのが面白く、限界まで上げた直後に止まって座り込むのは筋肉によくないなと。座り込んだ後すぐに前屈のストレッチを入れてたのも原因かと。昨日もラストを上げましたが座り込みしたい気持ちを抑えて歩きました。そのせいか今日はお尻や足の張り、疲労は残っていません。
考えれば、負荷の高い全ての練習で座り込んでたかもしれません。座り込むのが完全に癖になってました。 フォームの癖はなかなか治りませんが座り込みの癖は直しやすいので今後も気を付けておきます。 合わせてレース以外の普段の練習時は座り込むような負荷をかけず、余力を残せるスピードで走ることにより故障リスクも減るのかなと。
今日は舎人が解放日だったので夕方ジョグしてきましたが肩甲骨と腰に張りはあるものの、足とお尻の調子は良さそうです。
負荷をかけた練習が悪いわけではなく、負荷をかけると座らざるを得ないような練習はダメだということです。今は癖になっているのだから、その癖が改善するまでは、そこまで負荷をかけないで走れば、痛みが出るほど張っている箇所も改善してくると思います。
痛みが出るようになった原因は他にもあるかもしれませんが、原因と思われることを一つ一つ改善していくしかありません。
今回、記事にしたのは、Aさんのように毎回しゃがみ込むようなことはしなくても、多少なりとも同じような行動をとり、尻や太ももの張りが強くなっている人がいると思ったからです。
私は、ケッズトレーナーで身体のケアをする時には、身体の状態について質問し、その答えに対して、なぜそのような状態になったと思われるか?を教えてもらい、自分の主観と客観を近づけています。
そして、メンバーから○○が痛くなったという話を聞いた時に、自分自身が痛くなったことがない箇所だとイメージが湧かないので、トレーナーに質問して一般論として教えてもらいます。漠然と本など読んだり、指導者向けの実技研修などに教わっても、頭に入ってこないことが、具体的な事例として質問することで理解しやすくなります。
もちろん、質問する前に自分自身で、なんでこの箇所が痛くなるのだろう?とメンバーのフォームなどを思い浮かべながら考えないと得るものが少ないと思います。それはしっかり考えた上の質問であれば、自分が分からない部分、知りたい部分が明確になっているので、相手に質問の意図が伝わりやすくなるからです。
漠然と聞いても漠然とした答えしか返ってきません。
そのようなことを毎週ケッズトレーナーに行って勉強させていただいているのだから、健康運動指導士や、公認スポーツプログラマー資格取得のための講義で学んだ、知っているという知識ではなく、指導の場で使える知識が徐々に蓄積しています。
上記画像は、ビルドアップ走後に、撮影した動画をキャプチャーしたものです。動画を見ることで自分自身が走っている主観(イメージ)と動画という客観的事実とを比較してズレに気づくことで自らの理想のフォームに近づきます。