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少し前の大会になりますが、11月13日に開催された激坂最速王決定戦の結果に私は驚きました。ほぼ報道もないので知らない人も多いので、何が凄いと感じたかを紹介します。
この大会は箱根ターンパイクで開催され、13.5kmを1000m弱登る「登りの部」は箱根駅伝5区山登りの練習や校内での選手選考に良いと箱根駅伝出場校の学生もたくさん参加する他、富士登山競走やバーチカルレースの強い選手も参加します。そして、その上ってきたコースを下る「ピストンの部」は箱根駅伝の5区6区をまとめて走るようなコースでアップダウンに強いトレイルランナーが招待されています。
まず、「登りの部」の選手がどのくらいのタイムでゴールしているのかを調べました。こちらが上位30人です。
結果詳細は大会ページをご参照ください。
- 神野 大地 51:02
- 殿地 琢朗(國學院)52:39
- 吉冨 純也(日本体育大学)53:03
- 大坪 幸太(駒澤大学)53:14
- 三上 雄太(創価大学)53:31
- 相澤 龍明(國學院大學)53:46
- 下條 乃將(明治大学)53:47
- 神谷 青輝(順天堂大学)53:52
- 山本 雷我(国士舘大学)54:08
- 金子 伊吹(駒澤大学)54:19
- 金城 岳(日本体育大学)54:46
- 小早川 寛人(国士舘大学)54:51
- 古川 大晃(東京大学 大学院)55:05
- 長谷川 健太(筑波大学)55:05
- 村越 凌太(日本体育大学)55:16
- 大西 理久(明治大学)55:31
- 西槇 優祐(國學院大學)55:33
- 川畑 昇大(東京国際大学)55:36
- 森下 治(創価大学)55:43
- 矢島 琉聖(日本体育大学)55:57
- 甲斐 涼介(明治大学)56:04
- 上田 瑠偉 56:06
- 杉 彩文海(明治大学)56:13
- 河村 悠 56:34
- 阿部 飛雄馬(東京大学 大学院)56:37
- 藤原 優希(順天堂大学)56:39
- 清水 悠雅(国士舘大学)56:40
- 服部 和空(駒澤大学)56:56
- 齋藤 拓也 57:06
- 堀越 翔人(順天堂大学)57:25
1位は「山の神」こと神野大地選手の51:02で平均3’46/kmペースで駆け上りました。13.5kmで1000m登るコースをこのペースで走るのだから驚きです。2位以下は大学生がずらりと続き、5位の三上雄太(創価大学)は今年の箱根駅伝5区2位です。そして世界トップレベルのスカイランナー上田瑠偉選手は56:06で22位、富士登山競走五合目優勝者の齋藤拓也選手が57:06(4’13/kmペース)で29位。
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このレースは箱根駅伝ランナーが出場する「登りの部」が注目されますが、実は「ピストンの部」の優勝者も凄いのです。優勝はアスリチューンサポートランナーでもある板垣辰矢選手(時之栖)が1:36:04で、招待選手の髙林遼哉、宮原 徹 、川崎雄哉らに2分以上の大差をつけて優勝しました。
- 板垣 辰矢 1:36:04(55:55-40:09)
- 髙林 遼哉 1:38:13(59:05-39:08)
- 宮原 徹 1:38:42(58:07-40:35)
- 川崎 雄哉 1:38:45
- 井上 昂明 1:42:47
- 加藤 達大 1:44:28
高林選手は箱根ランナーで、宮原選手は富士登山競走(山頂の部)大会記録保持者、川崎選手は昨年のITJ優勝者で、過去のハセツネ優勝者でもあります。
今回優勝した板垣選手は100kmロードで世界歴代4位の6:14:18のタイムを持つ世界トップレベルのウルトラランナーです。
2017年に当時世界記録の砂田選手の記録を更新するハイペースでワッカに入るも、暴風に遮られ45秒足りずゴール。その翌年に風見選手が世界記録樹立。そのタイムに挑んだ2019年サロマは優勝するも世界記録には届かず、2020年、2021年は大会中止となり、その間トラックレースでスピードを磨いたり、トレラン大会に出場しています。
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招待選手に勝ったから板垣選手が凄いのではありません。今回本人の投稿で知ったのですが、板垣選手は登り区間を55:55で折り返しています。そこから13.5km下るわけですから、余力を残してのタイムです。
その55:55というタイムは「登りの部」でも20位に入るタイムなのです。余力残さず山頂ゴールだったならどのくらいのタイムが出たのかは分かりませんが、少なくともそのタイムよりは速いでしょう。
板垣選手は、このように話しています。
今回のコースは箱根5区6区をまとめて走った感じで、学生時代に戻った感覚で楽しく走れました。ウェーブスタートで自分は先頭から35分後スタートだったので、ロードレースというより駅伝の感覚でひたすら抜き続け500人くらいは抜きました。スタートから誰とも競り合わず、結果もネットで知って、表彰式もなかったのであんまり優勝した実感はないです。
登り13.5kmは60分切りを目標に走ってましたが、まさかの55分台。傾斜によって走り方を切り替えたりしながら最後まで集中して登りきれました。そして中間地点の通過タイムは「登りの部」だったら20位相当で、もし「登りの部」に出てたらもっと短縮できただろうし、箱根5区候補の学生相手にも十分通用してたかもしれません。折り返してからの下りは、今後大事なレースが続くのでダメージを残さないように、傾斜が急な区間でもキロ2’50〜55くらいで無理せず楽しく走れました。下り区間タイム40分も設定通りです。
板垣選手の平均ペースは上りが4’08/kmで、下りは2’58/kmです。
30歳を超えた現在でも箱根5区で勝負できそうだと感じたようですが、板垣選手が100kmマラソンを始めてからフルマラソンもハーフマラソンも自己ベストを更新するなど進化してますが、トレランレースに出るためのトレーニングを重ねることでさらにバーションアップしているのでしょう。
その板垣選手は明日開催のITJに参加しますが、トレイルの練習も積んでいるので、優勝争いに絡む一人だと思ってます。
今回、アスリチューン・アグレッシブデザインサポートランナーの、大塚良軌選手(実業団選手時代のフルマラソンベストタイム2時間11分40秒)も出場しますが、引退して数年経つ今年のびわ湖毎日マラソンを2時間16分54秒で走りましたが、このスピードは板垣選手と並んで今回のITJ参加選手の中ではトップクラスで、走れるコースと言われているITJでは大きな武器になります。
大塚選手が100km初挑戦で世界記録に挑んだレースは2019年サロマ湖ですが、板垣選手との競り合いになり2時間29分でフルマラソン通過する高速レースになりましたが、その時のことはこちらに書きました。
今回、2時間10分台のスピードをもつ選手が私の知る限りでも何人か参加しますが、最後の福岡国際マラソンに参加できるタイムを持ちながらITJ出場を選んだスピードランナーが、経験豊富なトレイルランナーとどう競い合うか楽しみです。
過酷な競り合いになりそうなITJでは、いかにストレスなく補給を行うかも勝負の鍵になりますが、2人ともアスリチューンで補給を行います。これから大きな大会が続くと供給が間に合わない可能性もあるので、大会参加の予定がある方は直前に慌てないようにある程度は準備することをおすすめします。