経口補水ドリンクを大会前々日から飲んでも塩分はほぼ貯められない

大会前々日くらいから、足攣りや脱水対策として経口補水ドリンクを飲むランナーはそれなりにいて、それを薦めるランニングコーチもいて、以前からそれって効果ないと思うけど、することで安心感が生まれるなら特に意義を唱える必要もないかなと思っていました。(もちろん塩分過多になる程の摂取や塩分控えめに言われている方はNG)

厳しい日差しとなった札幌マラソン

ただ、気温が上がったぐんまマラソンで後半失速したメンバーから話を聞くと、明らかに低ナトリウム血症のようだったのでレース中にどんな塩分補給をしたのかを聞くと、エネルギー補給、水分補給以外はしていない。そして足攣り予防のために2日前から経口補水液を飲んでいるから塩分補給はできていると思っていた。というような答えが返ってきたので、そのように考えているランナーが多いなら注意喚起しないと、失速だけではなく、ドクターランナーの救護を受けるようなケースに繋がると思い記事にすることにしました。

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そのランナーの話を抜粋して紹介します。

・・・5’20~30/kmで刻んでいきました。28キロまではペースはキープできたけど、徐々に余裕がないなぁと感じて。(エネルギー・水分)補給はしっかりとりましたが、暑かったので水分を取るにも後半からはお腹がタポタポしてしまい身体に吸収されず、何だか徐々に力が入らなくなって、30キロを過ぎて足がピタッと止まってしまいもう走りたくないとなってしまいました。その後は歩いたり走ったり、足も痛くないし走れるでしょうと自分に言っても走り続けられず。気持ちが切れてしまったからの結果ではなく、これが現状だと受け止めています。ここからまた走れるようになるのかな?と昨日は色々考えましたが、諦めず続けていきたいです。・・・

私はこのように返信しました。

(メッセージ読む限りは水分取りすぎです。塩分補給は何か意識しましたか?)

昨日は暑いからいつも以上に足攣りが心配だったので、各エイドでスポドリを取り、エネルギー切れにならないようにジェルは10㌔毎に補給しました。考えてみると塩分は何も取っていません。

水分は取り過ぎたようには思わなかったのですが、私は日常普段から水分をあまり取らないのに、今回は二日前から経口補水液を飲み続けたので体内には残っていたのかもしれません。最近は練習会でも給水するとその後はお腹がポコポコしてしまい何でだろう?と思っていたのですが、必要とする水分以上取るからなのかもしれません。大会前だけでなく日常からもう少し水分を取るようにするのも改善点かなと思います。

経口補水液は足攣り予防としていつも取っているのですが、前日だけで十分なのでしょうか?

私はこのように返信しました。

(前日に経口補水ドリンクをたくさん飲んでもあまり意味がありません。結局、体内の電解質バランスは一定に保たれるから排出されてしまいます。レース中は体内の電解質バランスが崩れるから、そこでとる必要があります。

その話をする前のタイミングで、以前書いた記事をアップし、かなりの方に読んでいただきましたが、その記事を書く際にいろいろ教えていただいたドクターランナーの佐藤恵里さんもぐんまマラソンを走ったので、この件についてしっかり整理しようと教えていただきました。

『喉が乾く前に水を飲め』は危ない 〜運動関連低ナトリウム血症にご注意を〜

(佐藤さん提供)

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私の認識について以下の質問をした

以前から、足攣り防止のためにと、大会前日、もしくは前々日から経口補水ドリンクを飲むといった投稿を目にしますが、そもそも経口補水ドリンクは、発汗などにより体液のバランスが崩れた時に飲むもので、特に発汗などない日常生活に健康な方が飲むべきものではないし、それを飲んだからといって塩分などは尿で出ちゃうから意味あるのかな?と思っています。今回のような暑いレースなら、レース中に経口補水パウダーなど飲めば効果はあると思っています。脱水予防、足攣り予防のために、2日前から経口補水ドリンクを飲むことでの効果はほぼないと私は思っていますが、実際どうなのでしょうか?

佐藤恵里さんの回答

新澤さんの書いている通り、数日前から水や塩を摂っても、腎機能が正常なら摂りすぎた分は数時間で排泄されます。2日前から摂るのは意味がないです。

前日夜は脱水にならない程度に”普通に”水分や塩分を摂取。

当日朝は、水は喉が渇かない程度に飲み、塩はある程度忘れない様に摂る程度です。よく朝ごはんが菓子パンだけみたいな人がいますが、それだと塩は補った方がいいですね。でも和食で味噌汁や漬物があればそれくらいでいいと思うのです。大事なのはレース中です。

運動中こそ塩を摂り水を飲みすぎない

運動中には脱水を防ぐために抗利尿ホルモン(ADH)が分泌されるので、尿として水が排泄されにくい仕組みがあるのですが、塩は関係なく出て行きます。そこで水だけを補充すると体の塩が薄まります。 運動中こそ塩を摂るべきで、水は飲みすぎないような意識をするべきです。 今回私は真水は全く飲まず、手や顔にかけて身体を冷やしました。スポーツドリンクを適宜飲み、干し梅を食べてました。補給はそれだけです。

経口補水ドリンクは良いものですが、飲むなら当日朝からレース中だけで良いと思います。

たくさん飲めばいいのではなく、飲むと余剰な水分は30分から1時間くらいで排泄されますから、朝起きてしっかり飲んだらしばらく様子を見て、レース前の尿量を確認して追加で飲むか考えたら良いと思います。 

”脱水だから水を飲め”は間違い

手賀沼でもぐんまでも、終わった後に足攣りの方が山の様にいました。周りの方がその方達に”脱水だから水を飲め”と水を飲ませていて、ちっとも良くならないケースを何人も見かけました。

私が塩を摂る様に指示したら、半信半疑で摂り…でもびっくりするくらいすぐに落ち着いた方もいました。

ウルトラマラソンなら10kmくらいエイドがなく、エイド毎に補給は必要ですが、ハーフやフルでは数キロおきにエイドがあるので、あまり毎回飲まない方がいいと思います。一回パスしても次で取れば大丈夫なので。

塩分補給はできているとの慢心は本末転倒

普段の生活や、2日前から余分な塩を摂るべきではないと思います。書いて頂いた通り、意味ないだけならいいのですが、慢心して一番必要なレース中に補給しないのは本末転倒だと思います。

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私の暑さ対策・脱水対策

今回佐藤さんは、「真水は全く飲まず、手や顔にかけて身体を冷やしました。スポーツドリンクを適宜飲み、干し梅を食べてました。」と教えてくれましたが、私も考え方は同じです。

補給に関して書くと最も大事なことは

走ることで失われたものを体内に入れることです

走ることで失われるものは大きく『エネルギー』『水分』『塩分(電解質)』です。その他にもありますが、まずこの3つをしっかり行うことが大事なのです。エネルギーに関しては今回は省略しますが、アスリチューンなどエナジージェルを取るとエネルギー補給だけではなく、塩分やマグネシウムなど電解質も一緒に取れます。

エイドステーションなど少ないウルトラマラソンなどだと水分補給が足りないこともありますが、フルマラソンなどを走るランナーで水分補給が足りなくて脱水になるケースはほぼないと思います。まれに給水所で水を切らしてしまうような準備不足な大会もありますが、大半の都市型マラソンでは給水所を5kmに1回どころか、2.5km間隔で設置している大会が多いです。佐藤さんも書いていますが、暑いから、脱水にならないようにと全ての給水所で水分を取ると大体取り過ぎになります。例えば喉を湿らせる程度なら全ての給水所で摂取しても良いのですが、しっかり摂取し続けたら凄い水分量になります。

経験不足で摂取量が分からない初心者の方にオススメするのは『こまめに少量づつ』です。

暑いと感じると喉が乾き始めるので、まず暑さを抑えるために日差しが強いことが予想されるなら日焼け止めを二度塗り、三度塗りすることで日差しによる暑さを防ぐことができます。

(曽宮さん提供)

少し話が逸れますが、今年のスパルタスロンで2位に入った曽宮選手に大会前に、アグレッシブデザイン・ファイター(日焼け止め)とアスリチューンをプレゼントしました。そしてレース後に暑さについて聞くとこのように答えてくれました。

『日焼け止め、役立ったと思います。日差しが強かったのをあまり感じなかったので。』

強い日差しや暑さでランナーを苦しめるスパルタスロンの日差しを感じなかったというのだから大きな効果です。

私が走った金沢マラソンも日差しが強く暑いと感じましたが、日焼け止めを塗るだけではなく、暑いと感じたら迷わず水を身体にかけました。水分をたくさん飲むのではなく早めに水をかけて身体を冷やすのです。

また、レース中の塩分補給として経口補水パウダーなど3本持ってスタートしましたが、1本とっただけで特に脱水や足攣りの心配なくフィニッシュできました。

私が使用しているのはエブリサポートです。食塩相当量は1本あたり1gですから、ランナーがよく使う塩分タブレットなどと比べるとかなり多い量です。パッケージの説明書きには500ccの水に溶かして飲むよう書かれていますが、これを直接口に入れて給水所の水で流し込みます。私は特に気持ち悪くなることもありませんが、本来の使い方ではないのでご自身で試しご判断ください。塩分を抑えるよう言われている方や気持ち悪くなる方にはオススメしません。

かなり暑いときは1本全部飲みますが、それほどでもない時は半分づつ飲むなど調整しています。フルマラソンだとキロ4分程度のスピードで走りながらパッケージを開けて口に持っていくまでに多少こぼれてしまうのでその分を勘案すると半分づつ飲むなら給水所の紙コップ1杯でメーカー推奨の濃度には体内で混ざるのではないかと思ってます。

また、大会前には天気予報をこまめにチェックして気温や風だけではなく、湿度や日差しなどにも注目しましょう。こちらは今年の東京マラソン後に書いた記事です。合わせてお読みください。

最後に

冒頭書きましたが、2日前どころか、1週間前から、経口補水ドリンクを飲んでも体調が悪くならない方で、安心感が生まれる。もしくは効果を感じているなら継続したら良いと思っています。ただそのことで塩分補給は準備万端と、本当に必要なレース中に摂取をしないのはダメということです。

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