東京マラソンを走ったランナーの大半はGPS機能付きウォッチを使ったと思います。私がランニングを始めた頃はGPSウォッチなど珍しく、大半のランナーは単にラップ計測ができるだけの時計を使っていましたが、今や様々な機能が搭載されたGPSウォッチが発売されています。
当初は位置測定機能から距離を割り出し、そこからペースを掴むことができる機能が、通常の時計についた程度でしたが、今ではランニング中に必要な機能以外も充実してきました。
さて、今回は都市型マラソンを走る際に、オススメしたい設定を紹介します。
購入した時の初期設定のまま使っている方が多いのではないかと思いますが、設定を変えることで必要な情報を掴みやすくなります。
私は、練習内容や、走るレースによっても設定を変えています。
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都市型マラソンの特有の問題
都市型マラソンを走る時に、GPSウォッチを使うと高層ビルなどの影響により正しい位置情報を得ることができず距離がズレてしまう(=ペースが狂う)という問題点があります。
GPS精度に関しては、以前よりかなり能力が向上しているのと、GPS信号が取得できない時でも、それまでのスピードや腕の振りなどから位置を予測する機能が進化し明らかにおかしい数値はでなくなりました。それでも今回の東京マラソンでも距離はそれなりに長く出ました。
もちろん、先導がいるトップ選手でないと最短距離付近は中々走れません。ランナーで道幅一杯になるボリュームゾーンになれば最短距離からかなり余計に走ることになりますが、それ以外にGPSが正しい位置情報を取得できないことで、時計が示したペースを信じて走ると、予定よりかなり遅くなるなんてことになりかねません
実際の計測値
私が使用しているGARMIN955は現時点での最新機能をもったGPSウォッチで距離がわかる練習コースで使用するとかなり正確に走った位置を捕捉してくれます。(=距離が正確)
私は5kmごとの計測マットの位置でラップを押して計測しましたが、こちらがそのデータの一部です。
5kmごとラップで一番長い距離を示したのは10-15kmで5.18kmです。
私自身、給水を取りに行く時は横にズレるし取った後は戻るし、コーナーも内側ギリギリは走らないから距離は伸びますが、5kmで180mも余計に走ることはありません。理由はGPSの位置情報を正しく取れていないのです。
結果、42.195kmの距離なのに、GPS上は42.98km走ったことになっています。実際給水などで200mくらいは長く走っているにしても、600mは誤計測で、合わせて800mも実際より長い距離と表示されます。
ただ、これは高層ビルなどGPSにとって障害物がある場所を走る際は仕方がないことで、ランナーが必要に応じて対処すべきことなのです。
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マップ画面をチェックしよう。
こちらはスタートから序盤のルートですが、私が実際に通ったルートは最初左折する時には道路中央からやや内側で、次に左折もほぼ同じような位置を通り、そこから進行方向左車線を直進しました。それに対してGPSは直角に2回曲がるところを大きく外側に膨らむように通り、挙句の果てに建物内を通過しているかのように計測しています。これでは距離は長く出るし、時間は変わらないのでペースは速く出ます。逆に2回曲がる箇所の手間でショートカットするように計測されると距離は短く出るのでペースは遅く表示されます。
みなさんも大きな誤差があったのなら、どのような箇所が狂いやすいのかを把握するために、マップを拡大してルートを追ってみてください。
誤計測の影響
10-15km区間は5.18kmと計測されていますが、私自身この区間のペース表示はおかしいと感じていました。
この区間20’54で走ったので平均ペースは約4’11/kmです。ただGPS上は5.18kmを20’54で走ったことになっているので、平均ペースは4’02/kmになるのです。実際3’55/kmなどキロ4を切るペースが表示されていて、そんなスピード感ではないけど、調子良いのかな?なんて一瞬思った時もありましたが、途中の距離表示でチェックするとそんな訳がないことは分かります。
コースの距離表示は正確か?
東京マラソンは日本陸連公認コースです。他にも公認コースを多数走っている中で気づいてきたのは、5km毎の表示は正確で、その他はいい加減な表示が多いということです。東京マラソンは1kmごとや、5マイルごとに表示があり、さらにラスト1kmなどの残り距離の表示もあります。私は5km毎以外は参考程度にします。(マイルは見ません。)
東京マラソンは6kmとか7kmなども正確なのかもしれませんが、一般にかなりずれた位置に距離表示の看板を立てている大会はあります。看板を持ったスタッフが多少移動しちゃうこともあります・・・。
ただ、5km毎地点はコースの公認申請時にしっかり計測するので、その位置だけ信じたらよいのです。
やってはいけない設定、要らない設定
オススメの設定を紹介する前に、やってはいけない設定をお知らせします。
オートラップ
練習や大会で、1kmごとオートラップを使うランナーは多いですが、私は距離が正確に、あるいはかなり正確に分かるコースではオートラップは使いません。400mトラックを2周半走れば1kmで、ペーサーが設定通りのタイムで走ったとしても、自分のGPSだと速いとか遅いとか言う方はいまだにいます。そもそも2レーンを走れば1周約407mになるので2周半走れば距離は1kmより長くなりますし、トラックで1000mインターバルをしていて、2周半する20mくらい手前でGPSが1000mになったからと終える方は中々いません。
フルマラソンもGPSが42.195kmに到達したらお終いではなく、フィニッシュゲートを越えたら終了なのです。
やや、話が逸れましたが、オートラップにしておくと、例えば今回の私の計測の場合は平均して982mごとにオートラップが計測していきます。4’15/kmペースで走っていたなら、ラップタイムは4’10になります。これは順調。このペースならハーフを1時間28分くらいで行けると思いきや、実際の通過は1時間30分で、サブ3狙いなら全く余裕がないことに気づいて焦るなんてことになるのです。
(リアルタイム)ペース
メーカーにより名称は異なりますが、ペースにもいくつかあり、以下の3つがよく使われます。
- その瞬間のリアルタイム『ペース』
- スタートからその地点までの『平均ペース』
- ラップタイムを押してからの『ラップ平均ペース』
この中のリアルタイムペース、GARMINでは『ペース』は練習でもレースでも私は使いません。と言うのは位置情報がかなり正確に分かる箇所でないと正確に測れないのと、実際1km4’15で走るにしても加速局面、減速局面がある中でリアルタイムのペースは使いにくいのです。
距離
GPSウォッチに表示できる項目はたくさんの中から選択できます。画面の大きさも関係しますが、6つも7つも表示させようとすると、計測項目が小さくなり瞬時に読み取れなくなります。またその数値を知ってもレース中に何も活用できないモノもあります。
距離に関しては、距離表示の少ない大会では有効な項目ですが、1kmごと表示のある東京マラソンでは不要です。GARMINが38kmでも、距離表示が37kmなら37kmなんです。また河川敷のようなフラットなコースで高度表示や累積(獲得)標高も要らないですよね。
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私の都市型マラソン用設定
こちらが私が今回の東京マラソンで使った設定です。
画面では分からないけど、オートラップはオフです。
表示は5分割にしました。
上から
- リアルタイム心拍数
- ラップタイム
- ラップペースとタイム
- ラップ距離
私は主に見る項目は心拍数とラップタイムです。
ラップペースも一定参考にします。
そしてタイムはスタートからのタイムですから、ハーフ以外に、14、28kmと、30、40kmなどで確認します。
ラップ距離はラップボタンを押してからの距離で、この項目はなくても良いのだけど、7km地点は5kmでラップを押してから2kmなのに、時計では2.05kmを示していたら50m誤差が生じているなど判断材料にしてます。
その辺りを勘案してラップペースを見れば実際の走行ペースの目安が分かります。
私がしているように5kmごと手動ラップにしておけば、サブ3を狙うなら5kmごとに21分付近が基準になりますが、それより速いか遅いか瞬時に分かるし、7km地点でラップタイムを見れば5kmからの2kmのタイムが分かり8分20秒なら4’10/kmペースなんだな。と簡単な暗算でペースが分かります。
1kmごとにラップを押す方いますが、それだとちょっと集中できなくなるんじゃないかな。と感じます。
14km、28kmでタイムを見る理由
先程スタートからのタイムを14km、28kmで見ると書きましたが、理由はだいたい1/3、2/3地点だからです。10数年前から使っています。
サブ3なら14kmを1時間、28kmを2時間を目安にどれだけ下回っているかで現時点の状況がイメージができます。実際は195m分を勘案して59分30秒、1時間59分をざっくりイーブンペースと考えています。
ペース感覚を身につける
GPSウオッチを効果的に使うために大事なことは、自分自身のペース感覚を身につけることです。いつもペーサー任せ、友人任せではなく、例えばキロ5分はどのくらいのスピード感なのかを視覚的情報から掴むようにし、合わせて心拍数の上がり具合から判断するなど練習時からペース感覚を身につけることはとても大事です。その感覚を掴むことができるとGPSウオッチが示しているペースはおかしいのではないか?と気づくこともできます。
またいつもペーサーに引っ張ってもらう練習ばかりしていると、大半の大会では自分を引っ張ってくれる人やペーサーはいないので、自分のペースが掴めずオーバーペースになったり、遅過ぎたりして挽回しようと上げたりとリズム良く走ることができなくなってしまいます。
普段の練習から距離が正確な場所で手動ラップにして、ラップを押したら今回は何分何秒くらいかと予測した上で、時計を見るなど良い練習になります。