世界的ウルトラランナーの不正失格の記事を読んで感じたこと

先程Yahoo!ニュースでこのようなタイトルの記事を読みました。

一部区間でボルト超え…英ウルトラマラソン大会3位の47歳女性選手、反則で失格処分

レース中に車などに乗って移動する不正行為は、参加人数の少ないウルトラマラソンでは、日本でもたまに耳に入ってきます。今回のは車で移動した時のペースが、ボルトより速いからこのようなタイトルになっていますが、これだけだと、バカな人がいるんだな。で終わりですが、今回不正行為をしたのは、世界レベルの選手なのです。

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48時間 411.458kmで暫定世界記録

Joasia Zakrzewski選手の記録をDUVウルトラマラソン統計で調べたら、自己ベストはこんな感じです。

100km 7:31:33(2015年)
24時間 247.984km(2022年)
48時間 411.458km(2023年)

特に48時間走の411.458kmは2月開催の台北48時間走で記録されましたが、3月にアメリカのCamille Herronが435.336 kmを記録するまでは暫定の世界記録だったのです。

台北48時間走には日本人選手も走っています。

24時間走や48時間走は周回コースで行われるので不正などできませんから、非常に強い選手であることは間違いありません。

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48時間走を短期間に連戦

記事の中にこのような文言があります。

彼女はオーストラリアで開催されたウルトラマラソンで48時間を走った後、大会前日に英国に到着し、コンディションが悪かったため今回の行為に及んだという。

これだけ読むと、疲労が大きく走れないが、負けたくないために不正行為を行ったように読めますが、私が感じたのは、2月11-13日に48時間走で当時の世界記録を出し、そして今回不正行為を行ったGBウルトラマラソン大会の開催日は4月7日で、その直前に48時間走を走っていたなら、前の48時間走から2ヶ月開けずに走ったことになります。

長時間のレース参加は要注意

私は48時間走の経験はありませんが、スタートからフィニッシュまで48時間以上走ったことはあります。24時間走も睡魔など厳しいですが、2日連続徹夜で動き続ければ幻覚や幻聴など脳にさまざまな異常な状態が発生します。

48時間走でも睡眠時間をある程度取りつつ走るならまだしも、24時間時点で235km走り、そこからの24時間で175km走ったり歩いたりして世界記録を出したのだから、ほぼ寝てないでしょう。

そのような心身ともに過酷なレースを短期間に2回も行えば、正常な判断はできなくなってもおかしくありません。

世界的なウルトラランナーがやってしまったことに衝撃を受けましたが、一般ランナーでも徹夜状態が続くような大会に参加する場合は注意が必要です。ある意味心神喪失の状態に陥ることもあります。

心神喪失とは、「精神機能の障害のために、利害得失・是非善悪を判断できないか、判断はできてもその判断に従って意思決定できないという、意思能力を欠く状態をさす概念。」だとコトバンクに掲載されています。

明日からウルトラトレイル・マウント・フジ(制限時間45時間)が開催され、4月末からゴールデンウイークには川の道フットレース(制限時間132時間)が開催されます。ウルトラトレイル・マウント・フジは上位選手であれば1回夜を越えるだけですが、大半の選手は2回夜を越えます。私も第1回大会を走りましたが、1日目の夜中はさほど眠くはありませんでしたが、2日目の夜中は過酷な天子山塊であったこともありかなりキツかったです。明らかに言動がおかしい選手もたくさんいました。川の道フットレースは途中3箇所のレストポイントで仮眠など取ることができますが、タイムや順位を狙うためにほぼ睡眠を取らずに先に進む選手もいます。睡魔に襲われたり幻覚を見たりならまだしも、心神喪失の状態になると自分自身が何をするか分からないのだから、ほんと無理しないで進んで欲しいと思いました。

今回のケースはミスコミュニケーション?ただその原因は?

車に乗った女性ランナーが失格処分に 英ウルトラマラソン

またBBCの上記記事によると、

レース中盤に痛みを感じ、係員に棄権を伝えるつもりで次のチェックポイントまで友人の車に乗せてもらい、チェックポイントに到着し、棄権することと車に乗ったことを係員に告げたところ、係員は「やめたら自分が嫌いになるよ」と言ってきた。そして「競争ではない形で続けることに同意した」上でフィニッシュ地点に到着するとトロフィーを渡せれて記念撮影をしてしまったらしい。

本人は、競技者として走っていない(=リタイアした)ことを関係者に伝えずに後悔しているとしつつ、「悪意はなく、ミスコミュニケーションだった」と付け加えたとあります。そしてそれらの原因は「疲れと時差ぼけで、体調が悪く、頭がぼんやりしていて、はっきりと考えられなかった」と話しているようです。

48時間走直後の大きな疲労がある中でこの大会に出場したことが原因であったなら、そもそも『このような行動を取ったらこのような結果になる』という判断もできない状態なのだから出場したことが原因だと感じました。

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