2023チャレンジ富士五湖で3種目で大会新

2018年大会の画像 石川選手と大林選手の一騎打ちを見守る富士山

4月16日に開催されたチャレンジ富士五湖の大会ページに速報が公開されました。

完走率

エントリー者数3,819人のうち、3,456人が出走し2,405人が完走しました。全体の完走率は約70%です。

種目出走者数完走者数完走率
FUJI5LAKES男子(118km)66331547.51%
FUJI5LAKES女子(118km)844958.33%
FUJI4LAKES男子(100km)1,39891665.52%
FUJI4LAKES女子(100km)35722763.59%
FUJI3LAKES男子(62km)64961594.76%
FUJI3LAKES女子(62km)30528392.79%
合計3,4562,40569.59%

ただ種目別に見ると118km 48.7%、100km 65.1%、62km 94.1%と大きな差が生じています。その理由は単に距離が長いということだけではなく制限時間が厳しいのです。

種目距離制限時間平均ペース
FUJI5LAKES118km15時間7’37/km
FUJI4LAKES100km14時間8’24/km
FUJI3LAKES62km11時間10’38/km

上記平均ペースは、エイドステーションに立ち寄ったり、信号待ちによるロスを含めたものなので、例えば118km出場者が20分程度の信号待ちに捕まり、エイドステーションに40分寄ったとすると、走行中のペースは平均7’07/kmが必要になります。これは走力によりますがサブ4レベルだと結構厳しいです。このレベルだと1トラブル、2トラブルで余裕がなくなってしまいます。距離が長ければ時間も長くなりトラブルも増えるので走力的な余裕度は必要です。

その点、62kmは信号待ちなど勘案してもキロ10分ペースで完走できるのだから、とにかく後半走れなくなっても諦めずに歩けば制限時間に間に合います。

それが2倍近い完走率の差に繋がっています。

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上位選手と大会記録

今回の上位選手と前回大会までの大会記録を一覧にしました。

黄色で囲った選手が今回の大会終了時点での大会記録です。

もちろん大会記録なので全て素晴らしい記録なのですが、大事な視点を書いておくと備考欄に掲載した通り、種目によって距離の変更があるのです。箱根駅伝で山の神と言われた選手の大記録が現在残っていないのは発着点・区間距離が変わったからです。山の神の記録より実質的に遅くてもコース変更があった年の区間1位の記録が区間記録となります。チャレンジ富士五湖も4LAKES以外は距離が変わっています。5LAKESは2014年まではしばらく112kmの距離が続きましたが、2015年から118kmに変更。3LAKESは昨年から62kmに変更されました。

今回100kmで優勝した板垣選手は100km大会記録保有者ですが、62kmに変わる前の71kmの大会記録保持者でした。タイムは4時間31分04秒(ave.3’49/km)で、その時2位に1時間近く差をつけました。71kmと現在の62kmの変更点はスタート直後のアップダウンの厳しい9kmをカットしているので、そのコースで4時間31分はしばらく破る選手はいないだろうといった記録でしたが、破る選手がいないまま種目がなくなってしまったのです。

私が凄いと思った記録はいくつか紹介します。

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凄いと思った記録

・女子118kmは仲田選手が従来の記録を1時間以上更新

仲田選手はIAU100km世界選手権6位の世界レベルの選手です。また200kmを超える大会では男子含めて大会記録を作っている選手なので驚きはしませんが、実力通りの力を発揮し男子含めても2位に入ったのは流石です。2位の選手に約1時間、3位の選手に約2時間の差をつけたのだから力が抜き出ています。

チャレンジ富士五湖速報の100km地点のタイムは7時間36分01秒になっていますが、この計測地点はやや手前のようです。上位選手の記録を見ても98.5km地点くらいかな??と感じます。それでも実際の100km通過でも7時間40分前半で走っているでしょう。世界選手権で出した7時間19分12秒が仲田選手の自己ベストですが、チャレンジ富士五湖のコースはアップダウンがある他、信号で止められるのです。私は100kmを11回走りましたが、信号待ちに捕まりにくい走り方をしていてもタイミングが悪いと連続して捕まります。完全に止められたり、明らかに間に合わないから手前から歩くことによるロスなど勘案すると20分ほどの影響はあると考えています。しかも今回は結構気温が上がった中でこのタイムを出したのです。

・女子100kmは富井選手が大会新記録

速報が出るまでは、昨年大会記録を出した兼松選手が優勝したと思っていたので、その兼松選手に40分の差をつけて優勝した選手がいると知って驚きました。兼松選手は3月中旬に神宮外苑24時間チャレンジで優勝した選手で、100km世界選手権には連続して出場している日本を代表する選手です。今回は神宮の疲労などがあるにしても、昨年兼松選手が出した大会記録より10分以上速くフィニッシュしたのです。

昨年、兼松選手が8時間02分の記録を出した時に、この信号待ちの多いコースでこのタイムはあり得ない。その翌月に柴又100Kで7時間38分の自己ベストを出しましたが、その自己ベストよりチャレンジ富士五湖の8時間02分は凄いと感じていました。

富井選手はウルトラマラソンはほぼ走っていないようですが、今年の大阪国際女子マラソンは2時間47分01秒、東京マラソンは2時間48分58秒で走っていますが、フルマラソンのタイムから考えると、このコースで7時間48分を出したことはかなり凄いことです。エントリーしているかどうかは知りませんが、信号待ちなどないサロマで気象条件が良ければ相当なタイムを出せるでしょう。また凄い選手が出てきました。

・男子62kmは甲斐選手、曽宮選手、児玉選手、そして4位の下村選手まで大会新

昨年の62km優勝記録4時間41分の平均ペースは4’32/kmは、昨年118km優勝の曽宮選手の平均ペース4’10/kmよりだいぶ遅いので、今年強い選手が走れば大会記録更新は間違いない状況でしたが、4位までが大会新となりました。優勝した甲斐選手は45分以上の更新です。甲斐選手の平均ペースは3’47/kmです。甲斐選手は翌週のKAIに出場のため余裕を残して走る予定で、2位の曽宮選手は神宮外苑24時間チャレンジで痛めた脚の状態確認で出場し、このタイムで走ってしまうのです。上位3選手のフルマラソンタイムは2時間16分前後ですから、信号待ちがあってもこのくらいのタイムは出せてしまうのです。参考までにフル2時間16分の平均ペースは3’13/kmです。

曽宮選手によるとラストの登りで競り合いをしていたけど、ラスト2kmを切ってからの信号で明暗が分かれたようです。信号待ちは仕方がないとは言え、優勝争いをして最後に信号待ちはちょっと厳しいですね。そしてその後は競技場に向けて左折する箇所を本人が気づかず、そのまま直進し数百mロスしてしまったようです。

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完走難易度の目安になる方法

ウルトラマラソンに限らず、トレランなどでもコース難易度を掴みたい時に参考にしてほしいシンプルな方法を紹介します。

それは総合優勝タイムと制限時間の関係です。大会記録が分かるのなら大会記録で比較し、分からなければ前回大会の記録で比較してみてください。

チャレンジ富士五湖で計算すると以下のようになります。

コース制限時間大会記録倍率
FUJI5LAKES15時間8時間11分1.83倍
FUJI4LAKES14時間6時間54分2.03倍
FUJI3LAKES11時間3時間55分2.81倍

概ね2倍が標準と考えてください。それより低いと完走が難しくなり、高いと完走が優しくなります。

トレランでもOSJ ONTAKE100の2022年大会の100マイル優勝タイムは17時間32分で制限時間は24時間なので1.37倍になります。100km優勝タイムは8時間58分で制限時間は20時間なので2.23倍。100マイルは過去100kmを14時間以内で完走したことがないとエントリーできませんが、それでも完走率が低いのはコース難易度(距離・累積標高・サーフェスなど)に対して制限時間が厳しいのです。

ONTAKE100の100kmは2回走り、両方とも14時間は切っていますが、参加資格の14時間ギリギリの選手だと100マイル完走は難しいと思います。100km優勝タイムと14時間を比べると1.56倍。100マイルの優勝タイムに1.56倍をかけると27時間21分になってしまいます。100マイル優勝タイムと制限時間の倍率1.37倍を、100km優勝タイムにかけると12時間17分になりますが、完走している選手の記録を調べたら大きな差異はないと思います。

また、女性であっても、女性の優勝タイムで調べるのではなく、男性もしくは総合優勝のタイムで調べてください。理由は男性に比べて女性の出走者は少なく母数が少なく、優勝を狙えるような選手の層が男子に比べて女子は薄いので、強い選手が出たかどうかでタイムは大きく変わるからです。

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