以前、このような記事を作りました。2016年に作成した記事をアップデートしたものです。
その後、更新された世界記録や日本記録があるのでアップデートしてみました。
今回はウルトラマラソンも加えてみました。
<スポンサーリンク>
世界記録も日本記録も男女の記録差は1.1倍
男女比は前回同様、短距離、中距離、長距離とほぼ1.1倍です。世界記録も日本記録もほぼ1.1倍です。
ただ、ウルトラマラソンになると12時間走や24時間走など世界記録は男子に記録と比較して女子の記録は低めですが、それはそもそも競技人口が少なく、突出した選手が登場すると大きく変わってしまうのです。現在、100km、12時間走、24時間走の世界記録保持者のSorokin Aleksandr選手は12時間走、24時間走では突出した存在であり、現時点でこの記録を抜くのは本人以外は難しいと思われています。女子に関しては2019年に世界記録が更新されましたが、この記録を更新しそうな選手は複数いるので近い将来更新されて男女差は詰まっていくでしょう。仮に女子の世界記録が280kmに到達すると男子の記録差は1.14倍となり小数点以下2位を四捨五入すると1.1倍になります。
短距離、中距離、長距離、ウルトラマラソンで必要な能力は異なりますが、人間の限界域においては男女の記録差がほぼ1.1倍になることは客観的事実です。
世界記録や日本記録はその種目において突出した才能を持ったアスリートが、弛まる努力をしたことによって出された人類史上(日本記録は日本史上)最高の記録です。
その記録にチャレンジできるアスリートはほんの一握りですが、その世界記録をベースにして以下のような考察を行うと、自分が経験したことがない種目においてもおおよそのレベル感を掴むことができます。
<スポンサーリンク>
世界記録のレベルをイメージする
世界記録の1.1倍から2倍までのタイムを計算したのが以下の表です。
マラソンがイメージしやすいので黄色のラインを引きました。
一握りの市民ランナーしか達成できないサブ3は世界記録のほぼ1.5倍です。
他種目の1.5倍をみていくと、距離が変われば多少難易度は変わっていきますが、サブ3をギリギリできないランナーの水準が1500m5分09秒、5000m18分53秒と同じなのはさほど違和感を感じません。
念のために書いておくと、マラソン3時間01分なら5000m18分53秒、1500m5分09秒が出せて、さらに100mで14秒37が出せるということではなく、逆に100m14秒37の市民アスリートがマラソン3時間01分が出せるというわけでもありません。あくまでその種目の人類の限界である世界記録との比較なのです。
種目差は多少ある前提でレベル感をみていくと
1.1倍・・・女子世界記録レベル、ニューイヤー駅伝・箱根駅伝上位チームレギュラー、ニューイヤー駅伝・箱根駅伝出場校エースクラス
1.2倍・・・日本人女子メジャーアスリートレベル、日本人男子市民エリートレベル
1.3倍・・・日本人女子市民エリートレベル
<スポンサーリンク>
100kmマラソンの倍率は少し違和感
上記記録のレベル感にはほぼ違和感は感じないのですが、違和感を感じたのは100kmです。例えばマラソン2時間13分で6時間42分も違和感あれば、マラソン2時間49分で8時間31分も違和感があり感覚的には30分の差があります。
その理由は、その他種目はまさに人類史上最速の記録であり、100m9秒58やマラソン2時間01分09秒を破る選手がいたとしても大幅更新などあり得ませんが、100kmは10分単位で世界記録が更新される可能性があると競技に取り組んでいるアスリート自身が感じているのです。例えばマラソンで2時間10分切っている選手が本格的に100kmに取り組むと6時間を切れるだろうと言われています。100kmレースの優勝賞金が1億円くらいにならないと走ることはないでしょうが、マラソンで2時間1〜3分台の選手が大挙して100kmに本腰を入れると5時間35分くらいまでタイムは伸びると私は考えています。まさに現在の世界記録より30分速い水準です。
その記録を基準に考えると1.1倍は6時間08分、1.4倍は7時間49分となりますが、マラソン2時間49分で100km7時間49分は感覚通りです。
しかし、24時間走319kmはマラソン2時間01分と同等のレベル感だと感じています。そのくらいとんでもない記録です。これはマラソン2時間1〜3分台の選手が本気で取り組んだとしても100kmとは違い24時間走では結果を出すことは難しいでしょう。なぜならマラソンは2時間の競技ですが、24時間走はその12倍の競技時間であり走力以外の様々な能力が必要になってくるのです。
そして、100kmと24時間走も世界記録レベルだと競技時間が約4倍違います。100km速い選手が24時間走で結果を残せないケースはよくあることですが、その一番の理由はこの絶望的に感じる競技時間の長さです。その意味では、100km、24時間走両方の世界記録を保持しているSorokin Aleksandr選手は凄いとしか言いようがありません。
<スポンサーリンク>
世界記録と自分の記録を比較してみる
下記画像は、私の記録が世界記録に対してどの程度の水準にあるかを一覧にした表です。
100mから200kmオーバーまで走る方は少ないと思いますが、種目問わず1.5倍以内には収まっていて、種目問わず大きな差は生じていません。
カテゴリーで加重平均してみると短距離は遅く、中距離は速いことが分かりますが、それは短距離についてはほぼ練習ができていない(=技術が身についていない)過程での記録だから仕方がありません。
またマラソンよりハーフマラソンの倍率が低く(=レベルが高い)、さらに距離が短くなるごとに倍率が低くなっていることから、持久型ではなくスピード型であるということが分かります。
これは自分の感覚と同じです。
また800mと1500mで倍率がやや異なりますが、800mは1500mと同じ1.37倍で走るなら2分18秒25になりますが、十分出せるタイムと感じています。
<スポンサーリンク>
400m以下の短距離はスタートブロックを使うなど技術的な要素がタイムにも大きく寄与しますが、このあたりの技術が一般的な短距離ランナーレベルになりレースに慣れれば、400mも世界記録の1.4倍にあたる1分00秒24付近までは行けそうに感じています。
200mは走ったことはありませんが、現在の技術・能力のままで予想されるタイムは、世界記録の1.47-1.48倍の28秒21〜28秒40です。先日の400mの200m通過タイムが29秒ジャストくらいだったので、出せるタイムです。ただこのタイムは先日開催された東京マスターズ陸上選手権の(M55クラス)に出場した10人中10位の記録28秒17にも届きません。ようはビリということです。
ちなみに短距離のレースに出ていないマラソンランナーが、流しで100mを14秒くらいで走れるから、そのくらいのタイムが出せると感じている方はいると思いますが、短距離の計測は静止した状態からスターターの合図に反応してスタートするので、まず反応するまでのリアクションタイムが生じます。そこから身体を動かします。そしてスターティングブロックに慣れていないと大きなロスが生じるので、自分が出せると感じているタイムより1秒くらい遅くなるケースが大半です。私も100mの競技会に出るまでは13秒台前半は出せると思ってましたが、これって50代後半の初心者短距離ランナーには難しいタイムだと感じています。
人類の限界値の1.4倍程度で走りたい
出場したい大会の参加標準記録を目指す場合を除くと、多くの方の目標タイムは切りの良い数字になることが多いです。例えばマラソンなら3時間切りとか、800mなら2分20秒切りとか。とても分かりやすい目標ではあるのですが、私は合わせて世界記録(人類の限界値)の1.4倍で様々な種目を走りたいと考えています。
既に達成している種目もありますが、中々難しい種目も試行錯誤しながら近づけていけたら楽しいと思います。
今回は男子世界記録を基準に作成しましたが、女性であれば女子世界記録を基準に考えた方が良いでしょうし、日本人なんだから同じような骨格の日本人が出した日本記録を基準にしても良いと思っています。
自分自身が記録を持っていない種目のレベル感を把握する意味において、世界記録という客観的事実をベースに考えるというのは合理的だと考えたためです。