こちらは昨日Facebookページに投稿したものです。
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リーチ人数55万人以上
現時点のインサイトは、リーチした人数554,302人、投稿のエンゲージメント21,734と私のページでは過去最高です。都道府県人口で鳥取県は約55万人ですから、その県民人口に匹敵する方がこちらの投稿を見たというのはある意味凄いなと思います。
ここ数ヶ月にアップした動画投稿はリーチ数が伸びやすく40万人以上にリーチしたことはありますが、ニュース記事等のリンク投稿は1万リーチを超えたらかなり読まれたと感じるレベル感の中で今回はちょっと驚きです。
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とにかく凄いインパクトの記録
なぜ、それほど伸びたかというとインパクトがあるからです。
日本記録だからインパクトがあるのは当然ですが、今回はレース展開もすごく、世界トップレベルの選手に臆することなくついていき、従来の記録を大きく更新したことです。
今回破られる前の日本記録は2020年東京オリンピック決勝で廣中璃梨佳選手がだした14分52秒84ですが、田中希実選手は今年14分53秒60(当時日本歴代3位)を出し日本記録に0秒76に迫っていました。
仮に今回田中選手が自己ベストを1秒更新し、日本記録を更新しても凄いことですが、自己ベストを15秒62も更新したのです。(日本記録は14秒86更新)
5000mの経験が短い市民ランナーであれば1分以上更新することはありますが、レースを重ねていくと当然ながら伸び幅は少なくなります。それを日本最高レベルでこれほど更新したのだから、陸上競技をしている、知っている人なら誰しもが驚いたでしょうし、田中希実選手本人も「30秒台は予測していなかった。40秒台前半は出ると思ったけど、一気に30秒台までいけるとは思わなかった。」とインタビューに答えていました。
5000mを走ったことがある方ならレベル感について説明するまでもありませんが、マラソンメインの方だと日本記録14秒86更新のインパクトがイマイチ分からない方もいると思うので、違った視点からお伝えします。
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フルマラソン2時間16分台を出したインパクト
14分52秒84から14分37秒98は14秒86更新ですが、割合で考えると約98.3%です。日本記録のタイムを約1.7%伸ばしたということです。
市民ランナーに馴染みのあるマラソンで考えてみます。(念のために書いておきますが、田中選手がこのタイムを出せるという意味ではありません。また種目により世界とのレベルの差はあります。)
女子マラソンの日本記録は野口みずき選手が2005年のベルリン大会で記録した2時間19分12秒で、そこから18年間破られていません。
この日本記録の98.3%のタイムは2時間16分50秒になります。
元々田中選手は日本記録の100.085%のタイムを出していたのだから、イメージとすると2時間19分19秒を出していた女子マラソン選手が日本記録更新はもとよりレース展開によっては2時間17分台も出せるかもしれないと思っていたら、2時間16分台を出してしまったという感じでしょう。
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世界記録の103.9%
女子マラソンは以前はオリンピック金メダルや世界記録を出すなど日本のお家芸と言われた種目ですが、今では世界との差は非常に大きくなりました。そして5000mなどトラック競技はマラソンが世界トップレベルの時代でも世界との差は大きかった種目です。
そのあたりは世界記録と日本記録を比較するとよく分かります。
5000mの世界記録はF.キピエゴン選手(ケニア)の14分05秒20で、従来の日本記録は廣中璃梨佳(JP日本郵政グループ)の14分52秒84でタイムを比較すると105.6%でした。同様の計算をマラソンでも行い一覧表にすると以下のようになります。
田中選手が日本記録更新前
種目 | 世界記録 | 日本記録 | 比率 |
女子5000m | 14分05秒20 | 14分52秒84 | 105.6% |
女子マラソン | 2時間14分04秒 | 2時間19分12秒 | 103.9% |
18年前に出した野口選手の日本記録は現在でも世界記録の103.9%の水準にあるのです。
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そして、今回の田中選手の記録を入れるとこのようになります
田中選手が日本記録更新後
種目 | 世界記録 | 日本記録 | 比率 |
女子5000m | 14分05秒20 | 14分37秒98 | 103.9% |
女子マラソン | 2時間14分04秒 | 2時間19分12秒 | 103.9% |
マラソン同様、世界記録の103.9%となりました。
世界記録との差を一気に80m短縮
ここでタイトルに書いた『世界記録との差を一気に80m短縮』について書きます。
現在の世界記録の平均ペースは2:49.04/kmです。そして従来の廣中選手のペースは2:58.57/kmでした。世界記録14分05秒20の時点で廣中選手の平均ペースだと4,733m地点にいたことになります。日本記録でも267mの差をつけられていたのです。
そして、今回の田中選手の平均ペースは2:55.6/kmですから、世界記録14分05秒20の時点で4813mまで到達しているのです。従来より80m近づいたのです。
もちろん現在でもトラック半周近くの差があるわけですが、世界との差が広がり続けていた中で、一気に短縮したのだから素晴らしいことです。
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参考までに、高橋尚子選手が世界記録を更新した2001年当時の女子5000mの記録を調べてみました。
2001年当時の比較
種目 | 世界記録 | 日本記録 | 比率 |
女子5000m | 14分28秒09 | 15分03秒67 | 104.1% |
女子マラソン | 2時間19分46秒 | 2時間19分46秒 | 100.0% |
当時、マラソンは日本記録=世界記録なので比率は当然100%ですが、5000mは104.1%でした。このタイムを出したのは弘山晴美選手(資生堂)で1998年の記録です。既に25年前の記録ですが現在でも日本歴代7位の当時としては突出した記録でした。その後2005年に福士選手が日本人女子初の14分台の日本記録を出すと、その2020年に新谷選手が14分台を出すまで15年間も14分台を出す選手があらわれずに、5000mだけではなくマラソンも世界レベルから大きく遅れ始めました。
当時の5000m世界記録と日本記録の差を計算すると弘山選手は世界記録14分28秒09の時点で4,803mに到達していました。
その点など考えると、今回の田中選手は走りは世界レベルに追いつき始めたと言っても良いでしょう。