弘前6日間走の結果と分析、世界記録など

日本初の6日間走が開催され終了してそろそろ2週間が経ちます。

大会会場で24時間走や48時間走を走っていた選手や、弘前には行っていないが私の記事を読んだ方々から、自分も走ってみたいという声がチラホラ聞こえてきました。来年以降も開催されると思いますが、出場した選手がどのような準備をしたか、どのような戦略で走ったか、レース中にどのようなことが起こったか、など選手が発信したり、場合によっては私がインタビューして記事にすることもあろうかと思いますが、今回は客観的数字のみから色々分析してみたいと思います。

また今回の大会だけではなく、過去の記録などをみて私が感じたことなども書き残しておきます。

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12時間ごと記録推移

まずこちらは12時間ごとの記録推移です。速報のキャプチャーをもとに作成しましたが、その時間が多少ずれたこともあるので1周分1.25kmズレている時間帯も多少ありますが誤差程度と思ってください。

視覚的に全体感を掴みやすいように私は色分けしますが、しっかり走れているのは赤でほぼ歩きなのは薄いオレンジ、ほぼ休憩になってしまったのは水色などです。

*こちらの画像データのみ保存し、SNS等へアップすることはできません。掲載する場合は必ずこちらの記事のリンクも掲載してください。

上記表を見ると上位選手は12時間単位でコンスタントに距離を積み上げています。終盤に入るまでトップを走っていた赤松選手は5日目が終わり最終日に入ったタイミングで長い休憩に入り12時間で48.75kmとなった間に、優勝した吉沢選手は85km、3位の中村選手は71.25kmと一気に追いつき追い抜きました。

上記数値をもう少し詳細に分析したのがこちらです。

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詳細分析

こちらを見るだけで色々見えてきます。

*こちらの画像データのみ保存し、SNS等へアップすることはできません。掲載する場合は必ずこちらの記事のリンクも掲載してください。

1日ごと最長距離

最終結果で日本最高記録を更新した3人の名前が目立ちますが、それ以外に1日目は小田選手が1位、2日目は小幡選手が3位、3日目は竹内選手が3位、最終日は渡辺選手が2位、鍋島選手が3位でした。

女子1位の鍋島選手が最終日にかなり距離を伸ばしたことがよく分かります。

1位2位3位
1日目小田選手
200.00km
赤松選手
192.50km
中村選手
190.00km
2日目赤松選手
138.75km
吉沢選手
131.25km
小幡選手
125.00km
3日目中村選手
140.00km
赤松選手
137.50km
竹内選手
130.00km
4日目吉沢選手
127.50km
赤松選手
116.25km
中村選手
111.25km
5日目中村選手
140.00km
吉沢選手
135.00km
赤松選手
123.75km
6日目吉沢選手
150.00km
渡辺選手
142.50km
鍋島選手
136.25km

ペース配分

マラソンなどのペース配分とは意味合いがだいぶ変わってきますが、最終結果に対して、1日ごと記録の比率を出してみました。一人一人も出し平均値も出しましたが、平均値、そして上位6人の平均値で見ると私が当初予測したような初日から徐々に落ちていくような傾向ではなく、初日以外はほぼ同じような比率になっていました。

海外レースの記録などを見る限りは徐々に記録は落ちていくので、今回は私が知る限り全選手が初めての6日間走のため手探りのレースになったのでしょう。今回走った選手が次回走るとしたら、どこで記録を伸ばすかなど考えると思いますが、上記表はその参考数値になるでしょう。

数値だけ見て私が感じたことを書くと2日目から4日目までは先が見えないキツさがある時間帯ですが、ここでいかに距離を伸ばすかで結果は大きく変わってくると思います。元々6日間走についてしっかり調べたことはないので、海外レースについても調べて見ようと思います。

午後と午前

今回大会は昼12時スタートなので午後と午前でどれだけ走ったかを調べてみましたが、上位選手はほぼ偏りなく走っていました。12時間単位でなくて3時間単位でデータを取るともう少し傾向は出ると思いますが、もし私が走ったとすると日差しが強く体力を消耗する12-15時は昼寝や歩きにします。ずっとコース上にいることは難しく睡眠などとるわけですから、走りにくい時間帯に休んで、走りやすい時間帯に走った方が距離は稼げるでしょう。おそらく今回参加した選手はそのような観点も戦略に入っていると思います。そして走れる状態であれば夜間の気温が下がった時は距離を稼ぐチャンスですが、ほぼ走れなくなった状態では気温が下がった夜間は厳しいので睡眠に充てるなど、気象変化への対応も大きな鍵になると思いました。

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6日間走の世界記録など

この大会が開催発表されるまで6日間走という種目があることを知っていた方は相当ウルトラマラソンに詳しい方だと思います。種目について知っている方も世界記録がどのくらいなのかを知っている方はさらに少ないと思います。

DUVウルトラマラソン統計で調べた記録を紹介します。

1000km以上は歴代6人

記録(km)選手
11036.800Kouros, YiannisGRE2005
21034.200Boussiquet, Jean-GillesFRA1992
31010.080Schwerk, WolfgangGER2007
41007.600Mainix, GilbertFRA1992
51002.000Smith, BryanAUS1989
61001.515Zarei, James (Rab’ali)GBR1990

世界記録保持者のKouros, Yiannis選手は1000km以上を4回達成しています。DUVウルトラマラソン統計のデータだけの情報ですが1984年7月に1022.868kmで人類初の1000km超を達成し、さらにその年の12月に2回目の1000km超達成(1023.200km)、そして1988年に1029.144kmと記録を伸ばした。その4年後の1992年に世界記録ホルダーを奪われましたが、13年経った2005年に再び世界記録ホルダーになったのです。凄いのは最初に出したのが1984年でそれから21年後にも出していることです。

またKouros, Yiannis選手は24時間走の前世界記録保持者(303.506km)で1997年に人類初の300kmオーバーを達成すると2021年にSorokin, Aleksandrが更新するまで24年間更新されることがなかった伝説の記録です。

女子の世界記録は900kmオーバー

女子の世界記録は今年の3月にアメリカのHerron, Jacquelyn Camille選手が901.768kmと1990年にBarwick, Sandra選手が出した883.631kmを34年ぶりに更新しました。Herron, Jacquelyn Camille選手は24時間走の前世界記録保持者(270.116km)で、その記録を破ったのが仲田光穂選手です。

 

このように日本では馴染みのない6日間走はヨーロッパやアメリカでは長年開催されています。

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世界記録とは?日本記録とは?

少し補足しておいた方が良いので掲載しておきます。

今回の弘前の大会後に記者から取材を受けたのでそこでも説明しましたが、例えば100mやマラソン、100kmの世界記録、日本記録とは異なります。

何が異なるかというと、どの団体・組織が世界記録を認定しているかです。

100mやマラソンなどオリンピック種目は世界陸連や日本陸連の公認競技種目です。公認された競技場やコースで公認競技会として開催され、競技後にドーピング検査など様々な手続きを経て世界記録や日本記録となります。100kmはオリンピック種目ではありませんが世界陸連や日本陸連の公認競技種目です。また公認競技会に出場するためには事前に選手登録(いわゆる陸連登録)をしなければなりません。

では24時間走や6日間走はどこが世界記録を認定しているかというと、国際ウルトラランナーズ協会(IAU)です。そして日本記録は一般社団法人日本ウルトラランナーズ協会(JUA)が認定します。

こちらは弘前ウルトラマラソンのパンフレットの表紙ですが、6日間走は日本ウルトラランナーズ協会の公認記録となります。

そのため弘前24時間走/48時間走/6日間走の参加資格は日本ウルトラランナーズ協会登録者に限られています。

その種目において権威ある団体・組織がその記録は正統であるとお墨付きをしたのが公認記録であり、その最高の記録がいわゆる世界記録、日本記録となります。

例えば7日連続フルマラソンチャレンジなど楽しみ方は様々

大会が終わって、来年は出場したいという声もありましたが、だいたいその後に、大会日数が長いので休暇を取るなどスタートまでのハードルも非常に高いと言葉は繋がります。その意味でも今回出場した27選手は凄いチャレンジなのです。

また、6日間走は日本記録など狙うだけの種目ではなく、いろいろな可能性を感じました。

例えばテレワークができる仕事の方であれば、仕事をしつつ、月曜日から日曜日まで7日連続フルマラソンを走るチャレンジなどもできます。それならスタートまでのハードルは多少下がるかもしれません。

計測は1.25kmごとなので1日34周42.5kmを一気に走ってそれ以外の時間は仕事や睡眠・食事などに充てる。正午スタートなので、月曜日と日曜日は12時間となりますが、それ以外は1日24時間のうちレースに8時間充てたとしても、16時間は仕事や睡眠などに使えます。

また『川の道』フットレースのような500km超えレースに挑戦したいが、事故などが怖いという方も6日間走を使って自分自身の目標距離をターゲットにほぼ段差はなく車が走らないコースを走ることができます。

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