楠瀬祐子 サブスリー&年間グランドスラム達成!!
本サイトの ウルトラランナー紹介 に登場した楠瀬祐子選手が、11月23日開催の大田原マラソンを2時間56分30秒で走り、念願のサブスリーを達成するとともに、今年の目標であった年間グランドスラムを達成しました。
年間グランドスラムとは、1年間にフルマラソン:サブ3、100キロ:サブ10、富士登山競走山頂の部:完走を成し遂げたランナーに与えられる称号です。女性で年間グランドスラムを達成するのは非常に難しく、特にサブ3が困難です。
楠瀬は2014年に100キロサブ10、富士登山競走山頂完走を成し遂げ、つくばマラソンでサブ3を狙いましたが、なんと3時間00分08秒とたった9秒に泣きました。
当時、ランニングタウンのランナーリレー掲載のために楠瀬にインタビューをし、【輝く女性ランナー】VOL.8 楠瀬祐子をまとめました。
8話くらいの予定が、第19話におよぶ長編になり、仲間からもどこまで続くのか?と聞かれましたが、この記事を読んで頂ければ、楠瀬がどのようなランナーなのかよく分かります。
その記事に、9秒に泣いた時のことも紹介していますので一部抜粋して紹介します。
------------<抜粋開始>------------
・・・ハーフを過ぎた辺りでレース前から懸念材料であった補給面の問題が出てしまった。
楠瀬はエナジージェルの甘さや香りが苦手で摂ると気持ち悪くなってしまったり、紛らわせるために水を飲みすぎて腹痛を起こしてしまったりするのである。
彼女はウルトラマラソンも走るので補給の大事さは十分理解しており、このレースに向けていろいろなジェルを試してみたがダメだったのだ。
つくばではジェル補給は諦め、飴の補給のみで走り切ろうとしていた。そのための練習も行ってはいたが、練習通りにはいかず、エネルギー切れになってしまったのである。慌てて念のために持っていたジェルを摂ったがジェルがすぐにエネルギーに変わるわけもなく、またエネルギー切れの怖さは十分に理解していたため精神的ダメージも大きかった。
その結果、前半は楽に走っても1キロ4分10秒ペースで走れていたのに、一生懸命走ってもサブスリーの平均ペースである4分15秒を保つことができなくなり、ペースは自分でも分かるくらい落ち続けたのだ。25kmから30km地点で1キロ4分20秒に落ち、その後4分23秒まで落ちてしまい、このペースではもうサブスリーに間に合わないと彼女は思ったのだ。このペースでいったら3時間2分台と計算した。しかし、諦めたくなかった。その時のことを楠瀬はこう語った。
「35km辺りで、このペースではもう間に合わないだろう...と思い始めつつ、前年に富士五湖ウルトラで8秒前にゴールというギリギリサブ10できた私なら、何とかできちゃうかもしれない!と最後まで諦めずに全力で走りました。」
絶対にサブスリーしたいという強い気持ちから動かない身体を一生懸命動かし、ペースアップは無理でも絶対にこれ以上落とさないと必死に頑張った。必死に頑張ったからこそ、涙が止まらないほど悔しかったのだ。
------------<抜粋終了>------------
是非、ランニングタウン【輝く女性ランナー】VOL.8 楠瀬祐子をお読みください。
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今年の主な大会結果
今回の大田原マラソンについて触れる前に、今年の楠瀬の活躍について簡単に紹介します。
チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン
2015.4.19
9時間04分01秒
女子優勝
グループトライアル5位(チームアスリチューン)
*チームアスリチューンのメンバーと撮影
野辺山高原100kmウルトラマラソン
2015.5.17
9時間51分20秒
女子優勝
*2戦連続優勝を飾り、一躍ウルトラランナー界のメジャーなランナーとなる。
サロマ湖100キロウルトラマラソン
2015.6.28
8時間47分38秒(PB)
登録女子 11位
*100km世界選手権の日本代表目指して果敢に攻めた。
富士登山競走 山頂の部
2015.7.24
4時間23分18秒
蓄積した疲労から厳しいレースとなったが完走を果たし、年間グランドスラムに王手
大田原マラソン
2015.11.23
2時間56分30秒(PB)
女子7位
念願のサブスリー
夢にまでみたサブスリーを達成した楠瀬は、レースをこう振り返った。
今日は大田原マラソン。
記録は2時間56分30秒。(7位入賞)
自己ベストを3分38秒更新し、念願のサブスリーを達成しました。
最近調子が上がらず、まさかこんなに走れるとは思いませんでした。実はFacebookに決意表明載せられないくらい、落ちてました。
コースは前半下り、後半上りのV字。天気は雨と強い風。そしてところどころにある堆肥の爆発的な臭さ。つらさしか無さそうなレースだけれど、今日はこれまでで1番気持ち良く走れたフルマラソンでした。やっぱり過酷な方が得意なのかしら。
前半飛ばして、ハーフ(1時間26分11秒)も30㎞(2時間03分39秒)も自己ベスト更新。
後半のかなりキツイ風も、人の後ろについて淡々と走れました。ニガテな上りもそれほどつらく感じませんでした。試走を1回していたので、いろいろイメージしながら走れました。
後半ペースが落ちているのは、上りと強風のせい。それが無かったらイーブンで押せてた?って思うくらい余裕がありました。
ホッとして、嬉しくて、誇らしさいっぱいで…。
喜びを噛みしめながら、力いっぱいゴール!
ホントにホントに嬉しいっ!
並走してサブスリーに導いてくれた要くんにも大感謝!!
溜まりに溜まった疲労を抜かなきゃと1週間前からスーパー銭湯+岩盤浴3回、酸素カプセル3回。内田治療院鍼治療、スッポン料理、勝負飯ピッツァ(巣鴨のピッツキューブ)、加圧(自由が丘のDEUX)での最終調整。ありったけの調整を詰め込んだ効果が出ました!
年間グランドスラムも無事達成(^-^)v
去年はかなり故障が多かったですが、3ヶ月でウルトラ4戦しても故障しないカラダができあがりました。
スピードが無くても、ペースをそれほど落とさずに走り続けられるスタミナが身に付きました。この持ち味、これからもさらにパワーアップさせていきたいです。
楠瀬が決意表明できないくらい落ちていたと話しているのは、疲労が蓄積し中々調子が上がってこなかったからです。1ヶ月前の高島平ロードレース20㎞は1時間25分8秒と今回の20キロ通過タイムより3分以上遅い。
そして、2週間前の世田谷246ハーフは1時間29分15秒と、昨年同日にいわい将門ハーフで出したベストより2分半遅かったのです。
その状態から、過酷なコンディションであった大田原マラソンで 一気に自己ベストを3分38秒更新する状態に仕上げたのだから素晴らしい。
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楠瀬の来年の目標
2015年最大の目標であった、年間グランドスラム(100㎞サブテン、フルマラソンサブスリー、富士登山競走山頂コース完走)を達成した楠瀬は、今年のサロマ湖ウルトラマラソン終了後こう話していた。
来年はウルトラマラソンで世界を目指したいです。とてつもなく大きく難しい目標であることは、今年初めてサロマ湖ウルトラマラソンに参加をして身を持って実感しました。
また、速いランナーの走りを直接見たりお話しさせていただいたりしたことで、自分は日本代表を目指すための努力や覚悟が全然できていないなと思いました。
これまでは自分の記録を追い求めることが多く、競い合うことをようやく覚え始めた私は、「何としても勝ちたい」と言う思いより「あわよくば」という思いの方が強かったように思います。まだまだ気持ちが中途半端でした。
だからこそ気持ちの面でも技術の面でも練習方法の面でも、伸びしろがいっぱいあると実感し、努力のし甲斐ががあるとワクワクもしました。今回持った思いを胸に、来年のサロマに向けて1年間しっかり頑張りたいと思います。
大田原マラソンを走ったばかりの楠瀬は来年の目標についてこう宣言した。
『来年は世界目指しますよー! 本気で!!』
ウルトラマラソンの連戦でも故障しない強さに、フルマラソンサブスリーのスピード、そして勝負レースに調子を合わせるコンディショニング能力を身につけた楠瀬は来年本気で世界を目指します。
楠瀬とアスリチューン
上記で紹介したように、楠瀬はエナジージェルが非常に苦手であったが、奇跡的に アスリチューン・ポケットエナジー は飲めた。インタビュー時に私の手元にあったアスリチューン3種類を渡して使ってもらったところ、 エナゲイン と スピードキュア は受け付けないが、 ポケットエナジー は飲んでも気持ち悪くならないことから、その後のレースで使っている。
今回の大田原マラソンでは、スタート前と23㎞地点で ポケットエナジー を使った。その他、錠剤のサプリやブドウ糖を合わせて摂取したところ昨年のようなガス欠は回避された。
楠瀬は ポケットエナジー のことを『私が飲める貴重なエナジージェル』と話し、また『今回は水無しで摂取できたので、好きなタイミングで取れて良かったです。』と話しています。