サロマ湖100kmウルトラマラソン 完走のためのペース

サロマ湖

サロマ湖ウルトラマラソンに参加するランナーのためのウルトラセミナーを開催しましたが、サロマ湖ウルトラマラソンで制限時間(13時間)内完走を目指しているランナーのために、完走するためにどのようなペースで走ったらよいかを掲載いたします。

私は過去2012-2015年大会の4回走って、8時間26分から9時間25分で走っていますが、その私に13時間で走るペースが分かるのか?と思われる方も多いと思いますが、私がお伝えするのは、私の経験則に頼ったことではなく、サロマ湖ウルトラマラソンを走ったランナーのタイム分析により算出した数値をベースにしています。

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関門時間

サロマ湖ウルトラ

上記はウルトラセミナーで参加者に配布した資料の一部です。

サロマ湖ウルトラマラソンの関門時間は非常にシンプル

チャレンジ富士五湖100キロは、第一関門をキロ8分を超えても通過することができますが、関門ギリギリで通過すると、登り基調の第二関門までをキロ7分切って走らねばならないなど、関門時間は一番厳しい関門に合わせて走る必要があります。

対してサロマ湖ウルトラマラソンは非常にシンプルで、関門設定は制限時間である13時間をイーブンで走れば通過できるキロ7分48秒前後で設定されています。

それを表にまとめてみました。

10キロが緩いのは、スタートロスを勘案しているためです。

ちなみに、昨年の全参加者のスタートロスを計算したところ、平均で1分39秒、最大で4分13秒でした。

先頭からスタートしロスタイムがないなら7分48秒ペースで走ればゴールできますが、スタートロスが5分あったとして、制限時間内にゴールするペースはキロ7分45秒です。

キロ7分45秒ペースで走ったらよいのか?

キロ7分45秒ペースでずっと走れるのであれば制限時間内にゴールできますが、終盤の落ち込みが一切なく一定のペースで走れるランナーは、相当余裕がないと無理なので、このペースで最初から最後まで走れるランナーはサブ10くらいの力がなくては難しいでしょう。ただサブ10で走る力があるのにあえて制限時間ギリギリで走る必然性がないので、ここではそれ以上触れません。

制限時間ギリギリで完走できるかどうかのランナーであれば、後半の落ち込みが一切なくゴールするのはまず不可能です。理由は距離が進むにつれて疲労が増すという当たり前のこと以外に、スタート時は涼しくても日中になると日差しが厳しくなるからです。またフラットと言われるサロマ湖のコースも中盤やワッカには短いが傾斜のキツイ坂道もあります。

したがって、序盤から関門時間に追いかけながらのレースで完走をするのは、無理と思ってください。

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完走するために必要な走力

では、サロマ湖ウルトラマラソンを完走するために必要な走力はどの程度なのか、目安になる数字を上げます。

フルマラソンの2.37倍の距離の100キロを走るわけですから、フルマラソンのタイムの◯倍という数値がすべての参加者にあてはあるわけもありませんが、気象コンディションがよい時で3倍前後と思ってください。 もちろん2.7倍を切るランナーも稀にいますが、上位選手であっても大半は2.8倍前後です。また2014年のような暑い大会になれば、上記に0.2くらい加算した3.2倍程度になるでしょう。

仮に3倍として考えるなら制限時間が13時間ですので、フルマラソンを4時間20分で走る力がないと難しいことになります。2014年であればサブ4くらいの走力は必要だったのでしょう。

この辺りについて、ウルトラセミナーでは様々な視点から検証した計算式などをお伝えしていますが、目安をお伝えするに止めておきます。

ここでは仮に4時間20分を切る力がないと完走は厳しいとしておきますが、自分はフルマラソンで4時間20分を切っていないから完走できないとガッカリしないでください。上手に走れば完走できます。そのために完走するための効率の良いペースをこれからお伝えします。

制限時間内にゴールするためのペースについて

サロマ湖ウルトラ

全ランナー分析結果

この数値は、2015年大会の2721人の全完走者のゴールタイムと10キロごとの区間タイムを分析した表です。

今回お伝えしたいのは、制限時間ギリギリでゴールするためのペースですので、12時間30分以降にゴールしたランナーの数値は公表させていただきます。

この時間帯でゴールした743人のデータです。

このタイムでゴールしたランナー743人はどのように走ったのかは、10キロごとの区間タイムの推移を見ればイメージできるでしょう。

もちろん平均値ですから、もっと速く序盤を走った方もいれば、ゆっくり走った方もいるでしょう。スピード型の方もいれば、持久型の方もいるので、ばらつきがあって当然です。ただ今回掲載した数値は平均値ですから12時間30分以降にゴールした多くのランナーはこの数値に近いペースで走ったことになります。これは私の経験則でも予測でもありません。

序盤はキロ6分30秒前後で走り、徐々にペースダウンして、後半50キロはキロ8分30秒ペースに落ちてゴールしています。この743人の平均ゴールタイムは12時間46分25秒です。

このペースで走れば良いのか?

では、制限時間ギリギリでゴールしたいならこのペースで走れば良いかというと、そうではありません。

例えば、フルマラソンを4時間20分で走るランナーの平均ペースはおよそ6分10秒ペースです。そのランナーがスタート直後から6分20秒程度で走るのは余裕がありません。序盤から余裕なく走ればほぼ確実に潰れます。そもそも関門通過時間にも余裕がないので、エイドで休んで回復を待つ時間もありませんので、リタイアになる確率は非常に高いでしょう。

では、どのようなペースで走れば良いのか?

上記画像のタイムがそのまま使えない理由

上記画像のタイムをそのまま使えない理由は簡単です。例えばこの743人はどのようなランナーかを考えてください。

制限時間内に完走するのがギリギリのランナーが多いとは思いますが、一定数はサブ10狙って走ったが、潰れたランナーも多いでしょう。

サブ10どころかもっと速いタイムを狙ったランナーも存在します。調べたところスタートの10キロの通過タイムが50分未満のランナーにも12時間45分を超えているランナーは存在します。2014年に至っては45分未満で通過したランナーにも、12時間半近くかかっているランナーも存在します。

その結果、これら思い切り潰れたエリートランナーが序盤の区間タイムは速くし、中盤以降のタイムは遅くしているのです。

そこでより実態に即したデータにしました

ウルトラセミナー参加者により使える資料を提供するために、潰れたであろうランナーを除外して再計算しました。

その数値は以下の通りです。

先ほどの数値より多少前半が遅くなり、後半は多少速くなりました。

序盤はキロ6分30秒を多少超えるペースです。30キロを過ぎたらキロ7分を越え、50キロを超えたらキロ8分を越えます。

411人の平均タイムは12時間52分25秒で10キロごとのラップタイムは以下のとおりです。

65'38 - 66'37 - 68'45 - 72'46 - 74'22 - 84'56 - 84'17 - 83'26 - 84'11 - 85'15

ゴールタイムに占める、前半50キロのタイムは45%程度です。

仮にロスタイムが4分あったとしても間に合います。またフルマラソン4時間20分ほどのランナーでも、一番速いペースでキロ6'40であれば余裕を持って走れるでしょう。

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序盤ゆっくり過ぎると完走は難しい

サロマ湖ウルトラ

ウルトラマラソンはスタートからゆっくり走るものだ。という人は多いし、そのように思っている人は多い。でもゆっくりという言葉は抽象的で人により捉え方は違う。もちろんサブ3ランナーのゆっくりと、サブ4ランナーのゆっくりは違うのは当然として、同じサブ4ランナーでもゆっくりの捉え方は違うのです。

ウルトラマラソンは序盤ゆっくり走ると伝えた方は、キロ6分くらいで走りなさいと意図してアドバイスをしたとしても、聞いた側はキロ7分くらいをイメージしているかもしれない。

上記画像もウルトラセミナーで使用した資料ですが、この18年間でもっとも完走率が高かった2015年(完走率81.8%)でも、スタートからの10キロのタイムが70分を超えると完走率は50%程度になってしまいます。完走率の低かった2014年に至っては、同区間において70分を超えると完走率は16.4%。65分を超えると、29.9%です。

上記で書いた、65'38は2015年であれば65'00〜69'59で通過した650人の中では相当上位であるので、完走率は70%を超えているでしょう。

どう走るか?

上で書いた、区間タイムを見て気づいたと思いますが、一部を除いて徐々にペースは落ちています。

イーブンペースで走ろうなんて思わないでください。きつくなったら徐々に落としていけばよいのです。30キロくらいでキツくなった際に、ウルトラマラソンは根性だとばかりにペースダウンしないように一生懸命走らないでください。普通のランナーは根性でペースダウンを抑えることができるのは10キロ、20キロ程度です。そこで頑張ると確実にその先潰れて大きくペースダウンします。もちろんラスト20キロなら根性で何とかなるかもしれませんが、苦しくなってから50キロ、60キロペースダウンせずに走れると思わないでください。特に50キロまでは苦しくなったら我慢せず、楽に走れるペースに徐々に落としましょう。徐々にペースを落として大失速を防ぐのです。

ただし最低限超えてはいけないペースは決めましょう。例えば上に書いたラップであれば50キロまでは走行ペースはキロ7分で耐える。50キロを過ぎたら走行ペースはキロ8分で耐えて、エイド休憩、水かぶり、トイレなど含めて10キロあたり3、4分に止めるなど。

このタイムで走るランナーは歩いても良いと私は思います。考え方は様々ですが、一歩でも歩いたら完走ではないと無理して歩くようなスピードで走るより、歩いても走ってもペースが変わらないなら、腰の位置を高くし、背筋を伸ばして、腕をしっかり振ってガシガシ歩くことで、リズムとフォームを取り戻すことができるかもしれません。

そして歩くにしてもダラダラと歩き続けないで、時間や距離を決めて歩くようにしましょう。


完走に必要なことは、今回書いたペースメイクだけではなく、補給計画や、どのようなアイテムを使うかなど大事なことはたくさんありますが、今回はペースメイクについて紹介しました。

ウルトラセミナーでは主観的になりがちな精神論的なことは極力使わずに、数値に基づいた客観的な内容にしていますが、本当にキツくなった時、トラブルに襲われた時に大事なことは『絶対に完走する。そのために自分はいま何をすべきか?』を考えることです。諦めの気持ちは負のスパイラルに陥ります。

サロマ湖ウルトラマラソン走られる方頑張りましょう!!


サロマ湖ウルトラマラソン対策のウルトラセミナーは今年はもう開催予定はありません。今回のペース設定だけではなく様々なことが分からないなど不安で仕方がないという方、Facebookページのメッセージにてご相談ください。日時によりますが、完走に向けてのコンサルは可能です。