ランナーの貧血は栄養バランスだけでは防げないこともある

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(注)画像はイメージであり、本文内容とは一致しておりません。以下の画像も同様です。

一生懸命練習して力をつけ自己ベストを順調に更新している多くのランナーにとって最も怖いのは故障だと思います。場合によっては走ることができなくなるだけではなく日常生活にも支障がでるような事態に陥ります。

合わせて怖いのは貧血です。女性ランナーに多い事象ですが、少なからぬ男性ランナーも貧血に苦しんでいます。

貧血の原因は様々ですが、一般的には栄養バランスが悪かったり、量が不足していることで発生しますが、栄養バランスに非常に気をつけているランナーでも練習量が増えることにより酷い状態に陥ることもあります。

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また貧血は、故障と違って急激に痛くなるなどの症状が出るわけではないので貧血とは気づかず、練習しても調子が出ない状態が長引き、レースで結果がでないことから、練習量を増やすなどし徐々に悪化していくことが多いです。

今回は、貧血に苦しみながらも克服し自己ベストを出した女性ランナーから、どのような状態がきっかけだったのか、どのような症状が続いたのか、どう克服したのかを教えていただきました。

ランナーが安全に快適に走れる環境作りのために、本サイトでは練習時の事故防止への記事などを配信していますが、今後は貧血で苦しむランナーを少しでも減らすような取り組みも配信していきます。

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身体の異変〜負のスパイラル

身体の異変を感じたのは2015年10月始め頃でした。今までは布団に入ったら朝まで目が覚めないのに、何回も目が覚めました。そして、いつも食欲旺盛なのに、あれが食べたいこれが食べたい、の食への欲がない。この状態が1ヶ月近く続きました。

練習しているのに結果に結びつかない→もっと練習する→寝られない→疲れが取れない→消化も悪くて食べられない…負のスパイラルにはまっています。

食事はバランスも考え、毎食しっかり食べるように心がけていましたが、消化が悪く、食べたい量が食べられていませんでした。

そのような状態だったので、10月始めのハーフも高島平(20km)も目標通りに走れません。

疲労も抜けず、消化不良を起こしていたので体調はどん底。

貧血外来で受診〜血液検査の数値はほとんどが異常値

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ついに職場でも顔色が悪いと言われ、日常生活にも支障が出始めたので、病院へ行くことを決心し、1年前、貧血になったランナーと話しをしたら症状が似ていたので貧血外来を受診しました。

病院で、5月の健康診断でヘモグロビンがギリギリ正常値内だったのと赤血球の数も正常だったのを伝えたところ「この5ヶ月でそんなに数値が落ちることはない、身体が疲れてるし精神的なものでは?」と診察時に言われました。自分でもそう思っていました。

結果が出る一週間は食欲がでるような漢方を処方されましたが、飲んでも症状は変わりませんでした。

血液検査の結果を聞いたら、ほとんどの数値が異常値でした。

貧血はもちろん、貯蔵鉄(フェリチン値)もカラッポ、赤血球も何もかもその他ほぼ全ての項目が異常でした。特に酷かったのがCK(激しい運動や肉体労働、筋肉が損傷を受けると高値になりやすい数値)で、正常値より数倍の値でした。

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貧血克服に向けて

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血液検査の結果から、医師にまず第一に身体を休めるよう指示されました。具体的には、休足日を増やすか、ポイント練習を止めてジョギング程度にするかのどちらかを選択するよう言われました。

次に貧血を改善するために、この時点では食事では補いきれない状態だったので薬を処方され服用しました。また食事にも今まで以上にバランスに注意するようになりました。

2週間後に控えていた本命にしていたフルマラソンは目標タイムを下方修正し、楽しむことを目標にしました。

身体を休めるだけの2週間でしたが、ぐっすり寝られるようにもなり、食欲も回復してきました。目標タイムを下方修正して楽しもうと切り替えたことで少なからず気持ちが楽になったこともよかったと思います。結果、当初の目標タイムには届きませんでしたがベストを更新できました。

数値が正常値に戻るまで2ヶ月以上かかりましたが、その間は鉄剤を服用していました。

(※今回の血液検査では貧血に限らず、その他の数値が酷すぎたので貧血よりも他の数値を治すのに時間がかかってしまいました。)

思い当たる原因

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2015年夏は2014年より練習量が増えていて、大量の汗をかき、それに伴った補給が足りていなかったと思います。大量の汗をかくと体内に蓄えた鉄も失われます。

また、練習が足りないから記録が出ない、と勘違いし、しっかり身体を休めずに追い込んだ練習を続けていました。

ここまで体調が悪くなることは過去経験がなかったので調べていませんでしたが、もしかしたら毎年10月頃は貧血気味だったかもしれません。

2014年までは、そもそもそんなに練習していなかったですが、4年以上記録が伸び悩んでいたので今シーズンは絶対記録を伸ばしたい、という気持ちが強く、練習量が増えたのだと思います。

一気に練習の方法を変えるのは危険かもしれません。特に夏に練習量を増やすのは危険だと思います。

再発防止に向けて

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11月のフルマラソンを終えてからは、自分の身体の疲労を確認しながら、練習メニューを考え、無理しない程度にポイント練習をしていました。

12〜1月まで、10kmもハーフもフルも全てベストを出せたので、練習の仕方は良かったかもしれません。

再発防止に向けて、ほとんど自炊している食事を、五大栄養素が全て揃う食事バランスの良い食事に切り替え、毎日続けていました。さらには調理器具を鉄鍋・鉄フライパン変えたりしました。ちょっとやりすぎかもしれませんが、あんな苦しい思いはもうしたくありません。

今年の夏は貧血にならないように定期的に検査をしながら乗り越えたいと思います。

ランナーに気をつけてほしいこと

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鉄が元々少なかったり失いやすい方はバランスの良い食事をしていても、鉄補給が追いつかない人もいると思います。

その場合の最終手段にサプリメントが必要になることもあります。ただしサプリメントも摂取しすぎると肝臓などに負担がかかるので過剰摂取は危険です。

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もし、サプリメントまで使うのであれば、定期的な血液検査を行い、医師との相談しながら使ってください。私も医師からそう言われました。

ただ、それ以上に気をつけてほしいのは、練習強度を一気に上げないことです。特に夏は気をつけてください。

また、今回は貧血に視点を当ててもらいましたが、身体の不調(不眠・食欲不振)は、必ずしも貧血が原因ではないかもしれません。あらゆる血液検査の数値が異常値だったので…その中に貧血があった、という感じです。私の場合は症状が最悪な時は生きた心地しないくらい酷かったです。ここまでの状態になる方は少ないと思いますが、『体調不良=貧血含め既にどこかがおかしくなっている。』と思った方がいいです。もちろん、そのような状態になる前に気付くのが一番です。

一生懸命練習しているのに、自分の体ではないような走りしか出来ないのは悔しいし苦しかったです。

周りから見て、『やる気ないんじゃない?』と思われてしまうのも私は悲しかったので、いつものように走れている人が走れなくなっているのを見たら、体調を気にかけてあげる…もしくは強制的に病院に行った方がいいと言ってあげるのも、悪化する前に気づけるきっかけになると思います。

本サイトより

ストレッチ

『走った距離は裏切らない』はランナーであれば聞いたことがある言葉だと思いますが、『走った距離は平気で裏切ります。』目標達成のためには走行距離を伸ばさねばならないと、寝る間も惜しんで練習した結果、故障したり貧血になり目標達成どころか、日常生活にも支障が生じているランナーをたくさん見てきています。

絶対に目標を達成したという強い気持ちが、不安にさせ、30キロ走が足りない。スピード練習が足りない。友人が目標達成した時の走行距離に届いていない。とコンディションを良くするよりも、走行距離を優先させると非常に危険です。

ランナー

自分は栄養バランスに気を使っているから貧血にはならないなんて思わないでください。身体に入る栄養以上に消費すれば不足するのは考えれば分かることです。

ランナー

今まで感じたことがないような疲労感が続くようであれば、医師に相談してください。早ければ早いほど良いです。

また会社などの健康診断で血液検査はしていますが、貯蔵鉄(フェリチン値)は検査項目に入っていないこともあります。追加項目になるケースもありますが、合わせて検査されることをオススメします。


貧血に苦しんでいる。もしくは苦しんでいた何人かのランナーに同様のインタビューをして、何回かに分けて連載していきます。

また、月間走行距離150キロで2時間30分をキープするランナーで紹介しましたが、どれだけ走行距離を増やすかを考えるのではなく、目標達成のためにはどんな練習が必要かを考えることが大事です。今回インタビューをさせていただいた女性ランナーも、走行距離を落としましたが、目標達成にはどのような練習が必要かを考え練習を変えたことで、貧血も克服し自己ベストを更新し、来シーズンはさらなる飛躍を目指しています。

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