ウルトラセミナー参加者が念願のサブ9達成!!

ウルトラプロジェクト

12月からスタートしたウルトラセミナーは補講を含めて、すでに7回の開催となりました。のべ100人を超える参加者の方々にはお礼申し上げます。

この週末に、【平日夜開催】第2回ウルトラセミナー補講に参加いただいた岩切信泰さんが、OSAKA淀川ウルトラマラソン100kmの部を走り、8時間55分55秒、総合12位、と初めてサブ9を達成しました。おめでとうございます。

おそらく、セミナー参加者が出走した最初の100キロレースですが、素晴らしい結果がでて私も嬉しいです。私自身は参加者の皆さまがしっかりとご理解いただけるようすすめてるつもりでも、内心は少し情報量が多すぎるのではないか、深く入り込みすぎてはいないかなど不安な部分もありました。

今回、岩切さんに、レースについて、そしてセミナーを受けて何が変わったかをインタビューさせていただきました。

ご参加いただいたセミナーについて

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セミナー参加者には、現在のタイムや目標タイム、参加予定大会などを書いていただきますが、岩切さんの申込書を見ると、フルマラソンのタイムは私より少し速く、100キロも9時間ちょうどくらいで走っている走力のあるランナーだと知りました。

そして目標には、『今年のサロマは悪条件であっても9時間を切る』と書かれ、加えて『3回連続で惜しくもサブ9を逃しており、なんとしても達成したい。』と熱いメッセージが書かれたいました。

岩切さんに参加していただいたセミナーは補講ですので、本来は、本セミナーの資料をそのまま使って開催しても良いのですが、その岩切さんの期待に沿うべく資料に手を加えました。

何を加えたかというと、私が走った過去4回の10キロごと区間タイムと、その4回のうち3回走った岩切さんのタイムの比較を行い3ページ加えたのです。

資料は3ページですが分析等には結構時間をかけました。

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フルマラソンのタイムは私より速いのに、サロマ湖で結果が出ないのには理由があります。それはペース設定かもしれないし、補給かもしれない。その辺りを、一般論ではなく自分ごととしてご理解いただくには数値で示した方がより理解が深まると思い、本人の了解を得て作りました。

もちろん岩切さん以外の参加者にとっても、参考になる良い事例だと思いました。


この時のセミナーは目標タイム設定や、ペース設定などたくさん計算をしていただく参加型セミナーでしたが、岩切さんにもたくさん計算してもらいました。

念願のサブ9達成!!

この大会への参加の目的

サロマの前に練習でウルトラを走っておこうと決めたものの、仕事やレース後のダメージを考えると良いレースが少なく、このレースを選びました。超フラットながら景色の変わらない淀川河川敷の右岸と左岸をそれぞれ一往復する修行コース。そして東京マラソン4週間後なので、ウルトラ練無しでどこまで走れるかの実験レースでした。

レース展開

スタートは淀川河川敷で、気温5度の中震えながらスタートを待ちました。スタート直後は、今年のサロマと同じ設定のキロ4:50弱のペースで順調にラップを刻みました。36kmで折り返すと強い向かい風、河川敷なので20km弱の間、向かい風が続き徐々にビルドダウンしました。この時の順位はおそらく一桁台でしたが、55kmのエイドで誘導ミスがあり、荷物置き場まで100m逆走し往復で200mロス。その後、気持ちを、切り替えてキロ5分10秒くらいの快調走でしたが、誘導がイマイチで、更に400m(計600m)多く走ることになりました。終盤はばて気味になったので無理せず、85km以降はLSDペースに切り替えて、8時間55分55秒で無事ゴール、何とか初サブ9ができました。年代別7位、総合12位でした。70kmまでは良い走りが出来たので、これからのウルトラ練で持久力を上げ、6月のサロマには万全のコンディションで挑みたいと思います。

従来と変わったこと(岩切さんへのインタビューによる)

今までのレースと違ったのは四点あります。

①入りのペースをキロ10秒ほど上げてみた

セミナーで学んだペース配分や、自分にとってのペースの強度(従来のキロ5分ペースより10秒くらい上げても体感に大差はないが、20秒上げるとややきつくなる)を踏まえて設定したものです。これで貯金が増えたので、後半、精神的に余裕を持って走れました。


【解説】序盤から飛ばすのではなく、呼吸が乱れない程度の気持ちが良いペースで入ることをセミナーですすめています。岩切さんは今シーズン2時間50分そこそこで走ったランナーですから、キロ4'50ペースは非常に心地よいペースだと思います。

コースによりもちろん違いますが、フルマラソンの平均ペースの17%増程度のペースが良いと話しています。例えば3時間30分で走るランナーはほぼキロ5ですから、17%増しは5'51ペースです。もちろんキロ6でも構いませんが、この走力のランナーであれば、5'50ペースも6'00ペースも疲労感などは変わらないと思います。それであれば序盤に少しでも先に進んだ方が、精神的にも楽になりますし、暑くなる日中に走る時間を短縮できます。ただし、このペースに無理があるのであれば落としてください。

②とにかく体感としてのイーブンペースを徹底した

サロマでは中盤の坂を少し頑張り、ペースの落ちを最低限にする走りにしていましたが、今回は向かい風の時はペースダウンを甘受しました。


【解説】ウルトラマラソンはストレスを極小化することができれば目標達成に近づくとセミナーで話しています。ストレスとは気象変化やトラブルを含めてですが、ペース維持がきつくなる場面でペースダウンを無理に抑えるのは著しいストレスです。私はブログ等で体感イーブンという言葉を使いますが、実際のペースをイーブンに保つのではなく、苦しさなど感覚をイーブンペースに保つのが良いと思います。

③補給を増やした

新澤さんのサロマの補給計画を参考に小まめにアスリチューンによる補給をとりました。これらにより、今までのようなブレーキ区間なく走れたような気がしています。


【解説】アスリチューンに限らず、お気に入りのジェルなどを早め早めに補給することでガス欠を防げます。ガス欠になるとペースが保てなくなるだけではなく、精神的にもネガティブになってきます。少し気持ちがネガティブになったと思ったらガス欠のサインと思って補給してください。

またエイドの過ごし方などもセミナーでお話ししました。

④給水を増やした

サロマのような脱水症状になることがないよう、小まめに給水を取りました。


【解説】岩切さんは小まめに給水したとの事ですが、取りすぎも注意です。胃の吸収に追いつかないほどの給水は胃の動きを停止させてしまいます。エイドステーションの間隔にもよりますが、2.5キロおきもしくは、時間走のような周回コースで1.5キロごとにエイドがある場合は取りすぎになるので注意が必要です。このあたりについては、セミナーで私の過去痛い目を見た経験を含めてお話ししました。

その他分かったことと、サロマへ向けて

セミナーで言われた、『キツくなってから20kmまでなら根性でなんとか走れる』というのは僕の感覚と合います。今回は70kmくらいからキツくなりだしました。根性走りをすれば20キロを30秒くらいは上げられそうな感じでしたが、今回はあくまで練習として走ったので無理せずに走りました。サロマに向け、フルのスピード強度を大きく落とさず、長距離練も入れて、キツくなりだす地点をワッカ入口くらいまで延ばせたらと思っています。


【解説】人並みはずれた精神力の持ち主はいますが、通常のランナーはキツくなってから頑張れるのは10〜20キロ程度です。100キロマラソンの50キロくらいでキツくなってもペースを維持しようとするればもちろん20キロ程度は粘れますが、一気に崩れ落ちる可能性が高くなります。上記①の解説でも書きましたが、キツくなったら少しづつペースを落としていくのが多くのランナーに適した走り方です。

100キロを自己ベストに近いタイムでネガティブスプリットができるのは、ごく少数の人並み外れた超持久系ランナーだけです。

ウルトラセミナーの参加者について

参加者は、岩切さんのように8時間台を目指す方から、制限時間内完走を目指す方まで狙うレベルは様々です。また初めて100キロマラソンにチャレンジする方から、経験豊富な方まで経験も様々です。

セミナーは私の経験則による話もありますが、基本となるのは、過去の大会参加者データなどの分析による客観的な裏付けを大事にしているので、レベルに関係なく目標達成に向けたお手伝いができると思います。

今後も月1回の定期セミナーと、補講セミナーを開催する予定ですが、加えて目標レベル別の少人数セミナーの開催も予定しています。参加者レベルが揃うと、使う数値もより自分ごとの数値になるので吸収しやすいと思います。

思うような走りができない方は、できない原因が必ずあります。そして多くの場合は、その原因を正しく理解していないのではないでしょうか?何が原因で思うような走りができなかったのかを正しく理解することが第一歩だと思います。ウルトラセミナーではそのお手伝いをいたします。

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