OSJおんたけウルトラトレイル完走率100%(ウルトラセミナー参加者)
(本記事の画像はウルトラセミナー参加者の撮影です。)
OSJおんたけウルトラトレイル公式ページに暫定リザルトが掲載され、今年は1015人が出走し、855人が完走(完走率84.2%)しました。昨年は1015人出走で707人完走(完走率69.7%)でしたが、今年は朝方から強く冷たい風雨に晒されましたが、酷暑より走りやすかったでしょう。
そして、7月3日開催の【ウルトラセミナー】おんたけウルトラ対策セミナーに参加した12名の方のうち、今年のおんたけを9人が走り全員が完走しました。(また当日出席できず一部資料をお渡しした方も完走しました。)
また9人中8人がおんたけ初挑戦です。どのようなコースかも分からず、どのような目標設定をして良いかも分からないところからスタートしていますが、結果として8人全員がほぼ目標通りのタイムでゴールしました。
中にはそんなタイムでは走れるはずがないと思いながらも、設定通り序盤を走ったところ、目標を上回るタイムでゴールした方もいます。
今回の記事を読んでいただければ、目標設定の大事さなどがお分かりになると思います。
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目標タイム設定について
おんたけを走ったことがないランナーに向けての基準を考えた
ウルトラセミナーでは、目標タイム設定やペース設定を参加者に計算してもらいます。
初めて走るコースであればどのくらいで走れるか想像しにくいと思いますが、過去の様々なデータを分析することで目安になるタイムは見えてきます。例えばロードの100キロウルトラマラソンで10時間で走れるのか、13時間かかるのか分からなければペース設定もできません。もちろん当日の体調や、気温など外的要因に影響されることはありますが、普通の状態であれば◯時間で走れるという基準があるのとないとでは大きく違います。
林道区間のある野辺山ウルトラとの比較を行った
ロードの100キロマラソンに関しては、ウルトラセミナーで他の大会やフルマラソンのタイムなどを参考に、目標タイムの目安を計算してもらっています。今回はロードのウルトラマラソンの中では林道区間を走ったり、アップダウンの激しいレースである野辺山ウルトラマラソンとの比較を行いました。過去2年間に両大会を完走しているランナーのタイムを分析し、相関関係を調べました。当然ながら野辺山は調子が悪かった。逆におんたけは調子が悪かった。であろうという事例はありましたが、一定の目安になる数値は取れました。それが上記の画像です。
野辺山ウルトラの約1.17倍
野辺山のゴールタイムによらず、サブ10ランナーも、完走ギリギリのランナーも概ねおんたけでは1.17倍かかっていることが分かりました。当然ながら制限時間20時間のおんたけで大きくタイムを崩すランナーがいるとこの倍率は大きくなってしまうので、大きく潰れたであろうランナーは除外して計算を行った。そちらでは1.12倍でした。
例えば、野辺山が10時間であったなら、おんたけは11時間12分。乖離値を除かないで1.17倍をすると11時間42分です。この数値をベースにして、夜間走行が苦手であるとか、さほど気にならないとかを勘案して加減すれば良いのです。
他の100キロウルトラマラソンの完走はあるが野辺山はないという方のために
セミナー参加者には事前に、現在のフルマラソンや走ったことがあれば100キロのタイム、セミナーで知りたいことや練習状況などを書いてもらい提出していただきました。
参加者のうち野辺山を走ったことがある参加者は半分以下ですし、ロードも含めて100キロ初挑戦の参加者もいました。
そこで、現在までに開催したチャレンジ富士五湖対策、野辺山ウルトラ対策、サロマ湖100キロウルトラ対策などで使用したデータをもとに、チャレンジ富士五湖とサロマ湖100キロウルトラと、おんたけウルトラとの予想タイム倍率を算出したのが上記画像です。
この数値の考え方は A:B=1:1.1 B:C=1:1.2 であるならば A:C=1:1.32 ということです。
また、100キロを走ったことがない方には、フルマラソンのタイムをベースに個別に計算した倍率をお伝えしました。
サロマ湖100キロウルトラを10時間で走った方であれば、その1.37倍ですから、13時間42分となります。
登り坂や砂利道、夜間走行が得意な方なら1.31倍で良いと思うので13時間06分となります。
両方のタイムを目安にして目標タイムを決めていけば良いと思います。また過去のベストタイムではなく直近のタイムもしくは今走ったらどのくらいで走れるかをベースにしないと参考になるタイムは出ません。
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目標タイム設定について
上記で算出した目標タイムをベースにして、区間タイムを計算してもらいました。
この区間タイムは前年の全出走者のタイムをベースにして計算しています。
レース直前にコース変更が一部あったのと、大会当日に関門の位置変更(遠くなった)が発表されましたが、どのくらいのペースで走れば目標タイムでゴールできるのかをセミナー参加者は把握しているのでオーバーペースにもスローペースにもならずに走れたと思います。
実際に計算してもらったのは、こちらの画像の数値です。
上の画像は全完走者のゴールタイム別平均区間比率を算出していますが、この中には序盤飛ばして潰れたランナーも含まれているので、平均値からの乖離が大きいランナーは潰れたと判断し除外して再計算したのが上記画像です。
上手なペースで走ったランナーを平均した数値です。
それ以外に、第一関門までのタイムとゴールタイムをマトリクスにした表などを算出し資料にまとめた他、昨年100マイルを走った小川さんからコースの路面状況やエイドの状況、そして夜間にトレイルを走る上でのアドバイスなど実体験に基づいた話をしてもらったり、質問に答えてもらったりしました。
私自身、小川さんの話で一番参考になったのは、「ライトは明るければ明るいだけ良い」という話です。私は夜間視力が弱く、また砂利道が嫌いなので転倒が怖かったのですが、明るいライトを用意したことで怖さを感じずに走ることができました。
以下、参加メンバーの結果やレースの感想をまとめました。
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H.Mさん 男性
目標タイム 13時間54分
野辺山ウルトラのタイム 11時間53分28秒から算出 目標 13時間54分 区間タイム 4:51→4:16→2:10→2:34
結果 13時間55分18秒
区間タイム 4:32→4:28→2:25→2:30
目標タイム算出時の感想と走った完走
「中盤つぶれて全くダメになりそうでしたがその後に復活し、結果としてシミュレーション通りのタイムでゴールできたのは驚きです。シミュレーションと比較すると最初つっこみ気味だったのがわかるので、次回はしっかりコントロールして入ろうと思います。40kmあたりで新澤さんが「復活を待つ」と言いながら走って行ったのを見て、自分も復活に期待して良いかもと思えたのが良かったです。本当に良い体験でした。」
セミナーうけた時の感想
想像より速い目標ペースのシミュレーションでしたが、富士五湖や野辺山でのシミュレーションがうまくいってるので、おんたけもきっとうまくいくと思えました。
S.Oさん 男性
(画像はコース画像)
目標タイム 12.5時間以内
算出根拠 野辺山11時間16分04秒から算出
結果 12時間34分00秒
目標タイム算出時の感想と走った完走
「コース変更があり、タイムシミュレーションをやり直して臨みましたが、前半からペースが上がらずそのままゴールタイムに響く結果に。原因を分析して今後のレースにいかしたいと思います。」
「今回、セミナーで計算したゴールタイムより少し遅い結果となりました。野辺山プラス1時間と考えると順当かもしれませんが、もう少しいきたかったです。」
H.Kさん 女性
目標タイム 14時間以内
算出根拠 野辺山13時間27分47秒 富士五湖10時間46分59秒 富士五湖のタイムで計算
結果 13時間27分39秒
女子総合 13位 年代別 2位
目標タイム算出時の感想と走った完走
「ずーとじゃりじゃりの林道、後半ペース下がりまくりでしたが、総合13位の年代別2位。こんなにいい結果、表彰台も初めてで嬉しかったです!」
「おんたけの目標タイムは野辺山で計算すると15時間48分。野辺山は体調も悪く歩きまくりだったのでこのタイムで算出はないなと考え、富士五湖で計算すると13時間58分。100マイル出走権利も14時間、友人の過去タイムなどから目標は14時間としました。レース当日は後半落ちることを想定して、走れるとこはそこそこ走って前半に貯金作れた感じです。第2エイド以降は雨でお腹が痛くなり始めいいペースの速さで走れなくなってしまい失速。第3エイド以降はのろのろ走りで完走って感じです。」
H.Kさんの富士五湖は転倒による治療で20分ほどロスしているので、ほぼシュミレーション通りの結果となりました。
A.Yさん 女性
画像はコース画像
目標タイム 17時間台
算出根拠 フルマラソンのタイムから算出
結果 17時間1分09秒
目標タイム算出時の感想と、走った完走
「きつくてしんどかったけれど、楽しい17時間1分09秒の長旅でした。道中いろんな人とおしゃべりして、お互い励ましあって、何度も会ううちに友達になっていくっていうのが長いレースの楽しいところのひとつだなぁと思いました。初の林道夜間走もみんなのヘッドランプの灯りが綺麗で、ワクワクしました。一人の時間もすごく長かったけれど、無心で体を動かすことだけに集中できるって幸せなことですね。」
目標タイムでは最初の方は少しゆっくりすぎるかなという感じでしたが、わたしは足が終わるのがわかっていたので、最後に計算を合わせるように最初の関門までは貯金を貯める感じで走りました。あとは距離表示がズレまくってるので…その辺含めると後半はほぼぴったりでした。
T.Sさん 男性
目標タイム 15時間以内
算出根拠 野辺山ウルトラマラソン 13時間21分59秒 ×1.12 = 14時間58分
結果 14時間34分XX秒
目標タイム算出時の感想と、走った完走
「長野県のOSJおんたけウルトラトレイル100kに出場しました。深夜0時スタートという珍しい大会にも関わらず、100kの参加者は1000人位。大雨あり、石ころだらけの道、累積標高4000m超えの上り下りあり、こんなにいじめられたのは初めてと愚痴りたく程キツイ大会でした。目標タイム15時間に対して結果は14時間34分。こちらは満足しています。」
「野辺山を参考にした予測タイムは、セミナーを受ける前に考えていたタイムより随分と速いなという印象でした。しかし実際走ってみると30分近く早くゴールできたことに驚いています。途中歩きの時間もかなりあったので目標達成は難しいと思っていたのですが、セミナーで教えていただいた『ウルトラは復活がある』を考えながら現状を分析。結果70k地点で大復活。これが結果に繋がりました。私はそこから20kハイになり、最後7kでまた失速でした。ハセツネも出場しますので、次の課題とします。
A.Tさん 女性
目標タイム 18時間51分
算出根拠 ウルトラ未経験、フルマラソン4.40hから出して18.85h
結果 18時間22分XX秒
目標タイム算出時の感想と走った完走
「目標タイムに関しては、ウルトラ未経験だったので、何も分からず、その位なんだなと感じました。」
「今回は仲間と一緒に走り2人でゴールを目標にしておりました。なのでペースはお互い調整し合う状態でした。今回は曇りと雨でしたが、これが晴天になると、日陰が無いのでもっと厳しいレースになっただろうなとつくづく感じました。おんたけは、暑い時と寒い時の差が激しいなと思いました。来年は2パターンの天候を踏まえて、1人でもう一度挑戦しようと思ってます。その時は制限時間を気にせずマイペースに走れたら良いなと思います。なのでフルマラソンのタイムも、サブ4まで底上げしたいです。」
A.Iさん 女性
画像はコース画像
予想タイム 16時間03分
算出根拠 サロマ湖12時間から算出
結果 16時間08分XX秒
目標タイム算出時の感想と走った完走
「セミナー受講前は18時間で完走できれば良いなぁと思っていたんですが、欲をかいて完走タイムのシミュレーションで算出したタイムに目標を変更。エイドごとの通過タイムを意識して走ることができたおかげで予想以上の好結果をおさめることが出来ました。新澤さんの過去の選手の完走タイムに裏付けされた資料に心底納得。あれだけ膨大な過去の完走者タイムを時間をかけて、細かい分析されてるんだから 間違いない!って。
初ロングトレイルレースで満足のいく結果が出せて嬉しいです。本当にありがとうございました!あんなに大変なレースを走れたんだから、今だったらサロマ湖をもっと楽に走れそうです!
T.Mさん 男性
画像はコース画像
目標タイム 11時間以内
算出根拠 サロマ湖ウルトラ8時間42分より算出
結果 10時間44分00秒
男子総合19位/年代別2位
目標タイム算出時の感想と走った完走
「コースはトレイルといっても林道ダート石(岩?)の硬くガレた路面、変わることのない景色を100㎞。累積標高は3000m超中盤以降振り続いた雨の影響もあってかラスト5㎞でエネルギー切れ起こし、平坦ロードなのに歩いてしまったけど、目標としていた11時間切りを達成!今回、シューズをトレラン用にするか直前まで迷った結果、ロード用を選択( adizero Japan1ハイレモデル)アウトソールが一発で破損したけど、グリップも全く問題なし。何といってもトレラン用より慣れていて走り易い。」
「11時間はかなりストレッチな目標というのがシミュレーション結果でしたが、下りをキッチリ走ることが出来れば登りは半分位歩いてもそこそこのタイムが出るというのがこのコースの印象です。後半雨だったものの例年より涼しく走りやすかったのも勿論あると思います。あと新澤さんもおっしゃってるようにトレイル経験は無くてもロードのウルトラの持ちタイムあれば十分走り切れますね。現に私がそうです。」
E.Sさん 男性
画像はコース画像
目標タイム 15時間以内
算出根拠 セミナーの資料(各ゾーンのラップタイム)と、前回(2014)のデータを照らしあわせて15時間台としました。(最近の、ベースになるウルトラマラソン、マラソン記録がなかったので。宮古島トライアスロンでは参考にならず。)
結果 17時間32分37秒
目標タイム算出時の感想と走った完走
前半を前回と同じようにこなし、後半の落ち込みを減らせば充分いけると思っていたのですが、実際のところは全く違いました。第1CPは予定より15分遅れ。そこでトイレに28分待ちとかなり出遅れました。雨が降りだすと靴の中が水浸しになってしまいましたが、ウールソックスとガーニーグーのため、さほど心配しませんでした。第2CPでソックス&シューズを交換予定でしたが、土砂降りのため、換えのソックスは出しただけで水浸しになり諦めてそのままCPを出ました。その後足がマメだらけになってしまいました。そこからは歩くのが精一杯で、ほとんど歩き(ノルディックウォーク)でフィニッシュしました。敗因は、会場でHOKAが半額だったので、急遽シューズをそれに変えたのですが、なにか相性が悪かったのかもしれません。前回Inov-8 Rocliteで足裏痛に苦しみ、HOKAユーザーが羨ましかったので、つい購入してしましました。
A.Aさん 女性(セミナー参加できず資料の一部を送らせていただきました。)
画像はコース画像
目標タイム 不明
結果 18時間52分00秒
目標タイム算出時の感想と走った完走
「ありがとうございます!なんとか完走出来ました。初の3桁だったので自信にも繋がったように思います。次はSTYに向けて精進します!」
最後に
チャレンジ富士五湖、野辺山ウルトラ、サロマ湖ウルトラセミナー参加者同様、今回の参加者の完走率や目標達成率が高いのには理由があります。もちろんウルトラセミナーで、過去の参加者データを徹底的に分析し、参加者に必要な情報をお伝えしたり、小川さんが、過去走ったことで掴んだ情報を出し惜しみすることなく時間の有る限りお伝えしましたが、それだけではありません。
初めての100キロトレイルを走ることは肉体的にも精神的にも過酷です。自分と向き合う時間も非常に長く、トラブル発生時やキツイ場面では自分の弱さも見えてきます。そのような中で目標達成するには、しっかりと準備をしてチャレンジすることは必須であり、目標達成した方はその準備ができていたのです。
準備をしたことで余裕も生まれますし、厳しい場面では、こんなに準備をしたのに何をしてるんだって気持ちになり、力を振り絞ることが出来たと思います。
今後も、ウルトラマラソンが中心になりますが、トレイルに関しては、実際に何度も走ったことのあるのメンバーの協力を得て開催します。
現時点、計画しているのは以下の大会です。
・四万十川ウルトラマラソン
・えちごくびき野ウルトラマラソン
・ハセツネ
・信越五岳
ご興味のある方はFacebookページのメッセージよりお問い合わせください。