その9 リタイアするということ

アテネ

ここまでいろいろ書いてきましたが、現実にリタイアした場面で考えていたことなどを、恥を忍んで書いていこうと思います。時間の経過とともに記憶は上塗りされ、また消えていくので実際の場面で考えていたことと多少変わっていることはあろうかと思いますが、可能な限り忠実に書こうと思います。

なぜ恥を晒すかと言えば、まずは自分の弱さを認めることが大事と思ったからです。

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その前に過去に書いたブログ記事を紹介します。

アテネ

その前に、2年前の極寒のチャレンジ富士五湖で私は初めて100kmレースでサブテンを逃しました。またその時にリタイアについて触れているので紹介します。


昨日の極寒の中、チャレンジ富士五湖や、霞ヶ浦、長野を走られた方お疲れ様でした。私は100キロ初挑戦から10時間以内で走るという連続記録は6回で途切れてしまいましたが、短いレース含めての完走記録は継続中です。

昨日は厳しいレースでしたが、一瞬たりともリタイアしようと考えなかったと書きましたが、過去リタイアを考えたレースはあります。それはウルトラマラソンでも、UTMFでもなく初めてフルマラソンを走った掛川マラソンです。レースのことを何も知らないで走った2007年の掛川マラソンではハーフ手前で両足が攣りました。対処の仕方もまったく分からない。ゆっくり走ると攣るので残り半分以上早歩きをして一歩一歩ゴールを目指しました。制限時間が5時間と厳しいレースでしたので歩いたら間に合わないことは計算してすぐに分かりましたが、その場で出来ることは歩くことだけ。

途中に収容バスがありリタイアしようか、かなり心が揺れました。ただまだ歩けるのだから前に進もうと必死に歩きました。あの時にバスに乗っていたら、もうマラソンはしてないかもしれません。なぜなら、まだ先に進む力があるのに諦めてしまった自分に後悔したと思うのです。限界まで頑張ってリタイアしたなら、次はしっかり準備してチャレンジしようと思うでしょう。

アテネ

ウルトラマラソンは復活が出来ます。

まったく走れず、もう限界と思ったあとにしばらく休むと走れるようになることがあります。だからウルトラランナーは簡単には諦めません。

ただ昨日の富士五湖でリタイアした方はリタイア理由によりますが懸命な判断だと思います。

リタイアしようと思う時って、リタイアせざるを得ない原因があります。その原因を取り除けない限り復活は出来ません。

私は復活したことは何回もありますが、一番多いのは脱水とガス欠です。暑い時期のウルトラマラソンでは水分をとりすぎて胃に吸収されずに大量の水分が胃に溜まることがあります。この状態で固形物やジェルを摂取しても水に溶けるだけで胃に吸収されません。その時は気持ちが悪いのだから私は胃に溜まった水分を吐きます。そのあと少しづつエネルギーを補給することで復活します。誰にでも同じことが有効かどうかは分かりませんが私には有効でした。

アテネ

あとエイドで少し寝ることで復活することもあります。

ただ昨日の低体温症になった方がその原因を取り除くのは難しいことだったと思います。エイドにストーブがあれば低体温症になる前に身体を暖めることも出来たでしょうが毛布にくるまるくらいですからね。またスタート時は寒くてもだんだん気温が上がるならまだしも昨日は一日気温は上がらなかった。ウェアも濡れてるし生命に関することだからリタイアは懸命な判断だと思います。


レース中にリタイアをしようか浮かんだ時には、何が原因か?もう可能性はないのか?を自問自答したら良いと思います。

制限時間に余裕があるなら自問自答しながらしっかり休むことで復活することもあります。また、タイムや順位を狙って走っている方は、その結果が得られなくなったら走る価値がないと思われる方もいると思います。それは人それぞれの価値観ですから良いとか悪いとかではありません。

昨日走っていて自分自身、目標にしていたサブナインはおろか、富士五湖の自己ベスト(9時間29分)も序盤で厳しい状況になり、最低でもサブテンはしようと思ったけど三度目(小をいれると五度目)のトイレで絶望的になった。悔しかったし、体調もかなり悪いからまたトイレに行くことになると思った。。でもスタートしたら無事にゴールするのが私のポリシーだから止めるって選択肢はなかったです。

アテネ

ゴールしてからホテルに戻って風呂で富士五湖走った方と話をしたけど、その方はUTMFも完走するくらい走力はあるのに70キロくらいでリタイアしたとのこと。

その時は止めない選択肢はないくらい疲弊していたので、躊躇わずにリタイアしたとのこと。ただ収容バスに乗りスタート地点に戻る途中で苦しみながら頑張ってるランナーを見て、私はまだ走れたのではないか?? って後悔したとのこと。

リタイアは本人にとって辛い選択だと思います。でも止めて本当に後悔しないかを時間のある限り考えたらいいです。

でもその時に合わせて考えて欲しいのはリタイアしないことで、身体に大きなダメージが残らないかと、周りに迷惑がかからないかです。特にトレイルレースは無理して続行することで主催者等に多大な迷惑をかけることもあり得るので勇気ある撤退を。


ほぼ原文通りですが、元記事はこちら です。

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リタイアを考えた時

アテネ

2年前に書いたブログを改めて読みましたが、考え方は今でも変わっていません。

しっかりゴールしようと考えてスタートしたランナーで、リタイアして悔しくないランナーはいないと思います。もちろん私も悔しかった。

その時の私の状態は書いた通りでしたが、確かに胃腸の調子は悪く、まったく復活しない。体中は痛く歩くのも辛い、激しい睡魔に襲われた。そしてまだ100km以上残っているし、サンガスの山も行く手を阻んでいる。夜が明けたらまた容赦ない日差しが襲ってくる。

でもあのチェックポイントで限界だったかと言えば、今はそうは思わない。制限時間の限り先を進もうという気持ちはあったが、心の底では早くタイムアップになって欲しいという気持ちも芽生えていたような気がする。もちろん関門になんか引っかかりたいわけではないが、その真逆の考えも浮かんでくるのです。睡魔に襲われ冷静な考え方ができなかったのかもしれない。

アテネ

実際、私がレースを終えたチェックポイントには閉鎖3分前に到着した。しかしその前のチェックポイントから一歩も走れず、歩くのが精一杯で、途中眠さから膝を抑えて項垂れていたことから1キロ15分近くかかるペースに落ちていたので、自分自身制限時間に間に合わなかったと思いながら、チェックポイントに入った。既にリタイアを決めた外国人ランナーが椅子に座っていた。念のために閉鎖時間を見て、間に合っていたのを知ったのはその時でした。しかし次のチェックポイントの閉鎖時間を見た時に、もう間に合わないと考えてしまったのです。

実際のところ私より数分遅れてチェックポイントに到着した日本人ランナーは制限時間を過ぎていましたが、先に進みました。大きなチェックポイント以外であれば大目に見てくれるようです。そしてそのランナーは完走しました。決して諦めなかったのです。

対して、私はギリギリ間に合ったにも関わらず、そのペースではもう次には間に合わないとレースを終えてしまったのです。

アテネ

それ以前に、前のチェックポイントを出てから全歩きだった私は、本当に走れなかったのか?走れないにしても早歩きをできなかったのか?早歩きができないまでも、立ち止まらず歩き続けることができなかったのか?と考えると、もっと前の段階でゴールすることを諦めていた気がします。

荷物がなかった大エイドあたりから、そのような考えに取り憑かれていたのかもしれない。レースを終えた時には、もうこれ以上、先には進めないのだから、後悔はないと考えていた。

リタイアしたことは悔しいが、実力不足・準備不足と考え、後悔はないと考えていたが、こうやって文章にしてみると、やはりまだ先に行けたのではないか?という気持ちが湧き上がってくる。

アテネ

客観的に考えて、何が最大の原因だったかというと、様々な出来事を受け入れることができなかったことだと思う。序盤から自分の走りができなかった。そして今まで何度も復活してきたのでそれを信じて走ったが復活はなかった。少し目を瞑れば眠気は取れると考えたが今回はダメだった。いろいろ期待しすぎていたのかもしれない。期待が裏切られる度に気持ちは落ちていく。すべてを受け入れ、自分の今日できる走りはこんなもんなんだ。復活なんてない。絶対に回復しない状況でどうやったらゴールできるかと考えることができなかったのです。

また、チャレンジしようとしても容易に参加できないスパルタスロンに参加し、見たこともないような素晴らしい景色の中を走り、多くの方々の支援のもとで走ることができる素晴らしさをもっと感じながら、楽しみながら走るべきだったのだろう。もっと笑顔で走るべきだったのだろう。おそらく私は苦虫を噛み潰したような顔で走っていた。苦しいときほど笑顔で走ることの大事さを忘れていました。


そう、今年のチャレンジ富士五湖はタイムこそ良かったが、中盤以降苦しくなったが、無理に笑顔を作ったり、走りながら馬鹿げたことをしてると笑ったりして気持ちを盛り上げた。そんなことも忘れていたのです。

書いていて思い出したが、キツイ状態になってからは、他人に対して、そして自分に対しての言い訳を考えていた気がします。言い訳を考えれば考えるほどネガティブになってきます。我慢することができる痛みも我慢できなくなります。振り切れる睡魔も、振り切れなくなります。

そのネガティブな感情を振り切るには笑顔になることだと思います。次回はそのことを忘れずにスタートしよう。


スパルタスロンはいろいろ私に教えてくれました。

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