もし1億円賠償請求されたら!!

皇居

少しショッキングな見出しですが、ランナーの皆さんにもいつ発生するか分からないことです。

今日起こるかもしれません。。。

1億円払えますか??

まず、私は損害保険会社に勤めていましたが、早期退職していますので、勧誘の類はしません。ただ、今までの知識を忘れたわけでもなく、また現在でもFP資格は保有していますので、ご相談をお受けすることは可能です。

しかし、この2年弱で多少保険の内容が変わっているかもしれないので、詳細や加入内容確認、加入方法は直接、保険会社にお問い合わせください。各社のweb siteに問い合わせ電話番号が記載されています。

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この記事を書いた理由

マラソンシーズン真っ盛りの夕方の皇居はランナーで溢れかえっています。またランナーだけではなく、スピードの違う歩行者や自転車も同じ歩道を使っています。

そしてランナーの中にもゆっくり走る方もいれば、スピードを出す方もいます。一人で走る方もいれば、30人くらいの集団で走る方もいます。安全面に配慮して走るマナーの良いランナーもいれば、前を行くランナーや歩行者を押しのけるようにして走るランナーもいます。

ランナーのマナーの悪さがマスコミに取り上げられることも度々ですが、たまに驚くようなランナーがいるのも事実です。前のランナーを突き飛ばすようなランナーがいると、雑誌等にコメントしている人がいると、それは大袈裟でしょうと思うかもしれませんが、実際にいます。

これは、街を歩けばいろんな人がいるように、走るという行為をする人にもいろんな人がいます。日常生活でも多くの人に迷惑をかける人が走る時だけ、マナーが良くなるわけはありません。

ただ、 日常生活では特段マナーに問題があるとは思えない人が、ランニング中に周りに危険を及ぼすような走りをする人はいます。その多くは、危険を認識する力が弱い、もしくはその経験が乏しいのだと思います。

そのために、私は『練習コース紹介 〜安全に走るために〜』で順次コース紹介をしていますので、都内ランニングコースを走られる方は、是非お読みください。また、他のコースを走るにしても、危険な箇所を察知する能力は高まると思います。


そのような皇居ですから、ランナー同士、もしくは歩行者と接触することは毎日のように発生しているのでしょう。その大半は大きな事故にはなっていませんが、時々救急車がくるような事故も発生しています。残念なことです。

健康のため、ストレス解消のために良かれと思ってランニングをしているのに、人生を狂わせてしまうような事態になったら取り返しがつきません。

新聞紙上に掲載されるような重大事故を私は見ていませんが、大きな事故は発生しています。また、自転車が歩行者とぶつかり後遺障害を負わせたなどで数千万円の賠償判決が出ている事例は少なからず新聞等に掲載されています。

ただ、賠償事故の大半は裁判によらずに、示談で解決します。

自動車による事故は軽微な事故を含めれば非常に多く発生していますが、裁判になるのはほんの僅かです。

同様にランナーが原因の衝突などでも示談で解決している事故は少なからず発生していることでしょう。

なぜ、私がこの記事を書いているかというと随時コースを追加している『練習コース紹介 〜安全に走るために〜』 の作成の理由と同じです。

ざっくり言うと ランナーに不幸になって欲しくない からです。

自分がケガをするのも不幸なら、他人にケガをさせるのも不幸です。また、そうなったら、双方の家族も不幸になるし、友人も不幸になります。また無関係のランナーが、市民からランナーは危ないと言われてしまいます。

だから、微力ですが、少しでも不幸な事故が起こらないようにと書いているのです。

ランニング雑誌を見ても、ファッションや、ランニング施設案内、練習方法や大会については書いてあっても、事故予防についての掲載は少ないです。啓蒙不足だと思います。貴重な紙面ですから儲かることを書きたいのは分かります。また書ける人が少ないのかも知れません。

自分は危ない走りをしていないし、気をつけてるから大丈夫と思っている人も多いでしょうが、気をつけても避けられない事故はあるし、いつも気持ちを張り詰めているわけでもないでしょう。その事故で相手が死亡したりケガをしたら大変なことになります。

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もしランニング中に歩行者等と接触すると・・・。

皇居

例えば皇居桜田門で、最短距離の右側ギリギリを走って曲がろうとしたら、見通しが悪く反対側から歩いてきた、子どもや老人にぶつかり相手が転倒し頭を強くうつという事故が起こったらどうなるでしょう。

画像の黒いウェアをきた男性ランナーの走る角度だとタイミングが悪いと正面衝突します。

相手が死亡したらケガをしたら、刑事と民事の責任を負います。刑事罰とは簡単に言ったら懲役とか罰金とかです。懲役は刑務所に入ることです。ただ走っていてぶつかっただけで刑務所に入るなんて??と思われるかも知れないけど、相手が死亡したり、重度の後遺障害を負うような事故を起こし、重大な過失があれば可能性はあるでしょう。重大な過失とは故意に近いことです。

故意ではないけど、このような行動をとれば、当然事故は発生しうることです。

また、過去の犯罪歴や、事故後の被害者に対する救助などの対応にもよるでしょう。そのまま逃げてしまったなんてのは最悪です。

今まで、平凡だけど幸せに家族と暮らしていた生活が、一転刑務所暮らしになってしまうなんて考えたくないですね。

刑事については、特に事故後の対応が大事です。被害者との示談も含めてしっかり対応することで情状酌量もあります。

どのような賠償責任義務が発生するか?

民事に関しては、人身事故の場合には大きく3つの賠償責任義務が発生します。

・直接損害・・・葬儀費、治療費など直接かかった費用、また寝たきりなど後遺障害が残った場合には将来にわたるこれらの費用。

・遺失利益・・・事故に遭わなければ得られたであろう金額です。例えば入院中の収入補償や、死亡した場合であれば、事故に遭わなければあと◯年間収入が得られたからと、ホフマン係数やライプニッツ係数といった係数を使って金額を算定します。これは遺族の生活費にもなりますが、非常に大きな金額になる場合があります。

『人の命に値段はない』と言いますが、賠償の世界では金額に大きな差が生まれます。

例えば二人の人が同じ事故で被害にあって死亡したとします。

一人は28歳弁護士で年収2000万円

もう一人は65歳会社員で年収300万円

この場合、遺失利益は大きな差が生まれそうなのはご理解いただけると思います。

まずは聞きなれない言葉だと思いますが、就労可能年数とライプニッツ係数を使って計算します。

ライプニッツ係数

国土交通省webサイトより

28歳の欄を見るて39年で17.017となっています。これは事故がなければ、まだ、39年働けることにする。ただし、賠償金を前払いするから割引ますってこと。(現在は法定利率が5%で計算されてるから17.017と半分以下になってるけど民法改正で、法定利率が下がったから係数が増えて金額も増えます。)

2000万円に17.017をかけたら、ざっくり3億4000万!!

ただ本人が生きていれば生活費がかかりますから、それを差し引く生活費控除が家族構成によって30〜50%程度引かれます。妻や子供がいるケースなら30%程度。独身なら50%程度。

上記事例で妻や子供がいたなら30%引かれても2億円を大きく上回ります。

65歳会社員は同様に計算してみてください。上記事例と比べて10%未満です。

・慰謝料・・・直接損害、遺失利益以外にケガをしたのであれば本人に、死亡したのであれば遺族に精神的慰謝料を支払う義務が発生します。

よく慰謝料1億とかいうけど、そんな金額にはなりません。上記の遺失利益を含めているケースが大半です。ただ慰謝料には明確な基準はありませんが数百万円から2000万円程度が多いと思います。

これらを合わせたら凄い金額になりますよね。

あなたに払えますか??

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気をつけていても事故は起こる。

ランニング中に限りませんが、気をつけていても事故は起こります。

皇居

例えば、歩道にこのような段差があることは少なくありません。知っているコースであれば気づくでしょうが、知らないコースで、それも夜間であったら気づかない可能性は多々あります。

また、直進してきた自転車を避けるために横に寄った瞬間に段差に引っかかり、転倒することは誰しもありえます。

その時に自分が痛い目を見るだけならまだしも、歩行者や他のランナーに突っ込んで転倒させてしまったらどうなるでしょう。頭の打ち所が悪ければ・・・。その時に、自分は前からきた自転車を避けようとして、躓いたのだから責任はないと言えるでしょうか?

結果として第三者を死傷させたのですから、責任は免れません。

これは一例ですが、至る所に危険は横たわっています。

万が一の事故のために

まず、事故を起こさないように細心の注意を払うことは当然ですが、発生してしまった事故に対して仕方がないではすまないことはあります。そのためにはランニングに限らず日常の賠償責任に備えた損害保険に加入することをオススメします。

もしかすると、この記事を読んでいただいた方の半分以上は既に加入済みかもしれません。

個人賠償責任保険という単体の保険に加入している人は少ないと思いますが、自動車保険、火災保険、傷害保険などの特約に付いているケースがありますので、まずは確認してみてください。

特約の場合の保険料は保険会社や補償内容によっても異なりますが、概ね2000円程度で、最大1億円もしくは制限のない限度額の補償に加入することができます。

自動車保険等の保険期間中であっても中途で付帯することはできますので、保険会社に確認ください。

また、自動車保険や火災保険などを契約する際に、保険代理店がこの個人賠償責任特約を薦めてくれなかったとしたら、お客様のことを考えていない代理店のような気がします。

この特約に加入していれば日常生活における多くの賠償事故に備えることができるのです。

例えば、マンション暮らしで階下に水漏れで損害を与えたとか、自転車で歩行者にぶつかったとか、駐車中の自動車にぶつかり傷をつけたとか、かなり幅広い事故に対応できます。もちろん保険対象外の事故はありますので説明をよく聞きましょう。

注意点

・自転車に乗っている間の損害賠償に備えるために自転車保険があります。自転車購入時にご契約をされた方も多いでしょう。またゴルフをされる方であればゴルフ中の賠償事故に備えるためのゴルファー保険にご加入されている方も多いでしょう。これらは個人賠償責任保険ですが、補償の範囲を自転車に乗っている時とか、ゴルフプレイ中と限定しています。自動車保険や火災保険、傷害保険の特約であれば、日常生活という広い範囲の補償になるので、保険会社に相談ください。

・賠償事故が起こった時の支払い限度額である、保険金額は5000万円でも、1億円でも保険料にたいした差はありません。基本的に滅多に起こる事故ではないのですが、起こった時のために加入するわけですから加入できる最高の金額がオススメです。

・最近は多くの保険が示談代行サービス付きになっていますが、示談代行サービスがついていない契約もありますので、確認ください。ケガをさせた被害者に誠意を思って謝罪するのは当たり前のことですが、賠償についての交渉ごとは一般の方には難しく、大変な労力を使うことになります。示談代行サービス付きの個人賠償責任特約であれば、加害者であるあなたに変わって、保険会社の担当者が被害者と示談解決まで対応してくれます。

・特にランニング中の歩行者等との接触事故の場合は、こちら側が一方的に悪いというケースは少ないです。また相手が自転車の場合は、こちらが悪いように見える事故でも、道交法上の車両である自転車と、歩行者であるランナーでは、自転車の方が過失が大きい場合が多々ありますので、一方的にこちらが悪いとは言わずに保険会社に相談してください。

・相手がケガをしている場合は、まずは救急車を呼んだり救護することに全力で当たってください。

・皇居にもランナーを狙った悪質な当たり屋の存在をFacebook等で目にします。トラブルになりそうであれば、警察を呼ぶなどして状況の確認をしっかりしておいてください。また目撃者がいれば連絡先などを聞いておくと後々助かることがあります。