ウルトラランナー紹介

楠瀬 祐子(YUKO KUSUNOSE)

ウルトラランナー

プロフィール

ウルトラランナー

百貨店の情報システム部門に勤務(社内SE) ランニング歴は短いが2015年のチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンと野辺山ウルトラマラソンと2大会続けて優勝という快挙を成し遂げた。日本代表入りを狙ったサロマ湖100kmウルトラマラソンは積極的に攻めた結果、中盤に失速した。しかし諦めることなく走りきりサブ9の自己ベストを達成した。「世界」を目指す難しさを肌で感じた今、来年こそは日本代表目指したいと力強く語っている。

楠瀬のランニング人生については

『 ランニングタウン ランナーリレー 』

に掲載しているので是非お読みいただきたい。

以下一部抜粋です。


あとちょっと・・・
あと9秒なのに行けなかった。
本当に本当に悔しい。
たくさんの人に応援してもらってたのに。


1年生は大幅に伸びると言われた夏合宿で、先輩からはすごく伸びたね!と言ってくれたけど、自分はもっと上手になれると思っていたので悔しくて泣いたこともありました。先日見つけたこの夏合宿のしおりに書いてあった自分の目標は、『根性の2文字を忘れない』でした。この頃から、熱い性格は変わっていないようです。 


初マラソンで、自分は長い距離が得意だと勘違いしました。子供の頃から短い距離が大の苦手だったけど、初マラソンでこれだけ走れたのだから、もっと長い距離なら勝負ができると思ったのです。 


途中から雨も降ってきました。脚だけでなく、腹筋、背筋、腕と、全身が痛くなりました。とにかく痛すぎて、歩くこともままならず、立ち尽くしては歩くの繰り返し。雨はドンドン強くなり、歩いても歩いても全く伸びない距離に苛立ち、立ち尽くして『もう嫌だ~!!』と泣いてしまう状態でした。でも、泣いてもゴールは近付いてはくれないからと足を進めました。 


いろいろな感情をさらけ出し、自分の弱さも強さも醜さも見ることができるところです。気持ちよく走れたり綺麗な景色を見ることができたら嬉しくて笑みがこぼれますし、どうしようもなく苦しければ泣きます。苦しさを乗り越えられたら、私よく頑張った!って自分をいっぱい褒めますし、情けない結果だったら悔しい気持ちでいっぱいになります。もうやめたい・・・という弱い自分が何度も顔を出し、そんな自分に勝たなきゃと必死に戦います。タイムに関係なくゴールに到達した人全てを、同じ苦しみを乗り越えた戦友だ!と温かく感動の気持ちいっぱいで迎えることができます。 走ることが好きな私にとってウルトラは楽しいけれど、でもやっぱりとても苦しいです。でもその極限状態だからこそ得られる感覚と、そんな自分と向き合える、時には途方もなく長く感じるけれどとても贅沢な時間。それが私の思うウルトラの魅力です。 



  (インタビュー・文章 新澤英典)

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主な戦績

ウルトラランナー

大会名
開催日
距離等タイム結果
2015年6月30日現在
サロマ湖100キロウルトラマラソン
2015.6.28
100km 8:47:38 11位(100K登録女子)
野辺山高原100kmウルトラマラソン
2015.5.17
100km 9:51:20 優勝
チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン
2015.4.19
100km 9:04:01 優勝
つくばマラソン
2014.11.23
マラソン 3:00:08 3位

自己ベスト

ウルトラランナー

種目記録大会名開催年
2015年6月30日現在
ハーフマラソン 1時間26分40秒 坂東市いわい将門ハーフマラソン 2014年
マラソン 3時間00分08秒 つくばマラソン 2014年
100キロ 8時間47分38秒 サロマ湖100キロウルトラマラソン 2015年

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2015サロマ湖100kmウルトラマラソンの報告

サロマ湖100㎞ウルトラマラソンに初参加し、結果は8時間47分38秒(陸連女子11位) 。100㎞のベストタイムを17分更新しました。

サロマは100㎞世界大会の日本代表選考会で上位4名が選ばれます。私は来年の2016年大会で「100㎞日本代表」を勝ち取るという目標があり、今回は「100㎞日本代表」になるには現時点何が足りないかなどを勉強しつつ、8時間半切りを目標にしていました。

しかし今年は気温が低くベストコンディションであり、私自身大きな故障はナシ。

整列時に去年の日本代表選考者の1人が出場しないという情報をキャッチした欲張りな私は「こんな機会はまたとない!」と可能性に賭けて思いっ切り突っ込んで走ってみよう!と目標を急遽変更し、想定ペースより1㎞あたり20秒も速く走り出しました。

フルの通過は3時間15分28秒(キロ4分38秒)で女子3位でしたが、徐々に疲れを感じるようになり、また鳥肌が立つほどお腹が痛くなりペースが保てずあっという間に10位まで下がりました。

ペースが落ちてからはものすごくキツいレースでした…。エイドとトイレでのロスタイムもかさみ、さらに20㎞あたりで足裏にできた水膨れが、61㎞地点ではじけて激痛が走りましたが、走りに集中し痛みを気にしないようにするしか無い…と黙々と走りました。

「景色が綺麗」と聞いていた80~98㎞のワッカに入ると青空も見え始め、草花の生い茂るキラキラした地でとても感動しました。とは言え、長々と続く小刻みアップダウン。ワッカに入る直前にスペシャルドリンクを飲んで復活したものの、また段々と疲労が溜まり、かなりキツくなりました。

最後の1.5㎞で能勢さんに、抜かれたけれどついて行けず…。11位でゴールしました。

今回は思いっ切り突っ込んで潰れました。元々の想定ペースで行っていたら、目標の8時間半は切れていたかもしれません。こんなキツい思いもしなくて済んだかもしれません。でもただ無謀な走りをしたわけではありません。突っ込んだからこそ分かることもありました。順位にこだわる走りができました。落ちてからも粘り続けられました。これは来年「100㎞日本代表」を勝ち取るという目標の私にとっては大きな経験になったと思っています。

私はまだ発展途上中。いっぱい考えて、いっぱい練習して、いっぱい経験を踏んで、もっともっと強くなりたいと思います!

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今後の目標

ウルトラランナー

私はウルトラマラソンだけでなく、マラソンにも力を入れています。

年内での「グランドスラム」(100㎞サブテン、フルマラソンサブスリー、富士登山競走山頂コース完走)達成を目指しているため、去年果たせなかったフルマラソンのサブスリーが目前の目標です。

また、ウルトラマラソンで世界を目指したいです。

とてつもなく大きく難しい目標であることは、今年初めてサロマ湖ウルトラマラソンに参加をして身を持って実感しました。

また、速いランナーの走りを直接見たりお話しさせていただいたりしたことで、自分は日本代表を目指すための努力や覚悟が全然できていないなと思いました。

これまでは自分の記録を追い求めることが多く、競い合うことをようやく覚え始めた私は、「何としても勝ちたい」と言う思いより「あわよくば」という思いの方が強かったように思います。まだまだ気持ちが中途半端でした。

だからこそ気持ちの面でも技術の面でも練習方法の面でも、伸びしろがいっぱいあると実感し、努力のし甲斐ががあるとワクワクもしました。

今回持った思いを胸に、来年のサロマに向けて1年間しっかり頑張りたいと思います。