宮古島ウルトラマラソンの計画と結果検証

ウルトラプロジェクト

12月26日に開催した”第1回ウルトラセミナー”に参加できなかったウルトラプロジェクトメンバーの森さんに当日の資料を送り、その資料をもとに作成した宮古島100kmワイドーマラソンのレース計画についてアドバイスをさせていただきました。

ウルトラセミナー

どのようにレース計画を作り、その計画と実際の結果について紹介します。

森さん作成の最初のレース計画

森さんから最初に届いたメールの内容は以下の通りです。

宮古島100kmのペース表を作った。

体調が万全ではないのでこの通りいけるか不安だが、これをベースして頑張りたい。

高低図マップを作った

今年から新コースになり、主催者に確認したところ高低差マップはなく、仕方がなくコースマップから推測して自作した。

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2016 宮古島100kmワイドーマラソンについて

2016 宮古島100kmワイドーマラソンコースマップ

累積標高750m(マップからの推測)

目標タイム 10時間30分

10キロごとのペースやエイドでの休憩は以下のとおり

ウルトラセミナー

私の感想とアドバイス

私は宮古島ワイドーマラソンを走ったこともなければ、宮古島にも行ったことはありません。風景などの画像も宮古島ワイド〜マラソンと認識してみたのはないと思います。今回はマップと森さん自作の高低図、そして森さんの走力のみで考えてみました。

私の回答

10時間半を狙うには前半50キロのタイムは少し遅いです。高低図を見ると後半にアップダウンが多いので、私が走るなら前半に46%程度のタイムを割りふります。

前半5時間6分かけるとゴールタイムは11時間は超えると思います。

ただ、自分でいけると思ったラップですから実際に走ってみてください。そして実際のペースと比較することで、次のレースに繋がります。

森さんの修正案

コース後半は前回経験していることから落ち込みについて、少し楽観視していましたが少し修正してみました。

2014 宮古島100kmワイドーマラソン

累積標高650m

実績タイム 9時間52分03秒

10キロごと所要時間(休憩込み)

00-10km 57分23秒90

10-20km 55分12秒50

20-30km 54分28秒10

30-40km 57分17秒90

40-50km 59分06秒60

50-60km 63分25秒90

60-70km 60分19秒90

70-80km 61分24秒70

80-90km 64分10秒20

90-00km 62分41秒30

前半 4時間43分29秒(47.6%)

後半 5時間12分02秒(52.4%)


今回私が作ったペース表だと

前半 5時間06分00秒 (48.6%)

後半 5時間22分40秒 (51.4%)

前半はもう少し早めにしないといけないことがわかりました。調整したいと思います。1%の差はとても大きいですからね。

私のアドバイス

ざっくりですが、私なりに計算してみました。

私の修正案

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後半に登りが多いことから、前半50キロを目標タイムの46%にしました。

下りでのペースUPは考えていません。登りのみ図からざっくり上昇高度を考えてタイムを加算していきました。

エイド休憩込みのタイムです。

これでも10分ほど余っていますので、ドロップバック地点に使うなどするとそこそこ正確な計画になろうかと思います。

今の森さんはスピード練習の効果でキロ5'30はかなり楽だと思うので、キロ6'00と疲労感は変わらないと思います。同じ疲労感なら速く走った方がリズムよくなりますよ。これも参考程度に。頑張ってください!!

森さんより

上昇高度で加算していくんですね。参考になります!

レース当日は風速5m-8mで雨も降りそうなのでマップと照らし合わせて調整したいと思います。立てた計画に対して結果がどうなるのかも楽しみになってきました。

レース結果

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大荒れの宮古島を一周してきました!

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未明から風が強く、昼前からは豪雨が加わって、ハードなコンディションを満喫できました。

ウルトラセミナー

コースが冠水しまくりです。

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目標にしていた10時間30分は無理でしたが、結果にはそこそこ満足してます。

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10時間49分で760人中56位でした。

暴風雨で心折れて歩きそうになりましたが、練習会とペースシミュレーションを思い出しせっかくのレースを無駄には出来ないと考え直し、ペースダウンしながらも完走できて良かったです。

こんな荒天の中でもしっかりエイドを守ってくれる運営スタッフには感謝です。来年もこのレースには出るつもりです!

今回のシミュレーションと結果のデータ

森さんにコース状況やラップを送ってもらいました。検証していきます。

【(参考)前回参加時のデータ】

2014 宮古島100kmワイドーマラソン

実績タイム 9時間52分03秒

天候良好

区間 ー ペース ー 所要時間 の順

00-10km 5’44”39 57分23秒90

10-20km 5’31”25 55分12秒50

20-30km 5’26”81 54分28秒10

30-40km 5’43”79 57分17秒90

40-50km 5’54”66 59分06秒60

50-60km 5’56”59 63分25秒90 (休憩4分,ペースに含まず)

60-70km 6’01”99 60分19秒90

70-80km 6’08”47 61分24秒70

80-90km 6’25”02 64分10秒20

90-00km 6’16”13 62分41秒30

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前半 4時間43分29秒(47.6%)

後半 5時間12分02秒(52.4%)

後半にレストステーションあり

【今回の目標設定について】

以下の要素に基づいて目標設定を行った。
前回のタイム 9時間52分03秒

要素1) 故障復帰後の能力低下 -3.3%

2014年11月 富士山フル 3:36:49
2015年11月 富士山フル 3:44:04 (3.3%低下)

要素2) コース難度アップ? -1%

伊良部大橋ルートの累積標高 +100m?

要素3) 故障復帰後のウルトラで失敗 -2%

2015年10月の四万十100kmで後半かなり歩いた

今回の目標 : 約10時間30分 (6.3%低下)

【ペースシミュレーション】

2016 宮古島100kmワイドーマラソンは新コース
・累積標高750m?(新コースで高低差表がないので推測)
・前半にレストスレーション
・後半は前回とほぼ同じコース展開
・最後の10kmには余裕を残したい

区間 - ペース - 所要時間 - 経過時間 の順

00-10km 5’40 56分40秒 0時間56分40秒

10-20km 5’50 58分20秒 1時間55分00秒

20-30km 5’50 58分20秒 2時間53分20秒

30-40km 5’50 58分20秒 3時間51分40秒

40-50km 5’50 64分20秒 4時間56分00秒 (休憩6分,ペースに含まず)

50-60km 6’10 61分40秒 5時間57分40秒

60-70km 6’50 68分20秒 7時間06分00秒

70-80km 6’30 65分00秒 8時間11分00秒

80-90km 6’50 68分20秒 9時間19分20秒

90-00km 6’50 68分20秒 10時間27分40秒

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前半 4時間56分00秒 (47.2%)

後半 5時間31分40秒 (52.8%)

【今回の結果】

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画像は計画と結果を重ねています。

2016 宮古島100kmワイドーマラソン

気温 20〜23度

風速 5m〜11m

レース後半に豪雨、冠水など

ほぼ102km

区間 - ペース - 所要時間 - 経過時間 の順

00-10km 5’26”60 54分26秒00 0時間54分26秒

10-20km 5’25”93 54分19秒30 1時間48分45秒

20-30km 5’41”44 56分54秒40 2時間45分39秒

30-40km 5’34”08 55分40秒80 3時間41分20秒

40-50km 6' 06”63 66分06秒30 4時間47分56秒 (休憩5分,ペースに含まず)

50-60km 6’13”34 62分02秒13 5時間50分09秒

60-70km 6’45”82 67分38秒20 6時間57分47秒

70-75km 6’50”74 34分13秒70

(7km分データ消失)

83-90km 8’45”64 61分19秒50 9時間28分43秒

90-00km 6’42”92 67分09秒20 10時間35分53秒

00-02km 6’31”20 13分02秒40 10時間48分55秒

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前半51km 4時間58分(46%)

後半51km 5時間51分(54%)

シュミレーションすることへの感想

今回は厳しい条件でしたが、シミュレーションしていたおかげで場面場面で気を抜かずに完走することができました。シミュレーションしていなかったらまた投げていたように思います。区間ごとに目標を持つことが成果に直結しますね。

あと、腿や腰の痛みでフォームが崩れてきたときに動作づくりの練習を思い出して楽になれました。腕振りをしっかりやると骨盤が前傾できて腰の痛みとかがスッと抜けるのを体験できました。今回のレースは練習会の成果を色々と感じれたのが本当に嬉しかったです。

私の感想

今回の宮古島100kmワイドーマラソンがどれだけ過酷だったかは画像を見ていただければお分かりになると思います。豪雨と強烈な風に体温は奪われ、走るのを止めたら「死ぬ」と感じたと何人かの友人がFacebookに書いていました。

しかも計測ミスで距離が2キロくらい長かった中で、ほぼ設定通りで走ったのは凄いと思います。

結果的に102キロの半分である51キロ地点までのタイム比率が46%と、私は最初に送ったメールの数値になったのには森さんも驚いていました。

森さんの100キロベストタイムは2年前に出した9時間52分03秒ですが、今回の目標を10時間30分にしたのは良い判断だと感じました。誰でも常に自己ベストを狙う走りをしたいものですが、故障したことで走力が落ちている現状を冷静に受け止めて、その中で自分のベストの走りをしようと設定したタイムです。

自分で設定したタイムなのだからと諦めずに必死に走り切ったのです。


ウルトラマラソンは様々なトラブルがあるのだから、ペース設定なんかしても無駄という人はいますが、今回目標タイム設定と、ペース設定をしていなければ、悪コンディションの中で、心の拠り所がなくなっていたかもしれません。

またこれだけ過酷なレースを走ったゴール直後に、また来年も走りたいと思えるのは、自分の思い通りのレースができたという気持ち良さからでしょう。

最後に、忘れていけないのは、一生懸命練習し調子を整えて大会に挑んだことです。レース前週の練習会は30キロ走でしたが、森さんには途中で止めていただきました。

気持ち良くレースで走るためには『練習』『調整』そして『レースマネジメント』です。

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