ウルトラマラソンのレース対策 【その4】
目標達成のための補給
フルマラソンでは私より圧倒的に速いランナーであっても、100キロになると10時間を切れないランナーはいます。
それは その2 や その3 で書いたように、ペースを考えないで走ってしまうことで、せっかくの走力を生かせないというケースもあるでしょうが、もう一つ大きな要因として上手な補給ができていないケースも多々あります。
例えば速いランナーはフルマラソンでもほとんど補給なく走り切ります。福岡国際マラソンに出るランナーの大半はジェル1個くらいでしょう。
3時間を超えるランナーが3個程度使うことを考えたら非常に効率よく、体にエネルギーを蓄えることができるのです。
そんなランナーも100キロを補給なしで走ることはできません。
ウルトラマラソンは苦手というランナーの多くは補給が苦手なのかもしれません。
フルマラソンまでのレースであれば、さほど補給に気を使わず走れてしまうのですから、当たり前かもしれません。
ウルトラマラソンを何度も経験しているランナーの多くは、おにぎりやパスタを食べてすぐに走り出すことができますが、いつも速いスピードで走っているエリートランナーはまずそこに戸惑いを感じます。
その辺りについても紹介していきます。
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腹が減っては戦はできない
昔からいわれている言葉ですが、ウルトラマラソンにも当てはまります。
100キロレースは速いランナーでも7時間前後走り続けます。制限時間ギリギリのランナーだと14時間走り続けます。
運動していない日常生活で考えても、朝飯を7時に食べたとして14時間後は21時ですから晩飯の時間です。
デスクワークであったとしても、12時前にはお腹が空いてきて、ランチは何を食べようかと考えます。
そのようにイスに座って仕事をしていてもお腹が空くのですから、走り続けていればエネルギー消費量は激しいです。
走っているときは、集中しているし、また体のあちこちが痛くなっているから空腹感を感じないケースもありますが確実にお腹は減っています。
当たり前のことですが、体内に蓄えているエネルギーが枯渇したら走ることはおろか、動くこともできなくなります。
エネルギーが完全に枯渇する前に、いろいろな症状がでますが、いわゆるガス欠になってしまったらレース続行は困難です。
どんなに一生懸命練習をしてレースに挑んでも、自己ベスト目前であっても、優勝目前であっても容赦なくガス欠は襲ってきます。
どんな高級車であっても、スーパーカーであっても、燃料(エネルギー)がなくなったら走れなくなるのと一緒です。
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レース中の補給について(エイドの活用)
レース中の補給については、トップランナーと完走が目標のランナーでは変わってきます。
トップランナーであれば、エイドで提供されるおにぎりやうどんなどの固形物は食べることなく、ジェルだけでゴールします。
私も基本的にエイドの固形物はあまり食べないで走りますが、10時間以上かかるランナーであれば、ジェルだけではなくエイドの食事も活用しましょう。
最近は飲みやすいエナジージェルもありますが、10時間以上エナジージェルだけで走るのはかなり辛いと思います。
エイドにはおにぎりやうどん、パン、フルーツなどが用意されたいます。
基本食べたいものを食べれば良いのですが、私が気をつけていることを少し紹介します。
まず序盤はエネルギーを溜めるためにたくさん食べたほうが良いと話す方はいますが、気持ちが悪くなるほど食べてはいけません。結構聞いた話や、雑誌等に書いてあることを鵜呑みにして極端なことをされる方がいますがだいたい良い結果には結びつきません。
一箇所でたくさん食べると消化するために胃腸に大きな負担がかかります。その大きな負担が継続するといずれ胃腸の働きは止まってしまいます。
そうなってしまったら水分やエネルギーをとっても体内に吸収されないからガス欠で脱水症状になっていきます。
そんな事態を防止するためには、消化スピードを考えて摂取することです。消化スピードは個人差がありますので、どんなに食べてもまったく問題のない方はさほど気にする必要はないけど、そうでない方は一箇所のエイドでは少量づつ食べましょう。
また私はおにぎりやパンはあまり食べません。固形物で食べるのは、うどんやソーメンなどが多いです。理由は同時に塩分がたっぷり入った汁が飲めるのと、麺は喉越しが良いのでストレスがありません。
そしてレース中に糖分をとるためにチョコは食べません。血糖値の問題もありますが、チョコを食べると喉が乾くのです。そこで私は果物を積極的にとるようにしています。バナナは別にして、オレンジやグレープフルーツ、いちご、スイカなどは水分も多いのでレース中に重宝しています。
水分補給については別に書きますが、固形物に関しても体の吸収スピードを超えないよう少しづつ食べるようにしましょう。
どの程度食べても大丈夫なのかは、練習で試してみてください。
レース中の補給について(エナジージェル等)
私のブログに、レース前の補給計画やレース後のレース結果にどのような補給を計画し、どのような結果になったのかを書いているので、参考にしていただければと思います。
エイドの補給をあてにしないのであれば、エナジージェルを1時間に1個の割合で使います。9時間であれば9個です。
中間点等に荷物預けができるのであれば、ジェルの補充をするとともに、カロリーメイトゼリーや、ウイダーインゼリーなどの180kcal程度入っていて飲みやすいゼリー飲料を摂取するので、エナジージェルはその分減らします。
エイドの食事等をあてにしてエナジージェルを用意しないでスタートしたが、ほとんどエイドに補給できるものが残っていないという事も多々ありますので、基本的には自分で用意したほうが良いと思います。
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サロマ湖の補給計画
参考までに今年のサロマ湖の補給計画をご紹介します。
・給水は5kmごとに必ず取る。もし暑くなり5kmで足りなければ2.5kmの給水所も活用する。
・エイドステーションで主に補給するのはフルーツです。特にスイカは普段は食べないのに食べます。水分が多いしエネルギーも入っているし補給食には最高です。
その他気象コンディションにより塩飴や塩タブレットなどを用意します。またアスリチューン・エナゲインにもBCAAは入っていますが、疲労具合によりスティックに入った粒状もいくは粉末のBCAAサプリメントを使います。
具体的にエイドステーションの表に盛り込んでみます。
距離 | ジェル使用 | ジェル残数 | その他 |
---|---|---|---|
スタート | 赤:1 黒:1 |
赤2、黒4 | スタート40分前に黒、20分前に赤を摂取 |
5.0km | |||
10.0km | |||
15.0km | 黒:1 | 赤2、黒3 | |
20.0km | 赤:1 | 赤1、黒3 | |
25.0km | 黒:1 | 赤1、黒2 | |
30.0km SPドリンク |
スペシャル摂取 | ||
35.0km | 黒:1 | 赤1、黒1 | |
40.0km | 赤:1 | 赤0、黒1 | |
45.0km | 黒:1 | 赤0、黒0 | |
52.0km | |||
54.5km 【荷物預け】 |
ゼリー飲料 | 赤3、黒3 | 赤3、黒3を補充 |
60.0km | 赤:1 | 赤2、黒3 | |
63.5km SPドリンク |
スペシャル摂取 | ||
69.0km | 黒:1 | 赤2、黒2 | |
73.8km | 赤:1 | 赤1、黒2 | |
80.0km SPドリンク |
スペシャル摂取 | ||
85.0km | 黒:1 | 赤1、黒1 | |
90.0km | 赤:1 | 赤0、黒1 | |
95km | 黒:1 | 赤0、黒0 | |
ゴール | 青:1 | ||
赤:アスリチューン・エナゲイン 黒:アスリチューン・ポケットエナジー 青:アスリチューン・スピードキュア |
スペシャルドリンクについて
大半のウルトラマラソンでは、荷物預けやスペシャルドリンクが置けますので活用しましょう。
サロマ湖では、54.5km地点の荷物預け以外に、30km/63.5km/80kmの3箇所にスペシャルドリンクを置くことができます。
容器の大きさ等・・・高さ20cm以内の容器にナンバーを記入
スペシャルドリンクをうまく活用するための注意点をいつくか紹介します。
・ある程度ランナーがばらけている位置で到着できるランナーであれば大会スタッフが無線等でゼッケン番号を伝えて用意してくれることがありますが、基本自分で探すので見つけるのに時間がかかったり、最悪見つからないこともあります。その時にスタッフに怒ったりしないでください。怒っても見つかるわけではないし、自分自身の精神安定上もよくありません。見つからなければ忘れて走りましょう。また毎年目にするのは30kmで受け取ったスペシャルドリンクの容器が結構先の地点に放置されていることです。地元の支援を受けて開催されていることを考えて捨てる場所はしっかり考えましょう。
・2014年のように気温が高くなると30km地点はまだしも、63.5km地点では準備してから長時間暑い中に置かれているため、中身が傷みそうなものは止めたほうがよいでしょう。何が傷みやすいかどうかの判断基準は簡単で、例えばそのドリンクを暑い日に庭に置いておいて、どのくらいの時間なら飲める気になるかでも良いと思います。乳飲料や果汁等も飲む気にならないと思います。
・例えば多少タイムロスになりますが、粉を入れておいてエイドの水でシェイクして飲むのも良いかもしれません。
・また開封しなければより安全な状態で飲めますが、そのドリンクのパッケージがそのままだと、同じドリンクを用意したランナーに間違って持って行かれてしまうこともありますので、パッケージの周りをカラービニールテープで覆ってしまう等工夫したほうが良いでしょう。
・私が活用している方法はジェル等をドリンクに巻きつけておきます。例えば荷物預けエイドは54.5kmですが30kmのスペシャルドリンクに2個巻きつけておくならスタート時点で体に身につけるジェルは2個少なくて良いわけです。またウイダーインゼリーのような重たいゼリーはスペシャルに置くのも良いとでしょう。
荷物預けエイド(ドロップバッグ)について
荷物預けエイドに何を置いたらよいかと、聞かれることがありますが、自分が食べたい物、飲みたい物を置いたらよいのです。
何を飲みたいか、食べたいかは人それぞれです。
また、私自身毎回同じものが欲しくなるわけではありません。気温や体調などによっても変わってきます。
少しアドバイスをするなら、走っている時に、あの地点までいけば○○があるからとモチベーションが上がるものを置いたらよいのです。
何が食べたくなるか分からない方は、練習でロング走をした時に、途中コンビニに入ってください。その時に無意識に食べたい、飲みたいと手を出したものはレース中にも欲しくなる可能性は高いです。もちろん痛んだり、溶けてしまうものは難しいと思いますが、ヒントにあると思います。
そのような経験を何度かしておくと、体調が○○な時には△が欲しくなり、●●な時には▲が欲しくなるなど傾向が掴めてきます。
また、甘いものと塩辛いもの両方を置いておくのも良いと思います。