外出自粛でもランニングは可能。ただ感染しない・させない配慮が必要。(短縮版)

外出自粛でもランニングは可能。ただ感染しない・させない配慮が必要。

4月15日に上記の記事を書き、たくさんの方に読んでいただきましたが、1万字を超える長文になったので、タイトルの「外出自粛でもランニングは可能。ただ感染しない・させない配慮が必要。」の部分に特化した文章にします。

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外出自粛要請中のランニングについて

政府や都道府県知事から外出自粛要請が出されていますが、その中でランニング・ジョギング(以下ランニングとします)をして良いかどうかについて判断を迷っている人は少なくありません。

まず現時点の客観的事実を書きます。

日本政府や東京都、そしてWHOも心身の健康のために散歩やランニングを推奨しています。ただし人混みを避けて健康のために走ってくださいと言っています。外出自粛要請に散歩やランニングは含まれないのです。近所のスーパーマーケットに食材などを買いに行くのと同じようにように扱われています。

なぜ、政府や自治体が、散歩やランニングを推奨しているかと言えば、健康を害するのは新型コロナウィルスだけではなく、運動不足による糖尿病など生活習慣病や、高齢者の行動機能低下による寝たきり、そして自宅に引き籠ることより鬱病など精神疾患のリスクが高まることを危惧しているのです。日本の年間死亡者数は2018年においては136万人ですが、その中で生活習慣病による死亡数は大きな割合を占めています。また精神疾患の悪化は自殺者増に繋がりますが、2018年の自殺者数は2万人を超えています。この2万人という数は現在のアメリカやイタリアの新型コロナウイルスによる死亡者数に匹敵するような人数なのです。そのような対策として政府は感染拡大を防ぎつつ、生活習慣病などを増やさないために散歩、ランニングを推奨しているのでしょう。

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ランニング中に気をつけて欲しいこと

気をつけて欲しいことがあります。

政府が散歩やランニングを推奨しているからと言って、それらに感染リスクがないわけではありません。

スーパーマーケットに買い物に行くにも感染リスクはあるように散歩やランニングだってリスクはあります。でも、そのリスクが怖いからとやめてしまえば、生きるための食材が買えないし、生きるために必要な運動もできなくなってしまうのです。

ランニング中の感染リスク

私がランニングに関わる行動をする一環で感染リスクを感じることを箇条書きにしました。

・走る箇所まで混雑した時間の公共交通機関を使う

・密閉空間の更衣室で仲間と話す

・ロッカーやロッカーキーに付着したウィルスを触る

・仲間と並んで話しながら長時間のランニング

・前後の間隔が狭いグループ走で、前のランナーが咳き込む・激しい息遣いをする

・ドリンクを公園などに放置して走る

・練習の合間に仲間と密接しておしゃべりする

・動き作りやトレーニングで接触する

・食べ歩きラン

・ハイタッチ、握手

・仲間への声がけ(大声ほどリスク大)

・過度に追い込んで免疫が低下した状態

・ランニング後に大人数で酒を飲む

・人混みの多い公園の中を走る

・その他、自分のランニング中の行動を振り返ってみて下さい。

ランニング後の打ち上げはそもそもランニングではありませんが、走ることと飲み会をセットに考えている方にとってはランニングの一部です。ただこの飲み会は3密になりやすいのと、酔って気持ちが大きくなったり気が緩むことでリスク管理が甘くなります。小池都知事が緊急事態宣言を出す前に夜間外出自粛要請を出したのは、このような行動を防ぎたかったのでしょう。

箇条書きした感染リスクのある場面や行動は1つより2つ、2つより 3つ重なればリスクは大きくなります。

新型コロナウィルスの感染は直接唾液や飛沫として体内に入る以外に、その飛沫を触った手で目・鼻・口などを触ることで体内に侵入し感染すると理解しています。(違っていたら教えてください。)であれば、どのような状態が危ないのか?そのリスクを避けるにはどうしたら良いか?を考えて走ったら良いと思います。

例えば、自宅から一人もしくは同居の家族と人通りの少ない近所を走るならほぼノーリスクでしょう。都会で近所に一定の人通りがあるなら、近くで咳をされても自分の口元にかからないようにマスクやネックウォーマーで口・鼻を覆ったらリスクは減るでしょう。そして帰宅したらすぐに手洗いなどする。

どうしても更衣室を使わざるを得なければ、マスクをつけ、話はしないで短時間で着替えることです。入退場には消毒や手洗いをすればリスクは減らせます。

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仲間と一緒に走る場合の注意点

1人ではなく、仲間と一緒に走りたいなら、以下の点にご注意ください。

・ランニング前後など立ち止まって会話をするなら、2m程度の距離(ソーシャルディスタンス)を保つ。心配ならマスクをする。

・走る時は一緒に固まって走らずにそれぞれのペースで走り、たまにお互いの姿を確認することでモチベーションを高める。逆走可能なコースなら、逆周りをすれば頻繁にあうことができます。

・すれ違う時など「ファイト!」など声がけはしない。

上記を注意して走る前提でオススメする練習は次の2つです。(ウルプロでよくする練習メニューです。)この2つは頑張っている仲間の姿を見ることができます。

①時間走・・・周回コースなら20分や30分ごとにリカバリータイムを設けて休憩する際に2以上離れて会話をする。心配ならマスクやネックウオーマーをする。

②シャトルラン・・・河川敷や峠道などを走るのであれば、それぞれのペースで目的地を目指して走りつつ、20分間走ったら、最後尾のランナーを除いて、皆折り返して、最後尾のランナーにすれ違うまで戻り、そこからまた目的地に向かって走る。

このように走れば一人で走るのと同程度のリスクまで下げることができます。

パーソナルレッスンや、2、3名ならお互いの距離感は保ちやすいが、人数が多くなると、この辺りの徹底は難しくなります。一人でも乱す方がいたら感染リスクは高まるので、リーダーシップを取れる方がいて、統制の取れたグループでないと難しいと思います。

したがってこの時期は「初めまして」の方ばかりで走るようなイベントでは感染リスクを抑えることは難しいと考えます。→すべきではありません。

また最近、海外の研究で、ランニングは10m、自転車は20m前の人と距離を開けないと飛沫がかかる可能性があるという内容の記事がよくシェアされています。(日本語ではありませんがこちらです。)

Belgian-Dutch Study: Why in times of COVID-19 you should not walk/run/bike close behind each other.

Towards aerodynamically equivalent COVID19 1.5 m social distancing for walking and running

飛沫が飛び、自分の顔や衣服にウイルスが付着すれば必ず感染する訳ではありませんが、感染リスクは多少なりとも高まります。

この記事を読んだ時に感じたのは集団走は危険だということです。

例えばキロ4分ペースで30kmの集団走(前後間隔は2mとする)をした場合、前のランナーの呼吸による飛沫は、後続ランナーに0.48秒で到達します。キロ5分ペースなら0.6秒です。新型コロナウイルスは空気感染しないと言われていますが、咳や激しい呼吸で放出された飛沫はすぐに地面に落ちることなく、しばらく空気中を漂うと言われていますが、0.48秒であれば後続ランナーの顔や衣類に付着する可能性はあると感じました。その状態がキロ4ペースなら2時間続く訳です。

集団走ではなく、ペースが違うランナーを抜いたり、すれ違うのであれば長時間浴び続ける訳ではないのでリスクは小さくなります。

立ち止まっている時は2mというソーシャルディスタンスは安全な距離ですが、走っているとその安全な距離が大きくなるということです。

私の感覚ですが、ニンニクを食べた方が近くにいるとして、立ち止まっていれば2m離れたら匂いはしないかもしれませんが、その方が前を走っていたら、5mや10m離れて走っていても、その方が吐いたニンニク匂い息を感じるかもしれません。30km集団走で前のランナーがニンニク臭を放出し続けたら2時間その匂いに悩まされると思いますが、そのようなものだと私はイメージしています。

これは2名であっても近い距離で走ることは同様のリスクがあると考えてください。

横に1.5mほど離れて走ると飛沫は飛んで来ないとする記事もありましたが、そもそも仲間と広がって走ることは、よほど広い箇所でないとランニングマナーとしては推奨できません。

前のランナーと上記の距離を開けることができないような混雑した場所であれば、そもそもその場所では走りないようにするか、もしくはマスクやネックウオーマーで口や鼻をガードし、自分の手やウエアには前のランナーが出した飛沫がついていると思って手洗いするまでは絶対に顔を触らないなど注意すればリスクは低下します。

念のために書いておきますが、そもそも激しい咳をし続けながら走るランナーはほぼいないと思いますし、誰もが激しい息遣いで走る訳でもありませんので、必ず10mをあけねばならない訳ではありません。また10m後ろのランナーに微量のウイルスを含んだ飛沫が服に付着したとして、それが発症するレベルのウイルス量であるかどうかは分かりません。

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歩行者や他のランナーへの配慮

これは通常時でも同じですが、他のランナーを抜く時や、歩行者とすれ違う時などに、相手が危険と感じるようなことは避けねばなりません。抜く方の感覚では安全と感じる距離でも、後ろから急に抜かれたり、狭い道で自分に迫ってきたら怖いです。

自転車が速いスピードでギリギリをかすめられたら腹がたちますが、歩行者も同じように感じているのです。

今は、自分自身が無症状の感染者だったとしても、歩行者や他のランナーを感染させないように走りましょう。

そして、激しい息遣いのランナーやゴボゴボ咳き込んでいるランナーが近くにいたら、ほとんどの方は嫌な気持ちになると思います。歩行者の立場に立てば、人混みは走らない。歩行者がいたらペースを落として間隔をあけて、さらに鼻呼吸で走れるくらい余裕を持ってすれ違いましょう。狭い箇所なら歩きましょう。そのくらいの配慮は必要です。

ジョグばかりではなく刺激を入れたいのであれば、人のいない場所で行いましょう。

皆様にお願いしたいこと

こちらは、医師で科学者のウルプロメンバーとメッセージでやり取りしたなかで教えていただいたことです。すごく大事なことなので引用させていただきました。

一点だけ押さえておいたほうが良いと思うのは、自分が感染するかどうかという視点と同時に、国全体で流行をどう抑えるのかという公衆衛生的視点を一人一人が持つべきという点です。もちろん基本は個人の対策で、それが積み重なることで全体が変化します。ただ自分が万全の感染対策をとっても、マスとしての患者が増えれば、医療は崩壊します。コロナ以外の疾患でも命を落とします。そういう点では、社会全体で外出を制限したり距離を取ることは、残念ながら現在の唯一の対策だと思います。

そしてランナーは、やむなく外出自粛をしないといけないこの厳しい状況の中で、比較的安全に健康を維持する方法としてのランニングの魅力や効果を、どうしたら安全かという対策とともに、見出して行くことが重要です。

政府がランニングをしても良いと言っているから、好きなように走って良い訳ではありません。大原則は外出をしないことですが、健康のために走ることはOKです。ただ無防備に何も考えずに走れば感染リスクは高くなるので、どのような行為が危ないのかを一人一人が理解して走ることが求められているのです。

また、健康のためにジョギングを始めた方が増えていると聞きました。初心者ランナーはこの記事を読んでいるようなベテランランナーとは違い、ランナーであれば当然知っているマナーやルールを知らない人もいるでしょう。その方々にイライラするのではなく、どのように走れば良いのかを広げていくことが大事です。

皆様の周りにランニングを始めたばかりの方がいましたら、この記事を教えてあげて下さい。ただ初心者では意味が分からない言葉もあるので、大事なところをかいつまんで説明してあげて下さい。

こちらは昨年のチャレンジ富士五湖で様々な困難を乗り越えゴールしたメンバーの画像です。様々なトラブルに襲われ、完走できないのではないかと思ったこともあるかもしれませんが、決して諦めずに、自分には何ができるのか?何をすべきか?を必死に考え、一歩一歩進んだからこそ完走したのです。

感染拡大が終わり感染が収束したも、もう新型コロナ前の世界には戻らない。と言う人は多いけど、暗い未来にするか、明るい未来にするかは、一人一人の考え方と行動にかかっています。

感染拡大を止めるには、人との接触を減らすことです。しかし自分の心身の健康も守らねばなりません。新型コロナウイルスは、相当の難問を突きつけてきますが、自分自身でしっかり考え乗り切りましょう。

走ってはいけないなんてことはありません。ただし走り方を考えて下さい。こんな時ほど周りの方を不安にさせない行動が求められます。自分自身に都合の良いように読み取るのではなく客観的視点に立ちましょう。そして、自分自身の基準や価値観からずれた行動をする人にも、おそらく事情があるのです。

(*今後の状況によっては、政府や自治体からの要請やお願いが変わってくるかもしれません。ランニングに何がしらの制限が加わるかもしれませんが、その要請に対しては常識ある対応が求められます。ただ、今回書いたことを理解した上で走れば大きく外すことはないと思います。)



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