今年の箱根駅伝はナイキヴェイパーフライ4%が席巻しましたが、5区、6区の山区間は少ないのだろうと思っていました。
昨年このような記事を書きました。
その記事の中で藤原商会さんが調べたシューズ一覧のリンクを紹介しました。
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その一覧表によると2018年箱根駅伝の6区のシューズメーカーはこんな感じでした。
アシックス 8人
ミズノ 5人
ナイキ(ヴェイパーフライ4%) 4人
ナイキ(ストリークなど薄いソール) 2人
アディダス 1人
ニューバランス 1人
アシックスとミズノの国産2メーカーを合わせると13人で61.9%を占有していました。
今年はナイキが多いと感じて、スロー再生して調べてみました。
解像度がさほど高くないテレビなので、少し分かりにくいのはありましたが、23人のシューズ内訳はこのような感じでした。
ナイキ(ヴェイパーフライ4%) 7人
ナイキ(ズームフライかヴェイパーフライか不明) 3人
アシックス 4人
ミズノ 4人
ニューバランス 3人
アディダス 2人
ヴェイパーフライかどうか不明なシューズもいわゆる厚底でしたが、ナイキは10人と昨年の6人から一気にジャンプアップです。
またニューバランスも昨年の1人から3人に増加
アディダスは1人から2人に増加
結果、海外メーカーが8人から15人に増えました。
その分国内メーカーは13人から8人に減少しました。
アシックス 8人→4人
ミズノ 5人→4人
今年は出場校が2チーム増えてる中で、国内メーカーが5人減らしてるのはかなり切実なことだと思います。(東海大は4月以降ウエアもミズノからナイキに変わるという報道がありました。)
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6区の下り区間はキツイカーブもあり、年によっては凍結により滑りやすい路面もあるので、厚底でグリップの良くないヴェイパーフライ4%を履くリスクは結構高いと思いますが、履いた選手はそれ以上のメリットを感じたのでしょう。
まず自動車で下りのカーブを走る時に、車高の高いミニバンより、地面に張り付くようなスポーツカーの方が安全にハイスピードで曲がれます。ランニングシューズでも同じことが言えて重心が高いと不安定になります。ヴェイパーフライ4%はミッドソールが柔らかいので沈み込みも大きくキロ3分よりはるかに速いスピードでカーブを曲がるのはかなり怖いと思います。ちょっとしたズレで足首の捻挫リスクは増大します。
また、今回は穏やかな天気で路面凍結はなかったと思いますが、このようなグリップの弱そうなソールですから下りでカーブのあるコースではかなり神経を使います。
そのようなリスクがあってもヴェイパーフライ4%(ズームフライ)を使った選手は、脚にかかる衝撃を抑えることを重視したのでしょう。スピードに関わらず下りを走ると衝撃は大きくなりますが、物凄いスピードで駆け下りる6区の選手の脚は走り終わったあとはぼろぼろになると言われてます。ヴェイパーフライ4%を履いたことがある方なら分かると思いますが、ヴェイパーフライ4%から他のシューズに履き替えた瞬間に凄く硬く感じてしまうほど衝撃吸収と反発力があります。
現場で見てませんが、選手も指導者もヴェイパーフライ4%を6区で履くリスクを分かった上で、コーナーではスピードを落として足首を捻るリスクを小さくするなどして、足を温存して走ったのではないでしょうか。
傾斜が緩くなりキツくなるラスト3kmあたりでテレビ解説者が、この辺りをこんな余裕ある表情で走っている選手は初めてみました。と東洋大か東海大の選手を見て話していましたが、序盤からハイペースながら終盤まで脚を残すことができたのもこのシューズを履くメリットなのでしょう。
NIKEのオフィシャルLINEにこのような投稿がありました。(こちらはそのキャプチャーです。)
全区間合計すると230人中95人ですから41.3%です。この中には5区を中心にヴェイパーフライ4%ではないシューズも含まれていますが、大半は昨年9月以降に販売されたヴェイパーフライ4%フライニットでした。
この鮮やかなカラーがテレビ画面に何度も写っていました。
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ただ、6区の区間賞(区間新記録)はアディダスを履いた青山学院大の小野田選手です。
青山学院大は東海大に3分41秒差の総合2位と連覇は終わりましたが、やはり強かったです。復路は区間1位が3人、区間2位が2人です。
3区で1位に立つも、4区、5区とも区間賞から3分以上遅れたため、往路優勝の東洋大に5分30秒差でスタートするという厳しい状況でしたが、復路で東洋大を抜き、2分13秒差をつけているのです。今回は東海大が凄かっただけです。
今年の好記録連発にはヴェイパーフライ4%効果が大きいと言われていますが、アディダスを履いた青山学院大選手が区間賞を3人(うち2人は区間新記録)とっている(4人中1人はナイキ)ことを考えると、それだけではなく気象条件にも恵まれ、何より選手が頑張ったのでしょう。
今年の東海大の総合タイム10時間52分09秒は大会記録です。
コースの一部が変わったことで変更前のタイムは参考記録になりましたが、2015年神野選手らが走った青山学院大の10時間49分27秒や、2012年設楽兄弟や柏原選手が走った東洋大の10時間51分36秒に匹敵するタイムです。今年はエース關選手が故障明けで参加しなかったことを考えるとほんと層が厚く来年も楽しみです。
また、今では11時間を切らないと優勝は中々厳しくなっていますが、初めて11時間を切ったのは1994年の山梨学院大の10時間59分13秒で25年前のことです。当時はステファン・マヤカ選手や尾形選手らを擁して区間賞4人、2位5人、3位1人でした。2位早稲田大は1区から渡辺康幸(区間新)-花田勝彦(区間3位)-小林雅幸(区間4位)-武井隆次(区間1位)らと続くも凄いメンバーで、タイムは11時間03分42秒でした。今回の東海大のタイムは当時としては驚異的なタイムであった山梨学院大のタイムを7分以上更新しているのです。7分というとキロ3分で走る箱根駅伝では2.3kmの差になります。
ランニングシューズは進化していますが、それを履く選手が努力して結果に結びつけたのはいうまでもありません。
また、ある大学は前日カーボローディングおよび当日スタート前にモルテンドリンクを使っていると関係者から聞きましたが、その大学だけではなく、使っている選手は少なくないと思います。
そのモルテンドリンクのプレゼント企画は1月7日までです。