昨日、日本ウルトラランナーズ協会(JUA)が、2019 IAU 24時間走世界選手権代表選考要項を発表しました。
2018年は世界選手権は開催されず次回の開催は2019年になります。従来は世界選手権前年の神宮外苑24時間チャレンジを主たる選考大会とし、基本一発勝負で上位4人を選んでいました。
昨年まとめたこちらの記事を合わせてお読みください。
2017 IAU 24時間走世界選手権の日本代表になるために
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今回の選考要項は上記リンクの通りですが、要約すると以下のようになります。
- 男女各4名を選考する(3~6名の可能性あり)
- 2017年および2018年の神宮外苑24時間チャレンジの成績(順位および記録)と、その他のIAU公認大会(日本にはない)の成績(記録)を各年ごとにポイント化し、その総合ポイントによる上位者より選出
- 世界選手権直前年(2018年)の成績をより重視したポイント設定
選考要項に添付されたポイント表を要約すると以下のとおりです。
国内のIAU公認大会は現在のところ神宮外苑24時間チャレンジのみですから、今後追加されない限りは、上記その他とは海外レースでの記録になります。
また上記ポイントは1年間に複数の大会でポイント対象となる距離を走ったとしても記録ポイントは上位ポイントのみとなります。
例えば男子選手が2017年に2大会で250kmと260kmを走った場合、上位ポイントとなる260kmの20ポイントが2017年の記録ポイントになります。
また順位ポイントを獲得できるのは神宮外苑24時間チャレンジのみです。
理論上の最高ポイントを獲得するためには男子は2017年に神宮外苑で優勝し、記録は他大会を含めて280km以上、そして及び2018年は神宮外苑で280km以上走った場合の121ポイント(12+24+40+45)です。
前回までと違うのは2年続けて結果を出すか、1回とてつもない結果を出さねば難しいということです。
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現時点既にポイントを獲得している選手は世界選手権を走り上記基準を超えている下記5選手です。(敬称略)
現時点のポイント
石川佳彦 270.870km 30ポイント
高橋信幸 264.506km 24ポイント
楢木十士郎 251.087km 11ポイント
松本ゆり 234.618km 24ポイント
青谷瑞紀 228.761km 18ポイント
仮に昨年の神宮外苑の上位選手の記録を2017年のポイントに置き換えると以下のようになります。参考数値ですがどの程度ポイントが獲得できるのかイメージは湧きやすいと思います。(敬称略)
男子(参考数値)
1 石川 佳彦 263.127km 獲得ポイント 35ポイント
距離ポイント23ポイント+順位ポイント12ポイント
2 高橋 伸幸 249.804km 獲得ポイント 17ポイント
距離ポイント9ポイント+順位ポイント8ポイント
3 小谷 修平 248.404km 獲得ポイント 14イント
距離ポイント8ポイント+順位ポイント6ポイント
4 楢木 十士郎 247.994km 獲得ポイント 11ポイント
距離ポイント7ポイント+順位ポイント4ポイント
5 古北 隆久 242.215km 獲得ポイント 4ポイント
距離ポイント2ポイント+順位ポイント2ポイント
6 大河原 斉揚 241.926km 獲得ポイント 2ポイント
距離ポイント1ポイント+順位ポイント1ポイント
7 吉田 隆太 241.133km 獲得ポイント 1ポイント
距離ポイント1ポイント+順位ポイント0ポイント
女子(参考数値)
1 青谷 瑞紀 230.609km 獲得ポイント 32ポイント
距離ポイント20ポイント+順位ポイント12ポイント
2 松本 ゆり 228.809km 獲得ポイント 26ポイント
距離ポイント18ポイント+順位ポイント8ポイント
3 岡 さゆり 222.760km 獲得ポイント 18ポイント
距離ポイント12ポイント+順位ポイント6ポイント
4 柿崎 美惠子 200.293km 獲得ポイント 5ポイント
距離ポイント1ポイント+順位ポイント4ポイント
5 楠瀬祐子 198.124km 獲得ポイント 2ポイント
距離ポイント0ポイント+順位ポイント2ポイント
6 廣澤志保 195.603km 獲得ポイント 1ポイント
距離ポイント0ポイント+順位ポイント1ポイント
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今年の神宮外苑は来年世界選手権がないことから代表選考レースではないと考え、エントリーを見送った有力選手がいると聞いていますが、世界選手権でポイントを獲得した5選手を除いては2017年分のポイントが獲得できないことから代表選考に関しては厳しくなります。
ただし、2018年に260km走って優勝すれば49ポイント獲得できるので2017年ポイントなしのビハインドをカバーできるかもしれません。
また、選考人数は4名を基本にするが、3-6名になることもあると記載されていますが、その点に関しては、要項の補足事項に以下の一文があります。
2018年の選考指定競技会において男子250km、女子230km以上の記録を出しながら総合ポイントで4名の基本代表枠に入らなかった場合は追加選出の検討を行うが、必ずしも選出を前提とすることは意味しない。
2018年の神宮外苑24時間チャレンジで男子250km以上、女子230km以上の記録を出したけど、4人目までに入れなかった選手は+2名づつ追加するかもしれない。でもこれはあてにしないでください。ということです。
これは5-6名になる場合の説明ですが、要項だけでは分からないのが3名になる場合です。もしかすると2017年代表選考には、男子はS標準(240km) 女子はB標準(200km)突破が前提でしたが、2019年代表選考もこの基準は最低条件なのだと思います。
それでなければ神宮外苑では6位に入れば順位ポイントを得ることができるのでポイントを得る選手は3人に止まることは基本ないからです。
また、今回のポイント基準をみて感じたのは1kmの重みが大きいということです。
もちろん24時間走での1kmはいつでも重たいのですが、過去の上位入賞者にしても目標距離にしていた220kmや240kmなど超えたから、もしくは後続との距離を考えて順位が確定したからと24時間に少し残してレースを終了する選手はいました。
しかし今回のポイント表を見ると1kmごとに距離ポイントが1ポイント加算されるのです。そこで稼いだ数ポイントが2018年と合わせた代表選考に影響が出ないかもしれませんが、影響がでる可能性もあるのです。
その辺りも含めて24時間走の醍醐味を盛り込んだ公正で明確で素晴らしい選考基準だと思います。