ランニングデバイスを上手に使うために必要なこと

Garminエンデューロと、カシオ・モーションセンサーは昨年から活用しています。

どちらもさまざまなセンサーが組み込まれ、さまざまな気づきをランナーに与えてくれますが、その前提はいくつかあります。

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正しく測定できるのか?

まず、当たり前のことですが、正しい数値が測定できているかどうかが大前提です。

例えば、もうしばらく使っていないタグホイヤーやSEIKOの機械式の時計は、多少狂うので気づいた時に修正していました。1時間に数秒狂う程度なら日常生活にはほぼ影響ありませんが、仮に1時間に10分狂ったら使いものになりません。

GPSウォッチも最新式は距離がかなり正確になってきましたが、以前の機種はかなり誤差がでました。距離が正確に計測できないなら、その距離をベースにして表示するペースなど使いものになりません。

また、スタートボタンを押してから数秒遅れてタイム計測を始める機種もありましたが、長い距離を走る時は3秒ほどの違いは微々たる影響ですが、トラック練習では致命的とも言えるものです。4’00/kmペースで走ると200m通過は48秒ですが、その時に45秒を示したら速すぎたと落とすでしょうが、そうすると次の周回は遅くなりすぎます。また中距離で3秒って相当なタイムです。1秒短縮するのだって結構大変なわけですから。

光学式心拍計も同様でエンデューロの精度には満足していますが、明らかな誤計測をすることもあります。その誤った心拍数をもとに算出したトレーニング効果や運動能力など全く使えません。

使えないだけなら良いのですが、レース中に体感より非常に高い心拍数を見てしまったら、違っているとは思っても不安になりますから、使うことがプラスにならないばかりかマイナスになることもあります。

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正しく測定できない要因

①初期不良・故障

まず、大量生産する工業品ですから、出荷前に検品などしても初期不良の製品も流通されます。また精密な部品を組み合わせた製品ですから、使用中に故障することもあります。

そのためにしっかりしたサポート体制を備えたメーカーの製品を買った方が良いです。例えばGarminにしても正規輸入代理店で購入するより、並行輸入だと安く購入できることがありますが、初期不良や、使用中の故障などの際の対応が心配なので私は正規品を購入しました。

②装着ミス

装着の仕方が悪いと正しく計測できません。腕時計タイプの心拍計なら装着がゆるかったり、カシオ・モーションセンサーなら曲がってつけたり、装着したパンツのウエストの紐がゆるかったりなどです。

③コースなどの状況

これは一定仕方がないケースですが、GPSの電波が入りにくい箇所では正しく位置情報を取得することはできないし、コーナーが多い場所だとショートカットして距離計測をしてしまうこともありますし、左右に感じるくらいの傾斜がある箇所で走ればモーションセンサーの数値はフラットな場所で走る時の数値とは変わってきます。これらは一定仕方がないことなので、数値に一喜一憂しないことが大事です。

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気をつけて欲しいこと

私はランニングに使うための計測機以外に、体温計、体組成計、パルスオキシメーターなど様々な計測機が家にあります。それらを使う時にまずその数値が正しいのかどうかを可能な範囲で調べます。例えば体温計であればしっかり測定できるけど時間がかかる体温計で測った後に、簡易測定ができる体温計で測ってみて、許容できる程度の違いなのかどうかを調べたり、そもそも現在の体温ってある程度分かりますが、その数値とあまりにも乖離があるのは使いません。心拍数も走行中のキツさによってある程度、心拍数は分かりますが、そもそも自分の心拍数はどのくらいかを把握することが必要で、光学式心拍計より心拍ベルトを使った方が正確に測定できるので以前使っていた心拍ベルトの計測値とどの程度の誤差があるのかを把握しておきます。現在使用しているエンデューロの光学式心拍計は、キツめに締めれば信頼感の置ける数値となります。

その観点で考えると、モーションセンサーは多くの測定を行うので心拍計以上に正しく計測できているのかどうかを把握することが難しいと思ってください。

初めて使った時に、なぜこのスコアなの?って感じる方は少なくないと思いますが、そもそもそのようなフォームで走っているのか、計測ミスで正確に測れているのか分からないこともあるのです。私はそのあたり信頼が置けない数値に振り回されたくないので、多くのウルプロメンバーの数値を計測して分析したり、自分自身の走りを変えることで数値がどう変わるのかを試したりすることで、このような走りをするとこの数値はこうなるなど把握できるようになってきました。メーカーページの記載について担当者の方と意見を交わし、修正してもらったりもしました。

トレーニングメニューは自分なりにアレンジして

それだけモーションセンサーを使い込んでいる私ですが、一切使用していない機能があります。それはトレーニングメニューを提案してくれる機能です。ガーミンのアプリにも同様の機能がありますが、全く違うメニューを提案してきますが、ガーミンに関しては練習時の心拍数や身体への負荷、安静時の心拍数の推移など一定組み込んだアルゴリズムで算出しているのかもしれませんが、それでもフルマラソンを走った翌日に100m14秒のスプリントを3本×3セットしようとか出ます。またカシオモーションセンサーはカシオの専用の時計を使えば心拍数も計測できますが、モーションセンサーだけでは心拍数など負荷の計測はできないのだから提案するメニューには疲労度など勘案せず、単に目標タイムに対して3週間前はこのようなメニューをしましょう。と出るだけだと思っています。

そして、ちょっと問題なのは、そのメニューが結構ハードで、50代のランナーだろうが、週3回ポイント練習を提案してきたりするのです。もちろん年齢が上がれば疲れやすく疲労が抜けにくいとは言えませんが、この通りにやることで故障とか体調不良に陥るリスクは結構高いのではないかと感じています。

特にトレーニングメニューに関しては、目標タイムに対してのポイント練習の負荷は参考になると思いますが、頻度に関しては疲労度に応じて調整してください。

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ランニングコーチとして

自分自身でモーションセンサーを使い倒したことで、その方のスコアや項目ごとの数値を見ればどのように走っているのか立体的にイメージすることができるようになりましたし、問題点や改善方法をイメージすることができるようになってきました。パーソナルレッスンをする時にはモーションセンサーを使って計測することもありますが、現在ではアドバイス前のフォームがアドバイス後にどう変化したのか数値化した方が分かりやすいと感じる場合です。

私がパーソナルレッスンをする際にもっとも注力するのは、その人の身体がどう動いていて、それをどのように変えると効率よく走れるフォームになるかを立体的にイメージし、そのフォームに近づけるために、何をするか?何を伝えるか?を考えて伝えるを繰り返すことです。

モーションセンサーのスコアや数値はその時点の客観的な数値(結果)です。そこはセンサーが最も得意とする部分です。センサーが苦手な部分としては『なぜそのような数値になるのか?』を掘り下げていくことです。

例えば、『スムーズな重心移動』の数値が低いとして、そのスコアを決定している『左右方向衝撃』『減速量』のうち『減速量』の数値が悪いと分かったとして、それはどのような動きをしているから悪い数値になっているか?まではモーションセンサーでも一定把握することはできます。

数値化できないことを紐解く

でも、なぜ、『そのような動き』をしているか?は、そのランナーの歴史でもあります。様々なことを試行錯誤して、積み上げたり崩したりした結果が現在のランニングフォームなのです。

それをモーションセンサーなどデバイスは明らかにしてくれません。限られたパーソナルレッスンの時間内に、その方々が抱えている課題を解決するためには、その数値を見ながら改善のための動き作りをするより、なぜそのような動きになったのかの根源にアクセスして、誤った意識や知識、動きを明確にして紐解いていくことを重視しているのです。誤った動きが正しいと思っているがその意識がその部位だけではなく、他の部位の動きを阻害しているケースにおいて、その悪い動きを修正するより、間違った意識を持っていたと気づいてもらう方が大きく改善できます。

『魔法にかかったみたい』とパーソナルレッスンや練習会に参加した方から言われることもありますが、それは魔法ではなく、その方の過去の記憶などにアクセスし忘れていることなども含めて掘り下げた上で、どのように伝えたら良いか言葉を考えながら伝えたり、動き作りを行っているからです。

様々な情報から答えを導き出すこと、課題解決のために何をしたら良いかを考えることは、25年間のビジネス経験が大きく役立っています。25年間の金融機関での仕事がランニング指導に役立っているとは不思議と感じる方もいると思いますが、結局、「情報を引き出す能力」「情報を分析する能力」「伝える能力」「言語化する能力」などは、どのような分野でも大事な能力だと思っています。

最後に

モーションセンサーなど活用することで、目標達成に近づける人もいますが、誤った使用法は当然として、その数値にばかりにフォーカスすることはオススメしません。ランニングフォームを崩したり、場合によっては故障に繋がることもあります。使用する場合に総合スコアにフォーカスするのではなく、特に改善したい項目にフォーカスするなどの使い方が良いと思っています。私がオススメするのは、ペースが速くても遅くても下3つの項目の点数は変わらないように取り組むことです。

パーソナルレッスンやウルプロ練習会に参加ご希望の方はフェイスブックページのメッセージにてお問い合わせください。

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