10kmレースの15年前と現在のレベル感

今年の箱根駅伝参加選手は10000m28分台がスタンダードになってきたと記事を書きました。

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10000mと10kmは違う

ちなみに10000mと10kmは同じ距離ですが、陸上競技としては別種目です。

何が違うか分からない方もいると思うのでザックリ書くと、10000mはトラックレースで、10kmはロードレースです。もう少し細かく書くと、距離に対する誤差の許容範囲と、タイム計測が違います。

距離の誤差とは、公認コースの場合は短いのは認められませんが、多少長くても認められます。その許容範囲がロードの方がゆるのです。トラックは1/10000、ロードは1/1000なので、10kmの距離ならトラックで1m、ロードなら10mオーバーまでOKになります。

タイム計測に関しては、10000mは100分の1秒まで計測するのに対して10kmは秒単位です。

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市民ランナーは10000mより10kmの理由

市民ランナーにとって10000mより10kmを走る機会が多いと思いますが、その理由の一つとして、主催者がコストや利益を考えると難しいということです。

陸上競技場を使って記録会をする場合に市民ランナーレベルだとトラックを占有する時間が長くなります。大学生なら30分程度で終わりますが、市民ランナーだと60分以上かかる場合もあります。単純計算で5000mなら2倍の組を走らせることができるのだから主催者とすると10000mは開催しにくいです。また大学陸上部主催のハイレベルな大会だとたくさんの参加者がいるので、同じようなレベルの選手を同じ組にすることができますが、市民レベルで例えば3組しか集まらないとタイム差があり過ぎて、周回遅れが頻繁に起こり速いランナーが常に2レーンを走らざるをえなくなります。

荒川河川敷や昭和記念公園などを使った10kmなら、一度にたくさんのランナーが走れるだけではなく、タイム差があってもトラックレースほどの問題はありません。

私自身、トラックで10000mを練習で走ったことはありますがレースはありませんが、初めて走ったレースは10kmだし、最近走ったレースも10kmと非常に馴染みのある距離です。

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40分切りは特別な存在だった

さて、私が走った初めての10kmレースは2005年11月開催の名古屋シティーマラソンでした。その時はスポーツクラブで身体は動かしていましたが走る練習はしていないしランニングの知識もないので、自分がどのくらいで走れるのか全く分からず1時間以内に走れたらくらいに考えていましたが、スタートすると前半から飛ばして後半は相当苦しくなりましたが歩くことなく走りきりタイムは48’29と想定以上に走れて驚きました。

それから1年間は特に走ることはしませんでしたが、相変わらずスポーツクラブには時間があれば通っていました。その翌年に開催された名古屋シティーマラソンは45分くらいで走ろうと初めてタイム目標を持って走ったレースになりました。その大会は受付順にゼッケン番号が決まり、ゼッケン番号順に整列ブロックが決まるのでエントリーが始まるとすぐに受付しました。そして最前列から当時としては全速力に近いスピードで飛び出して2kmくらいで早くも苦しくなった記憶あります。終盤はペースダウンしましたがタイムは45’37とほぼ予定通りのタイムで走れて満足でしたが、前半もう少し抑えたら45分は切れたと思うと悔しさもありました。

その時、私は40歳でしたが、スポーツクラブの仲間で私より10歳くらい若い方が、40分まで数秒届かず残念だったという話を聞いて40分切りを狙えるなんて別次元の走りなんだと思っていました。

当時のデータを調べることができたので、当時のレベル感を調べてみました。

男子の上位選手は流石に速いけど、男子の完走者4307人の中で、45分台の私は239位と上位5.5%にランクされていたのです。また2021年末に出した自己ベストの37’46で当時走っていたなら男子総合17位です。40分を切った選手は48人と完走者の上位1%です。また女子優勝者も40分切っていません。そう考えると当時40分切りはかなりのステータスでしたし、私が別次元の走りだと思っていたのも理解できます。

横に並べたデータは年末に走った川内杯の結果です。上位選手のタイムも別格ですが、男子の40分切りは164人(完走者706人→上位23.2%)ですからちょっと速いランナーです。

また2006年当時は50分切っていたら結構速いランナーでしたがそこも変わってきました。数値で表すと名古屋シティーマラソンは4307人の完走者のうち679人と15.8%しかいませんでしたが、川内杯では706人中479人と上位2/3のランナーが50分を切っています。

川内杯について記事に書きましたが、低気圧により風が非常に強くタイムを出しにくいレースだったので、コンディションが良ければ全体的にもっと良いタイムが出ていたでしょう。

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2006年と2021年の変化

15年前との比較ですから、結構たくさんのことが変わっています。2006年当時、私はランニング自体そもそもしていないのでランニング業界のことはほぼ分かりませんが、分かる範囲で現在との違いを書き出してみます。

当時は初心者ランナーが多かった

そもそも10kmレースに男女合わせて6,000人(完走者5,566人)ほどが参加していることが、現在の感覚だと驚きです。2006年は翌年東京マラソン開催が決まり市民マラソンの人気が高まり始めたころで、まずは10kmを走ろうという方が多かったように記憶してます。会社の同僚やスポーツクラブの仲間を誘いあったりして、それまで走っていない方がエントリーしていたので初心者比率はかなり高かったと思います。その観点から考えると現在10kmに出るランナーの中に全くの初心者ランナーは少ないと感じます。

また名古屋シティーマラソン翌日には脚をひきづるように出勤している人がたくさんいましたが、それだけ初心者が多かったのでしょう。最近はフルマラソン終了後の帰宅者の足取りも以前と比べて軽くなっているように感じます。

ランニング情報が乏しかった

当時ランニングをしていなかった私が情報を得ようとしても、分かりやすい情報源は少なめでした。ランニング雑誌を買った記憶はありますが、ある程度走っている方向けの情報で当時知りたかったことはあまり書かれていませんでした。最近はどうなのか考えたこともありませんが、私自身が初心者からスタートしたわけですから、すそ野を広げる意味からも初心者向けの情報発信も作っていこうと思います。

GPSウオッチも厚底カーボンプレートシューズもなかった

私が名古屋シティーマラソンで履いたシューズはスポーツクラブのスタジオレッスンで使っていたクッション性の高いナイキエアマックスなどそれなりに重量のあるシューズでした。当時、ランニング専用のシューズを履いているランナーはほんの一部で、大半は私のようなシューズを履いていたと思います。もちろん当時GPSウオッチなど持っていなくて、初めて購入したのは2008年頃発売したガーミンでした。

名古屋シティーマラソン特有の話

また上記表のタイムだけで単純比較できないのは、名古屋シティマラソンのメイン種目はハーフマラソンで、トップ選手も参加していて制限時間も2時間05分くらいだったと記憶していますが高いレベルの大会でした。そして走れるランナーは10kmではなくハーフマラソンにエントリーしていました。

近年の市民ランナーのレベルアップ

市民ランナーのレベルはここ数年でも大きく変わりましたが、流石に15年前と比べるとさらに大きな違いがあります。私がランニングを本格的に始めたのはこの大会の翌年からですが、10kmで40分を切ったのはその数年後の2011年のことで、その年初めてサブ3をしました。当時、36分台、37分台は結構速いランナーで、月例マラソンなどでも上位に入り、駅伝大会であれば目立つランナーでした。その当時は実業団や大学駅伝部の選手は市民ランナー中心の大会に参加することはほとんどありませんでしたが、今ではそのあたりボーダーレスになってきました。

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最後に

私がランニングを始めた頃の大会結果と、最近の大会結果を比較して感じたことなど書きましたが、東京マラソンなど都市型マラソンが増えたことで、それまで市民ランナーにとって憧れであったフルマラソン完走は今ではさほど珍しいことではなくなりました。ランニングへかける情熱はトップ選手と変わらないような市民ランナーも少なくありません。一方で新たにランニングを始めて大会にでるような人は当時と比べると減少したと感じています。15年前はレベル感で言えばピラミッド型であったのが、今や日本の人口動態のようにすそ野が狭くなり、ラグビーボールのような形になっているのではないでしょうか?

私自身、ランニング業界に関わる一人として、新たにランニングを始めたいという人が増えるような取り組みをしていこうと強く思いました。

また、ランナーとしての私は39歳で48分台、44歳で39分台、47歳で38分台、そして55歳の現在37分台で走れているのだから試行錯誤していけば年齢に逆行して少しづつでもタイムは伸ばせることを示しています。今後は36分台を狙っていきます。

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