大腸がんを乗り越え、長江 隆行が復帰レースで2時間42分6秒でエイジ1位

8月28日に開催された北海道マラソンには、大腸がん(ステージ3b)からの闘病生活を乗り越えて、ランニングを再開した長江 隆行選手が、どのような走りをするか注目していました。

今回は大会結果だけではなく、どのような苦難を試行錯誤しながら乗り越えてきたか、そして今後も乗り越えていくのかという視点から紹介します。

現在、故障や体調不良などにより思うように走れず、走ることを諦めようとしている方は少なからずいるでしょうが、ぜひ読んでいただき、何かを感じていただければと思います。

(画像提供:長江隆行)

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大腸がんの判明と治療、そして緊急入院

2021年の春先、会社の健康診断で血便が出て、精密検査の結果大腸がんが判明しました。がんの大きさも5センチほど大きくなっていて、リンパ転移もあるとのことで同年7月に手術、翌月に抗がん剤治療を開始しました。そして、12月に抗がん剤治療の後遺症で右足の広範囲で血栓ができ、緊急入院治療し、翌年2月にある程度治療効果も良かったので、走り始めました。

ランニング再開時の不安要素

2月の時点での身体の状態は、抗がん剤の後遺症で、指先と足裏の感覚がなく、最初は歩いてもつまづいてしまうことが多かったです。また、腸を20センチ以上も切ったので、排便の回数が1日10回以上あり、今後マラソンをする上で不安な要素もありました。

10km1時間以内を目標

当初はその後遺症と筋肉も心肺も落ちていたので、歩く延長くらいのスピードで身体を動かし続けることを目標に行いました。やがて、距離も増え始め1ヶ月くらいで5kmそして10kmと距離を延ばすことができました。それでも10kmは1時間を切ることがなかなかできず、その時点の目標は10kmを1時間以内で走ることにしました。

復帰レースは北海道マラソンに決めた

走り続けることで、痺れた足の感覚も少しづつ慣れてきて、目標もクリアできてきたので大会の出場を考えるようになりました。

そして、初めてフルマラソンを走ったのが2012北海道マラソンなので、復帰レースは北海道マラソンに決めました。

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股関節の動きを意識し走る訓練を繰り返した

3月から4月にかけて、走る頻度も多くなり、それに伴い体重も減ってきて、体力も少しずつ戻ってきているのを実感できるようになりましたが、足裏が麻痺した感覚がまだ残っているのでスピード練習はできず、股関節の動きを意識しながら一定のペースで走る訓練をひたすら繰り返しました。
やがて、その動きをキロ4分でできるようになり、4月に入ってMK練習会のペーサーに復帰させていただきました。自分の中では、ペーサーをすることで強制的にペースを守るため、身体の動きを一定に持続させる最適な訓練ができたと思っています。そして、この動きをコントロールできればもう少し速い動きもできるという感覚になってきました。案の定、現在ではキロ3分10秒台でもその感覚で走れるようになっています。

北海道マラソンの目標は2時間50分

試行錯誤の結果、キロ4で走れる状態になってきたので、そのペースで42.195kmを走りたいと2時間50分を目標にしました。練習はMAXまで追い込むというより、同じ動きを長時間ひたすら繰り返すことにフォーカスを置き徹底して行いました。
6月、7月と平日はペーサーを行うことで感覚を磨き、週末は暖かくなったので何回か菅平に行き、心肺と足腰を鍛え、8月のレースに向けて少しずつ準備を進めていきました。
8月に入り、体力も戻ってきたので少し練習も強度を上げるようになりましたが、MAXで走るとつまずく感じもあり、なかなかスピードは出せない状況は変わりませんでした。

前日から食事なしで、アスリチューン6個で走る理由

8月後半に入り、北海道マラソンの調整に入りました。
いつもと変わらずに調整しましたが、直前の食事を考えるようになり少し迷いました。なぜなら、排便がいまだ1日10回以上あり、できることなら食事は前日くらいから食べないでスタートしたいと考えるようになりました。その方法を探っていく中で、病気前最後のレース(びわ湖毎日マラソン2021)でも使ったアスリチューンを新澤さんにお願いし手に入れて、前日の夜と当日の朝はなるべく食事を取らないようにして、アスリチューン・ポケットエナジー6個をポケットに入れて走ることを考えました。

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レース結果

(画像提供:長江隆行)

レース中は、ちょうど良いペースの集団が目の前にあってもあえて付かずに今まで訓練してきた同じ動きを長い時間ひたすら繰り返すことにフォーカスを置きながら走り続けました。その甲斐あってか、エネルギー消費も抑える事ができ、後半は多くのランナーを抜くことができました。

結果 2時間42分6秒(ave.3:50/km)

年代優勝(50-54歳)

ラップ 19:07-18:45-19:09-19:03-18:50-19:25-19:38-19:37-8:32

今後について

(画像提供:長江隆行)

今後は、金沢マラソン、防府読売マラソン、東京マラソンと考えていますが、今の練習方法に磨きを掛けていこうと思っています。そして、やがては再び2時間半を切りたいと思っています。

現在でも、手先、足裏の感覚が戻ってはいません。例えば疲労骨折や炎症など一定期間休めば元に戻りますが、僕にとっては今、おそらく陸上コーチでさえも答えの出せない、元に戻る保証のない身体の状態を受け入れて、その中でできることは何かを常に考え、試行錯誤しながら練習しています。このことは僕と同じ様な経験をされた方が復帰する際によいモデルケースになると思っていますし、積極的に私の経験を伝えていきたいと思っています。

今年に入ってから長江さんがペーサーする姿は何度も見ましたし、何度か話しましたが、ここまで厳しい状態だとは思ってもいませんでした。大病を乗り越え、キロ6で走ることを目標にしつつ中々走れなかった状態から試行錯誤して今回の結果に繋げたことは故障などで思うような走りができないランナーにとっての道しるべになると思います。

長江さんの話を聞いて「その時、自分にできることを徹底して行うこと」の大事さを改めて感じました。

こちらは4年前に書いた記事です。

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