ランニングシューズの高反発化により、履き替えただけでレベルに関わらず速く走れるシューズが登場したと仮定すると素晴らしいことだと思いますが、その一方でデメリットもあるのではないか?という考えが浮かんできました。
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例えば気持ちよく走れる程度の斜度の下り坂を走れば、大半の方は平地では出せないようなスピードで走れます。
それって以前書いた、峠走の下りでのリスク、注意点とその対処法に繋がります。
衝撃は速度と重量により強くなります。ということは履いただけで速く走れるシューズがあるなら、スピードが上がった分だけ衝撃も大きくなり故障リスクが増大すると考えたのです。
上の記事を監修していただいた、ドクターランナーの諏訪さん(整形外科医)に、特定のシューズに対しての見解ではなく一般論として反発力の高いシューズを履くことにより発生することを教えてもらいました。
カーボンのような反発力が高い素材はシューズの屈曲を抑え、作用・反作用の法則からもロスを少なく推進力を生む効果がありますが、素材が硬ければ硬いほど、脚にかかる負担が大きくなります。
特に接地面に近い足部・下腿部のダメージが増えます。
具体的には足底筋、アキレス腱、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の炎症や損傷、長期的には中足骨、下腿骨の疲労骨折に繋がる可能性があります。
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シューズメーカーも、故障リスクを抑えるための対策を立てるでしょうが、速く走るということは負荷が大きくなるということです。
本来サブ3.5で走れないランナーを、無理矢理サブ3.5で走れるようにするわけですから、衝撃に対する耐性が備わっていなければ、諏訪医師の言う通りランニング障害に繋がるリスクは高まるでしょう。
また、そもそもの話になりますが、今回の「Breaking2」プロジェクトで走ったアスリートは極限まで速く走れるよう努力を重ねた上で、高反発シューズを履きましたが、一般ランナーはシューズに頼らなくても伸びしろはたくさんあると思います。
速くなるための練習
効率的に走るためのランニングフォーム
走れる身体を作るトレーニング
故障しないでベストな状態でスタートするケア
自分の力を発揮するレースマネジメント
その他たくさんあるでしょう。
履くだけで速くなるシューズがあったとして、それで簡単に目標達成してしまったらこれからの取り組みが疎かになるばかりか、そのシューズが使えなくなったら、そのシューズに出会う前より遅くなってしまうようにも感じます。
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また、クッション性が高く、高反発のシューズを履くと、その性能を生かそうと、ストライドを伸ばすよう身体の前に目一杯脚を伸ばすようなフォームになるランナーがいます。
この画像はハセツネで複数回サブ10をしているランナーの接地直前のフォームです。
このランナーにあえてストライドを伸ばすような意識で走ってもらいました。
腕や太ももの角度を見ていただければ、同じような位置になっていますが、ストライドを伸ばそうとすると接地時には完全に上体の前でブレーキがかかるような走りになります。もっと膝がピンと伸びている方はたくさんいます。
クッション性の高いシューズといっても、このようなフォームで大きな負荷を膝などに受け続けたらどうなるでしょう!?
悲惨な結果が待っているような気がします。
仮に高反発シューズを履く場合でも、上の画像のように上体の真下で接地するような走りが出来ればそのようなリスクは減らせるでしょう。
実際、私が危惧するような、ランニングシューズの高反発化競争→高反発化の歯止めのための数値規制に進むかどうかは分かりません。ただランナーを振り回すような事態にならないで欲しいと思います。
最後に諏訪さんはこう話してくれました。
自分の実力に見合ったギアを身につけることは良いことで、私はフィット感を1番大事にしています。
ランニング障害予防という観点からもギアに頼りすぎるのは良くないと思います。
言葉で表すのは簡単ですがギアに合わせるのではなく、カラダに合ったギアを選択することが大切です。
シューズに+α(付加的助力)を求めるのではなく、フィット感などマイナスを減らせるシューズを選んだ方がランニングを長く楽しめると思います。