2018神宮外苑24時間チャレンジの感想や気づき②〜最後なぜ走れたのか〜

2018神宮外苑24時間チャレンジの感想や気づき①〜記録は悪いが記憶に残るレース〜

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この時は何キロ走りたいとか、誰に負けたくないとかそんな気持ちは全くなく、ただ気持ちよく走りたかったのです。走ることがこんなにも気持ち良いって久々に感じました。

と、前話で書きましたが、その直前まで全く走れなかったことを考えると、まさにスイッチが入った走りでした。

記憶が曖昧になってきていますが、その直前は逆にスイッチを切っていたのでしょう。スイッチを切っていた理由は内臓の調子を崩した時点で走り続けるデメリットやリスクを上回るメリット、精神的報酬が見つからなかったのです。前年はスイッチを切らずに走れたのは自己ベストを絶対に達成したいという強い気持ちがあったからです。そのため目標達成が見えた時点からは、自己ベスト超えれば良いとスイッチが切れ始めました。

今回もさまざまな原因によってスイッチが切れた、もしくは切った選手は私だけではないと思いますが、スイッチを切ることは決して悪いことではないと思っています。

なぜなら24時間走はやめ時の判断がとても難しいレースで体調を大きく崩すリスクがあるからです。

私が中盤以降スイッチを切った理由・切れた理由を振り返り一言で表現するなら、「何を目標に走れば良いのか分からなくなった。」からです。

日本代表になり世界の舞台で走りたい。優勝したいなど順位へのモチベーション、この人には負けたくないというライバルへの闘争心、自己ベスト更新したい、200km超えたいといった過去の自分への挑戦、会場内外で自分を応援してくれてる人の期待に応えたい。負けそうな自分にどれだけ打ち勝てるか試してみたい。など選手一人一人さまざまな理由があり、またそれは刻一刻と変わっていきます。

1周(1,325m)ごとのラップを取りましたがこのような感じでした。ラップを見ると埋もれていた記憶が少しづつ蘇ってきます。(*一部ラップ押し忘れによる推測あり)

スタート〜6時間

周回数 45周(7-8-8-8-7-7 )(59.6km)

7’53-7’11-7’26-8’10-7’34-7’34-7’30

7’36-7’36-7’31-7’37-7’44-8’27-7’58-7’37

7’34-7’33-7’31-8’13-7’53-7’39-6’57-7’33

8’36-7’44-8’06-7’57-8’12-7’26-6’58-6’50

8’13-7’59-7’56-8’14-9’03-7’47-8’35

8’01-7’56-8’24-8’02-9’00-8’11-9’37

6時間〜12時間

周回数 42周(6-8-7-7-7-7 )累計87周(115.2km)

8’48-8’59-8’34-9’03-8’25-8’18

7’29-7’40-7’47-7’46-8’26-9’08-7’05-6’57

8’19-8’47-7’07-8’45-8’38-8’50-7’58

9’16-11’15-9’01-8’30-8’09-6’52-7’10

7’05-8’48-9’01-8’07-7’41-7’40-8’09

8’17-8’49-7’58-8’56-9’30-9’30-10’30

12時間〜18時間

周回数 23周(5-7-5-1-0-5 )累計110周(145.7km)

15’30-9’11-10’31-9’14-10’07

11’07-10’19-9’32-8’26-6’57-8’40-8’40

14’10-11’49-12’05-13’40-10’07

119’37

なし

9’03-10’58-12’48-12’52-14’02

18時間〜23時間22分

周回数 13周(4-1-3-4-1-0)累計123周(162.9km)

9’56-13’52-15’55-15’03

94’09

13’40-12’02-07’47

9’24-11’55-14’36-14’11

47’24

44’50

ここまで23時間22分13秒

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ただ、最後くらいは、ゆっくりでも良いから走ってコース上で24時間を終えたい。という気持ちでスタートした時は終了まで3747秒でした。

この時の気持ちは前話で書きましたが、何キロ走りたいとか、誰に負けたくないとか、順位を1つでもあげたいとかは全くなく、とにかく最後くらいは走りたいというシンプルなものでした。

16時間から23時間22分までの8時間22分で19周(約25km)しか進まず、平均すると1時間に3kmの過去にないレースになりました。

この状態からのスタートでしたが、残り時間で3周(約4km)しようと決めて走り始めました。ここまでの状況を考えると決して簡単な距離ではないです。

走り始めた時に何を考えていたのか記憶は曖昧になっていますが、ほとんど「無」だったと思います。いつも走っているフォームで力むことなく、筋肉に大きな負担をかけることなく、淡々と走ると何だか気持ちよくスピードが乗ってくるのを感じました。

1周終わって時計を見ると、6’53(5’11/km)と今回の最速ラップで走っていたことに驚き、気持ちはさらに上がって行きました。頑張らなくても上体の位置を整えるだけで勝手に前に進む。接地で少し地面を押したら身体はグイッと前に出てさらにペースは上がる。

2周目もタイムは上がり6’50の最速ラップ。当初3周だけと考えていたのに24分残して2周してしまいました。たくさんの方の応援が前から私を引っ張り、そして背中を押してくれました。

最後だけ頑張るのはカッコ悪いと思っていましたが、出せる力があるのに、それを出さないのはもっとカッコ悪い。少しペースを上げればあと3周走れる。もう行くしかない。と考えペースを上げると苦しくなるどころか、どんどん集中力は高まっていきました。

3周目のラップはなんと6’00(4’31/km)まで上がりました。そして4周目は6’16と少し落ちるもあと2周行けるのではないかと思えてきました。その頃、優勝した高橋さんの激しい息遣いが背後から聞こえてきました。私より約100km余計に走っているのだから通常のレースでは高橋さんがどれほど自分を追い込んでいるのかは分からない。それも24時間走の魅力だと私は思ってます。

その時、感じたことは、最後だけ頑張ってる自分はカッコ悪いけど、それはそれで構わない。ってことでした。

途中頑張りが足りなかったかもしれないけど、頑張れる時に頑張ればいい。今は頑張れるのだから自分の走りをしよう。

残り12分ないので2周は厳しいと思うも、胸と腹で体の前の空気を押しつぶしていくイメージで走ると少し落ちたペースがまた戻り、6’06(4’36/km)で5周目を通過。もう何の競技だか自分でもよく分からなくなってきました。

残りは5分40秒しかないが、もう行くしかない。無理やり地面を蹴ったり腕をがむしゃらに振るのではなく、最良の接地のタイミングをはかり押していく。ウルプロメンバーの声が聞こえる。応援にきてくれたたくさんの友人の姿も見える。間に合うか間に合わないかは分からないけど、その時は絶対に間に合わせるという思いしかなかった。

その思いに身体は応えてくれて最後は5’18(4’00/km)の最速ラップで計測地点を駆け抜けました。まだこの状態で周回できる不思議な感覚がありました。

残り20秒ありましたが、残り数10m歩いて札を自分の後ろにそっと置きました。

その後、忘れていた気持ち悪さが一気に来たけど立ってられない程ではなく無事レースを終えることが出来ました。

最後6周のラップタイムは、6’53-6’50-6’00-6’16-6’06-5’18

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過去に復活したことはあるけど、ここまで走れるようになったことはありません。また、過去の復活は全て自己ベスト更新など精神的報酬に向かっての走りだったのに、今回は記録的には何もない中での復活だったのです。

なぜ走れるようになったのか考えるとシンプルで、それまで走れなくしていた阻害要因を潰したことで走れるようになった。そして色々考えずに、ただ気持ちよく走ろうという気持ちが身体を加速させたのだと思っています。

阻害要因はなんだったのか?といえば吐き気など気持ち悪さですが、これは休んだことと昼に近づき気温が上昇したことで身体が温まり和らいできたのです。

体の張りはもちろんありましたが、尻や太もも周りなど大きな筋肉が主体で、爪や指などの靴擦れや、足首、膝、股関節など関節部の痛みがほとんどなかったのも走れた理由です。

最後あれだけ走れるなら、もっと前から走れ!と恥ずかしい思いはありますが、100マイル以上走った後に、あれほど楽に身体が進むフォームを体現できたことは大きな収穫でした。

来年も24時間走に出るかと言えば、今は考える気にもなりません。

ただ、出るならしっかりと準備をして出ます。今回は中国の100kmレースに出ることで、神宮外苑のことは一旦は頭から消し去ったこともあり、心身共に準備不足のままスタートラインにつきました。

そんな準備で自己ベスト更新できるわけがありません。

今回の自己ワーストは当然の結果というより、むしろ出来過ぎだと思ってます。また脚は100km走ったことで強くなったようにも感じているので、悔しさはありません。何よりレース翌日に普通に歩けている自分には驚いています。

その3に続く

2018神宮外苑24時間チャレンジの感想や気づき③〜足底や指周りを痛めないためにしたこと〜



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