後半失速からの復活で自己ベスト〜復活するには理由がある〜

後半徐々に失速するも、終盤回復したかのようにペースアップすることは、100kmマラソンではよくあることです。私自身も何度か経験していますが、今回のサロマ湖でも複数のウルプロメンバーがそのような走りをしました。

そのような走りを“復活”という言葉を使い、「ウルトラマラソンには復活がある」とウルトラセミナーでも話しています。

復活する要因は様々ですが、そのためには乗り越えないといけないことがいくつかあります。

それは、走れなくなっている原因を解決することと、諦めないことです。もちろん体調を大きく崩しそうな時は止める勇気も必要です。それを判断するのは自分自身です。

そこに、何かキッカケが加わると別人になったかのように走れることがあるのです。

今回紹介する元垣内さんはその条件が揃ったことから、70-80km区間は90分以上かかっていたのに、強い向かい風の80-90km区間を61分で走り、自己ベストを更新しました。

今回のサロマ湖だと、同様に暑さから軽い熱中症、脱水症状になり失速したが、雨で身体を冷やされたことで走れるようになったという方は少なからずいるでしょう。

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10kmごとラップ

57’34-55’34-57’18-64’10-78’00

77’12-77’41-90’17-61’31-68’37

タイム 11時間27分54秒

30km過ぎから失速をはじめ70-80kmは90分と潰れましたが、そこで復活して向かい風の80-90kmを61分で走ったのです。

終盤上げて自己ベストですから、ゴール後の元垣内さんは満足そうでしたが、次に繋げるためにもいくつか振り返ってもらいました。

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後半ペースが落ちた理由について

①ジェルを多めに用意していたにもかかわらず、エイドの食べ物に頼ってしまい効果的に補給をとらなかったこと

②フォームの問題→前半に比べると後傾ぎみになっていた?

③70km手前あたりから急に天気が悪くなって、気持ちがネガティブになってきた。

 

補給に関しては、ジェルでなくてもエイドの固形物を食べたなら問題ありません。今回ペースが落ちた最大の理由は元垣内さんの課題である後傾だと思います。そして後傾によりペースが落ち始め気持ちがどんどんネガティブになったのだと思います。

合わせて、なぜ80kmからペースアップ出来たのかも振り返ってもらいました。

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ワッカからペースアップできた理由

①75kmを過ぎて雨が降り始め、気持ちがネガティブになっているところに後ろから仲平さんが追いついてきて、一時的ではあるものの、自分より前を走る仲平さんを見て、このままズルズル引き離されたら去年の二の舞になってしまうと思い、まずはついていこうとしたらペースが戻り、そのままワッカでもペースアップができた。

②走りながら音楽を聴くことで、ネガティブになっていた気持ちを意識的に上げることができた。

③ワッカの前半が向かい風になるので、もう一度前傾を意識して走るようにしたこと。

④寒さ対策をしっかりしておいたので、寒さをまったく感じることなく走ることができた。

 

こちらは全部その通りだと思います。特に大きいのは初100kmで、フルマラソンも4時間20分の仲平さんに抜かれたことでしょう。さすがに悔しくこのままではいけないと付いていこうとしたことです。

そして、ペースアップしたら苦しいと思いきや、意外と楽に走れていることに気付き気持ちもポジティブになったのでしょう。

なぜペースが戻ったかというと、追いつこうとペースを上げたことで後傾が収まり、いつも練習で意識している後傾にならないフォームを思い出し、さらにワッカの強風に負けないように上体を倒すことで脚が前に出たのだと思います。

また、元垣内さんは気づいていないのかもしれませんが、このペースの落ち方をみると序盤の暑さで軽い脱水になり走れなくなった可能性は高いです。例年に比べてトイレの回数が減ったのもその影響でしょう。その身体を75kmからの雨で冷やされたことで走れるようになり、ちょうどそのタイミングで仲平さんに抜かれたのもラッキーだったと思います。

□元垣内さんの復活のきっかけになった仲平さんのゴール直前の元気な走り

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もちろん、ドロップバッグに防寒&雨対策用のウェアを置くなど、レース前からレースを想定し準備したことも大きいです。それは単に暑さ・寒さなどから身を守ったというより、これだけ準備し、昨年より練習をしたのだから、昨年より絶対に走れるはずと自分を奮いおこすことに繋がったのです。

元垣内さんはゴールした時の気持ちについてこう話しています。

後半ペースダウンして今年も不本意なレースになりかけたところで復活して、目標タイムには届かなかったものの、自己ベストを更新できてホッとしました。来年はさらにベストを更新できるよう頑張ろうと思いました。

 

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