GPSウォッチを過信しない

私は2年前まで長らくGarminを使い、2年前からSUUNTOを使っています。

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合わせて10年以上GPSウォッチを使っていますが、その間にGPSウォッチはかなり進化してます。

それはルートナビや光学式心拍計など機能面だけではなく、バッテリーの稼働時間など全く別物です。

例えば最初に買ったGarminのGPSウォッチは8時間持つと説明書にありましたが、実際は4時間ほどしかもちませんでした。その後ウルトラマラソンを始めると、当然そのバッテリー稼働時間では使えないので日本未発売の10時間ほど稼働するGarminの並行輸入品など使っていました。

こちらの910XTJは三番目に買ったGARMINです。

現在使用しているSUUNTO9 BAROは、一番GPS精度が高いパフォーマンスモードで使っても24時間もちます。これはカタログデータではなく実際この程度もちました。また、24時間を超えるようなウルトラマラソンではそもそも心拍数を把握する必要性はほぼないと思いますが、心拍計測をオフにすればバッテリー稼働時間は更に長くなります。

練習やレースだけではなく、日常生活でもSUUNTO9を活用してますが、GPSウォッチを盲目的に信用しないようにしてます。

特にペースは参考程度にしてます。理由は人工衛星からの信号を受けにくい場所であれば距離に誤差が生じるのでペースも狂います。

SUUNTO9はかなり正確な数値を計測してくれますが、それでもおかしいと感じる時はあります。

笑い話のような話ですが、トラックなど距離の正確な場所で開催された練習会やイベントで、ペーサーはほぼ正確なラップを刻んでいるのに、『設定よりキロ10秒も速いです!!』と自分のGPSウォッチに表示されたペースを基準にして大きな声を出す参加者もいるようです。

また公認コースのフルマラソンで、自分のGPSウォッチでは42.195km地点でサブ4できたのに、距離が1km長くてできなかった。絶対に距離おかしい!なんて話もあります。

当たり前の話ですが、仮にGPSが100%正確だったとしても、大会中はエイドに寄ることもあるし、常に最短距離を走れるわけではありません。

そのような極端な話ではありませんが、フルマラソンのスタート直後は私もGPSウォッチのペースを参考にしますが、4’05/kmペースを示しているのに、5km通過地点で、思いのほか遅い時もあります。まれに距離表示が明らかにおかしい時もありますが、予定より遅いと分かれば上げるしかありません。

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今回紹介する話は、最近本人から聞いた話ですが、GPSウォッチを信じていると起こり得る話なので、注意喚起の意味で紹介します。

Wさんは、東京マラソンで自己ベストを大きく上回る3時間26分を目標に走りました。

もともとサブ3.5を目指していましたが、ハーフ、30K走ともに手応えを感じ、4分55秒ペースでは走れると設定を変えたと話していました。

手応えの根拠は、1月27日のハーフマラソンを1時間39分34秒で走り、30km走ではキロ5(4分59秒)ベースに余裕があり、ラスト2Kを4分40秒くらいまで上げて終わることができたからだそうです。

その後、Wさんは、20km、10km、刺激入れ、疲労抜きをして万全な状態でレースを迎えた。

レース中、いつも愛用しているガーミンは、常にキロ4分52〜54秒を表示していました。

呼吸も全く辛くないし、アドレナリンでペースアップしてしまうのをなるだけ抑えて抑え、イーブンペースを刻む様に、丁寧に同じ動きを繰り返しました。

気持ちに余裕もあり、雨の冷たさと、寒さは感じたものの、余計な事は考えずに走りました。

1kmごとラップは多少の誤差はあるものの、終始キロ5は切れていました。

また、痛みもなく、身体の異常はなく、これは目標達成出来ちゃう。と考え始めました。

そして、30K地点でガーミンを見ると「あれ?2時間35分! ん??スタートタイムのロスを含めても、おかしい??」とサブ3.5ペースも超えてしまっていることに初めて気づく。

このまま走れば目標達成できると信じていたことから、頭が混乱し、ここからキロ何分で走れば目標達成できるのかも計算が出来ず。。。

この頃から、集中力が切れ始め、先程までとうって変わって、寒さで身体の動きが悪くなり、手が悴んで、足先も感覚がなくなりはじめました。

ここからはペースを落とさないように走りました。

もう目標タイムには届かないから、タイムのことは考えず、レースを楽しみ、絶対にゴールする。と気持ちを切り替えて走りきりました。

(5kmごとラップ)

25:13-25:07-25:23-25:23-25:36-25:36-26:29-26:16-11:26

3:36:29(PB)

ゴール後は、ガタガタと震えて、寒さしか感じませんでした。

気持ちは切れてしまってたけど、脚も残ってるし、心拍も余裕があり不完全燃焼なレースになってしまいました。

自分では、しっかり練習積めたと言う気持ちが強く、2週間ほど悲しさにくれました。

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Wさんは、コース上の距離表示を見ないで走ったことから、GPSウオッチのペースが間違っていることに気づかなかったのです。中盤まで勝手にペースアップしてしまう自分を抑えたとありますが、おそらくそのペースが身体に刻まれた4’55/kmペースだったのでしょう。

途中でラップを確認していたら目標達成できたかどうかは分かりませんが、少なくとも心肺や脚に余力を残して不完全燃焼で終わることはなかったと思います。

GPSウォッチのペースは、あくまでGPSが測定した距離が正確であるという前提の上に成り立っています。

機種を問わず、GPSウォッチの距離は狂うものだと思って、途中の距離表示で確認したり、練習でペース感覚を磨くことで、このようなミスを防ぐことができます。

ペース感覚を磨くためには、常にペーサーに引っ張ってもらっていてはダメです。

ウルプロ練習会には、ペーサー付きの練習会もあれば、自分でペースメイクする練習会もあります。その理由はペース感覚を磨くためです。

ウルプロ練習会日程はこちらです。参加ご希望の方はfacebookページのメッセージにてお問い合わせください。

また、GPSウオッチに頼り切っていなくても、ウルトラマラソンやウルトラトレイルのレース途中でバッテリーが切れると、目標タイムまでの時間も分からなくなり、気持ちも切れてしまうことがあります。そうならないためには、バッテリー稼働時間に余裕のある機種を購入することをオススメします。

また、バッテリー消費が大きい要素は、光学式心拍計、バックライト、音やバイブ機能などですから、調整できる機種であればOFFにしておけば余計なストレスを感じずにすみます。

SUUNTO9はバッテリーがゴールまで保たなそうな時にはGPS精度を落とすことができますが、そのような機能がない機種をお使いの方は、バッテリーが落ちる前にGPSを止めて時計機能だけ残しましょう。時計機能があれば何とかなります。



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