サブ3.5達成に必要なこと

SNSを見ても10月以降のフルマラソンでサブ3.5しようと練習している方は少なくありません。

過去何度も挑戦するも中々達成できず諦めてしまった方もいるでしょうが、諦めていない方に向けて先日ウルプロメンバーを対象にしたオンラインセミナーで話したことを紹介します。

サブ3.5をしたいと何年も狙っているのに、できない方はできない理由があります。

それを何となく、練習が足りないとか、根性が足りないでオブラートに包んでしまうと目標は中々達成できません。

画像はウルプロ練習会での撮影です。

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基礎スピードが足りているか?

まず、チェックして欲しいのは、そもそもサブ3.5を狙える基礎的なスピードが足りているかどうかです。

3時間30分で走るには平均して4:58/kmペースで走る必要がありますが、距離が半分のハーフマラソンの平均ペースが4:58/kmペースに近ければ近いほど余裕度はなくなってきます。

VDOTはある程度目安になります。

例えばフルマラソン3時間30分と同等なタイムは以下の通りです。

種目同等タイムペース
ハーフマラソン1:41:114:47/km
10km45:384:33/km

一人一人特性が違うので目安ではありますが、過去に多くの市民ランナーを見てきた中ではこのタイムだと結構厳しく感じます。 

例えばフルマラソン3時間と同等なタイムは、VDOTによるとハーフマラソン1:26:18、10km38:59ですが、女性だとこれより多少遅くともサブ3できるランナーはいますが、男性だと厳しいと感じます。感覚的にはVDOTの同等タイムより1%速めたタイム(ハーフマラソン1:25:26、10km38:35)を出せる走力が欲しいです。逆に女性だと1%遅いタイムでも出せるランナーはいますが、それ以上だと厳しいです。

もちろん男性でも持久力の高いランナーはいるし、女性でも持久力の低いランナーはいるのでVDOTの同等タイムの上下1%以内を目安にして、現時点で走れるタイムかどうかを知ることがスタートになります。

種目とペース同等タイム1%速い1%遅い
ハーフマラソン1:41:111:40:111:42:11
上記ペース4:47/km4:45/km4’50/km
10km45:3845:0146:05
上記ペース4:33/km4:30/km4’36/km

片方の種目は目安に入っているが、片方は入っていない方もいるでしょうが、その場合ハーフマラソンが目安に入っているかどうかが重要です。

この目安に達していないなら、マラソンシーズンまでに、この目安に近づけるよう練習してください。もちろん8月や9月初旬の暑い時期だとタイムは出しにくいので、涼しければあとキロ5-10秒速く走れそうなコンディションなら、その辺りを勘案したタイムを目標にしたら良いです。

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基礎スピードは足りている場合

このタイム目安はクリアしているのに、サブ3.5できない方は、原因は様々ですが後半失速しているのでしょう。失速するには原因がありますが、その原因を克服することなくレースに挑んでも繰り返します。

ダメだったレースをしっかり振り返ることができる人もいれば、できない人もいます。どちらが目標達成に近いかは言うまでもありません。

まずやって欲しいこと

まず、やって欲しいことは、自分のレースを振り返って欲しいのです。ラップタイムはランネットなどで調べたら過去のレースも分かります。直近5レースくらい調べてみてください。コースも違えば気象コンディションも異なるでしょうが、傾向は掴めます。またラップを見ればレース中の光景や、その時の自分自身の身体の状態、そして精神面の変化など思い出せます。

そこにヒントがあります。

後半失速する原因は様々と書きましたが、概ね以下に当てはまるでしょう。

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後半失速する原因

  • フルを走る脚ができていない
  • ガス欠
  • オーバーペース
  • 心拍数が上がりペースを保てない
  • 暑さ対策、塩分補給不足
  • フォームが崩れる
  • お腹を壊した
  • 靴擦れおこした など

また足攣りのように原因が一つには特定できないケースもあります。

上記を分類すると以下の5つになります。

  1. 持久力など練習で鍛えていくこと
  2. ランニングフォーム
  3. 適切な補給、ペースなどレースマネジメント
  4. 体調管理(ピーキング)
  5. トラブル対応、予防

ここは凄く大事なところです。

例えば、持久力など走力的な面では十分にサブ3.5できる力はあるし、練習も積んできたのに、ガス欠や体調管理がうまくいかないなどで後半失速した場合に、練習が足りないと練習量を増やしてしまう方は少なくありません。

ガス欠だったなら補給を増やすだけで、後半の失速を防げるかもしれません。

また、レース直前まで負荷の高い練習をしていて、その疲労が抜けないまま大会当日を迎えたのかもしれません。その方がさらに練習量を増やしたら、さらに疲労が溜まった状態でレースを迎えるかもしれませんし、それ以前に故障してスタートラインにもつけないかもしれません。

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原因を見誤ると大きくマイナスに向かうことも

原因など見誤ると、せっかくの努力が、マイナスに働いてしまうこと多々あります。市民ランナーは結果が全てではありませんが、結果が出なくて走ることが詰まらなくなりやめてしまう方もいるので大事なところです。

自分の目標に向けて足りない能力や行動を明確にして、それを積み上げていくことが必要なのです。

余談ですが、トップレベルならこの辺りはコーチなど細分化・専門化されていますが、市民ランナーのコーチはこの辺りを総合的にアドバイスできる能力が求められます。そもそもの失速の原因がなんなのかを絞り込んでいくには、ラップタイムや気象条件だけではなく、相手が気付いていないことなど質問することで引き出し、結びつけていく能力も必要です。

適切なペース(理想なペース)って何?

例えば、失速の原因がオーバーペースであれば、なぜオーバーペースになったのかも考えねばなりませんが、そもそも適切なペースってなんだろう?って思う方もいるでしょう。

テレビなど解説者は、ネガティブスプリットが素晴らしいって報道するケースもあるので、それが正しいと思い込んでいる方もいるでしょう。トップレベルはタイムより順位が優先します。順位を競えば削り合いや揺さ振りもあります。お互い牽制してペースを抑えたりもします。ただ市民ランナーの大半は順位なんてほぼ眼中にはないのだから同じではありません。

ちなみに私が初めてサブ3した2011年の神戸マラソンはネガティブスプリットでしたが、これは前半トイレを我慢しスピードが落ちていたのが、ハーフ過ぎて尿意がなくなりペースアップできたなど様々な要因があったからで、昨年の東京マラソンから今年の東京マラソンまで4回サブ3したラップは、ほぼイーブンペースながら後半やや落としてフィニッシュしてます。

どちらが良い悪いではなく、その人の目標タイムと走力など考えた結果、もっとも達成確率が高いペースが良いペースだと思っています。

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体感イーブンペースがオススメ

強いて良いペースを言うなら、体感イーブンペースです。前半より後半は疲れてくるから、前半と同じペースで走ればキツくなります。それを前半と同じくらいの体感的なキツさで走るとなると多少ペースは落ちます。最後は出し切るわけだからキツくなりますが、少なくとも30km、32km辺りまでこんな感じで走れたら、そこからは上げていくくらいの気持ち・感覚があってもほぼイーブンペースだったりします。

このように走ると後半の落ち込みは少なくタイムはまとまります。

例えば、目標タイムを前半49%と後半51%にすると、前半は1:42:54、後半は1:47:06になります。ペースはそれぞれ4’52/kmと5’05/kmです。

このペースで私が走っていたのは15年くらい前なので、イマイチ感覚が分からないと感じた時には自分がイメージしやすいタイムに置き換えます。3時間なら前半1:28:12で、後半1:31:48になり、ペースは前半4’11/km、後半4’21/kmです。こんな感じで走ると精神的にも体力的にも結構楽です。ただし前半の4’11/kmペースが余裕あるランナーの場合です。

その観点から考えると、サブ3.5の前後半に関しても前半の4’52/kmペースが余裕あるランナーなら、こんな感じで入ると後半多少ペースダウンできるので精神的にも楽ですし、仮にトイレによる場面があっても何とかなるかもしれません。

前後半比率を49.5%と50.5%とほぼイーブンペースにすると、これは結構余裕ありません。

サブ3.5なら前半1:43:57で、後半1:46:03となり、4’55/kmペースと5’01/kmペースです。

1トラブルあれば目標達成は困難になるペース配分ではありますが、ハーフマラソンのタイムが1時間41分前後のランナーが前半49%の1:42:54で入るのはオーバーペースであり、このくらいの余裕度は必要です。

そもそも、サブ3.5達成がギリギリの走力のランナーなら1トラブルで達成は困難になります。そのために走力の余裕度を高めていくのです。

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後半失速するのは持久力不足?

ハーフマラソンが1時間42分のランナーが、サブ3.5を狙って前半を1時間44分で通過したとすると、ハーフ通過時点でもう余裕はありません。それで30kmまではなんとかペースを保ったが、それ以降ペースが保てなくなり失速した場合に、自分は30kmから失速したから持久力がないと考えてしまう方はいます。そして30km走ではなく35km走、40km走を取り入れようとしたりします。

ただ、ハーフまで自己ベストに近いペースで走りながら30kmまでペースを維持できるなら、この方は持久力の高いランナーで足りないのは、スピードです。ハーフマラソンの自己ベスト1時間42分が1時間40分くらいになれば、同じペースでフルマラソンを走っても中間点や30kmの余裕度はかなり変わると思います。

そして、このタイプはスピードを上げる練習は嫌いで、長くゆっくり目に走る練習は好きな傾向にあるので、スピードを上げる練習を取り入れると結構伸び代があります。

(サブ3.5レベルのランナーにオススメのシューズです。)

練習メニューについて

練習メニューについて簡単に書いておきます。

スピードが足りない方は、9月、10月辺りには、最初に書いた最低限の目安になる10kmやハーフマラソンのタイムはクリアできるようスピードがだせるようフォームを改善したり、練習メニューを工夫しましょう。

後半失速する方は、まずは失速の原因を明確にしてください。何となくでは対策がうてません。

練習メニューは、速いペースを短時間走るインターバル走などの練習が好きな方が多いと思うので、その設定ペースは変えずに、本数を1、2本増やすのも効果ありますし、練習会に参加するならインターバル走などをした後、マラソンペースで4-5km走るのも持久力を付けるには有効です。

また、週1回、または2週に1回は120分間走など長時間動き続ける練習も有効です。もちろん20kmや25kmなど距離にしても構いません。レースペースの10%増程度。レースがキロ5弱ですから、キロ5分半を切る程度で十分です。長時間走ることでトラブルも出てきますし、身体の変化も顕在化しやすいです。

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前のレース(現時点)でもサブ3.5する力はあった?

何回か記事にしてますが、マラソンなどアウトドアスポーツは自分ではコントロールできないことによりパフォーマンスが下がることはあります。

サブ3.5できる走力をつけて、体調もよく疲労が抜けた状態でスタートラインに付けたとしても、季節外れの猛暑だったり、台風のような強風になればタイムは落ちます。

そこには、運、不運はありますが、それは仕方がないことです。

したがって、多少の悪条件でもサブ3.5できるよう、良いコンディションなら3時間25分が切れるくらい力は付けることを目指して練習していく。

そして、そこまでの力がつかなかったとして、大会当日の気温が高くなってしまったら、例えばサブ3.5のイーブンペースで入って後半どれだけ粘れるかを確かめてもよいし、暑さによる負荷を勘案して3時間35分のペースを組んでしっかり走り切るなどすると力がつき、次に繋がります。

気温が低い時を想定した前半のペースは、気温が高ければオーバーペースになります。それでハーフも行かずにグダグダなレースになるのを経験するのも良いですが、何回も繰り返すと自信をなくすし、経験にもなりません。また悪いイメージしか湧かなくなってきます。

3時間30分が狙えるギリギリの力であれば、多少気象条件が悪くても3時間35分以内で走り切ることを繰り返していくと、コンディションが良い時に簡単にサブ3.5が切れたりします。

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目標を義務感にしない

これはサブ3.5だけではなく、サブ3など目指しているランナーにも言えることですが、その目標タイムが視野に入るまでは順調にタイムが伸びてくると、次はサブ3.5、次はサブ3などと自分が意識していなくても、周りが煽ることですっかり自分自身がそのタイムを出さねばならないといった義務感を感じるようになったりします。例えばサブ4をして、次に3時間45分切れたとすると、サブ3.5を意識するのは分かりますが、3時間45分と3時間30分の平均ペースはキロ21秒以上違うのです。(3時間15分と3時間も同様)もちろん狙うのは良いのですが義務感にしないでください。周りはその場のノリで勝手に言っているだけです。ここで義務感に感じたりすると自分が苦しくなるし、楽しめなくなってくることもあります。そこで頑張って3時間39分で走ったなら本来は大きな自己ベストですが、サブ3.5を義務感に感じていると、ガッカリするかもしれません。そしてサブ3.5以外は意味がないと考えるようになると、オーバーペースで走ってしまい後半失速するといった同じようなレースを繰り返します。

ウルプロ・サブ3.5チャレンジ

9月スタート 2名募集します。

ご希望の方はFacebookページのメッセージにてお問合せください。

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