先月末に発売開始されたSUUNTO9はとにかくバッテリー稼働時間が非常に長いと、トレイルランナーやウルトラランナーの間で話題になっています。
バッテリー稼働時間は毎秒計測のパフォーマンスモードで25時間、ウルトラモードで最大120時間で、自分の必要な時間、バッテリーが切れないように設定をカスタムすることもできます。例えば、画面の明るさを落としたり、バイブレーションモードOFFなどにより稼働時間を調整できます。
特にウルトラモードの120時間という数値には驚きました。
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仮にメーカー公表数値の7掛けでも84時間(3日半)です。UTMFや250km前後のウルトラマラソンでもバッテリー切れの心配はありません。川の道フットレース514kmの制限時間は132時間(5日半)は流石に持ちませんが、途中のレストポイントで1回充電すれば最後までいけてしまいます。
しかし、従来からSUUNTOだけではなくGPSウオッチには、OKモードやウルトラトラックモードなどGPS信号の取得間隔を広げることでバッテリー消費を抑えるモードはありますが、誤差が激しくランニングで使うには実用的ではありませんでした。
SUUNTO9にはそのあたりを改善する機能が新開発されました。
オフィシャルページにこのような記載がありました。
SUUNTO FUSEDTRACK™ より正確な軌道と距離の為に
Suunto独自のFusedTrack™アルゴリズムにより、GPSとモーションセンサーのデータを組み合わせることで、軌道と距離の精度が向上しています。これにより、精度を大幅に損なわずGPS消費電力を低下させ、バッテリー寿命を延ばすことができます。
簡単に書くと、GPS信号を受信する間にカーブなどあったとしても、モーションセンサーでその間どう動いているかを予測して軌道修正することで精度を高める機能です。
どの程度のものなのか?と昨日のウルトラプロジェクト練習会で奥武蔵を走った時に試してきました。
練習会については別に紹介します。暑い中メンバーそれぞれ良い練習になったようです。
これは私の両腕ですが、3個のSUUNTOを付けて走りました。
□左手首
SUUNTO9 カスタムモード(ウルトラモード+光学式心拍計測)
□右手首
SUUNTO スパルタンウルトラ BESTモード(最高精度モード)
SUUNTO スパルタンスポーツBARO OKモード(長時間稼働)
普段時計を付けない右手に2つの時計は邪魔になるかも思いましたが、さほど気になりませんでした。上記画像では同じ向きにしていますが、動きでボタンを押されては嫌なので、1個を逆さに付けて、時計のボタンが接触しないようにしました。
今回テストした、奥武蔵グリーンラインはこのテストをするには非常に過酷な状況です。
理由は以下の通りです。
・カーブが非常に多く、起伏が激しい
・頭上を木々で覆われている箇所が多く、GPS信号を取得する時点で、取得できない可能性もあること
もっと暗い鬱蒼とした場所もあります。
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【結果報告】
今回は休憩時間含めて止めずに計測しました。常に最後尾を走ったのでスピードは遅めで、早歩きの区間も多々あります。
まず、最高精度で使用したSUUNTO スパルタンウルトラのデータです。
□最高精度 21.62km
行きの帰りもほぼコースを綺麗にトレースしています。終盤多少ズレていますが距離感はほぼ誤差はありません。頭上を木々で覆われている箇所が多く、また常に片側が山になっているのでGPS信号を取得しにくい箇所がある中で凄い精度だと思います。また高度計と連動しているので実際の道のりを計測します。
□長時間稼働モード(従来版) 15.03km
これは従来の長時間稼働モード(OKモード)で測定したものです。最高精度で測定した距離の約70%でした。実際の距離の70%になればペースなども大きく変わってきてしまいます。
比較的まっすぐ走るコースであったり、ゆっくり歩く登山であれば十分使えると思いますが、曲がりくねった道を走る状況では使えないレベルです。
□長時間稼働モード(SUUNTO9) 19.13km
SUUNTO9のウルトラモードです。流石にルートを大きく飛んでいる箇所もありますが、計測時にGPS信号を取得できない箇所にいたことから飛んでしまったのでしょう。
このテストをするには厳しい環境の中で、最高精度で測定した距離の約90%の数値が出たのは期待以上でした。
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折り返した顔振峠付近を拡大してみました。
スパルタンウルトラ BESTモード(最高精度モード)
流石の最高精度です。
スパルタンスポーツBARO OKモード(長時間稼働)
ちょっと使えないレベルです。
SUUNTO9 ウルトラモード(長時間稼働)
Uターンする箇所はさすがに上手く取るのは難しいようですが、その他はコースをしっかりトレースしています。
今回かなり厳しい状況でのテストでしたが、次回は頭上が開けた、まっすぐな河川敷などでテストしてみます。そのような状況ならもっと正確な数値が出ると思います。
しかし、無理にウルトラモードを使わなくても、パフォーマンスモードやエンデュランスモードでバッテリーが足りなくなるようなレースを走る方はほとんどいないと思います。
ただ、私は夜間走行時は安全面からも画面を常時ONにして走りたいので、バッテリー消耗は激しくなります。思いの外バッテリーを使ってしまった時など、ウルトラモードに切替をしても誤差が小さいというのは安心だと思います。
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