サブ4達成に必要なこと

先日、『サブ3.5達成に必要なこと』を投稿しましたが、今日は『サブ4達成に必要なこと』を投稿します。タイムが異なるだけなので重複することもありますが、サブ3.5よりランニング歴が短い方も相対的に多いのでその観点は加えたいと思います。

私の初マラソンと初サブ4

マラソンを4時間以内で完走することをサブ4と言いますが、ある程度の体力がありレースまでに準備をした方なら最初のレースで達成してしまうランナーも少なからずいます。

ちなみに私は40歳の時に初めてフルマラソンを走りました。その直前にハーフマラソンを1時間45分ジャストで走っているので、サブ4どころか3時間45分くらいは狙える体力でしたが、マラソンを甘くみて何とかなるだろうと、ほぼ準備をしないで走ったところハーフ手前で両脚が攣るという厳しい展開になりました。その時は、諦めずにその時できることをして、制限時間(5時間)ギリギリの4時間56分で完走しました。体力・走力があっても、準備することで身に付く知識や経験が足りないとサブ4どころか完走も危ういということです。

この時は、スタート前の準備から脚が攣るまでに行なった行動の中にはたくさんのミスがあります。そして脚が攣ってからは、ほぼない知識や経験から絞り出すように対策を講じ試行錯誤しました。もちろん特効薬などなくて何度も転倒しましたが、その道中で諦めずに必死に考えたことはその後のレースどころか、人生さえも変えてしまいました。

私自身のサブ4は、その次のチャレンジである2008年東京マラソンで達成しましたが、脚攣りが怖くて攣ったら大変だと慎重に進みました。多少のタイムロスになっても構わないと攣らないようできることは全部しました。脚攣りの気配は多少ありましたが、40km過ぎてここから全部歩いてもサブ4できると思った時は本当に嬉しかったし、フィニッシュした時は誇らしい気分でした。

当時はまだスポーツクラブのスタジオレッスンでの有酸素トレーニングがメインの走行距離が極めて少ない頃で、練習量という点では十分な練習を積んだとは言えませんが、最初のレースで脚攣りをした原因や対策など含めて色々勉強しました。何もしないで東京マラソンも同じようなレースをしたら、同じような結果になったのではないかと思います。

さて、サブ4を何度も挑戦するも中々達成できず諦めてしまった方もいるでしょうが、諦めていない方に向けて先日ウルプロメンバーを対象にしたオンラインセミナーで話したことを紹介します。

サブ4したいと何年も狙っているのに、できない方はできない理由があります。

それを何となく、練習が足りないとか、根性が足りないでオブラートに包んでしまうと目標は中々達成できません。

画像はウルプロ練習会での撮影です。

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基礎スピードが足りているか?

まず、チェックして欲しいのは、そもそもサブ4を狙える基礎的なスピードが足りているかどうかです。

4時間で走るには平均して5:41/kmペースで走る必要がありますが、距離が半分のハーフマラソンの平均ペースが5:41/kmペースに近ければ近いほど余裕度はなくなってきます。

VDOTはある程度目安になります。

例えばフルマラソン4時間00分と同等なタイムは以下の通りです。

種目同等タイムペース
ハーフマラソン1:56:105:30/km
10km52:245:14/km

一人一人特性が違うので目安ではありますが、過去に多くの市民ランナーを見てきた中ではこのタイムだと結構厳しく感じます。 

例えばフルマラソン3時間と同等なタイムは、VDOTによるとハーフマラソン1:26:18、10km38:59ですが、女性だとこれより多少遅くともサブ3できるランナーはいますが、男性だと厳しいと感じます。感覚的にはVDOTの同等タイムより1%速めたタイム(ハーフマラソン1:25:26、10km38:35)を出せる走力が欲しいです。逆に女性だと1%遅いタイムでも出せるランナーはいますが、それ以上だと厳しいです。

もちろん男性でも持久力の高いランナーはいるし、女性でも持久力の低いランナーはいるのでVDOTの同等タイムの上下1%以内を目安にして、現時点で走れるタイムかどうかを知ることがスタートになります。

種目とペース同等タイム1%速い1%遅い
ハーフマラソン1:56:101:55:001:57:19
上記ペース5:30/km5:27/km5:33/km
10km52:2451:5252:55
上記ペース5:14/km5:11/km5:17/km

片方の種目は目安に入っているが、片方は入っていない方もいるでしょうが、その場合ハーフマラソンが目安に入っているかどうかが重要です。特に他のスポーツをしている30代、40代の男性なら10km50分を切って走るのはそれほど難しくはありません。それがハーフマラソンまで伸びると走り切ることも簡単ではなくなります。

この目安に達していないなら、マラソンシーズンまでに、この目安に近づけるよう練習してください。もちろん8月や9月初旬の暑い時期だとタイムは出しにくいので、涼しければあとキロ5-10秒速く走れそうなコンディションなら、その辺りを勘案したタイムを目標にしたら良いです。

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基礎スピードは足りている場合

このタイム目安はクリアしているのに、サブ4できない方は、原因は様々ですが後半失速しているのでしょう。失速するには原因がありますが、その原因を克服することなくレースに挑んでも繰り返します。

ダメだったレースをしっかり振り返ることができる人もいれば、できない人もいます。どちらが目標達成に近いかは言うまでもありません。

まずやって欲しいこと

まず、やって欲しいことは、自分のレースを振り返って欲しいのです。ラップタイムはランネットなどで調べたら過去のレースも分かります。直近5レースくらい調べてみてください。コースも違えば気象コンディションも異なるでしょうが、傾向は掴めます。またラップを見ればレース中の光景や、その時の自分自身の身体の状態、そして精神面の変化など思い出せます。

そこにヒントがあります。

後半失速する原因は様々と書きましたが、概ね以下に当てはまるでしょう。

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後半失速する原因

  • フルを走る脚ができていない
  • ガス欠
  • オーバーペース
  • 心拍数が上がりペースを保てない
  • 暑さ対策、塩分補給不足
  • フォームが崩れる
  • お腹を壊した
  • 靴擦れおこした など

また足攣りのように原因が一つには特定できないケースもあります。

上記を分類すると以下の5つになります。

  1. 持久力など練習で鍛えていくこと
  2. ランニングフォーム
  3. 適切な補給、ペースなどレースマネジメント
  4. 体調管理(ピーキング)
  5. トラブル対応、予防

ここは凄く大事なところです。

例えば、持久力など走力的な面では十分にサブ4できる力はあるし、練習も積んできたのに、ガス欠や体調管理がうまくいかないなどで後半失速した場合に、練習が足りないと練習量を増やしてしまう方は少なくありません。

ガス欠だったなら補給を増やすだけで、後半の失速を防げるかもしれません。

また、レース直前まで負荷の高い練習をしていて、その疲労が抜けないまま大会当日を迎えたのかもしれません。その方がさらに練習量を増やしたら、さらに疲労が溜まった状態でレースを迎えるかもしれませんし、それ以前に故障してスタートラインにもつけないかもしれません。

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原因を見誤ると大きくマイナスに向かうことも

原因など見誤ると、せっかくの努力が、マイナスに働いてしまうこと多々あります。市民ランナーは結果が全てではありませんが、結果が出なくて走ることが詰まらなくなりやめてしまう方もいるので大事なところです。

自分の目標に向けて足りない能力や行動を明確にして、それを積み上げていくことが必要なのです。

余談ですが、トップレベルならこの辺りはコーチなど細分化・専門化されていますが、市民ランナーのコーチはこの辺りを総合的にアドバイスできる能力が求められます。そもそもの失速の原因がなんなのかを絞り込んでいくには、ラップタイムや気象条件だけではなく、相手が気付いていないことなど質問することで引き出し、結びつけていく能力も必要です。

適切なペース(理想なペース)って何?

例えば、失速の原因がオーバーペースであれば、なぜオーバーペースになったのかも考えねばなりませんが、そもそも適切なペースってなんだろう?って思う方もいるでしょう。

テレビなど解説者は、ネガティブスプリットが素晴らしいって報道するケースもあるので、それが正しいと思い込んでいる方もいるでしょう。トップレベルはタイムより順位が優先します。順位を競えば削り合いや揺さ振りもあります。お互い牽制してペースを抑えたりもします。ただ市民ランナーの大半は順位なんてほぼ眼中にはないのだから同じではありません。

ちなみに私が初めてサブ3した2011年の神戸マラソンはネガティブスプリットでしたが、これは前半トイレを我慢しスピードが落ちていたのが、ハーフ過ぎて尿意がなくなりペースアップできたなど様々な要因があったからで、昨年の東京マラソンから今年の東京マラソンまで4回サブ3したラップは、ほぼイーブンペースながら後半やや落としてフィニッシュしてます。

どちらが良い悪いではなく、その人の目標タイムと走力など考えた結果、もっとも達成確率が高いペースが良いペースだと思っています。

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体感イーブンペースがオススメ

強いて良いペースを言うなら、体感イーブンペースです。前半より後半は疲れてくるから、前半と同じペースで走ればキツくなります。それを前半と同じくらいの体感的なキツさで走るとなると多少ペースは落ちます。最後は出し切るわけだからキツくなりますが、少なくとも30km、32km辺りまでこんな感じで走れたら、そこからは上げていくくらいの気持ち・感覚があってもほぼイーブンペースだったりします。

このように走ると後半の落ち込みは少なくタイムはまとまります。

例えば、目標タイムを前半49%と後半51%にすると、前半は1:57:36、後半は2:02:24になります。ペースはそれぞれ5’34/kmと5’48/kmです。 

このペースで私が走っていたのは15年くらい前なので、イマイチ感覚が分からないと感じた時には自分がイメージしやすいタイムに置き換えます。3時間なら前半1:28:12で、後半1:31:48になり、ペースは前半4’11/km、後半4’21/kmです。こんな感じで走ると精神的にも体力的にも結構楽です。ただし前半の4’11/kmペースが余裕あるランナーの場合です。

その観点から考えると、サブ4の前後半に関しても前半の5’34/kmペースが余裕あるランナーなら、こんな感じで入ると後半多少ペースダウンできるので精神的にも楽ですし、仮にトイレによる場面があっても何とかなるかもしれません。

前後半比率を49.5%と50.5%とほぼイーブンペースにすると、これは結構余裕ありません。

サブ4なら前半1:58:48で、後半2:01:12となり、5’37/kmペースと5’44/kmペースです。

1トラブルあれば目標達成は困難になるペース配分ではありますが、ハーフマラソンのタイムが1時間56分のランナーが前半49%の1:57:36で入るのはオーバーペースであり、このくらいの余裕度は必要です。

そもそも、サブ4達成がギリギリの走力のランナーなら1トラブルで達成は困難になります。そのために走力の余裕度を高めていくのです。

スピードが十分ある方は後半失速を織り込み、遅く走りすぎない

VDOTでハーフマラソンのタイムとフルマラソンのタイムが同等か、多少前後している程度なら、上記のようにイーブンペースに近いレース展開が望ましいですが、ハーフマラソンのタイムでVDOTを計算するとフルマラソンは3時間30分と同等と出るようなランナーの場合は前半余裕を持って入っても結局後半失速するようなレースを繰り返しているのでしょう。過去そのようなランナーがウルプロに入会してサブ4どころかグングンとタイムを伸ばしているメンバーは少なくありません。

そのようなスピードはあるランナーにすすめるのはサブ4のペースにこだわらず、前半は無理なく走れるペースで貯金を作り、後半は失速はしても構わないが、大失速はしないペースメイクです。

例えば、ハーフマラソンを1時間40分(約4’45/kmペース)で走れる走力がある方ならキロ20秒落とした5’05/km(10km51分ほど)なら余裕を持ってハーフを通過できるでしょう。前半1:47:14で通過したら後半は2:12:46(ave.6’17/km)まで落とせるのです。余裕を持ってハーフを通過しているのだから、いきなりキロ6オーバーになることもなく、例えばハーフ通過からの5kmごとを27分、29分、31分と徐々に落ちたとしても36.1kmは3時間14分で通過するので、残り6.1kmを46分でサブ4に間に合うのです。これはキロ7分半オーバーですから走ったり歩いたりで間に合います。

このような方々は後半足攣りすることが多いので、事前にできる対策はしっかりするにしても、最大の対策は攣りそうな気配を感じたらペースを落としたり歩くことです。場合によっては止まってストレッチすると緩和することもあります。それがサブ4ギリギリのペースで走っているとそれ以上落とせないので、攣る気配があっても我慢して走ってしまうから一気に攣ってしまうのです。上記のようなレースプランであれば25kmや30kmで攣る気配があれば止まってストレッチなどする時間は十分にあります。

ハーフのタイムや、マラソン走る時のペースは一例ですが、ここでお伝えしたいのは、その時点で自分に出来ることしかできないのだから、自分の得手不得手を理解し、その上でサブ4するにはどう走れば良いのかを考えることです。

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後半失速するのは持久力不足?

ハーフマラソンが1時間56分のランナーが、サブ4を狙って前半を1時間57、8分で通過したとすると、ハーフ通過時点でもう余裕はありません。それで30kmまではなんとかペースを保ったが、それ以降ペースが保てなくなり失速した場合に、自分は30kmから失速したから持久力がないと考えてしまう方はいます。そして30km走ではなく35km走、40km走を取り入れようなどと考えます。

ただ、ハーフまで自己ベストに近いペースで走りながら30kmまでペースを維持できるなら、この方は持久力の高いランナーで足りないのは、スピードです。ハーフマラソンの自己ベスト1時間56分が1時間54分くらいになれば、同じペースでフルマラソンを走っても中間点や30kmの余裕度はかなり変わると思います。

そして、このタイプはスピードを上げる練習は嫌いで、長くゆっくり目に走る練習は好きな傾向にあるので、スピードを上げる練習を取り入れると結構伸び代があります。

(サブ4レベルのランナーにもオススメのシューズです。)

練習メニューについて

練習メニューについて簡単に書いておきます。

スピードが足りない方は、9月、10月辺りには、最初に書いた最低限の目安になる10kmやハーフマラソンのタイムはクリアできるようスピードがだせるようフォームを改善したり、練習メニューを工夫しましょう。

スピード的には足りているのが、後半失速してサブ4できない方は、まずは失速の原因を明確にしてください。何となくでは対策がうてません。

このタイプは、インターバル走など、短時間で終わる練習が好きな方が多いイメージがありますが、スピード的には十分足りているのだから、無闇にスピードを上げたインターバル走などをするのではなく、1本あたりの距離を伸ばしたり、本数を増やしてください。インターバルなどの練習会に参加するなら、その練習をしてから、5分30-40秒で4-5km走るのも持久力を付けるには有効です。

また、週1回、または2週に1回は120分間走など長時間動き続ける練習も有効です。もちろん20kmや25kmなど距離にしても構いません。ペースはレースペースの1.1倍程度が目安になります。レースが5分半前後ですからキロ6分超える程度で十分です。長時間走ることでトラブルも出てきますし、身体の変化も顕在化しやすいです。それを経験し対処することも練習です。

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前のレース(現時点)でもサブ4する力はあった?

何回か記事にしてますが、マラソンなどアウトドアスポーツは自分ではコントロールできないことによりパフォーマンスが下がることはあります。

サブ4できる走力をつけて、体調もよく疲労が抜けた状態でスタートラインに付けたとしても、季節外れの猛暑だったり、台風のような強風になればタイムは落ちます。

そこには、運、不運はありますが、それは仕方がないことです。

したがって、多少の悪条件でもサブ4できるよう、良いコンディションなら3時間50分が切れるくらい力は付けることを目指して練習していく。

そして、そこまでの力がつかなかったとして、大会当日の気温が高くなってしまったら、例えばサブ4のイーブンペースで入って後半どれだけ粘れるかを確かめてもよいし、暑さによる負荷を勘案して4時間10分のペースを組んでしっかり走り切るなどすると力がつき、次に繋がります。

気温が低い時を想定した前半のペースは、気温が高ければオーバーペースになります。それでハーフも行かずにグダグダなレースになるのを経験するのも良いですが、何回も繰り返すと自信をなくすし、経験にもなりません。また悪いイメージしか湧かなくなってきます。

サブ4が狙えるギリギリの力であれば、多少気象条件が悪くても4時間10分以内で走り切ることを繰り返していくと、コンディションが良い時に簡単にサブ4が切れたりします。

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目標を義務感にしない

これはサブ4だけではなく、サブ3など目指しているランナーにも言えることですが、タイムなどあまり意識しなくて完走を目標にしていた時は、ゴールすれば嬉しかったし、それを続けているうちに徐々にタイムが伸びたらそれも嬉しかった。それがライバルが相次ぎサブ4したり、自分よりランニング経験の短い友人が先にサブ4したりするのを目の当たりにすると、自分もサブ4しなければと焦ってきます。

それを原動力にできる方や、楽しくなれる方なら良いのですが、強い義務感を感じるようになり、走ることが詰まらなくなってしまう方も少なくありません。

市民ランナーにとって、走ることは楽しみであり健康作りです。タイムを狙うも狙わないも自分次第です。ですから周りと自分を比較してガッカリすることなく、昨日の自分より少しでも成長することを楽しんでください。

目標タイムは他人が決めるのではなく、自分が出したいタイムを決める。そして、そのために何をしていけば良いのかを考え試行錯誤を楽しむ。それを繰り返していけばタイムは伸びると思うし、サブ4などタイムを義務感に感じながら走るより、サブ4は早くできるかもしれません。

 

ウルプロ・サブ4チャレンジ

9月スタート 2名募集します。

*現時点で2名の方から申込の意思表示をいただいておりますのでキャンセル待ちになります。

ウルプロ・サブ3.5チャレンジは2名募集しております。

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