勝田全国マラソンを走った感想はこちらに書きましたが、一部抜粋します。
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勝田全国マラソン走ったウルプロメンバーや、大阪国際女子マラソンを走った友人も同様なことを書いていましたので、少なからず同じような状態になったランナーは多いでしょう。
感覚的にも経験的にも寒ければ身体の動きは悪くなることは分かりますが、もう少しロジカルに考えてみました。また24時間走日本代表の小谷さんと雑談の中で科学的な点について質問したりしました。彼は東京大学の理系なのでこの辺りについても非常に詳しいです。
□血流悪化
気温が低い→血流が悪くなる→運ばれる酸素が不足する→エネルギーを作るには酸素が必要→エネルギー不足になる→脚が動かない
□筋肉の温度低下
気温が低い→筋肉の温度低下→パフォーマンス悪化→脚が動かない
気温が低い→筋肉の温度低下→柔軟性の低下→可動域低下→身体の抵抗が強くなる→脚が動かない
□酵素の働きが低下
気温が低い→酵素の働きが低下→酵素は化学反応を起こす触媒である→エネルギーを作りにくい、筋肉が修復しにくい→パフォーマンス悪化
また、寒さ対策として、今回私は薄いタイツを履くことも考えましたが風が弱いのでやめました。保温性を考えたらタイツは強い味方ですが、股関節周りの稼働域が狭くなりストライドが落ちる他、膝を上げた時に抵抗にならないように生地を寄せても素脚に比べて抵抗は大きくなるからです。(ウルトラマラソンのようなスピードで、長時間走るなら私は迷うことなくタイツを履きます。)
今回10km手前から感じた脚の売り切れた感は、気温の低さから上記のような現象になったのはほぼ間違いないと考えています。
それでも残り30km以上大きく失速しなかったのは、序盤無理にペースを保ち心拍数を上げなかったこと。筋肉の柔軟性低下による稼働域低下がもたらすストライドの減少を、肩甲骨を動かし骨盤を動かすことでカバーしました。
もし、10km手前で同じ心拍数ではペースが保てないと頑張ってペースを上げて心拍数を上げたら、ほぼ確実に後半大失速したと思います。
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また、医学的な見地からのアドバイスも欲しいと、整形外科医の諏訪医師にこれらの考えを読んでもらった上でアドバイスを頂きました。
諏訪医師のアドバイス
体温低下に対する生体反応として体温を維持するためにエネルギー産生量を増やします。
それに伴い酸素消費量も増えますので、“走るために使える酸素量”が相対的に少なくなり、“走るためのエネルギー”が不足してしまい、序盤で疲労感を感じやすくなり、パフォーマンスが低下します。
またいわゆる身体が動かない状態(筋肉の収縮や関節可動域も悪くなる)になると代謝が悪くなり、何とかしてそれを補おうとエネルギー消費が増えて、パフォーマンスが低下します。
身体の酸素不足は脳の思考能力も低下させ、それによる精神的なストレスも影響してきます。
また先日、川内選手の極寒マラソンの危険性についてTBSのNスタにコメント出演しましたが、インナーやタイツなどの寒さ対策のためのウェアリングそのものが汗冷えや可動域制限の原因となることもあり、当日の天候に合わせた作戦を立てることが大事です。取り外しのできるネックウォーマーやアームウォーマー、グローブ、超軽量シェルがポイントになると思います。
長時間のアップはエネルギーロスにつながるので、スタート前の動的ストレッチやウィンドスプリントで刺激入れてスイッチをオンにしたり、脳や身体のエネルギー補給のためのアスリチューン・ポケットエナジーを普段より多めに摂ったりすると良いです。
一般論としてエリートランナーはエネルギーを作りやすい身体になっており、寒さに対する反応も高いですので短距離のレースであれば問題ないことが多いですが、マラソンのような長い距離や雨天時には保温機能となる皮下脂肪が少ないために低体温などでブレーキするのをよく見かけると思います。
今まで自分自身でいろいろな方法を試行錯誤してきましたが、レースが近づいたら追い込み過ぎずに必要な栄養をしっかりと摂り、免疫力を上げることと適度な脂肪を残すことが快走につながると感じています!
諏訪さんありがとうございます。諏訪さんはフルマラソン2時間30分以内の参加資格をクリアしないと走れないびわ湖毎日マラソンを走るほどのランナーですが、昨年交通事故に遭いエリートランナーとしては再起不能なダメージを負いましたが、現在懸命にリハビリを行なっています。
そのチャレンジについても今後紹介していきます。
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明日の別府大分毎日マラソンの体感温度などについてはこちらにまとめました。
しばらく寒さが続きますので、私もいろいろ試行錯誤していきますが、気付いたことを発信していきます。
こちらは以前諏訪さんに監修いただいた記事です。合わせてお読みください。