涼しくなったと思ったら、また暑くなるなど残暑が続きそうですが、秋に入ると、白山白川郷ウルトラや、津南ウルトラ、四万十川ウルトラ、そして年二回開催になったチャレンジ富士五湖など開催されます。
100kmマラソンを走る目的は様々でしょうが、初めてチャレンジする方や、自己ベスト更新などの目標のある方に知って欲しいことはたくさんあります。
レースマネジメントなど過去に書いた記事はありますが、今年のサロマ湖100kmウルトラマラソンにチャレンジしたウルプロ®️メンバーの振り返りを紹介します。
コースが違えば異なる準備が必要なこともありますが、基本的な準備は変わりません。
10人走って9人は初100km含めて自己ベスト更新。もう1人は60代後半のメンバーが故障を乗り越えてPBにあと僅かなタイムで完走という素晴らしい結果を出すには理由があるのです。
今回は、少し違った観点も加えて紹介します。それはダイエット効果が自己ベスト更新に大きく繋がっている事例として元垣内さんの気づきを紹介します。
元垣内さんは2017年7月入会時の100kmタイムは11時間56分50秒でした。昨年のサロマ湖で11時間27分54秒と自己ベスト更新しまし、今年は一気にサブ10を達成しました。
こちらは昨年PB出した時の記事です。
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元垣内さん
タイム 9時間55分25秒(従来 11時間27分54秒)
ラップタイム(ロスタイム 0:10–53:13-52:15-52:14-54:00-55:41-64:29-68:08-77:54-56:36-60:42)
【自己ベストでゴールした時の気持ち】
「最後まで諦めずに走れて良かった」・・・この一言に尽きます。
今回は、11時間を切ることを目標にし、前半の調子次第でサブ10を狙ってみようと思ってスタートしました。前半の50kmが4時間27分と調子よく走れていたので、目標をサブ10狙いに切り替えて走ったものの、昨年同様70km~80kmでペースダウンし「サブ10はちょっと厳しいかなぁ」と諦めかけました。
ただ、前半調子良く走れていただけに、「これでサブ10できなかったらPB大幅更新でも悔いが残る」と思いワッカに入ったらスイッチが入り、ラスト20kmは去年同様に70km~80kmとはまるで別人の走りができました。
ゴールしたときは「サブ10できた」という達成感と、いい報告ができて嬉しいという気持ちになりました。
【自分を褒めたいと思うこと】
この1年で体重を10㎏減らしたこと
これなくして今回のサブ10達成はなかったと思います。
(昨年の元垣内さん)
この1年でこれだけ体重を減らすことができた要因としては、昨年末から始めたジムでのバイクレッスンです。30〜45分のレッスンを週10~15本したことで、脚の筋力や心肺機能を鍛えるとともに、この半年だけで7kgも体重を減らすことができました。この効果で走力が向上し今回のサブ10達成につながりました。
今回のサロマに向けての走る練習は月に100km前後で、ロング走も5月に40kmを1回だけと練習量は少ないですが、バイクレッスンが補ってくれました。
【こうしたら良かったと思うこと】
①エイドで止まる時間の短縮
後半のエイドで止まる時間が長くなってしまったので、この時間をもう少し短くすれば、あと5~10分は早くゴールできたと思います。
ドロップバッグに後半用のジェルを入れておいて、それを持って出たのですが、使用したジェルは1つで大半はゴールに運んだだけでした。このジェルを活用すれば、エイドで止まる時間を短くすることができたのではないかと思います。
②前半のペースをあと10秒くらい遅くする
前半50kmのペースは5:10/km~5:20/kmでしたが、このペースは速すぎず遅すぎずといった感じでしたが、後半疲れてきて、70~80kmは78分かかりました。前半のペースがあとキロ10秒くらい遅くても良かったのではないかと思いました。
【ウルトラセミナーや練習会で掴んだこと】
今年に入ってからはなかなか練習会に参加できていませんが、その中でもフォームをしっかり身につけることができたと思います。あとは「最後まであきらめない気持ち」です。
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私からのアドバイス
こちらは入会直後の元垣内さんです。
上記画像のように大きく後傾したフォームでしたが、入会後にアドバイスし下のようなフォームに変わりました。
重心が後ろに残っていたのを前傾気味にしてもらったところ、無理なくスピードが出ることを感じてもらいました。それでも疲れてくると後傾気味になってしまいましたが、そこは本人も自覚できるようになったので修正できるようになったのでしょう。
また、この2枚の画像は2年ほど前の練習会で撮影したものですが、この頃と比べると今年のサロマ湖は10kg減どころではないと思います。
体重減の話をする前に、元垣内さんが書いてる、前半キロ10秒遅くしていれば70-80kmの落ち込みを防げたのではないか?という振り返りですが、現在の走力を考えると今回のペースは速くはありません。本人も速すぎず遅すぎずと感じていました。これよりペースを落としたら後傾していたように思います。また終盤の落ち込みに関しては前半のペースの問題ではなく、おそらく気持ちとフォームの問題でしょう。前半のペースが速くて落ち込んだのであれば80kmから残る20kmをこれほどペースアップできません。
見ていないので分かりませんが、フォームに関しては、おそらくペースダウンが続いた50−80kmは後傾し腰が落ちていたのだと思います。これではサブ10できないとスイッチが入り、ペースアップしたことで後傾したフォームが修正されたのだと思います。
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さて、今回大きくPB更新した理由は、間違いなく体重を落としたことでしょう。客観的に考えても70kgあった体重が60kgになったら楽に走れます。それも不健康に体重を落としたのではなく、過度にあった体重を適正体重に戻したのです。
以前このような記事を書きました。
この中にこのような文章があります。
『VO2maxの単位に注目してください。
ml/kg/min 体重1kgあたりの数値であることが分かります。
仮に1分間に3600mlの酸素摂取出来る方が体重60kgならば、VO2maxは60ml/kg/minになります。』
元垣内さんの酸素摂取能力は変わっていないとして、この能力をXとします。
フルマラソンのタイムが3時間35分程度なら、Dr.Cooperのページによると、VO2maxは51になります。最大酸素摂取量だけでフルマラソンのタイムが決まるわけではありませんが、このくらいのタイムが出せる心肺能力があるとします。
また、元垣内さんの2018年6月サロマ湖時点の体重は70kgくらいとのことなので、このような数値になります。
X÷70=51
X=3,570
今年のサロマ湖では60kgとのことですから、上記数値を元にVO2maxを予測するとこうなります。
3,570÷60=59.5
なんと51から59.5に変化しました。
これは何のことはなく、体重が70kgから60kgに減少したのだから16.7%の改善です。
Dr.CooperのページによるとVO2maxは59は3時間06分程度です。
3時間35分程度のタイムだったことを考えると29分の改善です。もちろん心肺機能的にです。
サロマ湖100kmはフルマラソンのタイムの何倍くらいで走れるかは気象条件や個人差がありますが、昨年や今年なら3倍が目安になります。もちろん持久系ランナーであったり、走り込みが出来てるランナーの倍率は低くなるし、逆に準備の出来ていないランナーの倍率は高くなります。
元垣内さんは2018年はフルマラソン3時間35分程度でサロマ湖は11時間27分でしたから3.2倍でした。この数値は持久系ランナーではありません。
今回、フルマラソンを3時間06分で走る力があったとして、2018年同様フルマラソンの3.2倍だったとすると予想タイムはこのようになります。
3時間06分×3.2倍≒9時間55分
奇しくも、今年のタイムも同じタイムになりました。
たまたま計算値は一致しましたが、それより大事なことは、どのようにして10kgも減量できたかということです。
その辺りを聞くとこのように答えてくれました。
体重を落とす目的が明確で、体重を落とせば目標達成できると計画的にトレーニングを始めたのです。そしてバイクレッスンが楽しかったのでしょう。楽しくなくては週に15本も受けないでしょう。この楽しかった。というのが凄く大事です。楽しくなければ継続できません。またトレーニングの成果が数字で見えることもモチベーションに繋がったのでしょう。
念のために書いておきますが、長距離を速く走ろうと思えば、体重を落とすことは効果的です。ただ無理な減量は貧血や慢性疲労に繋がるので短期的には結果が出たとしても中長期的には悪い方に向かってしまうでしょう。人それぞれ適正体重はあるので、現在適正体重を超えているのであれば、戻す努力をすれば良いと思いますが、適正体重を過度に下回るような減量は健康面を考えればやめた方が良いでしょう。