ランニング中の事故で、もし1億円賠償請求されたら・・・。

(4年前に書いた記事に少し追記して紹介します。数値など当時から変わっている部分はあろうかと思いますが、大きく変わってはいないと思うのでそこはそのままにします。)

少しショッキングな見出しですが、ランナーの皆さんにもいつ発生するか分からないことです。

今日起こるかもしれません。。。

1億円払えますか??

<スポンサーリンク>


まず、私は2014年まで損害保険会社に勤めていましたが、早期退職し既に6年近く経過しているので保険の内容も多少変わっているかもしれない。保険の詳細や、加入方法などは直接、保険会社や代理店にお問い合わせください。

損保各社のweb siteに問い合わせ先など記載されています。

本題に入ります。

ランナーと歩行者や自転車の接触・衝突事故を間近で見かけたことはありますが、ニュース報道されるような重大事故はまだ目にしていません。

ただ、接触・衝突自体は日本のどこかで毎日発生しているのでしょう。接触の程度や、どちら側に過失があるかどうかなど様々ですが、大半はその場でどちらかが謝罪して終わるような軽微な接触だと思いますが、中には医師の治療が必要な接触事故もあるでしょう。

さて、自転車が歩行者とぶつかり後遺障害を負わせ数千万円の賠償命令の判決が出たという記事が新聞やテレビで報道されたのを記憶している方もいると思いますが、自動車・自転車など含めて賠償事故の大半は裁判にはならず示談で解決しています。皆さんの中にも自動車事故を起こした方はいるでしょうが、賠償に関して裁判で争った経験のある方は少ないと思います。ランニング中の接触事故も同様でしょう。

なぜ、私がこんなことを書いてるかというと、随時コースを追加している 安全に走るためのコースマップ 作成の理由と同じです。

ざっくり言うと

ランナーに不幸になって欲しくない。

からです。

自分がケガをするのも不幸なら、他人にケガをさせるのも不幸です。また、そうなったら、双方の家族も不幸になるし、友人も不幸になります。また無関係のランナーが、走らない方々からランナーは危ないと言われてしまいます。

私の発信力など微々たるものですが、少しでも不幸な事故が起こらないようにと書いているのです。

ランニング雑誌などを見ても、ファッションや、ランニング関連施設の紹介、練習方法や大会情報については書いてあっても、事故予防についての掲載はあまりありません。限られた紙面ですから広告など儲かることを書きたいのは分かります。また書ける人が少ないのかも知れません。

都内ランニングコースを走られる方は、上記リンク先の記事を是非お読みください。また、他のコースを走るにしても、危険な箇所を察知する能力は高まると思います。(少しコースの状況は変わっています。)

自分は危ない走りをしていないし、気をつけてるから大丈夫と思っている人も多いでしょうが、気をつけても避けられない事故はあるし、いつも気持ちを張り詰めているわけでもないでしょう。その事故で相手が死亡したりケガをしたら大変なことになります。

<スポンサーリンク>


例えば皇居桜田門で、最短距離の右側ギリギリを走って曲がろうとしたら、見通しが悪く反対側から歩いてきた、子どもや老人にぶつかり相手が転倒し頭を強くうつという事故が起こったらどうなるでしょう。

画像の黒いウェアをきたランナーの走る角度だとタイミングが悪いと正面衝突しますし、自転車に乗る子供の近くを走る女性ランナーは結構危険な状態に見えます。画像ではそう見えますが、実際は一定の距離を保てているのかもしれませんが、このような場面は結構みます。

ランニング中の接触であっても、相手がケガしたり死亡したら、刑事罰と民事罰を負います。刑事罰は懲役とか罰金です。懲役は刑務所に入ることです。ただ走ってぶつかっただけで刑務所に入ることなんてあるの??と思われるかも知れませんが、相手が死亡したり、重度の後遺障害を負うような事故を起こし、重大な過失(重過失)があれば可能性はあります。

重過失とは不注意の程度が甚だしいことで、故意ではないにしてもこのような行動をとれば、当然そのような結果になること。通常であれば払うべき注意義務を著しく欠いたことです。

また、相手が転倒やケガをしたのに救護しないで逃げてしまったというのは最悪です。

今までの平穏な生活が、一転して刑務所に収監されるなんて考えたくないですね。

民事に関しては、人身事故の場合には大きく3つの賠償義務が発生します。自動車運転免許を持っている方なら教習所や免許更新の時に受ける安全講習などで学んだかもしれません。

直接損害

葬儀費、治療費など直接かかった費用、また寝たきりなど後遺障害が残った場合には将来にわたるこれらの費用。

遺失利益

事故に遭わなければ得られたであろう金額です。例えば入院中の収入補償や、死亡した場合であれば、事故に遭わなければあと◯年間収入が得られたからと、ホフマン係数やライプニッツ係数といった係数を使って金額を算定します。これは遺族の生活費にもなりますが、非常に大きな金額になる場合があります。

人の命に値段はない とは言いますが、賠償の世界では金額に大きな差が生まれます。

例えば二人の人が同じ事故で被害にあって死亡したとします。

一人は28歳弁護士で年収2000万円

もう一人は65歳会社員で年収300万円

この場合、遺失利益に大きな差が生まれそうなのはご理解いただけると思います。

詳しくネット等で調べれば分かりますが、就労可能年数とライプニッツ係数を使って計算します。(*2015年の記事作成時に調べた数値です。)


(画像はこちらのリンクより引用してます。)

28歳の欄を見るて39年で17.017となっています。これは事故がなければ、まだ、39年働けることにする。ただし、賠償金を前払いするからその分、割引しますということ。(*現在は法定利率が5%で計算されてるから17.017と半分以下になってるけど民法改正で、法定利率が3%に変わるので、この係数も変わって金額が増加します。)

2000万円に17.017をかけたら、ざっくり3億4000万!!

ただ本人が生きていれば生活費がかかりますから、それを差し引く生活費控除が家族構成によって30〜50%程度引かれます。妻や子供がいるケースなら30%程度。独身なら50%程度。

上記事例で妻や子供がいたなら30%引かれても2億円を大きく上回ります。

65歳会社員は同様に計算してみてください。上記事例と比べて10%未満です。

慰謝料

直接損害、遺失利益以外にケガをしたのであれば本人に、死亡したのであれば遺族に精神的慰謝料を支払う義務が発生しまう。

よく慰謝料1億円とかいうけど、そんな金額になったことを少なくとも私は聞いたことはありません。一般に事故による慰謝料という言葉には上記の遺失利益を含めて使っているケースが多いです。慰謝料の金額はケースバイケースですが死亡事故であれば数百万円から2000万円が多い記憶してます。

これらを合わせたら凄い金額になります。

あなたに払えますか??

天を仰ぐような状況になるかもしれません。

<スポンサーリンク>


前回はこのような感じで次に続く的に終えていて、次の記事のリンクを貼っていないので、少し補足します。

当然ながら、賠償金など金銭の問題だけではなく、まず自分も相手もケガをさせないように気をつけて走ることは大前提ですが、気をつけても避けれないような事故もあるし、降って湧いたような事故もあります。

自分も相手も不注意だったとしてお互い様で済めば良いのですが、相手がケガをしたらこちらの責任が問われるケースもあります。

少額であれば痛い授業料だったで済むかもしれませんが、支払いができないような金額になることだってあるのです。

数千万円を支払える方は少ないと思います。

その時に経済的な面で支えてくれるのが個人賠償責任保険(特約)です。

保険という言葉を聞くと拒否反応を示す方もいると思いますが、この保険だけは入っておいてください。保険料は安価で万が一の際には巨額な賠償請求に対処できる保険です。

また被害者との示談交渉を保険会社が代行してくれるタイプの保険もあります。

ランナーでなくてもこの保険に加入することをオススメしますが、自動車保険や火災保険、傷害保険に特約で加入している場合があるので調べてみてください。

賃貸マンションなどにお住いの方であれば、入居時に加入した火災保険に特約が付いていると思います。

ご注意が必要なのは、この保険は日常生活で発生した賠償事故に対応する保険なので、業務上(仕事中)に発生した事故は対象外となります。例えば私が個人でランニング中に接触事故を起こしたのであれば対象になりますが、パーソナルレッスン中などに接触事故を起こした場合は対象にならないので、そのための保険に加入しています。

滅多に起こることがない。と思っていることも、実際には起きているのです。

冒頭に書きましたが、保険の詳細に関しては、保険会社や代理店にお問い合わせください。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA