前回は上記の記事を書きました。今回は前回の記事にも繋がることを書きます。
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一歩も歩かずにゴールしたい
フルマラソンでも、ウルトラマラソンでも、「とにかく一歩も歩かずにゴールしたい。」と話す方は結構います。
私もフルマラソンなら基本歩かず走りますが、歩く歩かないより、どうすれば速くゴールできるかを考えます。通常なら歩くより走った方が速いから走りますが、トータルで考えてここは歩いた方がタイムが良くなる場面であれば躊躇なく歩きます。
ウルトラマラソンでは「一歩も歩かずにゴール」って考えている人ほど完走できていないと感じていますが、その理由は歩かないと決めてしまうと、その時々での対処の幅が狭くなってしまうからです。
今回は初心者向けに記事を書いていますが、とにかく完走できるからどうか分からないレベルであればあるほど、「一歩も歩かずにゴール」は考えないでください。それだけで完走できる確率は高まります。
歩いてはいけないルールはない
そもそも、マラソンには、歩いてはいけないというルールはありません。競歩は走ったら失格になりますが、マラソンは走っても歩いても良いのです。
歩くことに罪悪感を持っている人が多いのは、マラソンは根性のスポーツなんだって記事が多いのも影響しているのかもしれません。
根性のスポーツなんだから、キツくなったり、痛みが出た時に、歩くのは自分に負けたことになるからゴールしてもそれは本当の完走じゃない。みたいに思ってしまうのでしょう。
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制限時間が6時間もある理由
大半の都市型マラソンの制限時間は6時間以上あります。初心者ランナーでも走っている時のスピードはキロ7くらい。このペースでフルマラソンを走ると4時間55分になります。ということは制限時間が6時間も7時間もある大会は、「途中キツくなったら歩いても良いから無理せずゴールを目指してください。」という主催者からのメッセージと考えてください。
そもそも都市型マラソンは都市部の幹線道路を交通規制するわけですから、制限時間が短ければ短いだけ交通規制する時間は短くすみます。今年東京マラソンを走っていて銀座あたりで、歩道を渡れない方が係員に大声で文句を言っている光景を目にしましたが気持ちは分かります。交通規制をするということは地元の方々の生活や仕事に制限を加えてしまうことなのです。主催者がしっかり練習を積んだランナーだけ参加して欲しいと考えているなら制限時間は4時間で十分です。制限時間を6時間以上に設定しているのは初心者歓迎ということです。
主催者としては、脱水など体調が悪くなったランナーが無理して走り続けることで倒れて救急搬送するようなことなく健康な状態でゴールして欲しいのです。
例えば、6時間制限の大会で時間一杯使って走るなら平均ペースは8分31秒になります。その場合中間点までキロ7分で走ると、残り半分はキロ10分で間に合います。早歩きすればキロ10分で歩けるし、走ったり歩いたりすればキロ10分はかかりません。ただ頑張りすぎて脚が痛くなったり気持ち悪くなってから歩こうとするとキロ10分は厳しくなりますから、そうなる前に歩いたら良いのです。7時間制限ならもっと遅くなります。
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知って欲しい現在の自分の能力
そのために大事なことを書いておきます。
まず自分がフルマラソン走るにあたって現時点保有している能力を把握してください。100mを10秒台で走れるとか、高跳びで2m跳べるとか凄い能力ですが、フルマラソン走るにはあまり関係ない能力ですよね。
初心者ランナーであれば、まずこちらを把握してください。
- 10kmのタイム
- 10kmを余裕を持って走れるタイム(ペース)
- 1時間に歩ける距離、歩くペース
- 心拍計があればキツくなり始める心拍数とペース
- 動き続けることが出来る時間
なんとなく1時間にどれだけ歩けるか?でなく実際歩いてみてください。
現時点の自分自身の能力を知った上で、その能力を組み合わせると、どのくらいでゴールできるのかなどイメージが膨らんでいきます。
そして、もう少し10kmを速いペースで走れるような練習をした方が良いのか、ペースはそのままでもっと楽に10km走れるような練習をした方が良いのか、場合によっては歩くのが遅すぎるから少し速く歩く練習することで完走できる可能性が高まってくるのかなど分かってきます。
それらを総合的に把握するためには、心拍計がついたGPSウォッチが欲しいです。新しめの機種なら心拍計もある程度正確に測れるし、距離やペースも正確です。
1km自動ラップなどに設定されている機種が多いので、まずは手動のみに変更します。
そして、スタートボタンを押したら10km走れそうなペースで走り、苦しくなければそのまま走る。10km手前で苦しくなれば、そこでラップボタンを押して早歩きして、呼吸が落ち着いたら、ラップボタンを押してまた走りましょう。そんな感じでランとウォークを繰り返して練習が終わったら、走行データを確認して、走っている時のペース、歩いている時のペース、苦しくなった時の心拍数、呼吸が落ち着いた時の心拍数など把握してください。
その辺りが分かれば、苦しくなる心拍数まで上げないで走ると歩かずに走れる距離は伸びていきます。
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絶対に歩かないと決めるデメリット
一歩でも歩いたら完走じゃないから絶対に歩かないと、足攣りの気配があるのに無理して走り、足攣りしてしまったら完走も危うくなります。足攣りしそうなら立ち止まって少し伸ばしたり歩いたり、塩分補給などすれば初期段階ならまた走れるようになります。
また、心拍数が一気に高くなったり、視野が狭くなったり、嫌な鼓動を感じたりしたら、結構危ない場面ですから、ベテランなら止まるか歩くかして様子をみますが、初心者はフルマラソン走るとみんなこんな風になるのだろうから、根性でなんとかすると走り続けたら倒れちゃうかもしれません。
歩くのも戦略(戦略的に歩く)
今回お伝えしたいのは、現在の力を把握して欲しいことと、歩くことに罪悪感を持たないで欲しいことです。そしてどうすれば決められたルールに沿って完走できるか?自分のベストを尽くせるか?を考えてみてください。
例えば、1km7分ペースなら15kmまでは余裕があるけど、そこからキツくなりそのまま走ると20kmでもう動けなくなるから6時間制限でもゴールできるか不安だと感じているなら、15kmまでは走って、余裕がなくなる前に歩きを交えて、走ったり歩いたりを繰り返した場合、制限時間に間に合うか計算してみてください。
この場合15km通過は1時間45分ですから、残り27.195kmを4時間15分となります。スタートのロスタイムが10分あったとするなら4時間5分です。平均すると1km9分ペースで進めばゴールできます。1時間に約6.7km進めば間に合うのです。このペースならまさに走ったり歩いたりすれば進めます。
この場合大事な能力は走れなくても歩ける能力、動き続けることができる能力です。そのために前回動き続ける練習をしてくださいとアドバイスしました。
ランナーは自ら「走る」「歩く」「休む」を組み合わせることができるのだから、自分に最適な組み合わせを模索してみてください。
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42.195kmという距離を感じて欲しい
スタートしたら、健康な状態でゴールしてください。歩いたって構いません。ゴールすれば色々気づきはあります。自分の脚で42.195kmの困難な道のりを制覇した『嬉しさ』もあれば、思うように走れなかった『悔しさ』もあるかもしれません。でもチャレンジしたからこそ、そのような感情になるのです。嬉し涙、悔し涙を流すかもしれませんが、尊いことだと私は思います。
そして42.195kmという距離を感じることで、もう少し速く走りたいとか、もう少し余裕を持って楽しく走りたいとか考え、足りなかったことなど見えてきます。辿り着けないと分からないことはたくさんあります。