派遣設定記録と参加標準記録について

ベースボール・マガジン社WEB  『潰滝が世界選手権参加標準突破!』という記事に、大迫選手が世界選手権10000m参加標準記録を逃したと掲載されていたので、Facebookページでシェアしたところ、短時間でリーチ数が伸びました。

bm

<スポンサーリンク>


今回さすがベースボール・マガジン社だと思ったのは、アクセスを増やそうと思ったら、タイトルは『潰滝が世界選手権参加標準突破!』ではなく『大迫 世界選手権日本代表逃す!!』だったと思います。

主要新聞社やTVニュースでは、陸上に限らず、知名度のある選手が負けた場合、優勝した選手や勝った選手について書かずに、負けた選手のことを主題にした記事を目にすることが多いです。

私自身勉強不足ですが、今回参加標準記録を2秒95上回る8分29秒05で走った潰滝大記(富士通)選手のことはほとんど知りませんでした。

種目別選考基準には、各種目とも派遣設定記録(SおよびA)と参加標準記録があります。派遣設定記録Sは世界ランク6位相当の記録でメダル獲得が期待できる記録水準です。男子100mの場合は9.89です。また派遣設定記録Aは世界ランク12位相当で8位入賞が期待できる記録水準です。

そして参加標準はIAAFが定めた参加標準記録でこれをクリアしないと原則世界選手権に参加することができません。

男子3000mSCの場合は以下の通りです。

派遣設定記録 8.17.46

参加標準記録 8.32.00

潰滝大記選手はこの参加標準記録を更新したのです。

そして、大迫選手が今回クリアできなかった10000mの派遣設定記録と参加標準記録は以下の通りです。

派遣設定記録 27.28.59

参加標準記録 27.45.00

3000SCと10000mの種目は違いますが、どちらも派遣設定記録は世界選手権で入賞が期待できる記録で、参加標準記録は出場資格を得るための記録です。

<スポンサーリンク>


第 16 回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン) トラック&フィールド種目 日本代表選手選考要項 には日本代表の選考方法や派遣設定記録などが掲載されているので一度読んでください。

各種目の派遣設定記録A(以下 派遣設定)と参加標準記録(以下 参加標準)を見ると種目間の世界との距離が見えてきます。

また( )内は現時点の突破者です。

男子100m

派遣設定 9.98 参加標準 10.12(6人突破)

→日本記録 10.00  を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子200m

派遣設定 20.12  参加標準 20.44(2人突破)

→日本記録 20秒03  を更新すれば派遣設定をクリアして入賞が狙えるレベル

男子400m

派遣設定 44.71  参加標準 45.50(1人突破)

→日本記録 44秒78  を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子800m

派遣設定 1.43.93 参加標準 1.45.90(なし)

→日本記録 1.45.75 を更新しても参加標準をギリギリクリアするレベル

男子1500m

派遣設定 設定なし 参加標準 3.36.00(なし)

→日本記録 3.37.42 を更新しても参加標準をクリアできない。

男子110mH

派遣設定 13.24 参加標準 49.35(3人突破)

→日本記録 13秒39  を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子400mH

派遣設定 48.70  参加標準 49.35(5人突破)

→日本記録 47秒89  を更新すれば派遣設定をクリアして入賞が狙えるレベル

男子3000mSC

派遣設定 8.17.46 参加標準 8.32.00(1人突破)

→日本記録 8.18.93 を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子5000m

派遣設定 13.05.95 参加標準 13.22.60(なし)

→日本記録 13.08.40 を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

男子10000m

派遣設定 27.28.59 参加標準 27.45.00(1人突破)

→日本記録 27.29.69 を更新すれば派遣設定に近づき入賞が狙えるレベル

<スポンサーリンク>


今回のレースは気温が高く厳しい条件の中開催されましたが、設楽 悠太、服部 勇馬、山本 浩之、市田 孝、鎧坂 哲哉、大石 港与、早川 翼、村山 謙太、上野 裕一郎、横手 健ら強豪選手が28分台、29分台に終わる中で、大迫選手は日本記録更新および派遣設定記録クリアを視野に入れたであろう5000mを13分45秒で通過する積極的なレース展開をするも後半失速し、27分46秒46でフィニッシュしまし、参加標準記録に1秒46届きませんでした。

ただ日本選手権で優勝しても世界選手権を走れないのは少し寂しい。大迫選手が世界の強豪に一歩も引かずにチャレンジする走りをみたかったです。

日本一になったのになぜ日本代表に選出されないか?と疑問を持っている方もいると思うので簡単に触れます。

大迫選手の場合は日本選手権で優勝しているが、上で書いた参加標準記録に届いていなかったため、第 16 回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン) トラック&フィールド種目 日本代表選手選考要項 【9.選考方法ー(3)第 2 次代表選手発表時の追加】に掲載されている

日本選手権終了時点で、選考基準の優先順位上位の項で 3 名を満たさなかった場合、追加条件を満たす 競技者を、編成方針及び選考基準に則り、代表選手として追加することができる。 ただし、2017 年 6 月 26 日以降の参加標準記録の突破は、指定競技会のみを対象とする。指定競技会は、 強化委員会が別途定める。

この指定競技会が今回の大会です。

そこで参加標準記録を出せば、『日本選手権3位以内+参加標準記録突破』となり選考されますが、1秒46足りなかったのです。

しかし、第16回世界陸上競技選手権大会(2017/ロンドン)カテゴリー・種目別選考基準に記載の第2次代表選手発表を見ると、10000mは、『①日本選手権3位以内+参加標準記録突破』とともに、②強化委員会推薦競技者と言う記載もあります。①は分かりやすいのですが、②に関しても参加標準記録突破は前提だと思います。

また今回は男子トラックのみ掲載しましたが、女子トラックや、フィールド種目でも参加標準記録突破者はたくさんいます。特に女子長距離の層の厚さには驚きです。

なんと男子は0の5000mの突破者が5人、男子が1人の10000mの突破者が16人もいるのです。

 

 



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA