川内優輝選手の大会記録で浮かび上がる日本のウルトラマラソンの強さ

今年の野辺山ウルトラマラソンの71kmにはボストンマラソン優勝の川内優輝選手が走り大会新記録で優勝しました。

ウルトラマラソンにマラソンの現役トップ選手が走ることは珍しいことですが、川内選手の場合は違和感を感じません。

川内選手がウルトラマラソンに挑戦した本心の部分は分かりませんが、弟の鮮輝選手がウルトラマラソンはじめてからマラソンのタイムが伸びたことも要因の一つだと思います。

ウルトラ始めてフルマラソンが伸びた〜川内鮮輝選手 福岡国際マラソンで自己ベスト更新〜

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来年4月から市民ランナーからプロランナーになり、さらなるチャレンジをする中で、自分の伸びしろはどこにあるのだろうか?と考え色々模索しているのでしょう。枠にとらわれず、まずは自分の体で試してみようという川内選手の貪欲な向上心は素晴らしいと思います。

川内選手の大会記録による優勝で、従来の大会記録4時間48分13秒を2002年に出した山本恭規選手がウルトラマラソンランナーの間で話題になっています。

ウルトラマラソンと言っても、フルマラソンを少し超える50km程度の距離から、500kmを超える距離のレースや、6日間で走った距離を競うレースなど多種多様です。ちなみに6日間走の世界記録は1000kmを超えます。東京・大阪の往復の距離です。

このくらいの距離になると、フルマラソンを速く走れるランナーが、その距離も強いかどうかは分かりませんが、今回川内優輝選手が走った71kmだとフルマラソンの強さに相当リンクしてきます。

今回の川内優輝選手のタイムは4時間41分55秒ですが、山本選手のタイムは6分18秒差です。この差をどう見るか見解は別れると思いますが、私は川内選手の記録は凄いが、山本選手の記録もとんでもない記録だったと思います。

と言うのも、私は2016年、2017年と71kmの部を走りましたが、ここ数年の優勝タイムは5時間30分前後です。そのタイムより川内選手のタイムは50分ほど速く、山本選手のタイムも40分以上速いのです。

平均ペースで比較するなら、今年の川内選手は3’58/kmペースで、ここ数年の優勝タイムは4’39/kmペースです。フルマラソンで3’58/kmペースは2時間47分で4’39/kmペースは3時間16分ですから別格です。

山本選手のタイムは4’03/kmペースですから、フルマラソンなら2時間51分となります。このくらいの差なら勝負になれば分かりません。

ちなみに71kmの累積標高(+)は1300m程度ですが、走りにくい林道区間があったり、標高1900mを超える高さまで登るなど平地と比べ低酸素になりパフォーマンスは落ちます。

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今回は川内選手の出場・そして優勝で71kmが注目されましたが、野辺山ウルトラと言えば、やはり主役は100kmです。

大会記録は原良和選手の7時間14分22秒ですが、このタイムは野辺山を走ったことのあるランナーならどれほど凄いタイムか説明不要でしょう。激しいアップダウンのあるこのコースを平均4’20/kmペースで走り抜けるのです。2012年にこの大会記録を樹立した時は2位に1時間24分差をつけたのです。

原選手は24時間走世界歴代2位の記録をもち、2013年UTMF優勝など、ロード、トレイル両方で素晴らしい記録を残しているウルトラランナーです。

原選手の記録などはこちらをご参照ください。

神宮外苑24時間チャレンジ参加ランナー(14) NO.11 原 良和(はら よしかず)

このように野辺山ウルトラマラソンの歴代記録をみると凄い記録が並んでいます。結構知り合いの名前があり、この人優勝したことがあるんだ!なんて眺めていました。

各種目のベスト3を抜き出してみました。

□100km男子

  1. 原 良和 7:14:22 2012年
  2. 原 良和 7:24:14 2015年
  3. 原 良和 7:28:38 2014年

原選手が独占です。野辺山ウルトラマラソン公式ページの記録によると2015年の原選手の70km通過タイムは5時間00分48秒です。おそらく71kmは5時間04分台でしょう。この時の71kmの部の優勝タイムは5時間26分34秒ですからそこで終わるランナーより20分以上速く通過しているのです。2012年の60km、80kmのタイムを見る限り2015年より10分ほど速いので71kmは4時間台で通過していたと思われます。上で野辺山を走ったことがあるランナーなら説明不要な凄いタイムと書きましたが、今回の川内選手の71kmゴールタイムより10数分遅れで通過してから、馬越峠がある激上り区間である70-80km区間を52分43秒で上りきったのは驚きです。

□100km女子

  1. 櫻井 教美 8:33:07 2008年
  2. 櫻井 教美 8:46:22 2003年
  3. 落合 尚美 8:58:02 2012年

櫻井選手は100km世界歴代2位の7時間00分28秒の記録をもつランナーです。またハセツネ史上女性で唯一8時間台で走ったランナーでもあります。3位の落合選手もサロマ湖ウルトラ優勝や富士登山競走歴代9位の記録をもつランナーです。野辺山ウルトラで勝つにはスピードは当然として上りの特性も必要になります。

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□71km男子

  1. 川内 優輝 4:41:55 2018年
  2. 山本 恭規 4:48:13 2002年
  3. 山本 恭規 5:03:50 2005年

従来は山本選手が上位3位までのタイムを独占していました。

□71km女子

  1. 井筒 一穂 6:02:37 2008年
  2. 宗宮麻樹子 6:13:37 2005年
  3. 能勢 結希 6:17:21 2007年

□42km男子

  1. 西澤 悟志 2:45:32 2010年
  2. 西澤 悟志 2:48:04 2012年
  3. 髙田 由基 2:52:10 2017年

□42km女子

  1. 吉村 友香 3:19:26 2016年
  2. 吉村 友香 3:23:32 2017年
  3. 太田美紀子 3:24:48 2017年

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日本でのウルトラマラソンは新聞やTVなど大手メディアにはほとんど注目されませんが、過去も現在も凄いランナーがいるのです。

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